烏兎怱怱

烏兎怱怱時は過ぎて、気が付けば

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タメ息

最近、頓に思う。

なんで赤絨毯の政治家達は時間をあんなに無駄にするんだろう。

与党の優柔不断さにも、野党の揚げ足取り作戦にも、ウンザリする。

世の中には優先順位というものがあるだろうに。


橋下弁護士が大阪府知事になって一年で、大阪の財政は黒字になったそうだ。

それでも、大阪市民にしても、その評価には賛否両論あるそうだ。

世の中には、100%人に好かれるなんて人はいないし、

50人に好かれれば、50人に嫌われるのもあって当たり前なこと。

自分自身の支持率を意識する前に、自分が何をするべきかを、しっかりと見極めて、

それを実行させるほうがずっと重要なことではないのだろうか。

昨日、街に出ると、バレンタインを目論んで、煌びやかな包装紙で包んだチョコを売る店が

幾つもあったけれど、その店に並ぶ客というものは殆どなかった。

唯一、常に安売りする輸入雑貨の店の前にだけ人集りがあったが、

それでも昨年ほどの勢いはない。

とはいえ、バブルの頃の前に比べれば、数段日本の経済状態はよくなっていると、私は思う。

バブルについて知識人たちはいろんな意見を言うが、

現実には、団塊の世代と言われる、

昭和22,23,24年生まれの人たちが一番働き盛りであり、

また、子育ての最中であったのだから、需要と供給が完全に一致して、お金が循環したが故の

好景気だったのだ。

お金はお足っていうくらいなものだから、

稼ぐ人がいても、使う人がいなければ、何の動きも無いのは当然のこと。


私が子どもの頃は、今よりずっと貧しくて、

一家揃って親族の家に居候をしている家族とか、空き地に掘っ立て小屋を建てて暮らす家族とか、

それほど珍しいことでもなかった。

ハムエッグなど、大層なご馳走であったくらいだ。

そのうえ、会社勤めのサラリーマンでも、課長クラスになると、

運転手や女中(今は差別用語なのだそうで、家政婦と言うそうだが)を雇うのは

当然のこととされていた。

友人の家には執事という山羊の親戚かと思う呼び名の人さえもいた。

戦後直ぐの頃さえ、一番上の姉は三人の乳母に育てられた、と、母が言っていた。

今、若い娘を家政婦にやるなどと、とんでもない話になるのだろう。

しかし、現実的には、今の日本には、その戦後直ぐの時代より、ずっと貧しくなる要素は、明確にある。

バブルの頃の働き手は、初老の域に入り、バブルの頃成長期だった世代が、

今一番脂の乗った世代でありながら、成長期は完全にバブル状態であるが故に

ハングリー精神を持ち合わせず、また、物欲もそれほど無く、

そのうえ、神奈川県の40代男性の40%は独身だとか。

あと十年もすれば、団塊の世代は、日を追って減少して行き、30年もすると、少子化によって

日本人自体が絶命危惧種になりかねない、というのはオーバーな話だが、

日本人だけで今の状態のままの日本の経済を支えるのは、無理、というのは、わりと想像のつくこと。

だいたい、不況以前に、あと10年もすれば、車を運転する人口だけでも激減する。

両親が家を持つ一人っ子同士が結婚すれば、片方の家は不要になる。

今しなければならないのは、如何に、迅速に尚且つ健全に日本の経済を縮小出来るかということであり、

今尤も不要なのは、政治家達当人の生み出す、無駄な出費であり、無駄な論議だと思う。


それが正しい道順であれば、時として、指導者は99%の人に嫌われても良いではないか。

要は、結果如何であったかであり、その人物の性格など、歴史の中には逸話でしか残らない。

日々職を失う人が増えていき、追い詰められた人たちがやがて民衆になり、暴動を起こす前に、

もっとしっかりとした舵取りをして欲しい。


職を失うといえば、私は嘗て、介護について、厚生労働省に提言したことがある。

私の母は、要介護5に認定され、ディサービスを受けていた。

しかし、世の中には主婦や娘、時には息子が年寄りを介護している家庭もたくさんある。

介護保険を徴収する今

そのような介護をしている人たちを一定期間教育し、家族の介護を有償で行うようにすれば、

いろんな形で経費の節減になり、また、お金も循環し、介護する人の気持ちの負担も軽減される。

家庭内という閉鎖された中での被介護者が心配であれば、定期的に巡回するなり、

ディーサービスなどにより、介護する人の負担を軽減することも出来る、と。

実際、息子は今、諸事情で無収入の身だが、一人娘である嫁の親に切望され、同居しているため

その家の障害者を介護している。

