安全保障問題

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北朝鮮の核実験と日本

10月6日付ニューヨーク・タイムズは北朝鮮の核兵器開発に関する記事で、日本、韓国、台湾も核保有の必要性を考え始めると報じた。また、10月10日付フィナンシャル・タイムズは、日本が核武装の誘惑に駆られるかもしれないと言及している。北朝鮮の核実験によって、国際社会は同国を核兵器保有国として認知せざるを得ない状況となった。また、この実験により、核の拡散がより現実問題となり、国際社会への脅威は高まったといえる。
しかし、この実験と日本の核武装を結びつけ、中国や韓国の対北朝鮮圧力を期待するような米国の報道や、これを無神経に紹介する日本のコメンテーターがいたことは、驚きであった。公開情報をベースに分析する者にとって、現代社会の大量の情報の中では、何を取り上げ、加工(評価、解釈、分析)するかは容易なことではない。しかし、日本が核武装するかもしれないとする状況を、証拠やそれに基づく論理性をもって情報紹介者が説明できなければ、それは“単なる情報”であり、人が判断し行動するための情報資料にはならない。そのような情報をあえてマスメディアで取り上げることは、ジャーナリズムの基本的な心構えを失っているといえるのではないだろうか。
今後、北朝鮮が核実験を繰り返し、国際社会との交渉ポイントを上げていく可能性は高い。その中で、国際社会が国連憲章7章に基づく経済制裁のような厳しい対応を実施したとしても、北朝鮮から核兵器を取り上げることはほぼ不可能であろう。今後、国際社会は、6カ国協議、国連などを舞台に、北朝鮮との多国間対話をもつことになるだろう。そして、これに加え、米国、中国、韓国、日本の各国が北朝鮮との二国間対話の実施を模索する状況も生まれてくるだろう。このような中、日本は対北朝鮮政策での国際協調を図る一方、今回の北朝鮮の核実験前の国連総会で表明したように、世界の核軍縮の推進を訴え続けるべきだろう。そのことは、また、今回、欧米のメディアが報じたような日本の核兵器保有への疑心暗鬼への明確な答えとなるだろう。それにしても、第二次世界大戦後61年間、世界で唯一の被爆国である日本が訴え続けてきた核兵器廃絶の声が、未だ国際社会に届いていないのかと、残念に思う。
国際社会は北朝鮮の核実験阻止に向け、外交圧力を高めている。北朝鮮が核カードを切ると表明した狙いは、米国財務省がとった同国への国際金融制裁の解除だとの分析もある。昨年、米国務省は米金融機関に、マカオの銀行パンコ・デルタ・アジアとの取引を停止させた。主要各国もこの米国の処置に協力し、同様の対応を行っている。これにより、北朝鮮は国際金融システムを活用しにくくなり、国自体が金融制裁を受けているに等しい状況に陥っている。しかし、こうした状況下、イランとロシアの銀行は、同行との取引を続けている。
米財務省は本年9月7日、ヒズボラとの金融取引を行うレバノンの金融機関2行に対し、パンコ・デルタ・アジアと同様の金融措置を行い、翌8日には、イラン最大の国営銀行バンク・サデラートとの金融取引を全面的禁止(これまでは外国の銀行を経由した取引は認められていた)に踏み切った。これは、同行がヒズボラ、ハマス、パレスチナ・イスラミック・ジハードなどへの送金を行ってきたことが理由だとしている。さらに、米国は中央銀行総裁会議や主要各国への担当者派遣を通し、国際金融システムが犯罪組織のマネー・ロンダリング、テロ資金供与に悪用されることを阻止するよう協力を求めた。これに対し、イランは、国際通貨基金(IMF)への異議申し立てを行うとともに、米ドルから他の通貨への切り替えに言及した。
米国は国連安保理で、北朝鮮の核実験やイランのウラン濃縮阻止を働きかけ、国際的脅威への予防外交を展開している。また、経済面では、イランに対しては既に独自の経済制裁決議を実施し、さらに国際的には、民間金融機関の協力により核拡散防止やテロ支援阻止に努めている。今後、米国は、イランおよび北朝鮮に対し、国際協調のもとで一層強固な金融制裁を推し進めていけるのか、注目される。
現在、イランでは、ラフサンジャニ師が故ホメイニ師の手紙を公表した動きや、イスラム法学者による統治に批判的なデモの発生など、金融制裁に危機感を募らせているとも思える動きも見られ始めている。北朝鮮の事例を横目で見ながら、別の動きを模索しはじめたのだろう。こうしてみると、国際社会は北朝鮮およびイランの核問題の関連性に一層配慮しながら対処すべき段階に来たようだ。
