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南八幡の案内人
平成30年3月30日(金) ヘッダー変更

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伝説・民話等 №1
紙芝居【木 部 姫 さ ま
 
                    文・・・・・ 井野英代
                   原画・・・ 富岡吉次
                   彩色・・・ 今野雪江、城田尊子、清水泰代、坪川初代
                                                  
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  この物語は、昔から木部町の人々によって語り継がれてきた伝説をもとにしたお話です。
 
  日本中が戦争に明け暮れていた頃(戦国時代)、木部にもそんなに大きくはないがお城がありました。その木部のお城も敵の攻撃を受けるようになりました。 身の危険を感じた殿様は、奥方と腰元たちを城から逃がしました。 その後の奥方や腰元たちの運命はどうなったのでしょうか。
            
 
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 【№1の物語】
 むかしむかし今から約450年くらい前、京の都には将軍さまがいらっしいましたが、もはやあまり権力がありませんでした。そこで地方の国々では、大きな城の殿様、小さな城の殿様、豪族にいたるまで、すきあらば相手を滅ぼし自分が殿様になうと、そして天下を自分のものにしようとしている戦いが絶えませんでした。上野国(こうずけのくに)の周りには越後(新潟県)の上杉謙信と甲斐(山梨県)の武田信玄という強い武将が二人おりました。
   
 
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 【№2の物語】
 甲斐の武田信玄は上野の国を手にいれようと、時には安中あたりまで兵を進めることがありました。
 それを知った箕輪城(箕郷町)のお殿様の長野業政は、ただちに12人いる姫を一人ずつ近隣のお城にお嫁にやりました。このあたりでは鏑川の南の平井城、烏川の北の倉賀野城、和田城、そして木部城です。それぞれ12人の姫君がお城の奥方になれば、12のお城がみんな親戚になって力を合わせて敵を追い払うことができるのです。だから武田信玄の大軍が押し寄せてきても大丈夫だと、長野(箕輪)の殿様は考えたのでした。
  
 
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 【№3の物語】
 ここは木部のお城です。今日は木部のお殿様と箕輪城からお嫁に来た長野姫様との婚礼の日です。
 お城では華やかな結婚のお祝いが催され、家老をはじめ家来や腰元たちは、大忙しです。奥の間からお出ましになられるお姫様のお姿を一目見るなり、人々は「まるで天女が舞い降りたようだ。」とその美しさに見ほれました。「木部姫様と呼ぼう。」と誰ともなく言い合いました。
   
 
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 【№4の物語】
 立派な婚礼の儀式も無事に終わりました。木部城下ではお殿様と美しいお姫様を中心に、以前にも増して平和な暮らしが始まりました。お殿様と木部姫様との生活は人も羨むほどのなか睦まじさでした。
 しかし、そんな二人の幸せな日々は長くは続きませんでした。ついに武田信玄が山名、根小屋のとりでを落として、木部城に攻めてきたのです。力の限り戦いましたが、小さな城の悲しさ、信玄の大軍にはかないません。木部軍のあらかたは討ち死にし、生き残った兵も負傷したり、ちりぢりになってしまいました。
   
 
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 【№5の物語】
 お殿様は奥方とわずかな腰元たちを呼び「もはや城もこれまで…。今宵、夕闇に紛れそなたの里まで落ちのびてくれ。箕輪城はまだ安泰じゃ。」と姫に言いました。「殿と今ここで別れたら、二度と合えないような気がします。お願いです、殿と一緒にこの城にいさせてください。」泣く泣く姫が頼んでも聞き入れてはもらえませんでした。お殿様は「余もそなたと別れるのはこの身をひきさかれるぐらいつらいのじゃ。もし運良く生き長らえたら、また仲良く暮らそう。」とおっしゃいました。
     
 
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 【№6の物語】
 お城周りが夕闇に包まれ始めた頃、すっかり旅支度になった姫様は、腰元たち数名を従え木部城を後にしました。川を渡り倉賀野を過ぎ、和田城下に入ったが、途中どこの角にも武田方の兵たちが見張っていて大きな道は通れませんでした。人の通れないような狭い道を通りぬけ、やっとのことで芝村(箕郷町)というところまで来ました。一人の腰元が「姫様、ここまで来ればお城はあと少しです。」姫が「弟たちに早く会いたい…」と話しながら、かなたの箕輪城をふりあおいだとたん「ああ…もう駄目。」姫はその場によろよろとくずれてしまいました。
   
