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再び、深夜食堂。クリームシチュー。これって太宰批判では。
この物語は寒い時期の話が多い。
寒くなるとクリームシチューが食べたくなる。
そして物語は始まる。ネタバレとなります。
店に編集者と作家と思われる二人の男が入って来る。
編集者はクリームシチュー。
作家は熱燗をコップで。
いきなり原稿を破り出す。
『何も破らなくても・・』
『これ捨てて』
『良いのかい?』
『こんな小説は載せられませんと言われました』
『ただの紙屑です』
『今時ホームレスの話が・・』
『俺には切実何だよ』
『俺の行く先だ』
『何を言っているのですか』
『ちゃんとホームがあるじゃないですか』
『ホームレスというのは帰る家の無い人の事です』
『自分で家に帰らないだけじゃないですか』
『曰く幸福な家庭は諸悪の本(もと)ってな』
そしてコップに酒を注いでいると。
胸の携帯がなる。
『どうしたんですか』
『いや時たま、女房が娘の写真を送ってくる』
『見せて下さいよ』
と言われ仕舞う。そして店を出る。
入れ替わりにキャバクラ譲と手を繋いだ
二人が入って来る。
『ああ、もしかしてこれクリームシチュー?』
『今帰った客が注文しなくてさ』
『ホント、食べて良い』
『どうぞ食べて』と
一緒の客が譲る。
気がつくと一晩明けていた。店で酔いつぶれていた。
女は
『朝か。着替えて大学行かなきゃ』
『働きすぎだろう』と
マスターに言われる。
『あのね。掌にホクロがあるのって珍しいでしょ』
『これを掴めると幸せが掴めるんだって』
『だけどね。お父さんが出てってから掴めなくなっちゃった』
『・・・』
何日か経ち。
開店前に人が入って来る。
キャバクラの子である。
リクルートスーツを着ている。
『どうしたの。その格好』
『就職内定!キャバクラは卒業。そして来年は大学卒業』
笑って帰って行った。
が、副業のキャバクラが
バレて内定を取り消される。
そんな時、作家の男はデリヘル嬢を注文する。
ドアをノックする音がする。
『悪い。風呂上りなんだ。そこで待っていてくれる』
とドアを開けて着替えに入る。
女は内定を取り消された子である。
書斎と思われる机の上に写真が乗っている。
それを見るなり。外へ逃げようとする。
『待ってよ。どうしたの。金払うからさ』
すると。
『判る!誰だか!』と振り返る。
娘である。
10年以上顔を見ていないが妻が携帯に送ってきた
娘の写真の女である。
思わず名前を呼ぶ。
『何をやっているのよ』
『いやデリヘル嬢の取材で・・』
『嘘つき』と罵る。
間が悪くなりマスターの店に二人で来る。
店には常連と編集者がいる。
『どうしたの。急にキャバクラ辞めちゃって』
『〜さん!金が無いのに何しているんですか』
『これ!俺の娘』
その言葉に驚き皆沈黙する。
そして出て行く。
『悪い、俺のせいだな』と
言ってタバコを咥えると。
『一本頂戴』
『お前!タバコ吸うのか』
『私の事。何にも知らないのね』
『今のお前を知ったらお母さん死んじゃうぞ』
『お父さんは死なないの』
『お母さんは何があってもお父さんの悪口を言わないの』
『嫌だったなあ』
『私はお母さんとは違う』
『お父さんとも違う』
『一人で生きて行くの』
『そんな私を認めてよ』と
言って店を出る。
この子はまだ就活をしている。
ある会社の面接を受ける。
『どうぞ、入って下さい』
顔を上げるとキャバクラの客だった。
慌てて席を立とうとする。
『待ってください。まだ面接は終わっていませんよ』
『以前、言えなかったのだけど』
『ホクロのある手にもう片方の手を重ねてご覧』
『ほら、掴めるでしょう』
『でもこれ、ずる』
『良いんだよ。幸せにも抜け道はあるんだよ』
『焦っちゃだめだよ』と
言われこの会社の契約社員となる。
それから暫くして
この子は父とマスターの店で
クリームシチューを注文する。
すると。
『マスターもう一つお願いします』
『何で!?』
妻が店に入って来る。
娘は驚くが二人は
『お久しぶり』と
いうだけである。
これ描かれていないが。
この男と妻はおそらく頻繁に連絡を取っている。
だから作品も書けないにのマンションに住んでおり。
女が抱きたい時にはデリヘル嬢を呼ぶ金も持っている。
妻は娘には内緒で金を送っていた事になる。
これ太宰治と同じである。
何の苦労も無い男が苦労話を書こうとして
自分を厳しい生活の場に置いて置きながら
実は本当の現実を知らない。
幸福な家庭は諸悪の本(もと)。
太宰の言葉である。
こんな言葉が出るだけ苦労していない。
この男もそうである。
ホームレスに憧れながらその小説を
書いているが実はその実態を知らない。
だから編集者にダメ出しをされるのである。
一番割を食ったのがこの娘である。
この娘はこの両親に見捨てられたのである。
だからキャバクラに勤めながら大学に行った。
しかし
それがバレて内定取り消し。
そしてデリヘル嬢になって行った。
それでもこの女は生きようとした。
太宰治のように上っ面の不幸では無い。
本当の不幸や辛酸を舐めながら生きて就職を決めたのである。
この娘は独り逞しく巣立って行くであろう。
そしてこの夫婦はいつまで経っても
苦労ごっこをして終わる。
もちろんこの男に売れる小説などは書ける筈も無い。
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