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笑った日。 小説です。
日雇いの警備の仕事に就いて。
何年経っただろうか。
いつの間にか浅黒い肌となっていた。
毎日現場が違う。
明日の仕事を聞くと。
『東京の〜です』
『了解しました』と地図を受け取り。
場所を確認すると。
昔の仕事場に近い。
まあ、それもいい。
現場はホント近くであった。
夕方近くなると。
その仕事は終わった。
道具を仕舞って歩こうとすると。
黒塗りの車が俺の横を通過した。
そして停車した。
その車の
運転手が降りると丁寧に
後ろのドアを開けた。
縦縞のスーツを着た大きな男が降りた。
頭はオールバックにビシッと決めている。
髪の毛はグレーがかっていた。
その男は俺に向って。
『久しぶりだな』と笑った。
俺は笑わなかった。
一瞬でその男が分かった。
『〜君だろ』と訊ねた。
ジッとその男の顔を見た。
『まあ、硬くなるなよ』と笑って。
『おい、〜、降りろ』
『〜君だよ』と言うと。
ドアが開き、女が降りた。
『〜さん、お久しぶり』と笑った。
俺はニコリともしなかった。
『君はご執心だったからな・・』と笑い。
俺の顔を覗き込んだ。
『今、私の妻となってな』と笑った。
俺はそれに合わせてニヤリと笑った。
その瞬間、
思いっきり男の股間を蹴り上げた。
ウッと前のめりになったので。
顎にパンチを入れると。
俺の前に倒れた。
間髪入れずに、
運転手が三段式の警棒を
俺に振り下ろした。
それをかわして。
テンプルにパンチを入れると。
一瞬おいて倒れた。
その間、数秒である。
先に倒れた男の
うつ伏せになった肘を砕いた。
ウッと声を出した。
体を転がして逃げようとした。
それを見てもう片方の肘を砕く。
アッと声を上げた。
運転手を見たがまだ気絶している。
足の方に素早く歩き、
右左と膝を砕いた。
その度にアッとかウッとか声を上げた。
動かぬ足を蹴って股を開くと。
改めて股間を思いっきり蹴った。
何とも言えない声を上げたが。
蹴り続けた。蹴る度に上半身が跳ねた。
時間としては10秒と経っていない。
呆然と立ち尽くす女。
ああ、と女のような声を上げた。
もう片方の手の先も砕いた。
そして男の上に警棒を放った。 『じゃあな』
『久しぶりに笑わせて貰った』
一分少々の時間であった。
今日が仕事で良かった。
そして作業靴に感謝した。
奴はもう男では無くなった。
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2019年05月26日
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