国際関係・国際協力

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先日、内閣官房国家戦略室の関係者から日本の財政について話を聞く機会があった。また、昨日はNPO法人岡崎研究所の会合に参加し、外交関係者と日米関係についての話をする機会を持てた。
今回は、その中から興味深かったいくつかの点について記す。
 
まず、財政問題について。
財務省は今年2月に、平成25年までの予算の試算を行っている。それによると、23年度では、歳出939000億円、税収およびその他収入426000億円、単純な収支は513000億円の赤字となる。同様に24年度では522000億円、25年度では553000億円という莫大な赤字になると推計されている。
この試算では、民主党のマニフェスト実行費である23年度126000億円、24年度以降132000億円が加算されていない。
3月以降、与党内でマニフェストの見直し、増税(消費税引き上げ)の検討の声が上がったのも、このような財政の実態が漸く理解されたからだといわれている。
 
次は外交問題について。
先のNPT会議の夕食会での鳩山首相とオバマ米大統領の「10分間の会話」の内容が米国のメディアで流れた。その会話に立ち会っていたのは「最少人数」の関係者であった。したがって、米政府高官がメディアに情報を提供するにはオバマ大統領の了解が必要だったはずである。つまり、オバマ大統領は鳩山首相の記者会見のないように釘を指したのだと、外交関係者は分析している。
なお、APECで鳩山首相がクリントン米国務長官と会談後、メディア向けにコメントした内容に対し、藤崎駐米大使が国務省に呼ばれて会談内容の再確認が行われたと伝えられている。
こうした一連の米国側の対応に鑑みれば、鳩山政権の言葉に対する米政府の信頼度は低いといえるだろう。
 
本日の普天間問題についての合意発表でも、鳩山政権は共同同時発表の予定を一方的に遅らせるという失態を演じている。
政策形成の基本であるが、政権内で政策の優先順位が不明確な中で政治主導のもと各省が縦割りで政策形成を行えば政策調整が取れなくなる。
また、政権内で政策実施に対し明確なイメージが共有されないまま、さまざま議論の場をつくると、政策に多様な解釈が組み込まれ、本来の政策目的の結果が得られないものになることもある。
さらに政策形成において短期的視野で国民のニーズを無秩序に受け止めると、かえって国民負担が堆積することになるといわれている。
 
今日の日本では政権交替がなされ、政治家と官僚が相互に新たな関係のあり方を模索している感がある。その中で不可欠なことは、最大の損失を最小にする合理的戦略である。政府は、選挙第一主義ではなく、福島大臣の罷免を改善の第一歩として、財政悪化、日米関係悪化を早急に改善する政策に真剣に取り組む必要がある。
 
524日、世界中が注目する米国・中国の第2回「戦略・経済対話」が中国で開催される。
日本のメディアの中には、同会議よりもクリントン米国務長官が日本に3時間程度しか立ち寄らなかったことを、ことさら話題として取り上げているところもある。
同様のことが、2008年の米大統領選挙中にもあった。
民主党の大統領が誕生したら米国は対中関係を重視するようになるとの見方を、多くの日本のメディアが報じた。そのことに配慮してか、クリントン国務長官は就任後、アジア外交における最初の訪問先に日本を選んだ。
 
現在、米国が抱えている問題には、北朝鮮問題、イラン核開発問題、人民元も切り上げ問題など中国と十分な意見調整をしなければならないことが多い。米国にとって、中国がまさに重要なステークホルダー(利害共有者)となっていることは言うまでもない。
しかし同時に、グローバル・パートナーにはなり得ていないことも確かである。それは、根本的に両国にはイデオロギーの違いがあり、そのことにより政治、経済制度が異なっているからである。
 
さて、米中会議を前に23日、中国は王副首相がバーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長と意見交換をしている。また同日のワシントン・ポストには、謝財政相が米国と中国は経済政策で強調すべきと訴える寄稿文を掲載させている。
さらに同月15日には、中国の国務院が民間投資に関する36項目からなる文書「民間投資の健全な発展の奨励と誘導に関する若干の意見」を発表し、社会主義市場経済体制の完成に向けた長期政策を示している。
 
確かに中国は急速に発展しているものの、まだ国際標準で労働条件、人権、環境などを生産コストに組み込んだイコール・フッティングを求める段階に至ってはいない。しかし、30年後の中国の国内総生産(GDP)は購買力ベースで世界の40%に達すると、米シカゴ大学のロバート・フォーゲル博士(1993年ノーベル経済賞受賞者)が予測するような国家なのである。
米国とって、こうした中国との経済協議(貿易、投資)は、単に二国家間の問題にとどまらず、ギリシャ財政危機を受けての世界経済の回復という課題の解決を模索する意味でも重要である。
 
