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リチャード・マシスン。映画、激突の原作を読む。意外と面白い。日常を描いていながら。その日常を少し離れる。
スティーブン・スピルバークの出世作。
この映画を観て感激した私は珍しく原作を探して読んだ。
友人に『こんなの原作を読むまでも無いだろう』と
馬鹿にされたものである。が、しかしである。
この作家の作品、意外と面白い。
実は映画『激突』の脚本もこの人である。
このあたりスピルバークは賢い。
これは下手にプロの脚本家に
この原作を任せると人間を描こうとする。
それが無いから良い映画であり。
名作となった。
私はスピルバークで
この映画を超えた作品を観ていない。
この激突の原作は
ある中年の倦怠期を迎えた男が出張のため、
家を出る。その妻は見送りもしない。
長年連れ添うとそんなものではと物語は始まる。
そして何気なく、前のトラックを抜く。
しかし、それがこの男の悲劇の始まりとなる。
ここから何の理由も判らず執拗に
このトラックに追い立てられ
命を狙われる事になる。
そのトラックの運転手は何故そんな事をするのか。
運転手の事は殆ど描かれていない。
この追跡劇だけで展開する。
それは非日常の世界となる。
この作品は短編である。数本の作品がある。
例えば。
ある男が、気がつくと妻がいなくなる。
突然である。それも跡形も無く。痕跡すら無い。
何故なのか。この失踪は事件ではない。
そのあたりの描き方がありそうで無い。
あるいは
いつもイライラしている男が部屋に戻る。
すると何処からか物がその男の所に落ちてくる。
あるいはぶつかる。
しかし、ぶつかる所にあるものではない。
そしてそこにはその男しかいない。
では何なのか。それが判らない。
このマシスンという作家は
日常を描いていながら、ちょっとしたずれから、
非日常へと向かう描き方が上手い。
考えるとこんな作品書けると思うのだが。
それが描けない。
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