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円高に無策な日本

外国為替市場で米国経済の停滞感が強まり、1ドル=84円台をつけた。また、円はユーロに対しても値を上げ、109円台をつけている。この15年ぶりといわれている円高水準により、1ドル=87〜90円程度のレートの想定を行っている日本の多くの輸出業者の業績回復が鈍る恐れが高まっている。

一部のメディアでは、1995年4月に付けた1ドル=79円75銭にまで円高が進むのではと報じている。それというのも、米国とEU諸国が自国の経済成長と雇用を保つために、自国の通貨安を導いて外需拡大を図っているのに対し、日本政府や日本銀行は国際的な動向について行けず、手を拱いているだけだから、との認識があるからだ。

なぜ日本政府や日銀は無策なのかとの厳しい声が、エコノミストや産業界からも聞かれ始めている。それもそのはずで、15年前の日本経済は、日経平均株価が1万6000円台(今年8月11日現在では9292円85銭)、失業率は3%台(現在は5%台)という数字が示しているように、日本企業には国際競争力があった。
しかし、その後の不況や世界金融危機などにより日本企業は疲弊した。そして現在、リストラによる人員削減や海外生産比率を高めるなどの工夫をすることで、ようやく業績の回復が見えかけている時期である。そこに、このような円高進行が打撃を与えつつある。
今後、企業の海外シフトが一層高まる可能性がある。そうなると、日本の雇用問題が再浮上するだろう。

今回の参議院選挙後、国会議員を退いた友人は、「今、日本は大切な時期にある。国会議員は夏休みを返上して、国会で2010年度予算や財政再建のあり方について与野党を超えて話し合うべきだ」と語っていた。そして、その友人は数日間の会期となった特別国会を批判した。

民主党は8月11日、政策調査会を開催し、2010年度予算について話し合った。そこでは、衆議院選挙の公約実現(子ども手当てについては、現行の1万3000円から2万円にする上積み案)が大勢を占めたと報じられている。
とすると、与党の国会議員の多くは、リーマンショック後の世界の変化の中での日本の行く末よりも、自党の勢力拡大もしくは自分自身の選挙活動が大事だと考えているのだろうか。
やはり、一刻も早く与野党の壁を超えて、開かれた政策議論をする必要があると強く感じている。

衆議院選挙から1年

昨年の夏の衆議院選挙期間中、私の住む町にも鳩山氏、菅氏、岡田氏といった民主党を代表する政治家たちが来て、「新しい日本の政治」のあり方について訴えた。民主党が圧倒的多数を獲得したあの衆議院選挙から1年、日本の政治は変わったのだろうか。

つきまとう金銭疑惑により国民から嫌悪されている政治家や、国際的に決断力がない指導者との評価を受けた政治家たちが、実力者としてメディアや同僚の政治家たちからはもてはやされている。これは自民党政権でも、民主党政権でも変わらぬ日本の政治文化の特徴なのかもしれない。
日本国民はそういうものだと覚めた目で見ているだけだが、海外メディアは、そうした日本の政治文化に対し、容赦のない批判を行っている。
以下にそのいくつかを紹介しよう。

まず、短期間で政権が次々に交代している状況を「不安定性症候群」と揶揄している。
この事態について中国の「新京報」は、日本は欧米と同様もしくは類似の政治制度でありながら、なぜ政治的安定度に大きな差があるのかと率直な疑問を投げかけ、選挙制度の問題点や密室政治習慣の影響について指摘している。

2つ目は、政治が国民の中心問題と期待を読み取れていないとの指摘もある。
これについては、フランスの「ルモンド」が、さまざまな国際主要メディアが東京支局を閉鎖している理由を紹介しながら、日本の衰退は新しい時代への視界が欠如しているからだと報じている。
「ガラパゴス化する日本」と表現される日本の現状や、辺境の地である日本のあり方について述べた書籍への日本人の関心の高さについて、政治家はどのように理解しているのだろう。

