安全保障問題

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沖縄県外への米軍基地移転問題では、メディアも鳩山首相の言行に対する厳しい批判を行っている。しかし、昨日も書いたが、批判だけをしていても次世代に手渡すべき日本の安全保障体制をつくることはできない。
かつての戦争では、沖縄だけでなく広島、長崎、日本の各地で市民が犠牲者となった。また、青年たちは無駄に命を落とすことになるかもしれないと思いながらも、日本の新生のためにとの思いで戦地に赴いた。
その人々の死の意味を、沖縄の人々も本土の人々も、つい最近までは語っていたし覚えていた。
 
今、この基地問題が騒がれている中で、忘れかけていた言葉を思い出した。それは従軍記者として第二次世界大戦を取材した経験を持つ、あるジャーナリスト(故人)から聞いた「個人の利益を超えて守るべきものがある」という言葉である。
もはや「守るべき」人や郷土は日本にはなくなってしまったのだろうか。国内外で犠牲となっていった人々の思いを、受け継ぐ必要性はなくなったのだろうか。
 
日本は今、経済的にも政治的にも危機的状況にある。
こうした時だからこそ、かつて人々が継承してきたものの中で、次世代に引き継ぐべきものがあることを再確認する必要があるように思う。
54日、鳩山首相が沖縄県を訪問し、普天間基地返還問題について関係者との協議を行った。
その際、日本国民がおどろくような発言があった。それはアジア太平洋地域の米海兵隊の抑止力について十分認識していなかったとの発言である。
この発言を踏まえ、多くの日本のマスメディアは、鳩山首相の沖縄訪問の背景には中国海軍の東方での活動状況や朝鮮半島の緊張状況がある旨、報じている。こうした報道によって、外交上、「抑止力」という言葉でしか表すことが出来ない鳩山首相の抽象的説明が補われたといってよいだろう。
しかし、まだまだ日本国民には、現在そして近未来のアジア地域が抱える不安定性、不確実性の程度が認識されているとは言えないだろう。
 
54日、韓国の金泰国防相はが、全軍主要指揮官会議で、哨戒艦沈没事件は敵対勢力の奇襲攻撃であり、明白な侵略行為だと述べたと報じられている(55日付韓国の中央日報)。韓国政府はかなりの危機感を抱いていると見てよいだろう。それというのも、韓国政府が、南北境界線での北朝鮮の特殊工作や挑発行為に警戒感を高めていた矢先の出来事だからである。
また、この時期に北朝鮮の金正日総書記が訪中し、両国首脳会談を持つことも気になる動きである。
 
その中国であるが、日本のメディアの一部ですでに指摘されているように、普天間問題で日米関係に認識のズレが生じていることは何を意味するかをテストするような海軍活動を行っている。例えば、410日および22日に中国海軍計10隻が沖縄本島と宮古島間を航行し、東シナ海と太平洋で軍事訓練を行っている。
これは、中国海軍が戦略用語として用いている「第一列島線」(カムチャッカ半島から千島列島、日本列島、沖縄、台湾、フィリピンをつなぐ線)を超えての海上活動である。
この活動は、実際に日中の軍関係の緊張を高めただけではない。中国国内では、中国軍艦の正常な航行を日本の海上自衛隊が妨害したなどの趣旨の報道が流れている。
 
今日の中国や北朝鮮が抱える不確実性を考えれば、日本としては日米安全保障条約第6条の、極東における国際の平和および安全の維持に寄与する努力の一環として、①米軍の軍事展開能力の維持、②韓国との友好関係の強化、③東アジア諸国およびオーストラリアとの連帯の強化は欠くことができない。日本が米国と中国を等距離において外交をする環境は、まだ整っていないように思う。
 
日本にいると、国内政治や芸能・スポーツニュースなどに気がとられ、視野が狭くなりやすい。しかし、世界空間ではギリシャ経済、イギリス総選挙、核拡散問題、テロ問題など世界各地の人々を巻き込みながら激しく変化し続けている。
そうした中で、日本の首相としてとらねばならない行動は、しっかり腰をすえた政策選択をすることである。そして、国民に真摯に選択した政策について説明し、多くの賛同を得られるよう努力することである。
今回の沖縄での首相の説明は「中国配慮」が強く働きすぎたためか、今、なぜ、海兵隊が沖縄に駐留を続ける必要があるのかについて日本国民には分かりにくいものであったのみならず、政策に対する不信感を生む結果となったのではないだろうか。
日本では沖縄の米軍普天間基地の移設問題をめぐって、鳩山首相が動き始めている。
この基地移設問題について429日付日本経済新聞に元米国防省日本部長のジェームズ・アワー氏のインタビューが掲載された。同氏は、この問題の解決は現状維持(普天間のまま)か現行案の二者択一しかないとしつつも、現行案の修正は可能であると語っている。
同氏はまた、日米同盟の深化についても触れ、日本の集団自衛権の不行使が問題の一つであると指摘している。
 
