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昨日、新藤兼人さんの追悼を書かせていただいた。
その中で、「陸に上がった軍艦」の衣装合わせの時のエピソードに触れた。
あれから、たしかその時の写真があったはずだと探し回った。
残念ながらデータそのものは見つからなかったが
印刷写真が出てきたので、携帯で撮り直した
画像は悪いけれど、様子は伝わるだろう。
当時、新藤さんは95歳。
公民館に現われた時には
お孫さんの風さんに支えられ
とぼっ、とぼっと足を運んでいた。
後ろに回ると、
風さんが新藤さんの腰に手を回しておられた。
報道で新藤さんがとりあげられると
必ずといっていいほど横に見える顔がこの風さん。
ご自身も監督として作品を送り出されている
衣装を着け終えた俳優さんたちと新藤さん
新藤さんは、自身の体験を描いた この作品に特別の思いを持っておられた
短い挨拶ではあったけれど、脚本に込めた自分の思い、映画製作における演技者の大切さ、独立プロの意味など、若い役者さんたちに伝えようとする思いが満ち溢れていた
新藤さんの立会いの下に
山本監督が俳優さんたちに演技指導を始めた
上官が初年兵達に理不尽な制裁を加えようとする
その場面の演出を始めて少ししたところで
椅子に座って様子を見ていた新藤さんが
突然立ち上がってきた
”そこはだね、もっと腰をおろして
腕をぐっと突き出すんだよ”
先ほどまで足元も覚束なかったはずの新藤さんが
ぐっと腰をおろし、腕を前に突き出す
口を開けて見守る若い俳優とスタッフ
その様子を嬉しそうに見つめるベテラン達の顔
どうですか、この95歳の腰のおろしっぷり
「陸に上がった軍艦」は、マスコミの注目を集めた。
新藤さん自身の体験であると同時に
当人の語りを入口に場面をつなぐ
ドキュメンタリードラマの手法が評価された
写真は、8月15日の朝日新聞社説。
「『千匹のハエ』を想像する」
”中学、高校で歴史を学ぶ皆さんへ”の呼びかけで始まるこの社説は、62回目の終戦記念日を迎えるに当たり、少し違う角度であの戦争のことを考えて見ませんか、と呼びかけた。
この社説を書かれた方は、この映画の中に出てくる
”千匹のハエ”を集めるある初年兵のエピソードに目を向けました。食糧対策のために鯉の養殖を行うと言う軍上層部。その餌にするためにハエを1000匹集めた兵隊には外出許可を与えると言う。一人の兵士がひたすら自分の奥さんに会いたい一心でその課題を達成します。
軍隊上層部の陳腐な構想に対する怒りと、妻への思いにあふれる兵士をそこに対比させます。
社説の最後はこんな言葉で結ばれています。
『見たくないものに目をふさげば、偏った歴史になってしまいます。ひとつのことばかりに目を奪われれば、全体像を見失う。いかに現実感をもって過去をとらえるか。その挑戦です。
62年前、家族に会うために、千匹のハエを捕まえた兵隊が確かにいたと言う現実がありました。
今日という日に、そんなことに思いをめぐらしてみてはどうでしょう。」
新藤さんは旅立たれましたが、出来るならば今
年のその日に新藤さん自身が語る戦争土軍隊
の現実を伝える「陸に上がった軍艦」の上映を
実現したいと思います。
※ 最後の作品となった「一枚のハガキ」は、この作品の 中に収められたひとつのエピソードを発展させた作品 です。比較してみるのもおもしろいかなと思います。
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