サンタナ 遥か遠い昔のコンサート。1973年武道館。熱い夜だった。
サンタナを知ったのは、高校の時であった。
仲間がそのエロティックなジャケットの
衝撃的であった。このジャケットが。天の守護神。
確かそんな題名だった。ブラック・マジック・ウーマンで
ヒットしたアルバムである。
実際に演奏の映像を見たのは、映画、ウッドストックだった。
その長い髪の毛に髭を蓄え、目だけが異様に光っていたカルロス・サンタナ。そんな印象だけが残っていた。そのサンタナが日本に来るとの情報が入った。
チケットを買いに行くが既に売り切れだった。
次の店に探しに行く。
そこで武道館のアリーナではなく。
1階席のチケットを買うことが出来た(実際は2階席となる)。
二人分を買った。もちろん男。その男と話し合った。
この席は多分中央だが遠いだろう。
そこで双眼鏡を知り合いから借りて行く事にした。
これが結果役に立った。
その前にひとつ問題があった。サンタナそのものだった。
このグループはサンフランシスコの不良グループだと言われていた。
マリファナやコカインをやっていると噂があり。
入国できるかどうか非常に心配した。
ウッドストックでのあの目は尋常ではなかった。
その思いは徒労に終わった。
そこにいるのは別人のサンタナだった。
長い髪は短く刈られ、髭面だった顔には口髭だけが残され。
細身だが恐ろしくハンサムな男が立っていた。
白のTシャツに白のパンツ、それに白のコンバース。
驚かされた。
そして1分間の黙祷を捧げたあと。
静かにオルガンの音で始まった。
ゴーイングホーム。そして徐々に音が重なり。
3人のリズムセクション、
コンガ、ティンバル、ドラムが
このバンドを引っ張る。
そしてサンタナの切れの良いギターがそれに応える。
ギター、ベース、キーボード、そしてボーカルが
そのリズムに合わせて参加する。そんな感じの展開だった。
数曲が立て続けに流れる。決して休まない。
そして乾いた音が響く。
これは誰が叩いているのだろうかと。双眼鏡で見ると。
ドラムのマイケル・シュリープがドラムの腹を叩いているのだ。
それが何とも歯切れが良い。目が覚めるような感じだ。
サンタナは相変わらず参加はするが。前面に出ない。
とにかくリズムセクションが引っ張る。
そしてブラック・マジック・ウーマンが流れると
拍手が何処からとも無く起こる。ジプシークイン、
続いてオエコモバ(邦題僕のリズムを聞いとくれ)。
途切れが無い。
リズムセクションは乗りに乗っているのが判る。
それにつられるようにバンドも。そして我々も。息つく暇が無い。
何と表現したら良いのか。音が舞い。音に酔っている。
そして少し気だるさを覚える。それでもどんどん進む。
異様な雰囲気の中、時間は進む。
とにかく音が途切れる事が無い。
こんなコンサートは始めてだ。
1時間はとうに過ぎている。
そして2時間が過ぎた頃、演奏が終わる。
そしてアンコール。
サンバ・パティ(君に捧げるサンバ)。
サンタナのギターとキーボードが絡む。
もちろんリズムセクションは
正確に刻んでいる。最高潮に盛り上がり。
ギター音がフェイドアウトして終わる
そしてまたアンコールに応える。3度続いた。
陶酔感で言葉が出ない。
終わって欲しくないと心から思った。
3時間を越えるコンサートだった。
こんなコンサートは他に無い。
つい昨日のことのように思い出す。
このコンサートの模様が『ロータスの伝説』として発売されたが
この陶酔感はライブでなくては味わえない。
しかし私はこのアルバムがサンタナにとって
最高のアルバムだと思っている。それほど素晴らしい。
私は未だにこのアルバムを殆ど毎日聞いている。
私は寝る時にこのアルバムをかけながら寝る。
そのリズムに乗ると何故か眠りにつける。
と、ここで急に思い出したのであるが。
下記に8人編成と記してあるが。
実はこの中の一人は土壇場で連れて来た男だった。
プログラムには7人の名前しか載っていなかった。
人数が合わない。一人ひとり潰していくと。
ボーカルの男だった。
アルバムが発売されて。レオン・トーマスという男と判った。
それによると。アメリカを発ち。カナダにいたこの男を拾って
日本に来たという事だった。
そのためか、このアルバムには
この男の歌った曲は(ブラック・マジック・ウーマン以外)
殆ど削除されていた。その経緯は未だに判らない。
8人編成。
ギター カルロス・サンタナ
ドラム マイケル・シュリープ
ティンバル ホセ・チェピート・アリアス(この人が素晴らしかった。このコンサートはこの人が率いていた。)
コンガ アルマンド・ペラッツア
ボーカル レオン・トーマス
キーボード トム・コスター
キーボード リチャード・カーモード
ベース ダグ・ローチ