3つ目として、開かれた政治対話の欠如への批判がある。
米国の「ワシントン・ポスト」は民主党政権となることで、「日本の政治はもっと開かれたものになり、腐敗は減って、より率直な対話が実現するはずだった」と述べている。
「派閥政治」と非難された自民党政権時代でも、小泉政権下では問題はあったもののタウンミーティングが開催され、政策説明がなされていた。
社会民主主義路線をとる民主党として、多くの人々はさらなる市民対話がなされることを期待していた。現在、英国のキャメロン新政権が、公共支出の削減にあたり市民対話を重ねているだけに、民主党の閉鎖性が目に付く。
日本では、国会議員の多くが党と選挙区のメッセンジャーであり人や事業の紹介屋だと嘆く人もいる。そうだとすれば、真の市民対話が行われるはずもない。多数決は数の原理であるが、民主主義の原理は合意形成である。

4つ目として、行政官としての官僚の能力を誤認していることを指摘するものもある。
英国の「フィナンシャル・タイムズ」は、日本において政治家が“あくびの暇もないほど”めまぐるしく変わる中で、政策の継続性が維持できているのは官僚のおかげだと評価し、「政治家の発言権を強めるために官僚の力を大幅に削る意向を示しているのは奇妙だ」としている。
日本国内では、官僚主導の政治のあり方や官僚を批判する声が大きい。しかし、「行政のしくみ、役割」について政治家の方も十分理解していないのが実情ではないだろうか。立法者である政治家と行政官は、相互理解を深め、良きパートナーであるべきだろう。

最後に、ドイツの「南ドイツ新聞」の論調を紹介する。
民主党が近年、自民党がやってきたのと同じように衆議院の解散を拒んでいるとして、解散がなければ「停滞の中に再び沈んでしまうことになりそうだ」と予測している。そして、停滞をもたらすものは、「職責と責任者の名が時々変わるだけ」の政治状況であると指摘している。

仕事として国際メディアの情報に目を通すことが比較的多いが、私が知る限り、日本政治に対するこのように厳しい論調が世界各地の市民の目に触れたことはなかったように思う。
これらの国際メディアは、真の政治改革なくして日本の再生はないことを伝えたかったのだろう。良いように受け取れば、少子高齢化の中で経済的繁栄を維持するという日本の挑戦に、世界が期待を寄せていることの証かもしれない。

ソ連の崩壊から約20年、旧ソ連圏諸国では共産主義時代を知らない若者が増えている。その若者が、国づくりのためにどのような観点で政治参加しているのかに注目してみる。
 
一例としてポーランドを取り上げる。
74日、ポーランドでは、49日の航空機事故で亡くなったレフ・カチンスキ大統領の後任を決める選挙が実施された。その結果、市民プラットフォームのコモロフスギー氏がレフ・カチンスキの兄で前首相のヤロスワフ・カチンスキ氏(法と正義党)を破って大統領に就任した。
 
このカチンスキ氏の敗北について報道では、市民が、共産主義と闘争する政治指導者との正統性よりも、現在の雇用問題、労働条件、医療サービスといった問題を解決する能力を重視したことによるとの分析が見られている。また、「法と正義党」の伝統主義、外国嫌いといった特徴を若い世代が敬遠したためとの報道もある。
 
たしかに、現在、ポーランドの公的債務はGDP55%に達し、保健制度改革、公務員改革など歳出削減を余儀なくされている。
こうした状況では、若者も含めたポーランド国民は、選挙において過去や情緒を基準に選択するよりも、合理的志向で対応せざるを得なかったのだろう。
その一方、選挙によって国内で世代間、都市と地方間、東西間などの区分が明確になりつつある。
 
EUに加盟したポーランドでは、若者世代は愛国心やカトリック教徒としての節度などのテーマや、共産主義の復活を求める主張は否定的に受け止められ、むしろ個人の生活の質を高めることを基準に政治選択をしているようだ。
仮に、このような分析が正しいとすると、ポーランドの民主化は移行期であるが、良い方向に進んでいるといえるのではないだろうか。
ポーランドは地政学的に見ると、ロシア、ドイツを牽制する大国として、21世紀の中ごろから台頭してくるとの見方があるが、確かに着実に変貌をとげつつあるように見える。
 