 
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 【№7の物語】
 あの懐かしい故郷のお城が、真っ赤な火の粉をまき散らしながら燃えていたのです。真っ暗闇の中、燃え上がった箕輪城を目のあたりにした姫は「もう私の帰るとみろはありません。」腰元たちも「姫様どうしましょう。何処へいきましょう。」と途方にくれるのでした。深い悲しみに打ちひしがれ、行くあてもなく山中をさよい歩く姫と腰元たち。木々の枝葉やつるをかき分け、雑草の生い茂る中をどのくらい歩いたでしょうか。空の雲は吹き流れ、地上に這っていたもやも、だんだんととれてきました。
     
 
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 【№8の物語】
 東の空が茜色に染まりはじめました。姫たちは榛名湖のほとりにいました。朝日に輝く湖面はキラキラと七色の帯をいく筋も流し、榛名富士がくっきりと映っていました。姫と腰元たちは芝村で見たあのいまわしい光景は心の奥にしまいこみ、穏やかな湖をしばし眺めるのでした。木々の間から小鳥たちが歌いだしました。姫が「なんとさわやかな朝でしょう。これが榛名湖、あれが榛名富士、もう何も思い残すことはりません。」と、つぶやいたかと思うと、旅支度を解き、着物の裾をひき、湖の中に入って行きました。「姫様ーあぶのうございます。お戻り下さいませー。」と、腰元たちが止めるのも聞かず、静かに水の中に入って行きました。腰元たちはただおろおろするばかり。
      
 
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 【№9の物語】
 と、その時です。今まで雲一つなく晴れ渡っていた空がにわかにかきくもったかと思いきや、ピカッー!ゴロゴロドッシーン!と、ものすごい雷が鳴り突風が起こりました。鏡のように静まりかえっていた湖面には、竜巻が起こり、みるみるうちに姫はその真ん中にのみこれ、天高く持ち上げられたかと思った瞬間、巨大な竜の姿に変わり「ぎゃー!」と、一鳴きしたかと思う間もなく湖の底深く沈んでいきました。
     
 
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 【№10の物語】
 あまりの恐ろしさに腰元たちは声も出さず、ガタガタ震え、抱き合っていました。いつしか雷鳴も止み風もおさまって太陽が輝きだしました。「姫ー、姫ー、木部姫様ー」我に返った腰元たちは湖畔をあちこち走りまわっては、姫の名を呼びましたが、帰って來るのはこだまばかり。「姫様がこの湖の底にいるかぎり、私たちも姫様のお側にお仕えしなければなりません。」と、一人が言うとみんな次々と湖に身を投げました。竜になった姫様を探す腰元たちは蟹になって「腰元蟹」と呼ばれました。腰元蟹は今でも湖水の藻を取ったり、落ち葉をめくったりして木部姫様の姿を探し求めているので、湖はいつもきれいなのだそうです。
 
 
 
   『紙芝居終了後の語り』
 
 この木部姫様の話から木部に住む人たちは雷が来ると、竜になった木部姫様にお願いをして、「木部殿領分桑原、クワバラ」または、「遠くの桑原、遠くの桑原、木部様領分」というおまじないを唱えたということです。また、腰元が蟹に姿を変えたことから、木部に住む人たちは蟹を食べないと言われています。用水路が出来る前、田植えの頃雨が降らないと、神社から水を汲んできて雨乞いの儀式をしたのも、木部姫伝説によるそうです。
 
 『木部姫伝説の考察』イメージ 14
湖や沼には女神伝説がある。そして、そこには竜(蛇)神伝説も多く存在します。木部姫伝説もおそらく女神伝説、竜神伝説に基づいているものと思われます。そして、それが武田信玄の上野国侵攻の史実と結びついてきた話であろうと考えられます。また、この木部姫伝説には色々の説もありますが、それは記述された話ではなく口頭伝承によるために様々な話となって伝わっていったり、寺社の由来縁起によるためか没年月日についても様々な説となっているものと考えます。
 
 
 【参考】 「みなみやはたの歩み」  第3集 (紙芝居「木部姫さま」について)・(木部姫さま)
 
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 箕輪城については:6月4日号ブログを参照
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    はじめまして。

    訪問、コメントありがとうございます。

    これからもよろしくお願いいたします。

    四季の風

    2013/6/20(木) 午前 6:16

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