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「二大政党制の創出」は、個人的関係、権力と金の仲介による関係に基づいて社会が創られる傾向がある日本では、難しいのではないかとの論調がフィナンシャル・タイムズ(3月29日付)に掲載された。
2009年8月に実施された衆議院選挙では、財政再建を掲げた民主党が政権を取ることで50年間に及んだ自民党政治を変え、政権交代が可能な二大政党政治の幕開があけることを期待した人は多かっただろう。
しかし、現在の自民党の分裂を目の当たりにすると、どのような対立的理念、イデオロギーがこの国で成り立つのか考えさせられる。
例えば、福祉国家づくりを目的とするにしても、赤字国債を増発してバラマキ財政を続けるか、増税により次世代への負担を出来るだけ小さくするよう財政規律を優先するかについて、各党の中でも意見の違いが見られる。
同様のことは、日米安全保障問題においても、東アジア諸国外交についても言える。
韓国のメディアでは、民主党現政権について、日本名「竹島」(韓国名「独島」)問題や朝鮮半島の植民地支配に対する歴史認識は自民党と変わらないとの見方が報じられている。
一方、このように国内政治が混迷してくると、海外でのビジネスに対する政府のサポート力が弱まるため、厳しい環境におかれることになる。
例えば、先の米国でのトヨタ問題が挙げられる。
また、3月30日付ぺトラ通信(ヨルダン)がヨルダンと韓国が原子炉建設の契約をしたと報じたこともその一例といえるだろう。韓国は同分野で、2009年12月にアラブ首長国連邦、2010年3月にトルコとも契約している。
日本経済の回復の遅れは政治にも責任があるといえる。
いずれにしても、日本で安定的二大政党が創出されるまでの道のりは遠いといえそうだ。
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社会・文化
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「あなたの大学の就職率を保護者の方々は注目していますよ」と、教育産業界の関係者の知人が、一般日本社会の大学への関心について語った。
就職戦線「超氷河期」にあって、就職率(卒業者数から進学者、母国への帰国者を除いた数で、正規就職者数を割ったもの)は、大学評価に際しての重要なポイントとなる。
一方、日本経済の低迷が長期化している中では、企業も即戦力となる人材を採用する傾向にある。
こうした点から、職業教育をこれまで以上に重視する大学が増えている。いわば、専門学校化する大学の増加である。
3月12日、これに拍車をかけるように、文部科学省が「教育課程の内外を通じて社会・職業的自律に関する指導等に取り組む」ことを文章化した省令(21文科高第628号)を発出した。
この省令では、大学および学部の教育上の目的に応じて、卒業後に社会的および職業的自立を図るために必要な能力を培うことが大学に求められているとされており、今まで以上に、大学が職業訓練の場となる傾向が強まると考えられる。
これにより、大学の淘汰が激しくなるだけでなく、生き残った大学が二極化することになる。
来春から新しい学習指導要領に基づく教育がはじまる。そこには、どうも知識詰め込み型の教育が色濃く残り、問題解決力を向上させる目的の改善の成果はあまり多くを望めそうにない。
詰め込み型教育は、自発性に乏しい、いわゆるグライダー人間が育つことが多いといわれている。そうした人々の中からはクローバル化時代を支える産業は創生されないように思う。
教員に求められるのは、「教科書を教える」のではなく「教科書で教える」という思考をチェンジすることである。さらに、名門大学に入学させ、有名企業に就職させることがこどもの幸せだと思い込んでいる保護者も意識をチェンジする必要がある。
そしてもちろん、生涯を通じて学び続けられる教育環境が一層整備されることが欠かせない。
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3月7日に実施されたイラク連邦議会選挙は、26日に最終結果が発表されることになりそうだ。現在、アラウィ元首相のイラキーヤとマリキ首相の法治国家連合が拮抗している。
このイラクの連邦議会選挙では、総定数に占める女性議員の割合が25%以上となるよう法的に定められている。
女性の議席数については、レバノンでもハリーリ首相が、地方選挙法を変更し女性の最低議席数割り当てを行うための検討に入った。
また、バーレーンでは、女性差別撤廃条約(CEDAW)を遵守すべく、賃金の性別格差をなくす努力がなされている。
では、日本ではどうか。卒業式後のパーティー会場で、日本人女子学生が次のような話をしてくれた。「同じように就職活動をしていると、男子学生がどんどん採用されていくので、気持ちが焦り、いらいらした日々を過ごしました」。
就職氷河期である現在、「男性優位社会」という日本の社会空間の特性がより目立つようになっている。
女性が男性優位という社会空間の特性の改善を試みていると、意外に女性がその試みに対する抵抗勢力になっているという話もしばしば聞かれる。
それは日本以外でも見られるようだ。
例えば、3月21日にイエメンで女性たちが婚姻年齢を法律で18歳に制定することを求めて国会前でデモを行ったと報道されている(3月22日付クドゥス・アラビー紙)。この運動を展開したイエメンの女性たちは、富裕層の人々が貧困層の過程の弱みに付け入り未成年女性と結婚するケースや、そうした未成年女性との結婚を目当てにした外国人の「観光結婚」が増えていることを懸念している。父親が12歳の娘を60歳を越える男性と結婚させたという事例もある(結局、司法当局によって結婚は解消となった)。
しかし、その一方で、婚姻年齢を定める法律の制定はシャリーア(イスラム法)に反する、と考える女性たちも少なくない。さらに、女性の婚姻年齢が高まることで社会とその道徳観に害を与えると主張する女性もいる。
