烏兎怱怱

烏兎怱怱時は過ぎて、気が付けば

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テレビの中

新総理の決起集会ともいえる場所の、一つの席に前総理が座っていた。
 
舞台の上では、新しい総理が、ゴム鞠のように弾んだ声で、これからの政府について熱く語っている。
 
その様子を、見ている、舞台の下の、大勢の中の一人となった前総理の肩が、心なしか丸まって見えた。
 
その姿を見ていたら、ふと、野球道具一式を持って空き地にやって来たお金持ちの坊やを思い描いてしまった。
 
空き地に行くと、ガキ大将がいて、野球道具を持ってくれば、仲間に入れると言われ、みんなの仲間になろうと、
 
懸命に親に頼んで買ってもらった道具で、ガキ大将がいる頃は、キャプテンとして、ガキ大将の代わりに
 
チームに指示を出す係りだったけど、ガキ大将が消えた途端、道具はハシッコイ少年たちに使われてしまい、
 
結局、坊やはただ野球を見ているだけ・・・。
 
そんなイメージを抱いたためか、前総理の張り付いたような笑顔が痛々しかった。
 
その前総理は、記者会見をすることもなく退任していったという。
 
そういえば、新総理は、嘗ての経団連の会長である土光さんの出身地と同じ、岡山に本籍があるとか。
 
その土光さんはこんな言葉を遺している
 
「行革とは10年先、20年先の日本をどうするかを考えるものだ。
それも10年先、20年先動かす君たちが考えなければならない。
その時の日本を君たちがどう動かしているか  
俺は地獄の釜の底からでも見てるぞ」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

矛盾

その昔、中国の楚という国に、盾(たて)と矛(ほこ)を売っているものがあり、盾を売る口上には、この盾は堅牢無比なもので、どんな矛を持っても貫くことは出来ない、といい、矛を売るときには、この矛は素晴しく切れ味が良く、どのような盾をも貫いてしまうといい、それを傍で聞いていた人が、ならばその矛でその盾を突いてみよ、というと、言葉に窮したという故事から、道理の通らない、互いに食い違った二つの事柄を矛盾という、と、書にあった。
 
そんな矛盾でも、親ならば  矛盾した話も母は聞い呉れ(文政)
ということになるのだろうが、こと政治家それも長の言葉になると、発した人のことを、陳腐な人間と思えてしまう。
 
全ての子どもに平等に教育の機会、などと言いながら、その一方で、全国一斉テストは、30%も行えば平均値が解るだろうと、仕分け対象にされたとか。
 
結果、それ以外にテストを受けたい場合は、実費で、ということだそうで、神奈川県では30%の学校しか実施されなかったそうだ。
 
親となれば、我が子が全国的にどのくらいのところにいるか知りたいだろうし、転校前の学校では実施されず、転校後の学校で実施されていた、なんて子がいれば、その子は話題においていかれることになりやしないか。
 
全ての子どもに平等に、という言葉を発していた頃、その一方で、全ての子どもが受けられるテストのチャンスを仕分けしていたとは、まさにこれこそ 矛盾 の見本のようなものだと思うが。
 

瓢箪鯰

恰も瓢箪で鯰を捕らえようとするかのごとく、ヌラリ、クラリとして、要領を得ない、煮え切らぬ、あやふやな態度のズルイ人物ということで、江戸時代から使われていた言葉なのだそうだ。
 
その本には、
 
変節のかげに女房の知恵もあり 武之助
 
そして、
 
世の中はただ瓢箪大なまず おさへてもおさへても逃げていきにけり 也雲軒宗旦
 
とあった。
 
瓢箪鯰といえば同じ本の中にこんな文を見つけた。
 
友愛結婚とは、相思ではあるが、一生を契ってしまうにはまだ先方の気質や性格が充分飲み込めないので
とりあえず一応同居してみる、ということで、1924年にアメリカデンバーの少年審判所の判事によって提唱
されたのだそうだ。
 
友愛を掲げている政党はそんなつもりで連立しているんではなかろうが、我々が望むのは日々の安寧だけで
あって、それほど大それたものではないのだから、
瓢箪なんぞではなく、しっかりと手腕を使った政治をして貰いたい。
 
 
学校教育の現場では、詰め込み教育の弊害で、ゆとり教育にし、ゆとりが出来て気が付けば、ゆとり教育はよろしくないと、改めて教育の原点に戻り、若干詰め込み教育にするらしい。
 
どうせ原点に戻るなら、学校教育制度を取り入れた明治の時代に遡ればよい、などというのは暴論だけど、学制が施行された、明治の頃から、全く改善をされていない、学校のあり方については、そろそろ見直しても良い頃なのではないかと、私は嘗ての文科省に提言したことがある。
 
