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ヨーロッパでは、ギリシャの債務危機から欧州中央銀行(ECB)や欧州連合(EU)の信頼性を疑問視する声が上がっている。
同じくヨーロッパで「信頼性」がキーワードになると思われるのが、5月6日のイギリスの総選挙であろう。イギリスでは、経済危機対策、アフガニスタン派兵問題、議員の腐敗などから有権者に政治不信が広がっている感がある。さらに、与党の労働党はブラウン首相(労働党党首)の失言問題で、さらに厳しい選挙戦終盤を迎えている。
今回の選挙については、①1974年以来の連立政権となる、②保守党が過半数を取るとのシナリオが考えられる。しかし、4月25日付サンデー・テレグラフ紙は、世論調査から、保守党が第1党となるが、過半数には足りず、労働党と自民党の連立政権となる可能性が高いと報じている。
また、4月30日の党首によるテレビ討論直後に実施された支持率調査の平均は、キャメロン保守党党首が首位(37%)、次いでクレッグ保守党党首(32%)、ブラウン首相が最下位(25.6%)となった(4月30日付AFP)。やはり過半数をとる政党はなさそうである。
ここで問題となるのは、少数与党政権や連立政権となった場合、海外での軍事作戦をはじめ外交、国防政策について、同盟関係にある米国との政策調整がぎくしゃくしないかという点である。
その際、カギを握るのは自由民主党のクレッグ党首だろう。同党首は親欧州派であり、英米関係を刷新すると明言している。
仮に、自由民主党と労働党の連立(リベラルとレーバーで「リブ・ラブ連立」と呼ばれている)が成立すると、他のEU諸国にとっては好ましいものとなるだろうが、労働党政権からの脱却を望む多数のイギリス国民と米国にとっては将来不安の芽生えと見えるだろう。
アフガニスタン問題やイラン核開発問題で、米英の不協和音が鳴り響く可能性もある。
ギリシャの債務危機について、EU諸国は債務不履行を阻止すると表明しながらも、その対応が遅れていることが市場でのユーロの信頼性を失わせている。
イギリスでも、間もなく誕生する新政権が経済改革や外交、国防分野をはじめ同国が直面している問題解決において混迷するようであれば、政治への信頼は一層薄れるだろう。
こうしたイギリスの政治状況は、高度情報通信の発達により促進された価値の多様化、ネットワーク構築やコミュニケーションの自由度が高まった社会において、民主主義の深化が急務であることを示唆しているように思う。
そのことは、イギリス以上に日本についていえることなのだろうが。
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国際関係・国際協力
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ワシントンで開催されていた核安全保障サミットが4月13日に閉幕した。同会議では核物質の安全管理体制を4根にないに徹底することが合意された。
この会議に47カ国の首脳・閣僚が集まった背景には、核関連物質や技術者の流出による核テロの脅威が高まっていることがある。
核管理の専門家によると、核開発に関する知識はさまざまなウェブサイトで紹介されているという。そのことからしても、今回、4年以内の管理体制作りの方向性が示せた意義は大きい。
注目される点は、2012年に開催が予定されている第2回核安全保障サミットの開催地が、広島・長崎という被爆地を抱える日本ではなく、韓国に決定されたことである。
これは、韓国の外交努力の成果であると同時に、国際社会が北朝鮮の核問題に高い関心を抱いているということだ。
さらに言えば、国際社会の意識は、歴史的な核使用の教訓を確認することから、現在および近未来の核の脅威への対応へと移っていることを示している。
つまり、北朝鮮の金正日体制が深刻な危機的状況にあるとの認識が共有されているということだろう。
例えば、4月12日付ワシントン・ポストは「金正日は病気にかかっており、最近の通貨改革は大失敗に終わった」と、同国情勢が不安定であることについて報じている。
ワシントンの核安全保障サミットを前にして、クリントン米国務長官は北朝鮮が1〜6個の核兵器を保有していると述べた(4月9日、ルイビル大学での演説)。
