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本日、テレビをつけると偶然、参議院予算委員会の中継であった。自民党議員が、東日本大震災の初期の政府の危機管理について、法律や作成されていた危機対応マニュアルから如何に外れて動いていたかを厳しく質問していた。そして、菅首相が答えになっていない答弁を返すという場面が幾度か繰り返されていた。
その中継を見ながら、今の時点で、菅政権の当初の危機管理の不十分さを明らかにすることに時間を使うことに意義があるだろうか、と疑問を抱いた。むしろ、委員会では、災害復興への取り組みについて公議することに多くの時間を費やすべきではないかと考える。
例えば、民主党は、復興財源を税に求める方向にある。国民は、本当にそれでよいと考えているのだろうか。
この度の大震災前までは、社会保障費の増加に伴う財源確保について、増税議論がなされていたはずである。しかし、この議論は現在、忘れ去られたかのようにも見える。
まるで、日本社会のすべてが、3月11日に「リセット」されたかのようである。
4月18日付で公表されたNHKの世論調査では、政策への期待度は、復興38%、社会保障14%となっている。そして、同世論調査では、菅政権の災害対応について、大いに評価する5%、ある程度評価する37%の一方、あまり評価しない41%、全く評価しない14%となっている。
その菅政権がいつまで政権を維持してほしいかについての質問に対し、できるだけ早く退陣との意見が32%、今年の年末まではとの意見が24%であった。
原発事故への対応の目途がたち、来年度の予算が組めた頃が退任のタイミングだと過半数が考えているようだ。
果たして、それを自民党や民主党の小沢グループが容認するだろうか。
いずれにしても、復興の財源は増税路線で進みそうだ。その前に、どれだけ幅広い議論が交わされてきたのだろうか。例えば、国内の基金を持つ組織の、その基金で復興建設国債を買ってもらってはどうだろう。
国民に痛みを求める前に、まだまだ知恵を絞れるのではとも思う。
少子高齢化という大きな課題を直視しながら、日本の復興を考えてほしいものである。
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東日本大震災
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国際通貨基金(IMF)は4月11日、短期予想を発表し、世界経済は2015年まで年間平均4.6%の経済成長ができるとの中期見通しを示した。その原動力は、新興国の経済成長で、年6%を予想している。一方、その見通しを危うくするものとして、東日本大震災による日本経済の衰退や、世界的な物価の上昇、債務危機を挙げている。
また、IMFは12日、日本の財政政策について、復興費用を見極めた上で中期的な財政再建策を示す必要があると指摘している。震災、原発に加え、日本の財政危機も世界の懸念材料の1つとなっている。
さて、人間は総じて不都合な真実と正対することが苦手である。しかし、「取り敢えず・・・」と問題を先送りし、時間が解決することに期待を寄せてばかりはいられない。
政府は4月の月例経済報告において、東日本大震災によって景気が後退局面に入ることに対し、否定的な見方を示したと報じられている(4月13日付の日本経済新聞)。
この度の大震災について、ゴールドマン・サックスは3月14日時点で、被害総額は16兆円(阪神・淡路大震災の1.6倍)と試算している。また、国土交通省は道路、港湾で1兆5000億円、それに公共施設、住宅を加えた失われた社会資本の額は16兆〜25兆円と試算している。
このような被害が起きる前の経済状況はというと、2010年10月〜12月の国内総生産(GDP)で前期比0.3%のマイナスであった。また今年に入っても3月1日に、日本銀行が金融市場に、1日としては過去最高となる21兆8000億円の緊急資金供給を行い、経済の底支えを行っている。
こうした現実から、景気後退局面を連想することを否定できるのはなぜだろう。
仮に、大震災によって調査資料が不足していたとしても、政府は現状を掌握していると国民が納得する表現にすべきだったのではないだろうか。そうでなければ、1か月を経て唐突にレベル7を表明した福島第1原発事故と同様の結果になるのではと、国民は不安を抱くのではないだろうか。
昨日も書いたが、菅政権は過去に発想の源を求めることを好み、どうも増分主義(インクリメンタリズム)の傾向が強い。それは、「3.11」によって多くの日本人の生活、意識が変わったことを実感していない人々が、政策形成過程に参画しているからではないかという気がする。
例えば、昨日の菅首相の演説で、復興について挙げた「自然に強い地域社会、地球環境と調和したシステム、弱い人にやさしい社会」という3つの目標や、その目標達成のために「全国民の英知を結集する」との言葉は、大震災前にも使われていた机上で書かれたきれいごとに響く。
この大震災で示された国際社会のつながりを認識し、その社会変化に目を開いていれば、おそらく、復興構想会議のメンバーに他国の有識者を加えることや、ソーシャルメディアを活用して国際的なプラットフォームをつくるなど、「大きく日本を変える」ための手段を表明したのではないだろうか。
今、日本の原発問題への対応や復興は世界の注目を集めている。閉ざされた社会空間で問題を処理することは許されない。思い切って、世界空間に生きている様々な人々と信頼に基づく連帯意識を育み、協働しながら未来をつくる政策を打ち出してほしい。