しかし、このポーランドとは対照的なのがキルギスをはじめとする中央アジアのイスラム諸国である。キルギスで6月に起きたキルギス人によるウズベク人の民族浄化ともいえる事件を見ても、その前途は多難といえそうだ。
引越しから10日、漸くダンボールの箱が開き始めました。まだブログを以前のように執筆できず失礼しています。
 
617日に英石油会社BPのメキシコ湾への原油流出について、同社のヘイワードCEOが米議会公聴会に出席し、事故に対する対応を中心に説明した。90分間にわたる公聴会の間、ヘイワード氏は多くの非難を浴びた。
 
今回の流出事故に関し、私個人としては次の2点に注目している。
1.BPにとって、罰金、賠償金などで500億ポンド以上の資金が必要になるとの分析がある。果たして同社は存続可能だろうか。
2.この事故が米英関係にどれだけ悪影響を与えるか。
 
特に第2の点について、米英両国の市民レベルで溝が生れつつある。米国市民はBP
対応を厳しく非難しているが、英国市民はBPが英国の雇用と社会福祉を支え、納税を通じて英政府の財政に寄与しているとの感を抱いている。
また、オバマ大統領がBPを批判し続ければ、英国のキャメロン新首相が微妙な立場となる。
そして、英国にとって多くの犠牲者を出しているアフガニスタンでの対応、さらにはイラン核開発問題への対策などの外交協調に影響が出ることが懸念される。
 
オバマ大統領はこれまでに4回、現地視察を行っているが、現地では「オバマのカトリーナ(ハリケーン災害)」との声が聞こえている。
オバマ大統領はもう少し積極的に政策形成に関与することが望まれる。
最近の中東地域関連の動向では、国連安保理でのイランに対する経済制裁の追加措置の決定、イスラエルのパレスチナ支援船団の拿捕事件など国際社会に波紋を広げる出来事が起きている。
この他、イスラム圏ではまた不幸な出来事が起きている。
 
インタファクス通信は、キルギス南部でキルギス人と同国の少数派ウズベク人(人口のおよそ3分の1)の民族衝突により、615日時点で死者176人、負傷者1700人、難民20万人(ウズベク系)が生じていると報じた。
このキルギス人とウズベク人の間の対立は、ソ連時代のスターリンによる分断統治政策によって引き起こされたと考えられている。
この事例の他にも、イスラム圏では第1次世界大戦後、列強による「諸国体制」の形成によって人々が分断され、各地で対立が広がったとの見方がある。
 
キルギスでの民族対立に対処するため、同国のオロゾフ安全保障会議書記が集団安全保障条約機構(CSTO)に対して、武器類や軍用輸送車などの提供を求めている。脆弱な現在のキルギスの体制では、外部勢力の力を借りないと安全が確保できないことは明らかである。
 
キルギスで現在起きている出来事に関し、問題事項を簡単に整理してみると、
1.人道援助を目的に主権国家キルギスに国際介入をすべきか
2.キルギス情勢の影響が、北大西洋条約機構(NATO)がアフガニスタンで行っている反テロ戦争にどこまで及ぶのか。
 
1の問題では、ロシアを中心としたCSTOが国際介入をするとも考えられるが、ロシアの動き方しだいでは南オセチア問題への介入でロシアへの批判が見られたように、米ロ関係に悪影響を及ぼす可能性がある。
2の問題では、アフガニスタンでの作戦でNATOの中核をなす米軍がキルギスでの基地使用ができなくなる可能性がある。その懸念もあってか、618日・19日に米国務省のグレーク次官補がキルギスを訪問し、騒乱の影響の視察を行った。
 
現在のキルギスでの騒乱について、ロシア、中国、米国、EU諸国ともに、それぞれの事情から、積極的にキルギスに介入する状況にはない。この出来事が、自国や国際社会にとってマイナス影響が拡大しない限り、傍観すると見られる。
 
人道の観点から「保護する責任」が話題となって久しい。しかし、まだ大国の国益や国連の機能不足から多くの人命を救えず争いが続く可能性がある。
国際社会は、紛争や占領、独裁的な政権下の中で一般市民をどうすれば救えるかについて考え続け、少しでも行動すべきであろう。傍観者でいることは、加害者の側に加担していることになる。

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