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最高の死を迎える。
それは突然の電話だった。警察からであった。
嫌な予感がした。 それが的中する。
親友の死であった。
私が緊急連絡先となっていた。
駆けつけると。
霊安室に彼は寝かされていた。
半泣きで行った私であるが。
その顔を見た時に驚いた。
顔が穏やかなのである。
なんというか笑って見える。
これは警察の方も驚いていた。
路上で倒れている所を発見され。
救急車を呼んだが。
既に手遅れの状態であった。
しかしどう見ても苦しんだ顔ではない。
私はこれほど穏やかな顔を見るのは初めてである。
この男は悲運の塊のような男だった。
私とは高校の時からの付き合いである。
そんな事を思い出していた。
警察の方によると足取りもつかめている。
夕方にお気に入りのトンカツ屋で食事をとる。
珍しく女連れであった。
それはいつも独りで食べていた常連が
若い可愛い子を連れて入って来たので
強く印象に残っているという。
そして珍しくお酒を注文した事にも驚いていた。
確かに彼は下戸である。
しかしその呑みっぷりは良かったそうだ。
女連れと言っても親子のように見えたという。
そのやり取りは
『それは良かった』と嬉しそうに言っていたのが。
何度も聞こえたという。
とにかくあれほど
にこやかに話している姿を見るのは。
店主は初めてだと言った。
そして気持ち良さそうに支払いを済ませ。
『じゃあ元気でね』と
その店の外で別れた所も店主に見られている。
女は駅の方に向かい。彼は反対に家の方に
少し足取りが危ないかなという感じで
帰って行ったという。
そして
そこから数百メートル先で倒れているのを発見される。
額に僅かに擦り傷らしきものが見られるが。
それはその時のものでは。
検死医によると。
長年のうつ病の薬の服用と慣れない酒を呑んだ事により
脳及び肉体が持たなくなったものと思われる。
そのため苦しんではいないであろう。
おそらく眠るように亡くなったと思われる。
それは顔を見れば判る。
私はこの男らしいと思った。
この男が日ごろ言っていた事であるが。
『俺は天涯孤独の身だ。
死を迎える時は決して家の中では死なない。
俺が家の中で死んだらおそらく誰にも発見される事は無い。
だから家から一歩でも良い。
できれば敷地の外で死ねたらこれは最高の死に方だ。
住んでいる方にも迷惑がかからない。
出来る事なら。警察に発見されて。お前の所に連絡が行く。
驚くなよ。俺にとっては理想的な死だ。
そのためにも俺より先に逝くなよ。頼むな。』
それが口癖であった。そうなった。
この不幸な男の最後の最後。
最高の逝き方となった。
見事である。
追記。
こちらも前作『嘘も方便』と微妙にリンクしております。
お読み頂ければ幸いです。
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小説。初めての帰省。
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あの〜、これ、小説ですか!現実ですか!
ここのところ短編小説を書かれていますので、なんかわからなくなりました、、、(~_~;)
ナイス!
2014/7/29(火) 午後 7:19 [ Dr.K ]
Dr.K様へ
フィクションです。実は前二作ともフィクションと書いていたのですが。今回書かない方が現実味があると考えました。スミマセン。Dr. K様はそれに見事にはまって頂いた事になります。それが狙いです。ナイス&コメント有難うございます。削除
2014/7/29(火) 午後 8:17
kico様へ
ナイスを頂き感謝しております。
有難うございます。
2014/7/29(火) 午後 8:43
リイコとタカ様へ
ナイスを頂き感謝しております。
有難うございます。
2014/7/29(火) 午後 9:06
ナイスついでに失礼ではございますが、一首。
女(ひと)とあり往生際と酒を飲む
酔わず迷わず笑みの顔
ひととあり/おうじょうぎわと/さけをのむ
よわずまよわず/えみのかんばせ
2014/7/29(火) 午後 9:15
フィクションと思って読み始めたんですよ。
ところが、店主の証言、ってとこがひどくリアルで、これ、もしかしたら‥‥?
結局、フィクションだと判って安心したんです。
だって、ほら、あの突然訪ねてこられる親友さんを思いだしてたから。
2014/7/29(火) 午後 9:22 [ 海比古 ]
ブログを通じて貴兄と出逢って早二年が過ぎようとしております。貴兄には初対面のころから文才を感じておりました。
これを具体的に申し上げますと、貴兄の文章は人の心を強くひきつける天性のものが存在するのです。
一見するとノンフィクション?と思うこと事態、その作品が傑作たる由縁であります。亡くなられた友人の死に顔が安らかなる部分に読者は安堵感を感じ、一層ストーリーに引き込まれて行くのではないでしょうか?
