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入ってきたのは、母親と息子。
息子さんは、19か20歳くらいに見えました。
彼は、うなだれていてほとんど目を合わせてはくれません。
「どういったご相談でしょうか?」・・・と、2人を見る。
彼が原因の相談と思うので問いかけるのですが、何も答えてくれません。
母がやむなく「この子が結婚相談所に高いローンを組んで契約して・・・!」
「息子宛に信販会社から郵便物が届いたので、変だと思って開けたらこんな契約をしていたんです!」と。
そうかなるほど・・・でも、お母さんからの話ではなく本人から直接聞かないことには。
母親の支配下にあるから彼は何も言えないのか?
今まで、彼が頼りなくていろいろ不都合があったので、母親が世話を焼くようになったのか?
いずれにしても、未成年なら母親の力も必要なのでたずねると
母親が「26歳です」。 ん〜・・・・なるほど・・・。
で、彼に向かって、いつどのような形でこの契約をすることになったのかをたずねました。
ぼそぼそと小さな声で、少ない言葉で答えてくれます。
母親には相談室の外に出てもらおうかとも思いましたが、
最初の印象とは違って、彼からの返答を、心配しながらもじっと待ってくれているので、
そのまま居てもらい、私は彼と向き合って話を進めました。
彼の話から、
新聞広告を見て、結婚相手を見つけたいと自分でその事務所に行き、話を聞いて契約し、
まだ誰も紹介は受けていないとの事。 仕事はきちんとしているようです。
でも、母親から指摘され、はじめてローンに気づいたようです。
彼の頭には、月々の支払額しか残っていないのでしょう(それさえもよくわかっていない?ようにも感じました)。
いずれにしても本人も、自分にはまだ不必要で解約したいと思っているのです。
『特商法』では、
エステ、語学教室、家庭教師、学習塾、パソコン教室、結婚相手紹介の6業種を指定して、
自分で事務所に出向いて契約をしてもクーリング・オフ8日間を認め、
また中途解約をした場合の損害額の上限を決めています。
彼の場合、クーリング・オフ期間はとうに過ぎています。
契約書をチェックすると、ローンは24回払いで約40万円、契約は成立しています。
本来ならば、日にちも結構経っているので、数人の紹介があってもよいのですが・・・・・・・。
書類を確認して納得。彼はプロフィールなど必要書類を未だ提出していないのです。
提出の催促の電話は彼の携帯に来ていたようですが、
きっと、彼はたくさんの書類の何をどうして良いのかわからなかったのでしょう。
何もしていなかったのです。
その場で解約書面を書き、業者には解約の連絡をしました。
特商法で決められた違約金3万円を払い解約という事を確認しました。
特に難しい何か処理をした、という訳ではなかったけれど、
本人と母親からはとても喜ばれました。
彼には、「お母さんに感謝の気持ちを表して、何かご馳走してあげなさいよ」と話しました。
それから、
「結婚って、あなたが奥さんや子供を養っていくことなんだから、
ひとりの大人として、自分のした契約の内容を理解するようにしないとね。」
「お母さんの考え方は正しいと思うから、自分でわからないことは相談してみなさいね?
お母さんは、あなたのことを一番心配してくれるんだから。
もし、お母さんに言いにくい事だったら、私が相談に乗るからいつでも電話してね。」と。
お母さんに目配せすると、お母さんも微笑んでうなづいてくれました。
「出会い系サイトに登録しなくて、あなたは正しい判断をしたと思うよ」
純朴な彼。今回の経験を次につなげて欲しいと思います。
入ってきた時の表情とは打って変わって、出て行くときの彼は、ニコニコしていました。
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