一方、安全保障問題については、米国では本年度5490億ドルに膨れ上がった国防支出(10年間で倍増)を今後削減する中で、インド洋、太平洋での海軍力の保持が検討されることになる。例えば、11隻も空母を保有することの意味(2隻以上保有する国は米国以外ない)や、弾道ミサイル搭載原子力潜水艦の必要性が議論される可能性もある。
したがって、米国にとってアジア・太平洋地域における「脅威」をどのように捉え、その「抑止」(運用や事態が明確化しては抑止にならない)をどのように行うかは非常に重要な問題である。そこには沖縄での米軍の展開能力を総合的にどう考えるかも含まれる。米国がこの問題で、軍事力を伸ばしている中国との会談が重要だと考えていることは論を俟たない。
 
今回の米中の「戦略・経済対話」はこのような背景のもとで行われているものであり、当然、日本の未来にも大きく影響する会議である。世界の動きに鈍感になっていることこそ、日本の危機であるといえるだろう。
普天間基地移設問題は、522日の岡田外相・ルース駐日米大使会談をはじめとする関係各レベルでの日米協議を経て大筋合意に達した。日米両政権は同月28日にも共同文書を発表することになる。
今後、同問題は、11月にアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に出席するオバマ米大統領の訪日を目処に細部が詰められることになる。
 
この普天間基地移設問題でも、政策形成における官僚の役割の変化が見て取れる。
日本の景気の長期低迷にともない財政が悪化する中、特に民主党政権になってから、日本の政策決定過程での政治家の比重が飛躍的に高まっているようだ。
 
前政権は普天間基地問題で、防衛施設庁関係者が沖縄の地元の人々との会合を重ね、ようやく1つの政策決定を行った。
現政権は、その政策を一時的ではあったが変更する試みを官邸主導で行おうとした。その試みの必要性、方向の妥当性、緊急性については多くの論が出ており、ここでは多くを述べない。
ただ、一言だけ、野党時代の民主党のシャドウ・キャビネットは一体、どのような役割を果たしていたのだろうか。そうした疑問を抱かざるを得ない政権運営が続いている。「大臣にはどのような能力が必要か」について、民主党は改めて問い直し、この9ヶ月間の自己評価をすべきだろう。
 
さて、私は、普天間基地移設問題に関して単純な疑問を抱いている。それは、関係省の官僚は、官邸主導の政策決定に協力的に動いているかというものである。
鳩山政権は国家公務員法の改正を推進し、官僚の既得権益に構造的にメスを入れようとしている。この行政改革型の政権に対し、これまで享受してきた利権を奪われる立場の官僚は、本来あるべき中立性を持って政策形成、施策への協力をしているのだろうか。
 
中野雅至(兵庫県立大学准教授、元官僚)は、官僚の抵抗の方法として、情報、時間、状況の3つを操作すること、「逆丸投げ」など心理面に圧力をかけることなどを挙げている。
中野によれば、情報操作とは、意思決定者に必要な情報資料を提示しない、仕事への意欲をそぐほど情報資料を提供するなどの方法である。
時間操作は、政策形成過程のタイムスケジュールの主導権を握り、実質、審議を事務的にコントロールする方法である。
状況操作は、利害関係者の調整を全て済ませた上で、意思決定者に同意を迫る方法である。
また、「逆丸投げ」は、官僚と意思決定者の意見が異なり、意思決定者を説得できない場合、「どうぞ、ご自由におやりください」という態度で抵抗を示す方法である。
その他にも、専門的な立法知識を使って、その政策が現行法に抵触する可能性があり選択は難しいと助言したり、省内の最終責任者の責任が追及される問題を、わざわざマスメディアにリークすることもあるという。
 
普天間問題は、政策課題が複雑で、官邸と各省の政治家(政務三役)だけで対応できるのもではない。つまり、官僚が抵抗手段をとり易い問題だといえる。
しかし、ここでは実際に官僚が現在、抵抗という行動をとっているかどうかを問題にしたかったのではない。
自民党政権末期に、政権交代を望む官僚の一部が政権への抵抗勢力として動いたことは記憶に新しい。このような官僚の抵抗を抑えるためにも、政策形成過程の三段階(企画立案、利害調整、執行)において、政治家の合理的意思が発揮されることが必要である。
特に、企画立案において合理性を高めるためにも、政党にはシンクタンクが必要ではないかと考える。残念ながら、自民党も民主党も、先の衆議院選挙後、シンクタンクを廃止してしまった。
米国のように基本戦略づくりにシンクタンクを活用することが、日本の政治改革の1つの方策ではないだろうか。
 

タイの民主主義の行方

ここ数ヶ月の国際情勢を見ると、ギリシャ経済危機、朝鮮半島問題、イラン経済制裁問題、そしてタイ情勢など、世界にリスクを拡大するような出来事が続いている。
また、ソマリア沖の海賊問題、イラク、アフガニスタンでのテロと、国際協力の現場でも厳しい対立局面が続いている。
 
