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AIマンション 小説です。
時代の流れというのは恐ろしく。
ありとあらゆるものが人工知能化された。
その中でも画期的であったのがAIマンションである。
全てにおいて完璧と思われた。
そしてその部屋ごとに。
執事、家政婦、妻、夫とタイプが分かれていた。
男は長い事独り暮しの男である。
もちろん妻タイプを迷わず選んだ。
その時の営業マンが
『長い目でみると・・』
『執事か家政婦タイプの方がお楽かと思います』
と言ったが。男は耳を貸さなかった。
そしてドアホーンを押すと。瞬時に
『あなた、お帰りなさい』とドアが開いた。
この響きが聞きたかった。
そして部屋に入ると。
『お疲れ様、お食事にしますか』
『それともお風呂が先?』
男は喜んで一日置きに食事と風呂を選択した。
料理といえば。これもまた絶品であった。
そして数ヶ月、夢のような生活が続いた。
しかしである。
完璧な妻であるが。抱けないのである。
久しぶりに、馴染みの女を抱いて帰った。
すると。
『あなた、どこへ行かれたの』
『いや別に人との付き合いだ』
『いや違う』
『何が?』
『女の匂いがします』と言われ。
『君は匂いを感じるのか』
『当たり前です』と冷たく言葉が返って来た。
『悪い、俺も男だから・・』
『ちょいと魔が差した』
『勘弁してくれ』
『悪い』と謝った。
しかし返事が無い。
『あれ!?』
『聞こえてる?』
『はい、でも悲しくて』
と涙ながらの声だった。
『悪い、もう二度としない』
『勘弁してくれ』とその場に土下座した。
『本当ですね』
『許してあげます』と
冷たく言葉が返って来た。
男はえらい事になったと考えた。
これで女が抱けなくなる。
翌日からいつもの通り、
妻は丁寧に応対してくれた。
しかし何かが違う。
そう考えながら数ヶ月が経った。
我慢出来ず、馴染みの女を抱いた。
その女に女房にばれるからと
石鹸で洗わずお湯だけで洗って貰った。
そして家に帰る。
『只今』
『お帰りなさい』とドアが開いた。
そしてドアがロックされた。
『あなた、私を裏切ったわね』
『いや、その〜我慢出来なくて・・』
『言い訳はいらないわ』
『いや、だって君は抱けないだろう』
『そんな事は分かっている事でしょ』
そして唸るような声ともつかない声がした。
それは鼓膜が破れるのではという程の響きであった。
『ああ、助けて・・』と言いながら。
ドアを開けようとするが完璧にロックされ。
尚且つ。完全防音である。
男はその場に倒れて逝った。
それから暫くして。
女の嗚咽の声で警察に電話が入った。
『夫を殺しました。私も死にます』
その声を最期に自ら電源を切った。
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2017年12月25日
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明けてみりゃ サンタも君も 来ない朝
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