不あがり

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不可思議な小説

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久しぶりに会う


久しぶりに会う

久しぶりに親友の家を訪ねる。
二年ぶりになるだろうか。

私の悪い癖でアイツには何の連絡もしないで来た。
まあ居なければ帰れば良い。

そしてドアホーンを押す。
驚いた事に女性の声がした。

アレ!?と表札を見たが間違いない。
『私、〜という者ですが』
『〜君居ますでしょうか』

『お久しぶり。〜君、覚えている?』
『!?』

『そうよね』
『もうアナタとお会いしたのは』

『数十年前ですものね』
『〜です。こんなおばあちゃんになっちゃったけど』

『ああ!これはお久しぶりです』
『でも何で?』

『あのね、私はバツイチなの』
『でもね。あの人がどうしてもって』

『言ってくれたものだから』
『ああ、アイツ喜んでいるでしょう』

『アイツは?』
『それがね。お酒を飲んでいたら・・』

『肝試しに行くって・・』
『私を誘ったけど。私は苦手なの』

『どこですか』
『本山って言ってたわ』

『あっ!俺が連れて帰って来ます』
『悪いわね』

『いやそんな事ないですよ』と
私は本山に向かった。

アイツが肝試しね。
怖がりだった筈だけど。
何を考えてんだ。
奥さんを置いて。
と私は独り事を言って歩いた。

本山と軽く言ってもここは大きい。
安請け合いをした物だと後悔した。

暗い。
実は私はアイツよりもっと苦手なのである。
とにかく言ったからには行く。

参道を歩く。何も無い。
おそらく墓の方に行っている筈だ。

見つかるだろうか不安がよぎる。
耳を澄ますと何やら声がする。

その声の方に向かって行った。
その張りのある声を聞いてホッとした。ヤツである。
何やら墓の前に座って嬉しそうに話している。

『おい、帰るぞ』と肩を叩くと。

『おお、お前どうして?』
『お前に会いに来たんだよ』

『ホントか』
『ああ』

『皆さん、大変申し訳ないですが』
『これ俺の親友でして』

『ここで失礼させて頂きます』
『御免なさいね』

『皆さん、ごゆっくり』
と立ち上がった。

『珍しく酔っているな』
『俺だって飲みたい時があるさ』

『何を言っているんだ』
『お前を待っている人が居るだろう』

『何をバカな事言っている』
『俺は天涯孤独の身だ』

『じゃあ、今家にいる人は誰なんだ』
『今何て言った!』

『家に居る人だよ』
『バカ言っているんじゃねえ』

『この数十年独りだ』
『誰かに会っているのか』

『ああ、今お前の家に行って』
『お前の奥さんと話してきた』

ヤツはいきなり肩を掴み。
『ホントか!』
『こんな事冗談で言えるか』

『ヤバイ、泥棒だ』
急に足取りがシッカリして来た。

『お前、あまり酔っていないな』
『酔っている場合では無い』

『車、車』と
参道を足早に出るとタクシーを止めた。
そして家に向かった。

家に着くと
『悪い。金払って置いてくれ』と
玄関に向かった。

その後を私が追う。
カギを開けると。

『アレ!?』
同時に声が出た。

そしてヤツは飛び込んだ。
私は驚きながら後についた。

『おい。誰もいないぞ』
『ああ、確かに』

『お前よ。悪い冗談止めろ』
『いや俺も驚いている』

『さっきの玄関口と違う』
『え!?お前何を言っている』

『いやさっき奥さんが出て来た時と違う』
『だから奥さんなんて居ない』

『どんな女だ』

私は先ほどの話をヤツにした。

『俺はあの女に振られてから・・』
『一度も会っていないし』

『あの女がどうなったかも知らない』
『ストーカーじゃないしな』

『じゃあ、あの女というか』
『女性は誰だったのか』

『そんな事知る訳が無いだろう』
『取りあえず泥棒で無くて良かったけどよ』

『じゃあ、お前、何で肝試し行った』

『肝試しなんて俺はしていない』
『たまたま食事をしている所で』

『知り合った人たちと話していただけだ』
『そこへお前が来た』

『お前!あそこは本山の墓の中だぞ』
『恐ろしい事言うな』

『俺はそんな所に行っていない』
『覚えていないのか』

『お前、誰かの墓石の前に座っていたんだぞ』
『独り事言って』

『え!?』
ヤツの顔色が変わった。



そして
『冷静に考えよう』
『先ずお前が俺の家に来て女と会った』

『そこで俺の行き先を聞いて』
『俺を墓まで探しに来た』

『俺はそこでお前に』
『この場合助けられたという事だな』

じゃあ、お前の会った女は誰なんだ』
