南国奄美に移り住み命をささげた男
8年ほど前に仕事で訪れた奄美大島。南国の楽園と言われるこの島は私の人生観を変えるような極めて大きなインパクトを与えた島でもあった。
南国の楽園奄美大島出張へのリンク http://blogs.yahoo.co.jp/bgytw146/13027089.html
その奄美大島で今から33年前の昭和52年9月11日、無名の画家が一人淋しく誰にも看取られずになくなった。
画家の名は田中一村(本名、田中孝)
下の絵は田中一村の代表作「アダ
2013/8/24(土) 午後 7:29 [
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平成15年1月15日
仙台空港を朝出発した私は飛行機を乗り継いで、正午ころ大阪伊丹空港から奄美大島に向かう飛行機の中にいた。瀬戸内海上空にさしかかると海岸線が手に取るようにわかる。天候は晴れてはいるが、所々雲がかかっていて雲の中に入る度に視界が遮られる。それでも瀬戸内海のあちこちに点在する大小の港の存在がはっきりとわかる。仕事で行くとは言え胸躍る気分だ!
飛行機は四国を斜めに横断し九州の東海岸(宮崎)を通過して九州最南端の大隈半島にさしかかる。まさに地図で見る半島の形が良くわかる。1月半
2013/8/24(土) 午後 7:41 [
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待ち合わせた社員と奄美空港隣の西郷レンタカーで車(真っ青のマツダデミオ)を借りて二人で乗り込む。しばらく行くと道の両側に花が咲いている。(ブーゲンビリアらしい)ここ奄美大島では一年中花が咲き乱れているとのこと。車内で奄美の有名な画家(後で思い起こせば田中一村のことらしい)の話や「島の名産のぽんかんという果物がおいしい」などと興味深い話を聞かされる。
さほど長くない二つ目のトンネルを抜けると徐々に町場らしい風景が開けてきた。名瀬市(現奄美市)だ。名瀬市は島の中にありながらそこそこに拓けた港を
2013/8/24(土) 午後 7:43 [
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その日の夕食は定番の魚料理と豚の角煮…イセエビ料理を期待していたので少々がっかりしたが、この料金(一泊二食付き5500円)でイセエビ料理はやはり無理…宴会(顔合わせ会)では奄美の地酒である黒糖焼酎のれんと(奄美の海の色を思わせる青いビンと珊瑚礁を思わせる紫と青のぼかし模様のラベルを貼った甘さを押さえた武骨な男の酒…)と里の曙(こちらは黒糖本来の芳醇な香りとこくを持った万人向けの酒)で乾杯する。私以外は全て九州の人間で、聞きなれない九州弁をしゃべられたが皆気さくな人柄で、不思議と違和感はなかった。
2013/8/24(土) 午後 7:44 [
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平成15年1月18日(土)その2
2つめのトンネルを抜けてしばらくするとマングローブパークに着いた。奄美大島のマングローブは西表島に次ぐ国内第2位の規模とのことだ。マングローブとは熱帯、亜熱帯地方の海水と淡水の混ざる水辺に見られる植物の総称である。なにかこの景色を見ているとここが日本なのかどうか疑ってしまう。東南アジアの一部に思えてしまう。…続く...
2013/8/24(土) 午後 7:45 [
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1月18日(快晴)
今日は仕事が休みなので島の南の瀬戸内町に観光がてらに行ってみることにする。宿がある名瀬市は島の西側(東シナ海)にあるので、まず行ったことのない島の東側にルート(唯一の国道58号線)をとって太平洋側に出る。ここからマングローブのある住用村を通って国道58号線を南下すれば、瀬戸内町に着くはずだ。…続く...
2013/8/24(土) 午後 7:47 [
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平成15年1月18日(土)その3
マングローブを見物したあと瀬戸内町に向かう。途中の道は奄美の濃密な森を縫うように進む。森を抜けると太平洋の大海原が見える。変化に富んだ景観を見ているうちに目指す瀬戸内町に到着した。
南斜面に拓けた瀬戸内町は白を基調としたコンクリートの建物が多く写真で見たエーゲ海の美しい町を連想させる。港の向こうには加計呂麻島が見える。(あとで知ったことだがこの加計呂麻島で風天の寅さんのロケが行われたとのこと)加計呂麻島に渡るか迷ったが結局やめることにした。
こ
2013/8/24(土) 午後 7:50 [
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平成15年1月18日(土)その4
ホノホシ海岸を離れたあと、58号線を名瀬方向に戻り島の南西部の宇検村に進路をとる。亜熱帯植物の生い茂る深い森を縫うように走る林道を抜け、しばらく走ると焼内湾が視界に入ってきた。奄美大島はどこに行ってもすばらしい。
景色に見とれて走っているうちに傾斜のついた畑の中を走る道に差し掛かった。もんぺをはいた二人のおばちゃんが道の真中を歩いている。なんとおおらかな風景だろう。これが普通なんだ!ここにくると内地とは違って時間がゆっくりと流れている。…続く...
