不あがり

只今、体調不良によりコメント欄を閉じておりますが。何かございましたら。ゲストブックにご連絡お願いします。

小説

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索

全3ページ

[1] [2] [3]

[ 次のページ ]

笑った日。


笑った日。                    小説です。

日雇いの警備の仕事に就いて

何年経っただろうか。

いつの間にか浅黒い肌となっていた。

毎日現場が違う。
明日の仕事を聞くと。

『東京の〜です』
『了解しました』と地図を受け取り。

場所を確認すると。
昔の仕事場に近い。

まあ、それもいい。
現場はホント近くであった。

夕方近くなると。
その仕事は終わった。

道具を仕舞って歩こうとすると。
黒塗りの車が俺の横を通過した。
そして停車した。

その車の
運転手が降りると丁寧に
後ろのドアを開けた。

縦縞のスーツを着た大きな男が降りた。
頭はオールバックにビシッと決めている。
髪の毛はグレーがかっていた。

その男は俺に向って。
『久しぶりだな』と笑った。

俺は笑わなかった。
一瞬でその男が分かった。

『〜君だろ』と訊ねた。

ジッとその男の顔を見た。

『まあ、硬くなるなよ』と笑って。

『おい、〜、降りろ』

『〜君だよ』と言うと。

ドアが開き、女が降りた。

『〜さん、お久しぶり』と笑った。

俺はニコリともしなかった。



『君はご執心だったからな・・』と笑い。

俺の顔を覗き込んだ。

『今、私の妻となってな』と笑った。

俺はそれに合わせてニヤリと笑った。


女と運転手まで笑った。

その瞬間、
思いっきり男の股間を蹴り上げた。
ウッと前のめりになったので。

顎にパンチを入れると。
俺の前に倒れた。

間髪入れずに、
運転手が三段式の警棒を
俺に振り下ろした。

それをかわして。
テンプルにパンチを入れると。
一瞬おいて倒れた。


警棒を取り上げた。

その間、数秒である。

先に倒れた男の
うつ伏せになった肘を砕いた。
ウッと声を出した。

体を転がして逃げようとした。
それを見てもう片方の肘を砕く。
アッと声を上げた。

運転手を見たがまだ気絶している。

足の方に素早く歩き、
右左と膝を砕いた。

その度にアッとかウッとか声を上げた。

動かぬ足を蹴って股を開くと。
改めて股間を思いっきり蹴った。
何とも言えない声を上げたが。
蹴り続けた。蹴る度に上半身が跳ねた。

時間としては10秒と経っていない。

呆然と立ち尽くす女。



手の先を砕いた。
ああ、と女のような声を上げた。


『こんなもん、運転手に持たせるな』

もう片方の手の先も砕いた。
そして男の上に警棒を放った。


『じゃあな』
『久しぶりに笑わせて貰った』

一分少々の時間であった。


今日が仕事で良かった。

そして作業靴に感謝した。

奴はもう男では無くなった。



出会いと別れ

出会いと別れ              短編小説です。

冬を迎えようとしている
夜中の12時を回った頃。

男は駅前の牛丼店にいた。

『ああ、美味かった。ご馳走様、有難う』と
楊枝を取り、奥のカウンターを立った。

『有難うございます』
と店員の声に
『どうも』と答えながら。

長い通路で三度言った。
その先に女が席を立とうとする姿が見えたが。

何も気にする事無く外へ出た。
とその時。

『〜さんですよね』と
その女が声をかけた。

楊枝を銜えた口で
『誰!?』とジッとその女の顔を見た。

『私、〜です』
『憶えておりませんか』

その声にまたジッと見る。
『人違いだ。悪い』と歩き出すと。

その後を追って。
『憶えてないですか』と繰り返す。

『あんた誰?』
『ですから、先程申し上げた・・』

『それより、何で俺に声をかける』
『それに今何時だと思っている』

『ナンパじゃないよな』
『いえ!』

