不あがり

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不可思議な小説

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夢を見る

夢を見る
 
 
思わず隣に寝ている家内を起こす。
 
『どうしたの?』
『夜中よ』
 
『判っている』
『悪いおかしな夢を見た』
 
『何!それ』
『そんな事で起こさないでよ』
 
『いや、だけど』
『アイツが死んだらしい』
 
『何をバカな事を言っているの』
『いや、今、アイツの妻というのが出て来て』
 
『アイツが死んだと言われた』
『アンタ、そんな事信じるの』
 
『だけど。ホントのようだ』
『何で?』
 
『あの人、独身でしょ』
『ああ、でもホントらしい』
 
 
この馬鹿げた話に
家内はスッカリ目を覚ました。
 
『もう良いわ』
『目が覚めた』
 
『どんな夢よ』
『今いる俺たちの所に女が現れた』
 
『じゃあ、アタシは』
『お前は今と同じで寝ていた』
 
『え!?』
 
『その女が俺を起こして』
『お休みの所スミマセン』
 
『〜さんが。今息を引き取りました』
『アンタ誰?』
 
『私はあの人の前世の妻でございます』
『ただ今世では出会う事はありませんでした』
 
『ですから彼にしか私は見えません』
『じゃあ、何で今俺に見える』
 
『ですからアナタ様の夢の中に出てきました』
『あの人の亡骸をこのままにする訳にはいきません』
 
『アナタ様におすがりする以外無いのです』
『そう言って消えて行った』
 
 
 
『アンタ、即電話して』
『誰に?』
 
『あの人に決まっているでしょ』
『こんな夜中だぜ』
 
『どうせいつも留守電でしょ』
『とにかく連絡を取って』
 
『確かに』
 
私は電話を取り連絡した。
 
留守電に
『連絡をくれ』と
だけ入れた。
 
 
気になって寝られない。
夜が明ける。
 
 
結局連絡が無い。
『悪い。俺、今日仕事休む』
『気になって仕事所では無い』
 
『その前にもう一度電話を入れて』
『おお、そうだな』
 
電話を入れるが応答が無い。
同じメッセージを入れる。
 
 
とりあえず
朝食を取りアイツの家に向かった。
 
私の家は東京である。
 
アイツの家まで1時間はかかる。
 
 
午前7時半に家に辿り着く。
 
こんな早く来るのは初めてである。
ノックをしたが返事が無い。
 
天蓋孤独のこの男の緊急連絡先が私であり。
ドアの鍵もこの男から預かっている。
 
鍵を取り出して開け様とするが。
手が震える。
 
ドアを開けるが人の気配が無い。
 
『おい。俺だ!入るぞ』と
言って上る。
 
細い廊下を通って奥の部屋を覗くと。
 
アイツが寝ていた。
 
いや眠っているように死んでいた。
 
正夢となった。
 
 
枕元の電話は
留守電が入った事を知らせるランプが点いていた。
 
 
携帯を取り、先ず家内に連絡をする。
 
『どうだった』
『ダメだった』
 
『じゃあ、即警察に連絡して』
『どこの?』
 
『110番で良いのよ』
『しっかりして』
 
『ああ、判った』
 
部屋の電気を点けてから110番をした。
 
 
 
警察の対応は早かった。
あっという間に来て。
 
私は外へ出されて事情聴取となった。
 
 
昨晩の事も一応話した。
『そんな事があるんですかね』と驚いていた。
 
家内に連絡して良いかと尋ねると
もちろんと言われたので。
 
連絡すると。
もうこちらに向かう準備をしていた。
 
家内が到着すると警察から同じく事情聴取も行われた。
 
 
 
警察が不思議がるのは
死亡推定時刻が私が夢を見た時間と
殆んど一致する事であった。
 
 
警察では
『アナタに知らせたかったのでしょうね』と
言っていた。
 
 
 
慌しい数日が過ぎた。
 
 
 
家に戻り寝ていると。
今度は二人が夢に出て来た。
 
『悪いな驚かしてしまって』
『俺の家内とは・・』
 
『初めて会ったのに』
『良く来てくれたな』
 
『感謝している』と
深々と頭を下げた。
 
 
『家内も言ったと思うが』
『今世では一緒になる事は無かった』
 
『だけど死ぬまで一緒にいてくれたんだ』
『だから俺は苦しんでいない』
 
『ああ、お前の顔を見て判ったよ』
『良い奥さんに恵まれたな』
 
『お前もな』と笑った。
 
 
 