国際社会にとって、当面の最大の課題は北朝鮮の核の拡散防止なのである。
3月26日、この北朝鮮動向で緊張が高まる事件が起きた。韓国軍艦の沈没事件である(46人の行方不明者が出ている)。仮に、この事件で北朝鮮の関与が明確になれば、朝鮮半島での政治的・軍事的対立が強まることは確かである。
現在、韓国は米国の協力で沈没の原因を調査中であり、その結果が注目されている。
核拡散問題は、単に核弾頭の廃棄問題に留まらない。核保有国、核開発を進めている政権の体質も問題となる。
つまり、場合によっては核保有国・核開発国の政治体制の変革を求める「錦の御旗」が準備されたとも言える。言い換えれば、主権国家への国際介入に対して、正当な理由が新たに生まれたということである。
そのことに脅威を感じている国の1つはイランであろう。
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日本の政府開発援助の一般会計予算は、2008年度7002億円、2009年度6722億円と減少している。国家財政が厳しい中で、他国や国際機関への援助や出資を削減するのは当然、との世論もある。しかし、その一方、日本人の生活の豊かさを考えると、国際協力は推進すべきであり、また援助額も現状維持に努めるべきだとの声もある。
この異なる2つの意見の背景には観点の違いがあり、どちらが正しく、どちらが間違っているというものではない。
では、日本が今、すべきことは何であろうか。
大きな視野で眺めると、税金は行政が使うものという考え方を変え、非政府組織(NGO、NPO)のような公益活動に配分する工夫をすること、また寄付金を促す税制度改革によりパブリック・マネーの流れを変えることが重要だとの指摘がある。
国際協力についても、国が主体となる援助だけでなく個人が主体となる援助を促進することが肝要ではないだろうか。
もちろん、グローバル化が進みつつあるとはいえ、まだ世界では国家の存在が大きい。世界の各国でも、国益と関わってくるため、どの国がどこに、どの程度援助しているかを気にしている。
この観点からすると気がかりなことは、日本が最大の援助供与国となっている対象国が減少していることである。2003年に30カ国であったのが、04年には21カ国、05年には26カ国、06年には27カ国と一時増えたが、07年には17カ国となっている。
2007年の内訳は、ベトナム(43.0%)、フィリピン(40.5%)、中国(32.7%)をはじめ11カ国がアジアの国であった。
国益の観点から言えば、アジアの経済成長と日本の経済成長はますます密接にリンクしてきているため、援助の重点をアジアに置くことは間違っていないといえるだろう。
鳩山政権は、2020年までの目標として、APECでの自由貿易圏(FTAAP)構想を掲げており、人、物、資金の流れを2倍にし、アジアの所得倍増を提唱している。
6月に発表される予定の新成長戦略も、そのことを踏まえたものになるのではないだろうか。
一方、人、物、資金の流れを増やすには、政府や企業だけがアクターとなるだけでは十分ではないだろう。特に人的交流についてそうである。
「顔の見える援助」とよく言われるが、政府の資金による人の派遣、または受入れには限りがあり、企業活動もリスクや収益性が優先され進退が決められてしまう。
その点、非政府組織の中には息の長い援助活動を行っているところが少なくない。しかし、いかんせん資金不足のところが多い。パブリック・マネーの流れをそこに引き込む必要がある。
そのためには、制度構築とともに、日本人一人ひとりが、国際協力は「廻りまわって」いつか何かの形で日本人にもどってくる未来への投資だとの意識をもつことが重要なのだろう。
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バブル崩壊から約20年、日本は長期経済低迷期の中にある。この「日本病」と揶揄される状態を踏まえ、中国では、人民元気利上げに対する国際圧力に屈すれば、この病気に感染するとの報道が流れている(3月22日付光明日報など)。
他方、韓国では、近年、日本で「韓国に学ぼう」との声が高まっていることを受け、「日本から学ぶことの方が依然として多い」と報じている(3月23日付朝鮮日報)。