『私はその昔、あなたとお付合いさせて貰った・・』
『俺と?』と口が笑った。

『はい』
『面白い事を言うな』

『何年前の話だ』
『ですから・・』と過去の話をし出した。

『ちょっと待ってくれ』
『こんな所で個人情報の垂れ流しは困る』

『いえ、でも』
『いえ、でもも無い』

『アンタ見る所、堅気の女性だよな』
『はい』

『この場所が今どんな状況か分っているのか』
と言うと。

ポカンという顔をしている女が男の顔を見る。

『この辺りはこの時間になると別世界だ』
『サッサと帰る事だな』

『と言って、帰る電車もバスも無くなっているか』

肩をそっと抱くようにして。
タクシー乗り場の方に歩いた。

小声で
『今は俺と話しているから安全だ』
『これで帰る事だ』と言って。

タクシーの前に立った。
ドアが開くと
『運転手さん、お客さんだ』
『所でアンタどこに住んでいる』

『〜です』


シャツの胸ポケットから金を出す。
二千円ある。

『運転手さん』
『そこまでこれで足りるか』

『はい!十分です』
『有難う』

『アンタ、これで無事に帰る事が出来る』
『じゃあ、気をつけて』とドアを閉めた。

タクシーに乗った女は
後ろを振り返ったが。

男は何事も無かったように
歩いて行った。


睡眠薬


睡眠薬                             超短編小説です。

毎月行く心療内科であるが。
どうも最近誘眠剤だけでは寝られない。

いつも薬だけ貰っていた私であるが。
久しぶりに診察を受けて睡眠薬を貰おうと思った。

待合室の椅子に座る。
この雰囲気が好きでは無い。
周りを見ると皆病人に見える。
当然である。ここは病院である。

私の前の椅子に座っている
初老の女性が少し気になった。

その俯き加減、小柄な体形、
どこかで見た事がある。

そして私の視線を感じて
顔を上げた時確信した。
間違い無い。

少し立ち上がりながら
『あの〜、もしかして〜さん?』
『はい、旧姓ですが』

『どちら様で』
と私の顔を見た。

その声も間違い無い。
私の名前を言うが。反応が無い。

『憶えておられませんか』
『ゴメンナサイ』

『スッカリ物覚えが悪くなりまして』
『いや、私はアナタの同級の男です』
と誤魔化した。

そして隣の席に座った。

『ああ、そうですか。ゴメンナサイね』

『所でどうなさいました』
『お恥ずかしい話ですが』

『主人が亡くなりましてね』
『それ以来、どうも落ち込みが酷くて・・』

『ああ、それはお気の毒に・・』

そのあと堰を切ったようにご主人の事を話し出した。
まるで私が心療内科の医師であるかのように。

私はそれにひたすら相槌を打ち。
れは大変でしたね。と繰り返した。

一頻り話すと。
彼女の診察の番になり席を立った。

『有難うございます。少し気が楽になりました』
と言って診察室に入った。

暫くすると入れ替わりに私が呼ばれた。

私は医者にこれまでの事を話し。
眠れないので睡眠薬を頂きたいと話した。
一つだけ言うのを止めて。

診察室を出ると当然の事ながら彼女は消えていた。


私が長年この女性の事を
想い続けて独りでいた事を知る由も無く。

というより
彼女は私の事はスッカリ忘れていた。
記憶の片隅にも無かった事が解った。

今日から飲む睡眠薬が手放せなくなるなと感じた。



注・
只今、体調不良のためコメント欄を閉じさせて頂きます。
何かございましたら。ゲストブックにお願いします。


久しぶりに小説を書いてみました。
フィクションです。お読み頂ければ幸いです。



メリー・クリスマス そしてクラッカー

男が入院して数ヶ月になる。
脳梗塞であった。

数日間の昏睡状態から目覚めた男は
どこも悪くないように思われた。

『あなた、気分はどう?』
『大分、寝ちゃったね』
と女が笑った。

『あなたは誰ですか』
『どこかで見た事があるが』

そばにいた医者が
『奥様ですよ』
『いや私は結婚しておりません』

『何を仰るのですか』