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4月11日、東日本大震災から1か月が過ぎたことを期に、政府は復興構想会議のメンバーを発表、12日には管総理が記者会見を行った。
この大震災の被害は現在のところ、死者1万3000人以上、行方不明者1万4600人以上、負傷者4600人以上となっている。また、全壊もしくは半壊した建物数は5万9600戸以上に上る。
さらに、福島第一原発事故の影響で、およそ18万人が避難生活を送っている。
3月16日のブログ「福島原発事故の解決は国際協力で」の文末に、「菅政権には、大海に大きく身を投げ出してこそ、日本を救えることを認識してほしい」と書いた。しかし、原発事故のみでなく、大震災の復旧・復興においても対応が不十分として国内外から厳しい批判が出はじめている。
菅政権に対する歯がゆさや苛立ちの感情から、「説明責任が不足している」とか、「ダメだ」と結論付けることは容易い。しかし、菅政権の対応について、観点を挙げて項目立てをし、基準に照らした評価をしてみると何が見えてくるだろう。
同政権の危機管理について評価してみよう。1番目に実施体制の整備の観点では、①実施組織の連携が図られているか、②組織の人的規模・バランスはどうか、③明確な組織内の意思決定プロセス、責任分担のもとで運営されているか、などが一般的に評価項目として挙げられるだろう。
2番目に、活動目標の周知・公表の観点では、①活動の実施者に対しての周知、②活動の受け手への適切な公表などが評価項目となる。
3番目として、活動内容および方法の観点では、①目標を達成するための実行可能性の高い活動計画(目標との整合性、範囲の適切性)が策定されているか、②活動方法の有効性、効率性などが挙げられる。
そして、4番目として、実施効果の観点からは、①成果、②目的達成に向けての貢献度などが評価項目となる。
今回の菅政権の各対応を、この4つの観点で、「問題がある」、「相応である」、「優れている」の3段階で評価すると、やはり「問題がある」が多くを占めるだろう。結論としては、感情に基づく評価と同じである。そうであれば、いちいち観点と評価項目を挙げることは無駄ではないかと思うかもしれない。
しかし、結果は同じでも、評価する対象を分解して考えることで、「改善」の糸口がつかめるのである。
では、今回の大震災への菅政権の対応で改善すべき点は何か。
菅政権は、過去の事例をベースとした増分的思考(インクリメンタリズム)で政策立案をする傾向が見られている。そして、実施体制に問題があることで、活動計画・内容そしてフィードバックが不適切となっている感がある。根本的には、意思決定プロセス(政策立案・決定)に問題があると言えるのではないだろうか。
それは、菅首相のリーダーシップの問題か、内閣府の機能の問題か、官僚と政治家のバランスの問題か、それとも他に問題があるのかは確認できない。
それでも、仮に、菅首相が本日の記者会見で、①退任時期、②退任までの達成目標、③民間人を含めた能力評価による組閣を表明し、身を大海に投げ出したとすれば、日本は新たな第一歩を踏み出せたのではないかと残念に思う。
過去に行った災害復興活動を基本方針としたのでは、3.11後に生まれている復興に対し日本人が一つにまとまろうとする機運を逃す恐れがある。人々のつながりこそが、新しい日本をつくる源となる。
このような危機の時代にこそ、この国の未来を形成する希望の芽が萌え出ていると信じたい。
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東日本巨大地震から6日目の夜を迎えた。
刻々と悪化しているように思われる福島の原子力発電所の状況を世界中が注視している。
その中、気がかりなことは日本的危機管理体制のあり方である。「初動が大切」との意識から、担当者全員が不眠不休で対応に当たっているのではないかと懸念される。
米国では、ある程度の初動対応後、ローテーションを組んで、休養(睡眠)をとらせる。それは、1週間を超える事態に対応せねばならないことが予想される場合、担当者の思考力や忍耐力が鈍ることを防ぐためである。
外国のメディアでは、事故現場からの作業員の撤退や後手に回っているかに見える対応に、厳しい評価が出始めている(例えば、3月15日付ワシントン・ポスト電子版では「大惨事の防止をあきらめたように思える」としている)。また、ルフトハンザなど一部の国際航空会社は飛行ルートを変更した。
このような国際社会からの視線を正面から受け止め、この問題を速やかに解決するために、本件に関する情報をできる限り開示し、日本のみならず世界の専門家の英知を集める体制を早急につくるべきではないだろうか。
そのために、各国の専門家の協力を各国政府に依頼し、時々刻々と変わっていく状況・情報を速やかに翻訳し、伝達してはどうだろうか。
現在のところ、まだ日本政府のもので原発問題を解決できる状態かもしれない。しかし、この問題を国際協力による解決へと委ねて早期解決を図ることで、巨大地震、大津波への支援活動の協力体制(人的資源の増加、物流システムの円滑化など)を強化できるのではないだろうか(3月16日付ウォールストリート・ジャーナルでは被災地に向かうボランティアが放射能汚染を恐れていることを紹介している)。