『いやだからそれはお前の元彼女だ』

『それが判らない』
『何でその女が俺の家にいる』

『俺は振られてから何の連絡も貰っていない』
二人は考え込んだ。




私はこの場から逃げたいと思った。
それを察したのか。

『お前逃げんなよ』
『一晩付き合え』

『酒も用意する』
ヤツと二人で隣りのコンビニに行き。
酒と肴を買って来た。
ヤツはコーヒーを買って飲んだ。

私は怖さを忘れるために酒を煽った。



一晩明けて朝早くヤツは私を起こした。

『昨日の墓の場所覚えているか』
『ああ』

『そこへ行ってみよう』

『何で』

『まあ良いから』
『その場所へ案内してくれ』


本山に入りその道を辿ると
昨日の夜、
良くこんな所までコイツを探したと驚いた。


『そこだよ』と指差した。

『バツイチって言っていたよな』
『ああ』

『やっぱりな』
『あの女の名前覚えているか』

『いや全く』
『俺は正確に覚えている』

『惚れてたからな』と
寂しそうに言った。

『バツイチは本当だったようだ』
『あの女、実家に戻っていたようだ

『ここに名前が彫ってある』
『今年亡くなっている』

『・・・』
『先ず間違いないだろう』

『同姓同名って事もあるが』
『生年月日も同じだ・・』

『実はよ。俺と付き合っている頃』
『お前を見てよ』

『結婚するなら。〜君みたいな人としたい・・』

『そう言った事がある』
『本気だったんだな』


ヤツはコンビニ袋から何やら出した。
線香とライターだった。

『親父とお袋の時使ったあまりがよ』
『まだ沢山あってよ』

『お前、線香を上げてくれ』
『俺も上げる』

『ちょいと寂しいのは』
『俺に会いに来たのでは無く』

『お前に会いたかったんだな』
『まあ、理由は良いや』

『とにかく手を合わせよう』
『安らかに眠ってくれよ』

ヤツはそう言って線香を上げた。
私もそれに続いた。






この物語の続きが
『墓参り』となります。
お読み頂ければ幸いです。
有難うございます。


閉じる コメント(29)

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Say!様へ
有難いお言葉を頂き感謝に堪えません。人の想いって。死んでも残るのではと考えます。私は何というか。この世とあの世との境をどちらともつかない話を書いてみたいと思っています。今回はそれが少し成功したのかなと感じております。いつも感謝しております。ナイス&コメント有難うございます。

2015/8/25(火) 午後 9:21 不あがり

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森川天様へ
ナイスを頂き感謝しております。
有難うございます。

2015/8/25(火) 午後 9:22 不あがり

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ことじ様へ
ナイスを頂き感謝しております。
有難うございます。

2015/8/25(火) 午後 10:02 不あがり

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緑の森様へ
ナイスを頂き感謝しております。
有難うございます。

2015/8/26(水) 午前 0:50 不あがり

執筆お疲れ様です。
こうしたミステリアスもの(サスペンスともオカルトとは一線を画する)は特に状況描写が重要(読者をその場にいざなう大きな要素)と存じますが、貴兄は筆力にものを言わせ、そのハードルを楽に乗り越えられている。

この状態で、既に読者はストーリーに引き込まれ、先を知りたくなる。即ち、貴兄の状況描写を風景画に比喩するならば、「この山の先には一体何があるのか?」という想像力&期待感を鑑賞者(読者)に抱かせるものとなりましょう。そして読者をあっと言わせる結末、これはなかなかできるものではない。ゆえに、某はここに非凡さを見出しました。

まとめおかげ様できょうも結構な作品を拝読させて頂きました。執筆、掲載に感謝しております。ありがとうございます。MN(もちろんナイス)

2015/8/26(水) 午前 3:07 横町利郎

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ミック様へ
有難いお言葉を頂き感謝しております。私は先にも申し上げましたが。この世とあの世の境を描いてみたいという気持ちがあります。それが少しでも描けたのではと思う気がしております。いつも感謝しております。ナイス&コメント有難うございます。