『いや本当です』

『判りました。少し寝ましょうね』
と言って。
その妻を連れて病室を出た。

『奥さん、ご主人は意識障害を起しているようです』
『と言いますと』

『脳に少なからずダメージを起した訳です』
『記憶が途切れる』
『或は忘れ去る事があります』

『私の事を思い出せないという事ですか』
『考えられます』

『ただこれが一時的な事』
『或は永久的な事になるかは判りません』

『ただ、希望を捨てないで下さいね』
『心療内科医を呼んで聞いてみましょう』

それから一週間が経った。
相変わらず男は妻に対して余所余所しい。

そして
『どこかであなたを見たと思うのだが・・』
『もしかして〜さん』
と女の旧姓を呼んだ。

『はい!でも今はあなたの妻ですよ』
『いや、それは無い』

『あなたは俺を捨てたじゃないですか』
『思い出したよ』

『上司と二股かけて』
『アイツを取った』

『それが今、どうしてここにいる!』
『あなた、それは誤解よ』

『確かに私は〜さんともお付き合いがありました』
『でも私はあなたを選んだの』

『それは無いぜ』
『この通り私は独り者だ』

『いや、私はあなたの妻です』
押し問答である。

『帰ってくれ』
『同情はゴメンだ』
と男は強く女に言った。


心療内科医に相談する。

『奥さん、立ち入った事をお聞きしますが』
『そのご主人が言った方とはどういうご関係ですか』

『お話出来る限りで結構ですが』
『実はですね。私はとんでも無い女でして』

『上司と不倫関係にありました』
『その時に今の主人と出会います』

『一度は主人と別れたのです』
『私がバカだったもので・・』

『初めての男でしたので別れられなかった・・』
『上司は不倫関係がバレると私を捨てました』

『そして勝手な私は主人の元へ縋ったのです』
『主人は私を許してくれて』

『二人でその会社を辞めて』
『新しく出直して今の生活があります』

『私はそれ以来・・』
『主人以外の人とはお付合いありません』

『今思うと凄く恥ずかしい事で』
『どうしてあんな事になったのか』
『それを後悔しております』
と泣き出した。


『奥さん、ご主人はおそらくですが』
『あなたに捨てられた時の記憶だけが』
『蘇っているのだと思います』

『ご主人はこの数十年』
『胸の内に仕舞ってあった記憶が』
『強く出てしまったと思います』

『今のご主人はその当時の記憶しかない』
『それって回復するものなのですか』

『いや、それは判りません』
『何かのきっかけがあれば』
と医者は考え込んだ。

『ただですね。あなたを本気で嫌っている訳では無い』
『嫌だったら。私たちにあなたを追い出して欲しいと言う筈です』

『どうでしょう。新たなあなたのアプローチがあればと思うのですが』
『と言いますと』

『いやですからですね』

『ご主人はあなたに捨てられた所で』
『記憶が途絶えている』

『奥様がその途絶えた先を繋げればと思うのですが』
『如何でしょう』

『・・・』
『ですからね。昔のあなたに戻れば良いのですよ』

『あなたが不倫相手に捨てられた時』
『どう行動を取ったかです』

『ご主人はあなたに捨てられたままとなっているからです』
『あなたの愛情次第で記憶が戻る気が私はするのですが』



女はそれ以来、夫に付かず離れず
一緒に話をしたり病院の庭を歩いていたりした。

男は相変わらずよその女性と話をしている風ではあるが。
少しずつ打ち解けて来た。

しかし呼び名は以前として旧姓〜さんであった。

数ヶ月が経った。
もうその年が終わりを告げようとしている12月。
女が病室内にクリスマスの飾りをつけようとした。

男は
『ここは病院ですよ』
『だってクリスマスツリーだって飾られているじゃないですか』

『まあそうだけど。良い歳をして恥ずかしい』
『私はあまり好きでは無い』

『良い事なんか無い』
『でも良いじゃないですか』

『楽しみましょう』
『はい!これクリスマスプレゼント!』

『私に!?照れるな』