米国の中間選挙が5週間後に迫っており、米国の共和党は、上下両院で議席の過半数以上の獲得を目標に選挙運動を展開している。しかし、このところ、ワシントン・ポストの記者ボブ・ウッドワード氏が新著『否定の状況』で、ブッシュ政権はイラク政権について真実を語っていないと批判していることや、共和党下院議員フォーリー氏の猥褻メール問題で、ハスタート下院議長の進退問題に関し共和党問題で意見対立が発生するなど、ブッシュ政権にとっては、再び厳しい選挙戦となっている。さらに、北朝鮮の核実験問題や長引くイランの核開発問題という大きな難問が出てきている。
北朝鮮は10月3日、外務省の声明で、核実験の実施に言及し、米国の金融制裁解除、二国間協議の実施を望むとの姿勢を示した。分析によると、北朝鮮は再び瀬戸際外交を展開していると見られている。しかし、現状、米国は北朝鮮の6カ国会議を主張しており、この2点での政策変更はないと表明している。なお、EUのソラーナ共通外交安全保障上級代表は4日、欧州議会で、今回の北朝鮮の声明は韓国のパン・キムン外交通商相の国連事務総長就任に関連している可能性があると示唆した(北朝鮮と韓国は法的には戦闘状態のままとの見解もある)。これらを勘案すると、北朝鮮がいずれ核実験を実施する可能性は高く、それを阻止するためには、かなりの外交努力が必要となる。
一方、イランも、核開発問題で国連安保理からウラン濃縮停止を求められているが、受け入れる態度は見られていない。また、イランの核開発問題においては、10月6日からロンドンでコミットメント・グループの外相会議が予定されているが、中国、ロシアは依然、対イラン経済制裁について慎重な姿勢を示している。イランは、12月15日に専門家会議および地方議会選挙を控えており、ウラン濃縮の一時停止を行っても、開発事態の停止に結びつく国連決議の受け入れは難しい状況にある。
最近、中東地域では、トルコ、エジプト、イエメン、カタルなどが平和利用を目的とした核エネルギーの利用に言及している。こうした各国が保有する核利用・開発の権利を、国際原子力機構(IAEA)のもとで、どのように秩序付けていくのかが、国際社会の大きな課題である。その一方、核兵器に転用する可能性が払拭されないイランや、昨年2月に核兵器保有を宣言した北朝鮮に対しては、大量破壊兵器拡散防止の観点から、どのように開発を阻止できるかが課題となる。現状において、両国に対しては、コミットメント・グループとの協議に加え、国連安保理を舞台に外交交渉がもたれる状況にある。そこでの国連安保理の役割は、今まで以上に大きいものとなっている。10月は安保理の議長を日本が務めており、世界で唯一の被爆国としてこの両国に対する平和利用への確固たる保障取り決めを求めるなど、その手腕が問われるところとなるだろう。10月は、ブッシュ政権にとっても、安倍新政権にとっても、正念場となりそうだ。
イギリスのイスラム団体、慈善団体など38団体が8月中旬、政府の米国よりの中東政策の変更を求める公開書簡を送った。また、8月14日のケリー地方自治相主宰のイスラム団体指導者との会合でも、イスラム過激思想が若者に浸透する要因として、外交問題があるとの指摘があった。日本でも、イラク、レバノン、パレスチナの現状とイスラム過激派テロとの関係を直接結びつけ語る人もいる。果たして、イギリスの外交政策は、テロ行為に人を走らせる時、どの程度影響力があったのだろうか。
昨年の7月7日のテロ後、イスラム対策の一環としてイスラム指導者との協議を重ね、内務省が主導で64行動計画がまとめられた。上記の8月14日の会議でも、その実施状況が話し合われている。この64項目の一つに、イマームについての言及がある。イギリス社会のイマームは、外国出身でイギリス社会を熟知していない人物が多いと言われている。これは、自国内でイマームを育てているフランスなどの国とは異なっている。それが、イスラム過激派のテロを生み出すことと因果関係があるのかどうか明確ではない。しかし、注目すべき点であることは間違いない。