2015/8/26(水) 午前 6:54 不あがり

世にも奇妙な話、で映像化できそうな怪談ですね❕

でも、なんだか心温まります。

2015/8/26(水) 午前 9:51 [ タカ ]

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タカ様へ
私にとってそのお言葉は最高の賛辞となります。感謝しております。
ナイス&コメント有難うございます。

2015/8/26(水) 午前 11:40 不あがり

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papa7159様へ
ナイスを頂き感謝しております。
有難うございます。

2015/8/26(水) 午前 11:42 不あがり

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yama様へ
ナイスを頂き感謝しております。
有難うございます。

2015/8/26(水) 午前 11:43 不あがり

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kico様へ
ナイスを頂き感謝しております。
有難うございます。

2015/8/26(水) 午後 0:24 不あがり

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どういう展開になるのか、はらはらしながら読み進みました!
ナイス!

2015/8/26(水) 午後 6:03 [ Dr.K ]

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Dr.K様へ
そのお言葉が私には最高の賛辞となります。凄く嬉しいです。感謝しております。ナイス&コメント有難うございます。

2015/8/26(水) 午後 6:15 不あがり

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こんばんは。
不上がりさんが、星新一が好みとおっしゃった理由がなんとなく分かる気がします。この先がどうなるのか、オチはどうなるのか、それを知りたくさせる話のテンポの良さは、その台詞にあるのでしょうね。
時々どちらの台詞か分からなくなる時もありますが、それを気にすることもなく先へ先へと読み進めさせるのは、台詞の全てに無駄がないからですかね。短い台詞だけで、的確に状況や感情の変化を感じ取らせるのは簡単なことではありませんよね。勉強になりました、ありがとうございました。

2015/8/26(水) 午後 10:24 [ じん ]

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じん様へ
有難いお言葉を頂き感謝しております。星新一氏の作品はじん様のお話で知った方です。でもあのような展開は好きです。私はセリフが展開して行かない時は止めます。実はこの話は前日にこの女との出会いの話を少し書いたのですが。その話が流れない。即止めました。彼等が上手く話してくれないと話が展開してくれません。その流れて書いております。ですから物語の展開も大筋は頭の中にありますが。殆んどのセリフは彼等に展開を任せます。ですから最後のセリフというか展開はその流れの中で出て来たものです。そんな感じで書いております。いつも感謝しております。ナイス&コメント有難うございます。

2015/8/26(水) 午後 11:00 不あがり

こんばんは。。
こういうお話って馬鹿にできないと思っています。。
世の不思議、科学では証明できない不思議な出来事って
ありますよね。
ゾクゾクじながら読ませて頂きました。
ありがとうございます。

2015/8/27(木) 午前 2:01 [ - ]

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しおん様へ
私はこの世とあの世の境の話を書けたらと願っております。ほんの少しのずれでその世界とが繋がる可能性がある。そんな気持ちがあります。この二人は同時に他の世界の人たちと別々に会っている訳です。人の想いは死んでも残る。そんな気がします。有難いお言葉に感謝しております。ナイス&コメント有難うございます。

2015/8/27(木) 午前 2:38 不あがり

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おはようございます。

夜に読んで朝も読みましたが、夜のほうが怖かった(笑)
よくぞお墓へ探しに行きましたよね・・・ものすごい想像しました!
もしかしたら墓でお友達が倒れているのでは?
余計な心配でした・・・
どんどん先へ読者を導いてくれるテンポ相変わらず冴えてますね!
8月も終わりに近くになり彼女も元の場所へ帰られ二人に思い出してもらって本望でしょうね。

2015/8/27(木) 午前 7:24 [ 和奴 ]

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和奴様へ
二度もお読み頂いたのですか。そこまでして読んで頂く事が有難いです。盆は過ぎましたが。何とかこの時期に間に合って良かったと思っております。テンポが良いですか。そのお言葉も有難いです。何か今日は良い日になりそうです。感謝しております。ナイス&コメント有難うございます。

2015/8/27(木) 午後 0:29 不あがり

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Pada様へ
ナイスを頂き感謝しております。
有難うございます。

2015/8/27(木) 午後 5:53 不あがり


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