|
誕生日プレゼントに貰ったドンカルロ。ザルツブルグ音楽祭でカラヤンが指揮を振って、カレーラス、カップッチッリ、フルラネット、バルツァが出ている定番中の定番です。予備校時代の暇な時間にCD屋さんの店頭で流れていたパバロッティによって歌われたムーティのスカラ版に夢中になって何度も通ってはかなり長い時間をそこで過ごしました。 絢爛豪華な王朝絵巻、重厚な音楽、個性あふれる登場人物達はまるで上質な大河ドラマを見ているような気にさせられます。
神聖ローマ皇帝カルロス一世、スペイン国王フィリペ二世の長子ドンカルロは政略によって恋仲であったフランス王国ヴァロア家の姫エリザベスを父親に取られてしまいます。 今は継母になった恋人への想いを捨て去る事のできない彼の周りには、国王の腹心でありながら、政治的には反対の立場を密かにとっている親友ロドリーゴ、実は国王の愛人だがドンカルロへの恋心を抱くエボリ公女、国王以上の帝国に影響力をもつ宗教裁判長、そして妻の愛が自分に向けられていない事を知って孤独と猜疑心に苦しむフィリペ二世等、様々な人物の思惑が複雑に絡み合って悲劇的な結末へとむかいます。
実に登場人物の殆どが叶わぬ恋心に苦しみながらあるいは宮廷を去り、あるいは死んでしまうのです。
カラヤンのザルツ版の演出は質朴を旨としたスペイン王家の宮殿に相応しく、色合いは黒を貴重に暗く重厚なものです。 カレーラスの物憂げな歌唱、バルツァの嫉妬に狂う演技力、カップッチッリの高潔な精神すべてが夢中にさせてくれます。
なかなか上演されない作品ですが、最も演じてみたい役の一つです。 いつかその日がくる事を夢みながら演奏に聴き入りました。
|