また、イギリスと、現在アルカイダが拠点としており、その支持者が多いアフガニスタン(侵攻地域)、パキスタン(旧宗主国)との歴史的な結びつきの強さも注目すべきだろう。今回のテロ計画グループとの関係が取りざたされているイスラム過激派組織ジェイシモハメドは、アルカイダとの結びつきがあるパキスタンのグループである。その創設者で指導者のマスード・アズハルは、かつてハラカトゥル・アンサールの事務局長として、インドのカシミール地方をパキスタン領土と主張してきた人物である。ジェイシモハメドは、2000年にカシミールの解放を目的として、アルカイダやタリバンの資金協力によって設立された。イギリスのイスラム教徒移民の出身地の中には、今でも武力闘争が展開されているところが見られる。
イギリスでのイスラム過激派によるテロを考えるに当たっては、イスラムという要因以外の犯行の因果関係も分析する必要があるだろう。さらに、イスラム社会の声を紹介することも大切であるが、イギリス社会に生きる個人として、どのような社会環境、文化環境におかれているのが注意深く見る必要があるだろう。現在、インド、タイ、フィリピン、インドネシアなどにも見られるイスラム教徒の分離運動を考える上でも重要になるのではないだろうか。

7月5日、北朝鮮が7発のミサイルを日本海に落とした。日本政府は、北朝鮮の万景峰号の国内入港を含む9項目の制裁措置を発表した。また、国際社会では、国連安保理が召集され、非難決議の協議に入った。北朝鮮が国際社会からの厳しい非難を受けることを理解しながらも、今回のミサイル連射を行った理由について様々な分析がなされている。ここで気になるのは、北朝鮮の問題の動向だけでなく、原油価格の動向への影響である。そこで、少し、中東専門家の立場から今回の出来事について考えてみたい。
ミサイル発射の理由について、現在までの分析では、(1)危機感を高め、米国との直接交渉再開を求める、(2)強硬派の軍部の意向を汲んだ、(3)改革を求める若者層に対し、軍部が先軍政治を強調した、(4)ミサイル販売のデモンストレーション、(5)国際社会にイランへの対応と同様の譲歩を求めるねらい、などが挙げられている。注目したいのはミサイルの販売である。北朝鮮は、80年代にスカッドミサイルを開発し、90年代にはノドン・ミサイルを開発した。そして98年にはテポドン1号を完成させている。今回、3発目に発射したミサイルはテポドン2号だろうと言われている。これらの開発したミサイルや技術の購入者の一部に、エジプト、シリア、リビア、アラブ首長国連邦、イランなどの中東諸国の名前が挙げられる。北朝鮮は、海外資産が凍結されている中で、ミサイル技術を売ることによって外貨を稼ぎたい状況である。その中でイランは、かつて、同国の革命防衛隊関係者が、北朝鮮のミサイル発射に立ち会っていたことが報じられたことがある。現在でもイランと北朝鮮は、かなり親密な関係にあるとの分析がある。イランが、核開発問題で国際社会の求めているウラン濃縮作業停止を拒否した場合、自国への国際介入を阻止する方法として、(1)自国の防衛力を強化する、(2)原油価格の高騰を促すことが考えられる。仮に、今回のミサイル連射の中に、朝鮮日報が報じるように、地対艦ミサイル(射程100−120キロ)が含まれていたならば、イランがペルシャ湾封鎖カードのために一番購入したい武器の一つかもしれない。また、このように危機を高めること自体が、サミットを前にして、イランの交渉ポイントを高めることにも結びつくと考えられる。ならず者国家の一つとされる北朝鮮を経済的に支援できる国の一つは、同じくならず者国家と名指しされている産油国イランだろう。こうした視点から、今回の問題を考えることも可能ではないだろうか。
仮に、今回のことで原油価格が上昇すると、本年1月下旬に、ファイナンシャルタイムズでも取り上げられた「石油の衝撃波」というシナリオが現実味を帯びてくる。現在、原油価格は上昇気味で、そこに今回のミサイル発射問題という国際的な政治不安が生じ、心理面で原油先物市場を押し上げる要因ができた。今後、中東地域で石油施設へのテロや、ナイジェリアやベネズエラなどの産油国の政治不安など、世界の原油供給に影響を与える出来事が連鎖的に起きた場合、原油価格はさらに上昇し、100ドルを超える高値で推移する可能性もある。今回の出来事がこのような原油価格高騰に向かっての連鎖に結びつかないことを願う。

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