翌朝、
家内にその話をすると。
 
『アタシ隣にいたじゃない』
『丁寧に挨拶されたしさ・・』
 
『同じ夢を見ていたという事か』
『不思議だな』
 
『ホント不思議』
『誰も信じてはくれないと思うけど』
 
『でもあの人幸せそうだったわよね』
『ああ、それが救いだな』
 
『有難うな。世話をかけて・・』
『いいえ』
軽く首を振った。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

ゆっくり休めよ

ゆっくり休めよ
 
 
毎日がPCとの睨めっこである。
一体何十時間俺はコイツを相手にしているのか。
 
家に帰って寝る暇も無い。
先日。お陰で倒れた。
 
担ぎ込まれた医者が言うには。
過労と軽いうつ病だと。
 
これで軽いのかよ。
じゃあ、うつ病になったら
どんなになるっていうんだ。
 
復帰して薬を飲みながら仕事をしているが。
何の変化も無い。
 
逆に元気になった。
これを躁状態というのか。
 
最近あまり疲れを感じなくなった。
 
しかし
今度はPCが俺の流れについて来ない。
やっとこっちが乗って来たのに。
勘弁してくれよな。
 
何!今送ったファイルが消えている。
頭に来る。もう一度打ち直しかよ。
 
まあ良い。こっちは体全開だ。
 
いくらでも来いっていうもんだ。
それにしてもPCの調子がおかしい。
コイツがうつ病じゃないのか。
 
まあコンピューターウィルスがあるくらいだから。
PC鬱なんて事があっても不思議では無い。
 
あれ!今度は俺が書いて送った物が
どんどん削除されている。
 
これは完全におかしい。
再起動するしかない。
 
ああ、これでまた時間を取られた。
 
暫くしてIDの要求がある。
 
IDを打ち込むと。ID無効だと。
これは完全におかしい。
 
俺はここにいるし。
毎日ここに常駐だ。
住んでいるようなもんだ。
 
再起動するが反応が無い。
明らかにおかしい。
 
 
するとドアが開く。
 
エンジニアの連中だ。
 
『ああ、これ完璧におかしい・・』と
振り返ると。
 
一人の男が
俺の椅子を蹴った。
壁に叩きつけられる。
 
『誰もいないのに何で動いているんだ』
『引っこ抜け』
 
『この男で何人目だ』
『知らねえ』
 
『過労死だってよ』
この机に突っ伏してあの世行きか』
 
『可哀想にな』
 
『あの世でゆっくり休めよ』と
電源を抜いた。
 
 
 
 
 
 
 

惹きつけられる

惹きつけられる
 
 
その店は
裏通りのまたその脇道の奥に在った。
 
友人に馴染みの店と誘われた。
 
何とも郷愁を誘う店であった。
そのドアを開けると薄暗い店の中で
ホワリと浮かぶというか。
 
ポーッと蝋燭の炎に
浮かびだされたような美しい女が立っていた。
 
この世の者とは思えなかった。
 
惹きつけられるのである。
 
昔私が恋焦がれた女のようでもあり。
歳を忘れるようなときめきがあった。
 
 
その女は
私より馴染みの友人を歓待した。
 
少し置いていかれたなと寂しい思いで
その二人のやり取りを見ていた。
 
 
 
私が覚えているのはそこまでである。
その美しい女の顔もどんな女だったと
いわれても思い出せない。
 
しかし美しい女だった。
 
 
 