それは、教室を、大きな学校ではなく、地域の空きビルの中に分散させる、というもの。
 
今の時代、人間の流れも多様化し、子どもたちの生活環境も、私たちが子どもだった時代とは、大きく様変わりしている。
 
通学に関しても、既に都会も地方も関係なく、長年の少子化により、人の流れが減っていることで、いろいろな死角が生まれているものが、五時間授業が六時間になれば、子ども達が危険な目に遭うリスクはより高くなってしまう。
 
そうであれば、学校という器に拘ることなく、地域の中で子どもたちを育てる、という、寺子屋的な教室が望ましいのでは、と、私はそう思う。
 
学区など設けなければ働く親の近くの教室に通うことも出来るし、同じビルに学童施設や保育施設を設ければ、より空きビルの活性化にもなるし、先生の需要も増え、近隣の地域活性化にもつながるのではないだろうか。
 
体力作りなら、階段を上り下りするだけで、足腰は十分丈夫になると思うし、集団行動が心配であれば学校や人が住んでいない家を国が借り上げるか買い上げるかして、だだっ広い広い公園にし、子ども達が集団で遊ぶ場所を作って、そこで時間を決めてどっちボールとか、野球とか、ラジオ体操とかそんなことをすればよいのでは。
 
少子化の原因は、お金の心配も然ることながら、子育てをたった一人でしなければならない母親のストレスが一番大きいと思う。
 
学校が小さくなり、地域密着になれば、気軽に相談が出来、困ったときの拠所にもなれる。
 
子育て中の母親はエネルギーがいる。そして往々にして孤独になりやすい。そのエネルギーと孤独感を少しでも緩和すれば、母親にゆとりが生まれ、子どもたちの心にもゆとりが生まれる。そして夫もゆとりを感じ、夫婦円満になり、出生率も高くなることだろう。
 
私の曽祖父は寺子屋を開いた人だったそうだ。その曽祖父が父に教えた言葉に女が学を積むと国が滅びる、というものがあり、そのおかげで気の毒な姉は父から高校進学を許されず洋裁学校に通うことになった。
 
その姉が中学時代に学んだ教科書を見た、当時短大に通っていた姪が、今の自分たちが学んでいる内容より難しいと言っていた。
 
そして姉自身は、洋裁学校に通ったことで、一枚の布や、毛糸から素敵な服を作り上げる知識を得て、その器用さから、お店に出せるほどのケーキや料理を作る術を会得した。
 
今の時代の子どもたちは、小、中、高、そして大学を出て、一体どれだけの、生きる術を得られるのだろうか。
 
 
 
 
 
 
 

国民の休日

日本の文化には、晴れと穢(け)というものがあるとか。

晴れとは、晴れ舞台という言葉で表される通り、日常とは異なる場面をいい、このような日には晴れ着を着て、食事には、尾頭付きの魚や、お餅やお赤飯、そしてお酒が出されたそうだ。

要するに、日々の生活の句読点であったのだろうと思う。

政府では、観光大国ってことで、連休を可動性にするという案が出ているそうだが、その目的として観光客の分散化というのだが、机上で論議している御仁たちは、肝心な、観光客の観光の目的ってのを、どんな風に考えておられるのだろう。

人が何故五月や秋の連休の頃に旅に出たくなるのか。そんなことは思ったことはないのだろうか。

五月の連休を映画館が一番繁盛する頃として、ゴールデンウイークとしたということは、わざわざ書くまでもないことだけど、私が子どもの頃、伊勢佐木町の映画館に行くための服装はハレのものであった。

その昔、松本清張が朝日新聞に書いた 点と線という小説などは、観光旅行のガイドブック的な役割をしていたそうだが、その当時、観光旅行に出かける人たちの大半は、農家の方で、その人たちにとって、農繁期の間の、ほんのつかの間の休息の日々が丁度、五月の連休。ハレの日であったのではなかろうかと私は思う。

瑞穂の国日本には、農業を営む人に合わせた時期に行われる祭りがたくさんある。

それを観るためのツアーもたくさんある。

またこの頃の山野の自然も美しい。

生活に句読点もなく、ただ温泉に浸かりたい、美味いものを食べたいだけの旅をする人が一体どのくらいいるのだろうか。

外国から観光に来る人にしても、分散されてスカスカになった見学人の中で観る祭りってのに対して、どんな風な印象を持つのか、その辺は考えているんだろうか。

目的は就学児童の親を対象としているそうだが、ただ売れ行きの良い旅館(だけ)が潤えばいい、ってだけの目的で連休を分散化して、ハレもケも句読点もない生活、それでいいんだろうか。

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