きょうも独創性に富んだ記事に触れさせて頂きました。ありがとうございます。MN
2014/7/29(火) 午後 9:28
不あがりさん
強烈な内容ながらテンポの良い短編小説のようですね。
展開に思わず読み込んでしまいました。
不あがりさんの作風にナイスです。
2014/7/29(火) 午後 9:53 [ ことじ ]
ミック様へ
有難いお言葉を頂き本当に感謝しております。私には文才などはありません。ちょいと昔に働いていて所で報告書を出すと。何を言っているのか。サッパリ判らんと突き返された覚えがあります。それはともかくミック様とお会いしてまだ二年ですか。昔からの盟友という気がします。ミック様とはひがにゃん様の所でお声をかけて頂いた。それ以来毎日のようにお話をさせて頂く。私は狭い世界で育ちましたので。ミック様には色々お教え頂いております。たとえば伊達政宗の事。私はこれほど有名な男の事を全く知りませんでした。そして伊達に使えた英雄たちの事も。色々な事を吸収させて頂きました。勝手な事を私が書くと。それに優しいコメントを頂く。お陰さまで何とかここまで続けて来る事が出来ました。これからも何卒ご教示のほど宜しくお願いします。ナイス&コメント有難うございます。
2014/7/29(火) 午後 9:56
海比古様へ
スミマセン。順番が逆になりまして。その失礼を何卒お許し下さい。
所でこれは前二作まではフィクションですと書いていたのですが。これを省く事でリアルな話なるのではと考えました。スミマセン。でも訪ねて来る親友の事も頭にあります。私はホント狭い世界で生きてきましたから。人物描写もどうしても限りがあります。この辺りをどう工夫するかとなります。その内種切れとなるかと思います。でもこの逝き方は私の理想である事も事実です。有難うございます。
2014/7/29(火) 午後 10:03
ことじ様へ
そう仰って頂くと凄く嬉しいです。これ殆んどぶっつけ本番となります。下書き無しです。何となく頭に浮かんだ事を一気に書いて行く。そんな感じです。いつ種切れになるか判りません(笑)。感謝しております。ナイス&コメント有難うございます。
2014/7/29(火) 午後 10:08
kico様へ
申し訳ございません。順番を飛ばしておりました。その失礼を何卒お許し下さい。所でこの一首。良いですね。粋な一首ですよね。ああ、良いですねえ。そんな一首を詠んでみたい。こんな風に酒を呑んでみたい。そんな気がします。いつもナイスを頂き感謝しております。そして本日は粋な一首を頂き感激しております。有難うございます。
2014/7/29(火) 午後 10:15
暗い話が明るく描かれて見事です!!! ナイスです。
生涯順風万歩のヒトは殆んどいませんので、この方のように一見不幸に見えた人生でも、終わり良ければ全て良し、これで良いのではないでしょうか。
2014/7/29(火) 午後 10:28 [ 行雲流水 ]
行雲流水様へ
そう仰って頂くと凄く嬉しいです。気がつくとこんな終わり方になっていました。でも書いて良かったと心から思っております。ナイス&コメント有難うございます。
2014/7/29(火) 午後 10:33
こんばんは^^
私も本当の親友のお話かと思ってドキドキしながら読んでいましたが、途中で気付きました!
最後の晩餐と言いますが、とんかつで〆られたのも真夏の味わいを感じました。
2014/7/29(火) 午後 10:58 [ 和奴 ]
和奴様へ
途中で気づかれましたか(笑)。これ私が利用していたトンカツ屋でもあります。私は世間を狭く渡っておりますから。その行動範囲が知れております。そんな中での話の展開となります。トンカツ食べたい!(笑)。ナイス&コメント有難うございます。
2014/7/29(火) 午後 11:21
sir*k*machan様へ
ナイスを頂き感謝しております。
有難うございます。
2014/7/30(水) 午前 0:06
穏やかで、周りの人も安らげる死ですね・・・。
不あがりさんの理想とするものでしょう・・・。
私も、たまにですが、多少は考えたり、願ったりします。(笑)
2014/7/30(水) 午前 8:36
アアイアウ様へ
私の理想的な逝き方です。こんな逝き方が出来ればと強く願っております。人生そう上手くは行かないものですが。この最後の最後でこれが叶ったら何もいう事はありません。ナイス&コメント有難うございます。
2014/7/30(水) 午後 2:29
次郎長様へ
ナイスを頂き感謝しております。
有難うございます。
2014/7/31(木) 午後 3:42