息子の場合は、嫁も理解してくれているし、当人の事情による浪人状態だから、

特に気持ちに負担は無いようだが、

もし、解雇されたとかの、無職の身で、そのような状況になったとすれば、かなり心に負担を

強いることになる。

だいたい、働くってのは、人が動くことなのだから、何処かに勤めるだけではなく、

家族の介護をすることだって立派な仕事ではあるのだが、それでも収入が無いのは辛いものだ。

そんなメールを厚生労働省に送ったが、提言に感謝の返信メールは来たが、

議題に乗った様子も無い。

介護の世界では人手不足だから、外国に人材を求める、というのなら、身近な家族に

求めても良いではないか。

私が母を介護している頃、確認した話では、

同居している娘や嫁がケアサービスの事務所に登録しても

その親の介護に行くことは出来ないが、別居している嫁や娘は出来るのだとか。

同居している親子であれば、その間にお金を介在させること無く、直接介護をすればよい、

という基準らしいが、真に変な基準でも有ると思った。

ならば、同居している嫁には、その家の財産を無条件で継ぐ権利も与えるべきだろう。

派遣村

何でもかんでも、まるで流行り言葉のように軽々しく扱う、という傾向を、いい加減止めて欲しい

と思うのは私だけだろうか。

それにしても、少なくとも、上場し、市中から、公開株主を得ている会社が、単に売り上げが急激に落下

したからといって、簡単に雇用者を解雇するというのは、一体如何いうことなのだろうか。

会社を経営するに当たり、会社が掲げている、企業の社会的責任とか、理念とか理想とか、

あれは絵に描いた餅だとでもいうのだろうか。

創業者の言葉にしても、松下幸之助など、不況もまたよし 不況は改善、発展への好機である

としているが、これは、弱者を切り捨てて、我が身のみを肥やすということなのだろうか。

夫の会社の属する業界は、既に10年も前から、現実には不況になり、経営していけば行くほと、

苦しくなる状況の中であったが、従業員達の生活を最優先させて、誰一人解雇などすることは無かった。

その上、旧知を頼りに仕事を求めてくる人のために、同業者に電話でお願いする、というのは、

日常的に有った。

それは夫に限ったことではない。

夫達、事業主の念頭には、常に、働いてくれる人の存在が有った。

世の中の、所謂成功したという企業家に言わせれば、そのような温情主義は会社を破産に追い込むのだ

という言葉で片付けられるのかもしれないが、結果、夫の会社が破産に向かいつつある今、元従業員達は

同業者の下で今までと変わらぬ生活を営むことが出来ている。


嘗て、経団連のトップであり、もしかしたら祖母の夫になっていたかも知れないという土光氏は、

「社員諸君にはこれから3倍働いてもらう。役員は10倍働け。俺はそれ以上に働く」という言葉を、

ある会社に着任したときの挨拶としたそうだが、今の経営者陣は一体、世の中の景気状況を

肌で感じているのだろうか。


派遣切りといえば、先日、テレビの中で、解雇されて行き場を失った青年が自殺を図って、という

話をしていたが、その彼には、帰る実家があるという。

また、帰る家がありながら、路上やネットカフェなどで暮らす若者も、年々増加しているそうだ。

過去、一つ家の中に他人、お手伝いさんであったり、書生であったり、また、

仕事を失った親族で有ったり、が同居しているというのは、それほど珍しいことでもなかったが、

今は、実の親子でさえ、解雇されて、住む家がなくなってさえ、実家に帰るよりも、

死を選びたくなるほど疎遠になってしまうという。


親が子に、子が親に、助けて、と言えない家族を作り出したのは、核家族という、孤人主義の結末

のように思える。

親は泣き寄りという言葉通り、本当に困ったときは、親族や家族に寄り添えるように、

家庭のあり方を変えていくという責任も、家庭を築く大人たちである私たちにはあると思う。


お金では決して得ることの出来ない、人の温もりを知るというのは、不況のときこそ良いチャンスでも

有ると、また、経営者達にしても、本当の意味で、消費者の要望を知る良いチャンスと、そう思う。


メディアにしても、新聞雑誌の紙面やテレビ画像の後ろにいるのは、経営者達の塊なのだから、

派遣切りなどという言葉で同情心を煽るよりも、未曾有の不況とか、世界恐慌などというのであれば、

経世済民という言葉通り、

より多くの人が働く場所や、形を提供するという流れを作り出すべきではないのだろうか。


現実に、じわじわと押し寄せてくる、先の見えない不況に怯えているのは、派遣社員だけではない

ということを、もっとしっかり認識してもらいたい。




 