また、福島県いわき市の医療は、地震による施設の損傷、断水、薬品・ガソリンの欠乏、原発問題による人員不足などで崩壊間近だという。被災地の現場で、使命感を持って必死で働いている方々は、一刻も早い公的支援の強化を待ち望んでいる。つまり、原発問題の解決の遅れは、被災地への支援を遅らせることになっている。
原発問題に関し、菅首相に望みたいことは、全日本ではなく全世界のコンダクターとなる意識を持つことである。
今回の原発事故で、世界各地で反原発意識が高まっている。エネルギー小国として、また地球温暖化対策として、電力供給を原子力と他のエネルギーとのベストミックスを探っている日本が、今、どのような対応をするのか、世界の視線が注がれている。
さらに、同問題の解決が遅れれば、日本の景気回復の見通しは遅れ、国の財政はさらに深刻な状況に陥る。それは、世界経済にも大きな影響を与えることになる。
菅政権には、大海に大きく身を投げ出してこそ、日本を救えることを認識してほしい。
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3月11日の巨大地震から5回目の夕刻を迎えている。東北の被災地では冷え込んできているようだ。
被害者数はまだ増えると思われるが、警察庁によると3月15日時点で、死者・行方不明者を合わせて6086人、避難している方は46万8600人以上となっている。
何とか、多くの人命が救われ、避難している方々の安心が1日も早く確保されることを祈っている。
先進国主要8か国外相会議(G8)や、米国議会上院でも日本支援の決議・声明がまとめられ、祈りの気持ちは国際的な連帯意識を強めている。支援表明国は100カ国を超えた。
直近の注目される動向としては、東京株式市場において、終値で8605円15銭をつけ、前日比1015円34銭(10.55%)の下落となったことが挙げられる。
日銀は、14日の12兆円の資金供給に加え15日も資金供給を行い、金融市場の安定化に努めているが、今後、この株安が国際金融市場にどのように影響するのか、関心を集めている。
一方、エネルギー問題では、計画停電の実施、石油備蓄の3日分(126万kl)を放出している。しかし、この点に関する情報提供のスピードや内容の正確性に問題があると言える。
さらに、福島の原子力発電所問題や物流問題では、客観的事実、解説、コメント(所見)がないまぜにして、メディアで語られたり、あやふやな口コミ情報がソーシャルメディアで流れたりしているように思う。
これらが原因で、残念ながら、食糧、水、日常品から嗜好品に至るまで、買占めに走る人々が出てきており、災害地への支援物資の供給や輸送にも影響が出る懸念も高まっている。
東北・関東地方の被災地では、寒さの中、精神的にも肉体的にも疲労が蓄積している。
せめて、災害に合わなかった者、被災したとしてもあまり大きなものではなかった者ができることは、政府の災害活動への協力ではないだろうか。
そこで、以下に、大震災下にある日本について、外国メディアが書いている日本評価を紹介する。
3月14日付ウォールストリートジャーナル「不屈の日本」
巨大地震について紹介した上で、「日本人は・・・この猛威を切り抜けるために比較的よく準備ができていた・・・」として、「日本人は文字通り、立ち上がっている」とまとめている。
本記事では、日本人が自然災害に対処する社会を歴史に学びながらつくり、その産業力・技術力で自国を守れる旨指摘している。
3月14日CNN「震災下でも文化に根ざす規律」
この報道では、コロンビア大学の日本研究のグレゴリー・フルーグフェルダー博士の日本人評価を紹介している。同博士は、3月11日の地震発生時、東京にいた。
同報道によるとフルーグフェルダー博士は、日本社会は「普段から社会的秩序と規律が守られているため、日本人は習慣通りの行動を容易に続けられる・・・」として、災害下でも、きちんと列をつくって待つ人々、略奪行為が発生していないことに言及している。
そして、同博士は、日本文化の根底にある共同体意識に着眼している。
1つ目の記事は、「科学・技術立国の日本の力」は、経済成長の低迷や政治不安があるとはいえ、今でも、日本にとって誇りであることを思い出させてくれる。そしてそれは、日本人の「真面目さ」「几帳面さ」という特性の重要性を見直させてもくれるものだ。
2つ目の記事は、欧米の個人主義社会とは異なり、日本社会においては、集団や地域社会で他社認識を深め、「利他心」が育まれていることを認識させてくれるものである。
第2次世界大戦終了直後、日本に着任した駐日イギリス大使は、戦中を通し、同大使館が整然と保持されていた現実を見たとき、「我々が闘った国民は大変偉大な国民であった」と語ったエピソードは有名である。
現在の大震災下の日本という社会空間に生きている日本人として、先人の毅然とした姿勢と知恵に、グローバル化時代の国際的な合理思考を合わせて、将来のこども達のために、国際社会に語り継がれるような対応と、復興を目指したいものである。
96時間ぶりに救助された方のニュースが続けて報道された。
この明るいニュースに、「(大きな意味での)仲間を信じ切って、自らのすべきことを為し続けること」の大切さを学んだのは私だけだろうか。
なお、注目されている原発問題に関連するサイトのいくつかを紹介しておきます。
(社)サイエンスメディアセンター
(独) 国立病院機構 北海道がんセンター 院長(放射線治療科)西尾正道
2011年3月14日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行
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