気がつくと私は床の中にいた。
どうやって帰って来たのかも覚えていない。
 
そして
その眠りから醒めたのが
数日経ってからであった。
 
あれは現実にあった事なのだろうかとも思った。
 
そして
その店を頭の中で道順を考えた。
そんな所に店が在ったかであった。
 
やはりあれは夢だったのか。
 
 
そしてまた数日が経った。
 
友人が死んだとの連絡があった。
それも外で倒れていたという事である。
 
当然不審死という事で警察が訪ねて来る。
 
最後に会ったのは何時なのか。
それを話すのだが。
 
答えは
『そんな所に店は無い』
 
となると私はやはり夢を見ていたのか。
 
友人の死因はというと衰弱死であった。
 
私は
『それはおかしい』
『彼は私より丈夫で・・』
『健康そのもの・・』
 
警察の方は
『あの衰弱しきった体でどうしてそんな事が言える』
と切り返す。
 
『そんなバカな』と
反論する。
 
すると
『ご確認頂けますか』
 
『もちろん』と
警察の方に同行する。
 
 
こで眠っていた友人を見ると言葉を失った。
 
明らかに衰弱しており。
これで歩いたのかと思われるほど痩せ細っていた。
 
最初は別人かと思うほどであった。
 
 
その死んでいた場所を訪ねる事にした。
途中までは夢と同じ道であった。
 
その場所は確かにあった。
それは脇道を奥に入った空き地であった。
ほんの小さな所である。
 
何となくここだったなとは思うのだが。
それがハッキリしない。
 
 
『ここに店が在った気がする』
 
 
『それは無い』
 
『大昔。ここに店は在ったが』
 
『今は更地となって・・』
 
 
ではあれは何だったのか。
 
 
ここを訪ねた友人がいた筈である。
 
馴染みであったとすれば。
一日や二日ではない。
 
あの女に魅入られて・・
 
 
しかし警察はそれ以上介入する事は無かった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

幸せな家庭

幸せな家庭
 
 
警察に血相を変えた男が飛び込んで来た。
かなり興奮している。
 
『家族がいなくなった』
落ち着いて下さい』
 
『これが落ち着いていられるか』
『お気持ちは良く判ります』
 
『ご事情をお聞かせ下さい』
『まあこちらにお座り下さい』と
席を勧める。
 
『申し訳ございません』
『今出張から帰って来た所なのですが
 
『妻と娘の姿が無い』
『どこかへ出かけたとか』
 
『いや、一切合財が無くなっている』
『失礼ですが。ご夫婦関係が悪いとかは』
 
『いやそれは無い』
『とにかく今帰って来たら』
 
『妻も娘も忽然と消えている』
『服も家具も何もかも』
 
『こんな事があるのかと思うほど』
『落ち着いて下さい』
 
まるで存在しないかのようなのです』
『私の家は3LDKとなっております』
 
『私と妻の部屋』
『そして娘の部屋』
 
『もうひと部屋は今使わなくなった家財道具』
『それが全く無い』
 
『ご家族のお写真とかは』
『アルバムも消えている』
 
『ではアナタと奥様などのお写真をお持ちで・・』
『いやチョット待って下さい』と
言って定期入れのような物を出した。
 
 
『アレ!?』
『無い!妻と私が映っている写真が無い』
 
『落ち着いて下さい』
『あ!これがあった』
 
『これはお子様のですか』
『いや妻が小さい頃の写真です』
 
『娘も良く似ている』
『何でこの写真だけあるのか』
 
『それがおかしい』
『とにかく私の妻と娘に関する物が無くなっている』と
頭を抱えた。
 
 
『いえ、あったじゃないですか』
『このお写真少しお借りして宜しいですか』
 
『ああ、もちろん』
『奥様のご親族とかはおられますか』
 
『ああ、いる』
『だけど私たちの結婚に反対してね』
 
『妻がそれを振り切って私の所に来た』
『だからそれ以来連絡も取っていない』
 
『じゃあご連絡先が判らないと』
『はい、義理の母に対しては』
 
『本当に申し訳無いと思っているのですが』
『妻が私は実家を捨ててアナタの所に嫁いで来た』
 
『だから私には実家は無いのよと言われまして』
『ああ、そんなご事情がありましたか』
 
『判りました』
『それはこちらで調べさせて頂きます』と
刑事が席を立った。
 
 
 
その間、
この男性を他の者に世間話をさせておいた。
 
下手に帰すと危ないと判断したからだ。
それほど憔悴しきっていた。
 
 
 