安全保障問題に関連して、最近、気になる報道があった。それは、北朝鮮が人民軍創設記念(建軍節)行事の軍事訓練でソウルを直接攻撃できる長射程砲のデモンストレーションを行った、というものである。
ここで、ある状況を仮定してシミュレーションをしてみよう。
200911月、北朝鮮の警備艇が無断で韓国領に入り韓国海軍と海戦となったことがある(北朝鮮の敗戦)。このことも踏まえて考えてみよう。
仮に、韓国の哨戒艦「天安」の沈没事件と北朝鮮とが結びつくような状況証拠が浮かび上がったとする。その場合、もちろん李政権は慎重に対応するだろうが、韓国内の保守勢力が好戦的な言動を行い、何かのきっかけで南北間で軍事衝突が起き、米軍が巻き込まれたと仮定する。その場合、鳩山政権はどのような対応をするだろうか。
 
423日付フィナンシャル・タイムズが、「朝鮮半島の緊張」という記事で北朝鮮の政権交代問題や末期的な経済状況について書いている。
現実にそうだとすれば、米軍が沖縄に駐留させている海兵隊部隊を一体的に運用できる体制を維持する重要性は増しているといえる。
また、日本としては韓国軍、駐留米軍の後方支援体制をどのように整えるのかという選択の準備をしておかねばならないだろう。
 
北朝鮮の動向や中国海軍の最近の行動に鑑みても、日本政府は現実をしっかり分析し、最大多数の安全保障を最優先すべきではないだろうか。
沖縄から米軍基地の一部をグアムに移転することは日米間ですでに合意されている。今後は、いつ、どれだけ、という手順を詰めていく段階へと進むはずであった。
それが、普天間問題が進まぬ中で、先述の記事のように、日本社会を二分するであろう集団的自衛権問題についての発言が知日家米国人から出たことの重大さを十分認識すべきだろう。
「現実から奇妙に遊離」(loopy)している場合ではないのである。
12月4日、パキスタンのイスラマバードの南隣ラワルピンディで、モスクがテロの標的となり、死者は40人、負傷者は26人に上った。その前日にはソマリアで大学の卒業式の海上でテロが起き、暫定政府の閣僚3名を含め19名が死亡した。11月27日にはロシア北西部で列車テロが起きるなど世界各地でテロが多発している。

その中、イギリスは総額5000万ポンド(約73億円)をかけてビンラディンの追跡を強化した。
これまでも、アフガニスタン、パキスタンでは対テロ諜報活動が活発に展開されているが、あまり成果が上がっていない。その要因の一つとして、両国の国民の中にイスラム過激派武装グループへの共感者がいることが挙げられる。
ブラウン・イギリス首相は同国を訪問したパキスタンのギラニ首相に努力不足だと不満を表明した。

アフガニスタンやパキスタンで軍事的攻勢を強めれば国際テロ・グループの活動を沈静化できるだろうか。それが可能かどうかは不確実である。確かにスリランカでは強硬手段で武装勢力を押さえ込めた。
一方、交渉による成功事例としては、12月4日、インドがテロ組織に指定している「アッサム統一解放戦線」(ULFA)の指導者アラビンダ・ラジコワが副官および護衛とともに投降したことがあげられるだろう。ULFAは1979年に創設され、インド国内で爆弾テロを繰り返していたが、今回、暴力の放棄、権限付与の要求の取り下げを前提条件とした和平交渉が成果を挙げたと見られる。インド政府が特別に交渉に長けているわけではないだろう。おそらくポイントは、適切な交渉条件を提示できたことだろう。

イスラム過激派武装グループの中にはジハード(聖戦)を防衛戦ととらえているものもある。そうしたグループに対しては寛容性をもって対応していくことが重要だろう。そのためには、まず各グループの特性を見極めることが必要である。
ベルリンの壁が崩壊して20年の歳月が流れた。11月9日、ドイツでは雨の中、記念式典が行われた。式典参加者の1人であるイギリスのブラウン首相は「市民の勇気でドイツも欧州も1つになった」と語った。

そのブラウン首相が悩んでいる事は、アフガニスタンからのイギリス軍の撤退を望む声が高まり、国民がこの問題で首相の言葉に耳を傾けなくなってきていることだ。世論調査では、即時撤退を望むとの回答が35%で、4分の3の国民が1年以内の撤退が望ましいと考えている。仮に、イギリス軍がアフガニスタンから撤退することになると、米国との同盟関係や欧州諸国関係でしこりを残す結果となるだろう。

アフガニスタンでのイギリスの今年の犠牲者は既に90人を越えている。それでもイギリスは500人の増派実施を約束している。それは、アフガニスタン問題の解決がテロからの防衛の第一の方法だと考えているからである。

このイギリス政府や同国民の目には、米国のテキサス州フォートフッド陸軍基地での銃乱射事件がどのように映っているだろうか。ロイター通信などが報じたところによると、この事件の容疑者ハサン少佐は、アルカイダ支持者であるイスラム法学者との結びつきがある。

テロリストは比較的自由に攻撃場所や時期を選ぶことができる。この攻撃に受身で対応するよりも、テロの拠点を壊滅する方が今後の人的被害が少なくなるとの考え方も理解できる。一方、そうしたテロ拠点への攻撃自体が新たなテロを生み出すとの見方もできる。今後、イギリスはどのような判断を下していくのだろうか。

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