報道の怪

浅田選手が韓国での試合に勝った次の日、テレビで、浅田選手がパーフェクトな演技をしても、

金選手に勝てない、ってな報道をしていた。

その理由として、浅田選手の表情が金選手より子どもっぽい、ということを上げ、また、

CMの数を上げて、人気の度合いを比べていた。

CMに関しては、つい昨年、かなりのオファーがあって、けれど、スケートと勉学を優先させるために

選んで受ける、と、浅田選手側が表明していたニュースが流れていたが、この番組では、そのことには

一切ふれていなかった。

結局、金選手は、国単位の人気度のためのプレッシャーに打ち勝って、結果二位に甘んじたが、本来なら

浅田選手に勝って当然だった、というような内容だった。

挙句、今後も浅田選手は金選手には勝てない、と。

浅田選手が史上初のジャンプを決めたことも、それ以前に国際大会で優勝したことも、一切、語られずに

終った。

その三日後だか、自分達は素人ゆえ、よく解らないまま間違った報道をしていたと、メインキャスターが

詫びる場面が有ったけれど、素人という逃げ言葉を使うのであれば、世の中の出来事全てに対して、

精通していない限りは、公の場で発言することはやめたほうがよいのでは、と、正直思う。



そして、昨日、総理がハローワークに視察に行った報道を見た。

総理が求職活動をしている青年に質問をしている。

彼は北海道で元土木の仕事をしていたが、『どうせなら六本木とかおしゃれなところで働きたい』

と言っていた。

総理はそれに応えて、世界中どこでもそうだが、何となく格好いい仕事は給料が安い。

力仕事やしんどい仕事は実入りがでかい、と言った。

しかし、今日のテレビ報道では、その部分は切り取られて、なんでもいいからでは、仕事は見つからない

という、新聞記者に語った言葉だけが、総理の言葉として流されていた。


この時期、ハローワークに行き、聞くだけ聞いて、という総理のやり方にも疑問を感じるし、また

メディアに対して無防備な行動を取っている総理にも、ある意味幼さを感じるが、それでもなお、

意図的なのか、売らんかな、なのか、世の中の騒乱を期待するような報道をするメディアに対して、

とても奇怪に思える。


ところで、総理に対する支持率の分母はいったいいくらくらいの数字なのだろうか。

また、他の党は、本気で日本の景気を良くする気があるんだろうか。

元従業員たちの仕事を探すために、息子は無給で、尚且つガソリン代を妻から拝借して、

一日中駆け回っている。

今は、選挙で金を使うより、まず、景気を回復させるのが最優先であり、

何でもかんでも反対ばかりしている場合ではなかろうと思うが。

100人単位で派遣切りされれば、ニュースにもなるが、一人親方で暮らす職人が自殺したところで、

路上生活者になったところで、世の中からそっと葬られてしまうだけだ。

私の知っているだけで、この10年で、三人の、プロという職人が自殺したが、

新聞の片隅にさえ載らなかった。

尾行

ある年の暮れ、賃貸マンションに借りていた事務所から、駅前の銀行まで、100万円を下ろしに

行かねばならないことが有った。

銀行で順番を待って、お金はあらかじめ袋に入れてもらい、直ぐにバッグに入れて、銀行を後にした。

すると、私の10歩くらい後ろを、歩いてくる人がいる。
 