こうした保守的な女性グループと同様の意見を表明しているイスラム法学者は多い。彼らは場合によっては、親が子どもの人権や自由を無視することもありえると見ている。
現在の日本の女性は、イエメンの女性たちとは比較にならないほど自由で、人権も守られている。しかし、先進諸国の中で見た場合、女性の社会的地位は決して高いとは言えない。その改善には、今以上に女性自身も男性も高い意識を持つことが必要である。
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3月16日に「子ども手当て法案」が衆議院本会議で可決した。
最大の問題点は恒久財源がない中で、国や地方の支出が拡大していることである。このつけ(赤字国債)は次世代が払うことになる公算が大きい(2010年度は44兆円の国債を発行)。子ども手当ての予算額は本年度が2兆2500億円で、2011年度以降は4兆9600億円に跳ね上がる。来年度中に予算を見直すことのみでこの約5兆円を捻出することはかなり難しく、税制などいくつかの大きな制度変更の検討を余儀なくされるだろう。それには、短期間で多面的な影響を吟味しなければならない。果たして、そうした難題を短期間に解くことが出来るだろうか。2011年度分も取り敢えず国債発行を積み増して、ということになりはしないだろうか。
子ども手当ては、他にも問題を抱えている。大和総合研究所がこの手当の家計への影響について試算したところ、年収が高い家庭ほど恩恵があるという結果と成ったと報じられている。そうなると、推定年収がおよそ2200万円(月給約130万円、ボーナス年間約635万円)といわれる日本の国会議員(ちなみに米国はおよそ1700万円、イギリスはおよそ970万円と見られる)と、年収300万円以下の家庭が一律の子ども手当てがもらえることで良いのかと疑問を持つ人もいるだろう。
また、養護施設で育てられている子どもは対象外であることも問題といえるだろう。
さらに、この手当ては国際感覚に欠けているといわれる問題もある。外国で頑張って暮らしている日本人家族や、子どもを日本に残して両親が外国で働いている日本人家族は対象外となるのである。一方、子どもを母国に残し、日本で頑張っている外国人世帯(子どもの存在を証明する母国の書類があれば良い)には、子どもの人数分の手当が支給される。このため、外国人受給者の数を政府は十分把握できずにいる。これは、この手当てが「子どもを育てる親への支援」であり、①国籍を問わず、②日本国内に住み、子どもの面倒を見て生計を共にしている親を対象としているためである。
一番の問題点は、これらの制度設計上の問題点について、委員会での質問や多くのメディアで指摘されているにもかかわらず、そうした問題点の修正案さえ参議院に提出することなく来年度に先送りし、とにかく年度内成立を目指していることである。
戦後、日本の経済成長を支えてきた製造業では、地道な改善を重ね、世界一とまでいわれた「ものづくり」を誇ってきた。鳩山政権も自ら制度づくりの未熟さを認め、改善を重ねる勇気を持ってほしい。
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昨日、米国の新アメリカ安全保障センターでシニア・フェローを務めるロバート・カプラン氏の話を聞く会合に参加した。同氏は『フォーリン・アフェアーズ』や『フォーリン・ポリシー』で論説を展開している著名な国際ジャーナリストである。 テーマは「インド洋を巡る地政学」であった。残念なことに、日本の環インド洋研究や南東アジアをはじめとする地域研究のレベルがどの程度か十分な情報が伝えられていなかったのか、今回の参加者のレベルからすれば、啓蒙的な物足りなさを感じる内容であった。 残念なことといえば、3月8日付のワシントン・ポスト紙が藤田幸久参議院議員(民主党)とのインタビュー関連記事である。 内容は、同議員が2001年9月11日の米国同時多発テロに対し陰謀論を信じており、米国に対する不信感を口にしているという旨のものである。これは議員個人の情報処理能力や発信能力に関する問題であるが、同紙はこの見解は「民主党と鳩山由紀夫政権に流れている反米的な考え方の傾向を反映しているように見える」と言及している。 カプラン氏の講演内容は本人の日本認識もさることながら、会を主催した日本の関係者側にも参加者、内容確認などの面で問題があったと言える。一方、ワシントン・ポストの記事については、意図的に論理を飛躍させていると取れなくもない。 このワシントン・ポストの例よりも悪質な情報操作が行われたことが報じられた。それは、米国のABCニュースがトヨタ車のコンピュータ制御に関する偽装実験を報道したことである。この報道の背景には、米国内に「バイ・アメリカン」的空気が根強いこともあるだろう。 情報・通信の発達はネット・ゲーム中毒者や携帯中毒者を生んでいるだけでなく、情報資料(インフォメーション)の処理に追われ、その内容を十分吟味しない「情報資料鵜呑み人間」を生んでいる。 本ブログでも数年前に書いたが、情報資料を判断に利用できる情報(インテリジェンス)に変えるには、付加価値をつける手間が必要である。日々の忙しい仕事の中で、そんなことが出来るか、と思われる読者もおいでかもしれない。 しかし、ひょっとすると小さな思い込みによって確認(手間)を怠っているだけかもしれない。それが人生を左右することになるかもしれないのである。今日の社会にはそうしたリスクがあちこちに広がっている。 逆のこともまた言える。情報を発信する側は、受け取る側が誤解やちょっとした確認ミス、さらには意図的な曲解をすることがあると認識した上で、伝えたいことを効果的に発するために手間をかける必要がある。
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