と嬉しそうに受け取った。

その箱を男が開けずに何だろうという顔をしていると。

『メリー・クリスマス!!』
と女が言って。

クラッカーを鳴らした。

一瞬驚いた顔をした男は
『あんたはいつもそうだな』
『ここは病院ですよ。ホント大人げ無いんだから・・』

『君の悪い癖だ』
と怒った。

それを聞いた女は。
ハッとした顔をして涙を流した。

『ゴメン!泣かないでくれよ』
『俺は嬉しいよ。でもねここは病院だからね』

『他の人の迷惑になるだろう』
『有難うね。泣くなよ』
『頼む、俺が悪かった』

そこへ音で駆けつけた看護婦と医者が

『困りますよ。ここは病院ですよ』
『いや、妻がおっちょこちょいなものでして・・』

『ホント申し訳ない・・』
と男が謝った。

女は顔を崩して泣いた。




コメント欄を開けましたが
まだかなり体が弱っております
スミマセン。言い訳をしております(笑)。
リコメが遅れるかと思います。
何卒お許し下さい。



再び、俺じゃ無い

この物語は『俺じゃ無い』の続きとなります。
お読み頂ければ幸いです。
有難うございます。




再び、俺じゃ無い

どうも最近イライラが治まらない。
女を抱きに行くかと電話を取る。

『あ、どうも。〜だけど』
『女の子いるかな』

『〜様、いつもお世話になっております』
『もちろんですよ』

『ご指名は』
『いやオタクに任せる』

『お時間は・・』
『さようでございますか』
『かしこまりました。お待ちしております』

そう決まったからには
先ず体を洗わないといけないと。
風呂に入る。

嫌われないように体の汚れと加齢臭を取る。


電車で五つほど乗ればそこに着く。
会社帰りの人間と混じりながら降りる。
左に行くと野球場があるが。

その反対を歩いて行く。
殆んど俺と同じ方向に歩くヤツはいない。
これが良い。

暫くすると
その場所だけ明るくなっている。
いつもの場所に着き階段を登ると。

『いらっしゃいませ』
『お時間ピッタリですね』

『即ご用意できますが』
『じゃあ、お願い』

『ではどうぞ』と
案内された先に女が立っていた。

サングラス越しに
『(!?)』
思ったが

『宜しく』
『いらっしゃいませ』

『どうぞ、こちらへ』と
小さな部屋に案内される。

『〜です。宜しくお願いします』
『こちらこそ』
服を脱ぎながら世間話をする。

二人とも裸になり。
体を洗って貰う。

『良い臭い』
『有難う』

体を拭いてもらい。
ベッドに行く。
後はやる事は決まっている。

しかし
これが初めての出会いとは思えないほど
女が燃えている。
これに驚いた。

そして
『先日は有難うございます』と
丁寧に礼を言う。

『!?』
『お忘れですか』

『私を助けてくれたじゃないですか』
『俺じゃ無い』

『嘘!』
『私を見た時に気づかれましたよね』

『いや』
『ゴメンなさい』

『ただ、嬉しかったの』
『また、お会い出来て』

『人違いでも』
『そう言って貰うと嬉しい』


女は少し笑いながら
『また来て頂けます』
『それが俺への前ふりか』

『いえ、また来て頂きたいだけです』
『先ほどの事はお忘れになって』

『そう言って貰うと有難い』


『また来るよ』
『ホント!』

『ああ』
『これ、アタシの出勤日』と
名刺を渡された。


階段を下りてタバコに火を点ける。
一息吸って。

『人の出会いとは判らないものだ』
と呟いた。



全3ページ

[1] [2] [3]

[ 次のページ ]


よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

話題の新商品が今だけもらえる!
ジュレームアミノ シュープリーム
プレゼントキャンペーン
ふるさと納税サイト『さとふる』
実質2000円で特産品がお手元に
11/30までキャンペーン実施中!

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事