2013/8/24(土) 午後 7:51 [
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平成15年1月18日(土)その5
舗装された山道をしばらく進むと今里の海岸に抜けた。ここから東シナ海を北上すると小高く岬になった嶺山公園に着いた。階段をしばらく歩いて見晴台に立つと270度の大パノラマが開ける。すばらしい!絶景だ!空と海の蒼さがそれを助長する。
その昔源氏の追撃を逃れた平家がこの島に移り住み、この岬で追ってくるかもしれない源氏を見張った。また戦時中は息子や夫の戦地からの帰還を待ちわびた母や妻がこの岬に立ったという聖地でもある。それにしてもスケールが大きい。
嶺山
2013/8/24(土) 午後 7:53 [
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平成15年1月20日
島に来てきょうで6日になる。奄美大島はこの季節は肌寒い(といっても15度位)日と小春日和のような暖かい日が入り混じるらしい。暖かい日には1月だというのに岸壁のベンチで薄着で昼寝をしている人を見かける…この時期に内地で同じことをしたら凍えてしまうだろう。島の若者はIターンが多いようだ。仕事で知り合ったA君も一度島を離れてから大阪で運転手をして結婚し、子育てをするのにこちらに戻ってきたそうだ。確かに子供を育てる環境として、奄美大島はすばらしい場所である。A君は島に帰っても、な
2013/8/24(土) 午後 7:54 [
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平成15年2月2日
仙台に帰る日が来た。長いようで短い夢のような19日間であった。仙台と奄美では温度差が15度近くもあるので風邪をひかないようにしなければ…2つ目のトンネルをくぐったところにあるたこやき屋で昼食をとる。笠利町から見る珊瑚礁のエメラルドグリーン色の海は美しくため息が出る。
レンタカーを返して空港に向かう。空港の待合室に行くと、喜界島や徳之島への空の便の案内が電光掲示板に出ている。そう、奄美大島は奄美諸島の玄関口でもあるのだ。それにしても喜界島の平坦な島影がはっきり見える。奄
2013/8/24(土) 午後 7:55 [
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外海である太平洋の荒波が岩を削り、石を転がす
そそりたつ岩に挟まれた海岸に 波音は唸りのように反響し
引き波とともにさらわれる玉石がぶつかりあい
地中に吸い込まれていく泡が音をたてる
目を閉じれば地球というコンサートホールに拍手の嵐が渦を巻く
以上、山川さら著、㈱星雲社「ムンユスイ」より引用
私に...
2013/8/24(土) 午後 7:58 [
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papa7159様へ
いつもナイスを頂き感謝しております。
有難うございます。
2013/8/24(土) 午後 9:22
不あがりさん
この作家は知りませんでした。
技巧がどうという前になんと繊細な絵だと思いました。
取り立てて詳細に書いてはいないのですがすごく
ナイーブさが伝わる絵ですね。
2013/8/24(土) 午後 9:49 [ ことじ ]
ことじ様へ
ナイーブですか。うまい事を仰る。この作家はおそらく繊細過ぎて、画壇と上手くいかなかったのだと思います。芸術家は繊細な人たちの塊です。その中でもこの方は特に繊細だったと思います。それが画壇を追い出される事に繋がったと思います。しかし奄美に渡りその実力を結実させる事となります。しかし生前に認められなかったのが何とも寂しいです。有難うございます。
2013/8/24(土) 午後 10:08
こんばんは。
以前、日曜美術館で見て深く印象に残っています。
生涯ひとりで暮されたといいますが、絵には
繊細さと同時にあかるさも逞しさも感じられます。
2013/8/24(土) 午後 11:29
アアイアウ様へ
この人繊細ですが。生きる事に関しては逞しいです。画壇を追い出されると殆ど絵では食っていけなくなります。それでも絵を諦める事無く。画壇とは関係なく。自分が納得した絵を描く。この気持ちが素晴らしいです。なかなかその気持ちになるのは難しい。しかし彼は遣り通した。このあたりが並の男ではありません。有難うございます。
2013/8/24(土) 午後 11:40
知らなかった人です。
あれは48年前、奄美大島に行きました。2枚目のは、たしか「アダン」って木じゃなかったかな?