その中で、「民主主義」という欧米社会が秩序維持を図るために用いてきた制度が軽んじられるようになりつつあるのではないか、と気にかかる。
519日、タイでは軍隊が反政府抗議者の選挙地区を強襲し解放した。この流血が続く状況を、赤シャツ派(タクシン派)や黄シャツ派(民主市民連合派)に属さないタイの一般市民は、どのような思いで見ているのだろうか。
一方、経済破綻をし、EU諸国から経済支援を受けるギリシャにおいてデモを行っている公務員を、同国の一般市民はどう見ているのだろうか。
 
「民意」の反映としての選挙で多数をとり政権を運営する政府が、最大多数の幸福を目指して合理的思考で政策形成を行おうとしても、「合理性」には限界がある。
だからといって、一部の政治エリートが政策形成をすれば、一般的に、そのエリートたちが帰属している集団の利益を優先するようになる蓋然性は高いといえるだろう。
 
タイの場合、自分自身は外国にいて支持者たちに犠牲を払わせているタクシン氏のような政治リーダーが再帰したとしても、国民の間に民主主義への信頼を取り戻すことは出来ないだろう。
また、選挙の洗礼を受けない限り、イギリスで教育を受け(イートン校、オックスフォード大学)、民主制度の理解者としての高い資質を持つといわれているアピシット首相でも、民意の代表者にはなりえない。
これらの点に鑑みれば、タイ問題の解決には、国際的なコミットメントグループ(国連を中心に5カ国程度)のもと、①抗議行動の停止、②選挙実施のための暫定政権樹立、③国際社会の監視下での選挙実施という道をたどる必要があるのではないだろうか。
 
世界では、政府に対する抗議行動参加者が暴徒化し、自らの意志が通らなければテロ活動へとエスカレートする状況がしばしば見られている。反対に、平和裏に行っている抗議行動を政府が武力で鎮圧し、参加者を弾圧するという事態も目にする。
民主主義とは、単純に多数決により政策を選択するという結果重視の仕組みではない。公議を尽くし、合意形成をはかっていくプロセスが重要なのである。
 
東アジア、東南アジアには中国と関係が深い北朝鮮やミャンマーのように独裁制が強い国家が存在する。
これらの国には他のアジア諸国とは異なる、欧米的思考から生まれた民主主義を受け付けない社会空間の特性があるのだろうか。どうも、そこには東アジア、東南アジアの民主化、自由化の進展を望まない勢力の影が見え隠れしているようにも思える。

EUとギリシャ経済危機

510日、「小さな総選挙」といわれ、世界が注目していたドイツ西部のノルトラン・ウェストファーレン州の週選挙が実施された。その結果、キリスト教民主同盟と自由民主党の州連立政権(連邦政府も同じ党の連立)が敗れた。
これにより、同州で多数を取った社会民主党と緑の党の連合が、今後、各州で誕生する可能性が高くなった。
 
その影響はドイツ国内に留まらず、メルケル首相の立場が弱まり、ドイツがギリシャ救済に大きな役割を果たすことが難しくなるだろうと見られている。そうなると、ギリシャ危機に続きポルトガル、イタリア、スペインなども危機に見舞われるだろうとの分析も聞かれ始めている。
また、ギリシャは1998年のロシア危機のように破綻に追い込まれ、ギリシャ国債は事実上、紙くずとなるとの厳しい分析もある。
 
市場の圧力があり、EU510日、①7500億ユーロ(約90兆円)の基金創設、②各国中央銀行間の協調行動、③欧州中央銀行(ECB)による国債購入という救済策を発表した。
こうした動きについて、511日付ルモンドは、ユーロ圏諸国は負債の穴埋めのために別の借金をした旨の記事を掲載した。またECBの国債購入についても、市場のECBへの信頼を低下させることにつながりかねないと指摘している。
 
今回行われた緊急融資枠の設定などの対応により、短期的には危機を回避できると思われる。しかし、南欧諸国の債務返済能力の改善には結びつかないだろう。
こうして、ユーロ圏諸国に金融不安が残ることになる。
この不安は、金融サービスで経済を伸ばしてきたイギリスに飛び火する可能性もある。
そうなった場合、最悪のシナリオとして、世界金融危機の第2幕が開くことも考えられる。
イギリスで歴史的な財政赤字(対国内総生産比11.8)の改善を目的に、保守党と自由民主党との連立が誕生したのは、こうした危機意識があることも一因ではないだろうか。
 
ギリシャの経済危機が世界にリスクを拡散させる中、ユーロ通貨同盟の構造的欠陥(連帯性の弱さ、競争力の格差など)が露呈された。それがEU統合さえ色あせさせる恐れがある。
 
それにしても、イギリスの比ではない財政赤字を抱える日本の政府や国民はどの程度の危機意識を抱いているのだろう。少なくとも、その削減のためには、公務員改革にも厳しい姿勢で臨むほかないような気がするのだが。

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