そしてその妻の家に連絡を取った。
 
『私、〜警察のものですが』
『〜様のお宅ですよね』
 
『はい、そうでございます』
『夜分大変恐縮ですが』
 
『お訊ねしたい事がございまして』
  
『ああ、どうぞお構いなく』
 
『あの〜。〜様をご存知ですか』
 
『ああ、〜君ね』
『存じ上げております』
 
『もう何十年も前ですが』
『ああ、そうでございますか』
 
『そのお聞きし辛いのですが』
『その奥様の事でお話が』
 
『え、私が知っているのは』
『〜君が小学生の時ですよ』
 
『と言いますと。奥様』
『お嬢様と結婚された事は・・』
 
『何を仰っているのです』
『私の娘は結婚などしておりません』
 
『え!?』
『それはどういう事ですか』
 
『私の娘は結婚できないのです』
『と言いますと』
 
『刑事さん。これ冗談ですか』
『それとも悪戯ですか』
 
『滅相も無い』
『今そのお嬢様の所在を確かめたかったので』
 
『所在?』
『はい』
 
『所在って仰っても』
『娘はですね』
 
『もう他界しております』
『え!?』
 
『それは何時ですか』
『そんな事まで聞かれるのですか』
 
『はい。大変恐縮ですが』
『娘はね。〜君と遊んでいて』
 
『回旋搭とかいう遊具から落ちて死にました』と
泣き出した。
 
『奥様、本当ですか』
『こんな事』
 
『嘘がつける訳無いじゃないですか』
 
『いや失礼』
『実はその〜君。〜様がですね』
 
『お宅のお嬢様とですね』
『結婚されて子供までいると仰っている』
 
『そのお二人が忽然と消えたと』
『署に助けを求めに来ているのですよ』
 
『ええ!?』
『そんな!』と
絶句した。
 
 
 
『奥様、大丈夫ですか』
『ゴメンナサイ』
 
『あの子がそんな事を言っているのですか』
『〜君とは本当に仲が良くてね』
 
『あの時も一緒だったの』
『はあ〜』と
ため息をつく。
 
 
 
『刑事さん』
『どうかあの子を責めないで下さいね』
 
『あの子の中では娘は生きている』
 
『了解しました』
 
『近いうちにそちらにご挨拶に伺いますので』
『何卒宜しくお願いします』
 
『お辛い話をお聞きしまして』
『本当に申し訳ございませんでした』と
電話を切った。
 
 
 
   
 
 
 

煩い住人

煩い住人
 
 
大家が訪ねて来る。
 
『夜中に大声を出さないで頂けますか』
『このアパートに住んでいるヤツが言っているのか』
 
『いえ、このご近所の方です』
『お願いしますよ』
 
『判った。悪かった』
『だけどよ。俺にばかり言われてもよ』
 
『隣近所が』
『とにかく夜中になると騒ぎ出す』
 
『俺はそれを注意しているだけだ』
 
『ああ、そうですか。困りましたね』
『困りましたね。じゃねえよ』
 
『日に日に煩くなる』
『頼むよ』
 
『判りました。とりあえずお願いしますね』
と大家は帰って行った。
 
 
『俺だけに注意するなよ。全く』
『今は静かなのに。何でなんだ』
 
『寝静まった頃だ』
『時間をわきまえろ。全く』
 
『今日は大家も来た事だし』
『静かに寝られると良いのだが』
 
この男のいう通り。
それから数日は良かった。
 
しかしまた始まった。
 
窓を開けて思わず
 
『煩せいぞ。静かにしろ』と
また怒鳴る。
 
この男が怒るのも判る。
一軒だけではない。
 
両隣、真上と次から次へと騒ぎ出す。
 
夫婦喧嘩と思われるものから。
子供の泣き声。
 
はたまた二階では
くんずほぐれずで何かをやっている。
 
それが頭に響く。
寝られない筈である。
 
と言って
隣近所全てに喧嘩を売るのも怖い。
 
何をされるか判らない。
外に向かって怒鳴る事しか出来ない。
 
それが日ごとにエスカレートする。
 
 
 
今度はこの男が大家に怒鳴り込む。
 
『アンタよ。俺に注意するだけでよ』
『隣近所には言っていないだろう』
 
『あ、はい』
『あ、はい、じゃねえよ』
 
『俺の顔を見ろ』
『目に隈が出来ているだろう』
 
『寝られないんだよ』
『それでも朝になれば』
 
『仕事に行かなければならない』
『帰って来て寝る時間になると騒ぎ出す』
 
『俺だけ時間を間違えているのかと思うぜ』
『普通はよ』
 
『朝起きて明るい内に仕事をして』
『暗くなる夜には帰って寝る』
 
『これが一般常識ってもんだろう』
『違うか』
 
『確かに今は仕事によっては』
『夜仕事をされている方もいる』
 
『だから俺も我慢をして来た』
『しかしよ。これも限界だ』
 
『はい。仰る事はご尤もです』
 
『申し上げにくいのですが』
 
『あのアパートに住んでおられる方は』
 
『アナタだけなのですよ』
 
『何年も空き部屋となっておりまして』
 
『・・・』
 
『鍵も全て閉めてあり・・』  
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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