「白い花」、銘仙の図柄を想い起こします。涼やかで美しい♪
2013/8/24(土) 午後 11:41 [ 海比古 ]
海比古様へ
仰る通りアダンの木です。良くご存知ですね。私は植物全く判らないのです。ただこの木は特徴があるので。もちろんアダンの木と書いてあるからですが(笑)。この『白い花』で川端龍子に認められます。しかしこの龍子とぶつかり画壇を追い出されます。このあたりがこの人の人生のあやとなります。私はこの絵好きなのです。奄美の絵も素晴らしいですが。この絵は何となく気持ちを和ませてくれる。そんな気がします。有難うございます。
2013/8/24(土) 午後 11:54
数年前にこの人の事を知り、数点の作品画像を観ることが出来、魅力的な
作品に感激した重いがありました。
ナイスな記事です
2013/8/25(日) 午前 9:25 [ 森川天 ]
素敵な絵ですね。
自然の美しさを 余すことなく 書き込まれている気がします。
評価も人がすること。認められないというのは 自分を否定されたようで悲しいですが 絵を描き続ける 源が何かあったのかもしれませんね。
大島紬の染色工をやっていたとあり どんなだったんだろうな〜と思いました。
2013/8/25(日) 午後 3:21 [ 茶キチ ]
E・森川店様へ
お越し頂き嬉しいです。この作家には何故か惹かれます。惹きつける魅力がある。そんな気がします。記事をお褒め頂き何よりのお言葉です。ナイス&コメント有難うございます。
2013/8/25(日) 午後 4:39
茶キチ様へ
この絵はホント美しさを埋め尽くしていますよね。この人は画壇ともめなければ、おそらく順風満帆の絵描きとなっていたと思います。とかく芸術家と言うのは自我が強い人たちの集まりです。このあたりが生きる上で難しい。しかし彼は奄美に行き、自分の納得する絵を描き続けた。これが本来の絵描きの姿ではあるのです。この人、それ程の絵描きと思われていなかったようです。オジサンと呼ばれていたと聞きます。良く働いたようです。その資金で最後の絵を描いたそんな男です。有難うございます。
2013/8/25(日) 午後 4:48
ring様へ
はじめまして。お越し頂き有難うございます。
またナイスを頂き感謝しております。
これからも宜しくお願いします。
有難うございます。
2013/8/25(日) 午後 4:51
michael380様へ
はじめまして。お越し頂き有難うございます。
またナイスを頂き感謝しております。
これからも何卒宜しくお願いします。
有難うございます。
2013/8/25(日) 午後 4:56
彼がどうして奄美を選んだのかという問いにお答えします。
彼は奄美に移り住む前に一度いろいろな地(主に日本の南のほう)を旅して歩きました。この時に奄美で見た景色と熱帯植物に心を奪われたということで永住を決意したということです。
もう一つの理由(これは私の推定ですが)は中央の画壇との確執から逃れたかったとも考えられます。これは中国の詩人李白が山に隠遁した心境とも似ているのかも知れません。
PS:昨日はトラックバックへの丁寧なコメントを頂き、大変感謝しております。
2013/8/25(日) 午後 5:18
ミック様へ
なるほど。下調べしていたのですね。この人の琴線に触れたのでしょうね。画壇と言うのはホント閉鎖的な所です。そこを結果として弾き出されたわけですが。この人にとってはそれが良かったのかも知れません。その強い信念で新しい画業を切り開いた。隠遁、まさにそうかも知れません。辛かったと思いますが。この男の執念で描ききって逝ったのですね。覚悟の死とはいえ辛いです。
トラックバックを頂きながら散漫なコメントとなっています。すみません。ちょいと夏の疲れが出ているようです。お許し下さい。有難うございます。
2013/8/25(日) 午後 5:38
こんばんは。
この方は、隣の栃木市の出なので親しみを感じます。
ポチです。(^_^)
最後の白い花は、たぶんヤマボウシだと思います。
鳥には詳しくないので種類は、わからないです。
これの絵は、鳥がメインで白い花は背景ですが、
バックの処理の仕方が流石にうまいですね。。
失礼な言い方ですが、これ、奄美時代と違い
指導者がいたのではないか?
そんな感じさえしてしまいます。
2013/8/25(日) 午後 7:42
みやまつり様へ
ああ!そうか!この絵を教えた方がいたか。なるほど。
だから纏まっているのかも知れませんね。確かに画壇に入ると。同じような絵や彫刻をやらせます。あの意味が判らない。嫌な世界です。この方はやはり奄美に来て良かったのでしょうね。ナイス&コメント有難うございます。
2013/8/25(日) 午後 9:23
cdxqc927様へ
古い記事にナイスを頂き感謝しております。
有難うございます。
2016/11/17(木) 午後 3:17
なんでも鑑定団で、田中一村さんの作品を目にし 引き付けられました。目と心に訴えてくる画風に虜と成りました!近くでの 展覧会があれば ぜひ間近で 生のオーラに触れたいです!
2018/7/9(月) 午後 9:57 [ momo ]
momo様へ
初めまして。ご訪問有難うございます。この作家の絵が何でも鑑定団に出ましたか。それに先ず驚いております。実は私は本物観た事がありません。テレビと画集だけです。ただそれだけでも惹きつけるものがあります。私も一度で良いです。本物を見てみたいです。コメント頂き感謝しております。有難うございます。
2018/7/9(月) 午後 10:13