北東アジアの国際関係は、過去も現在も微妙なバランスの上にある。
例えば経済関係では、中国と韓国が総額として貿易黒字額を伸ばしても輸出品の中の最先端技術が必要な部品や素材は日本製品が多く使われているため、対日貿易は赤字となっている。
また、自然環境関連では、黄砂問題の深刻化が挙げられる。中国の総面積のおよそ18%(約174万k㎡)に上る砂漠は拡大し続け、韓国や日本にも悪影響を与えている。ちなみに、この砂漠化の原因は伐採や草焼きというよりも、①都市住民への水供給量の増加、②農業生産(穀物、肉、卵、乳製品など)の増加、③食品工業の伸張によるところが大きいといわれている。日本や韓国の経済成長にとって重要な中国の経済成長にともない、三国の黄砂被害も悪化しているといえる。
3月27日、冷凍ギョウザへの毒物混入事件の捜査が進展し、犯人が逮捕されたとの報道が流れた。日本、中国、韓国の人々の生活スタイルの変化によって、加工食品の消費が増え、低コストの食料品が国境を越えて流通している。
観点を変えてみれば、日本の食糧自給率の低下は「食の安全・安心」という問題を生んでいるだけでなく、黄砂問題など生産国の環境負荷を増しているのである。
つまり、黄砂問題は、中国の産業計画が環境との共生(環境保護)に十分配慮されていないからだと批判するだけではすまないということである。日本としても、中国での水資源開発や環境保護に対する技術支援を行うのみならず、日本人一人ひとりが食を含めたライフスタイルを見直す必要がある。
黄砂という現象の因果関係を空間と未来志向という目で眺めると、取るべき対策が見えてくる。これは、思考の起点を、歴史という変えられない過去におくより、現在の空間的広がりを認識することに置く方が良いことの一例である。
北東アジア各国の外交関係も、こうした思考で臨むべきではないだろうか。
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米国の前ブッシュ政権の外交は、ネオコンの影響が強調されて語られることが多かった。また、現政権が前政権の政策について下す評価は、客観性が乏しいように思う。 政策評価は、後世の歴史家や政治学者に委ねることが賢明な場合が多く見られる。 例えば、ブッシュ政権下ではチェイニー副大統領やラムズフェルド国防長官のグループとパウエル国務長官との確執が政策立案上問題になったとの見方がある。特に、9.11米同時多発テロ後のアフガニスタンの米軍の展開について、国務省と国防省の間に主導権争いがあったことは広く知られており、ブッシュ政権に対する批判の要素にもなっている。 しかし、このような政策立案をめぐる対立は、ブッシュ政権においてのみ起きていたわけではなく、オバマ政権内においても起きている。 エマヌエル首席補佐官とアクセルロッド大統領顧問との対立が表面化しているといわれている。この内部対立が顕著になったのは、「オバマの失われた1年」との評価が世論調査をベースにマスメディアで話題になってからである。 中間選挙を前に、早くも政権内で選挙の敗北の責任者探しが行われている感がある。 冷静になって、ブッシュ前政権とオバマ現政権を見ると、世界で時空が圧縮しており、国際協調が昔より複雑になり、国内の利益集団も多様化していることに鑑みれば、両政権ともそれなりの実績を上げているといえるだろう。 例えば、景気回復、金融規制、エネルギー問題などの政策についての効果は、一国では限界があるにもかかわらず、オバマ政権はこれまでのところ、着実に成果を上げつつある。しかし、中間選挙を前に医療保険改革に取り組んでいるため、それらの成果が霞んでしまっている。 同様に、ブッシュ政権で2001年9月11日以降はじめられた反テロ戦争も、中間選挙、大統領選挙を経る中で色褪せていった。 民意を確認する選挙によって、国家の基本戦略が揺らぐ様子が見えてくる。 日本でも、参議院選挙を前に与党の政策が公務員改革、財政再建が揺らいでいる。
政策は長期的視野でその社会空間の特性を踏まえて行われる必要があるが、選挙の際に顕著に現れるその特性が、長期的政策の遂行を妨げ歪めることもしばしばある。 この揺らぎの度合いは国民性を反映しているのではないだろうか。 |

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