私が足を速めると同じように早めるが、決して近づくこともせず、一定の距離は保たれたままだ。
 
私はマンションへの道程を考えた。
 
駅前の繁華街を抜けると、再開発のために更地にされた工事現場になり、

その先は住宅街になり、完全に人通りが絶える。

増して、マンションの部屋は一階であり、そこには今誰もいない。


このままマンションに帰るのは危険だと思ったので、近くの本屋さんに飛び込んで、

そのまま奥のほうに行き、外を見た。

すると、ガラスの向こうで、慌てた風情で本屋の中を伺う男がいた。


中に入って来たらどうしよう。

そのとき、その店の奥のドアが開いて、店員の一人が入ってきた。

と、同時に、その男が店の中に入ってきた。

私は店員に事情を話し、急いでそのドアから外に出て、全速力で駅の階段を駆け上り、

駅の反対にある派出所に駆け込んだ。

駆ける途中振り向くと、本屋のかなで慌てている男の姿が有った。

警察官は、私と一緒にマンションに戻ってくれて、暫く周辺を見回りをしてくれるということだった。

その翌日、取引先の男性が集金の帰りに強盗に刺されたというニュースを聞いた。


見知らぬ誰かが背後から着いてくるという恐怖は、言葉には言い表せない。

それ以降、私は、銀行には自転車に乗っていき、お金は小さなポシェットに入れて、コートの内側に掛け

お金を受け取ったら直ぐに自転車に乗って帰ることにしている。

尤も、今は下ろすべきお金も無いので、そういう意味では気楽な年の瀬でもあるのだが。

年の瀬

一番若い従業員が十代の頃、近所の農家に頼んで、餅搗きの手伝いをした。

若い子が多いということで、その農家の人たちも喜んでくれたが、ある年、入りたての従業員が

自分も搗きたいといい、イキナリ杵を持ち上げたので、蛍光灯を割ってしまって、運悪く

臼の中の餅の上に全て入り込んでしまった。

農家の人たちは、大丈夫だと言ってくれたけど、その翌年からは一切声がかからなくなった。
 

その青年がどのような経緯で夫の下(もと)で働くようになったかは、解らないが、彼は結局、

他の従業員とも馴染まず、突然実家に帰ると言い、そのまま辞めてしまった。

当事、二階の二間に、彼を含む三人の従業員が住み込みでいて、私が朝晩の食事を作っていた。


辞める際、自分の釣竿が見当たらない、と、突然、私達の住まいである部屋に入って来た。

釣竿など無いということは、一目見れば直ぐわかることなのだが、彼は、暫くの間、鴨居や、

箪笥の上を物色デモするかのように見ていた。

不思議に思ったが、彼が出て行った後、鏡台の抽斗から私の指輪が一つ消えていた。

ああそうだったのか、と、私は妙に納得した。

そしてその後、従業員達を引き抜こうとしていたことも発覚した。

一番若い従業員が、○○サンから誘われた、というので、行ってもいいけど、行ったら二度と

ここに帰れないよ。それでもいい?と聞くと、暫く考えた後に、止めておく、といい、今も

働いてくれている。その一番若かった従業員は、今年50歳になった。


年の瀬になると、早朝の、薄暗い蛍光灯の下で、黙々と餅を搗いていた従業員の幼い顔を思い出す。

そして、また、指輪とともに消えた彼のことを思い出す。

あんな風に人との縁を切っていった彼は、今どんな風に生きているのだろうか。

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