不あがり

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小説。久しぶり。

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プリン

プリン
 
それからまた何日かの勤務があり。
また明けて寝ている時。留守電が入った。
 
私は音を消している。電話が大嫌いで。
留守電の嫌な所は録音するとガッチャという音がする。
叩き起こされた。
 
ママからであった。 
折り返し電話をする。
 
『あ、ママどうした?』
『あの子元気でいる』
 
『おそらく』
『おそらくって何よ』
 
『一緒にカフェオレ飲んでいる』
『それで抱いてあげているの』
 
『いや、その金が無い』
『何とかしなさいよ』
 
『でもカフェオレで喜んでいるよ』
『アンタねえ女は抱いてやらないとダメ』
 
『判った。鋭意努力します』
 
『ところでさあ。プリンの美味しい所知ってる?』
『アレ?ママ、プリン食べたっけ』
 
『ううん。私の彼が甘党でさ』
『ご主人呑み助だろ』
 
『だから主人じゃなくて。彼!』
『おい、おい勘弁してくれよ。それ浮気じゃん』
 
『だって抱いてくれないんだもん』
『俺は浮気の片棒を担ぐのはゴメンだよ』
 
『そんな事言わないの』
『お願い』
 
『参ったなあ』
『一気に眠気が覚めたぜ』
 
『良いじゃない。目が覚めて』
『で、どんなプリンが良いの』
 
『自由が丘に店があるって聞いたの』
『それがさあ。川崎に出店しているって聞いてさ』
 
『ああ、判ったよ』
『俺食べたけど』
 
『プリンというよりアイスクリームって感じだったよ』
『うん、良いから教えて』
 
『えーとねえ』
『川崎のこっちから行って右側に降りてさ。地下街』
『そこを真っ直ぐ突き当たるまで行ってさ』
『そしたら左へ曲がる。右側の店』
 
『有難う。じゃあね』
と電話を切った。
 
 
それから暫く経って。
 
『あ、ママ、頭刈ってくれる』
『良いわよ。おいでなさい』
 
店までいつもの通り歩いて行った。
交通の便が非常に悪い。
 
頭を刈って貰いながら
 
『プリンどうなった』
『ああ、オカマの変体野郎ね
 
『もう知らない』
『え!それで終わり?』
 
『ママ、ご主人を裏切るようなマネは止めてくれよな』
『何に不満があるの?』
 
『だってさあ。最近抱いてくれないんだもん』
『アンタねえ。歳幾つよ。勘弁してよ』
 
『女はねえ。抱いてもらわなきゃダメなの』
『じゃあさ。俺が抱いてやるよ』
 
『あははは。冗談じゃないわよ』
『それどういう意味よ』
 
応えは無かった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 

シンクロ

シンクロ
 
 
二人はとにかく広い道から外れ
横へ横へ裏へ裏へ路地へ路地へと歩いた。
 
二人っきりになれる空間を追い求めて。
決してそれを探したのではなく。
本能的に。
 
『ねえ、これからどこへ行く』
『私たち、とうとう結婚したんだよ』
 
『ラブホ?』
『ピンポン』
 
『同じ事考えてた』
『悪い・・』
 
『判ってる』
『シンクロしてるね』
 
『シンクロ?』
同じ事考えてた』
 
『今までとは違うよ』
『?』
 
『だってさ。いままでは』
『お互いの事を考えてたでしょ』
 
『私はアナタの事を』
『アナタは私の事を』
 
『でも今は自分の事がアナタの事になっている』
『不思議だよね』
 
『面白いこというな』
 
『ラブホはさ。先で良いじゃん』
『私はこうやって一緒にいるだけで良い』
 
『良い事尽くしだね』
『まだ一緒に住む所は無いけどさ』
 
『こうやって一緒にいれば良いじゃん』
『私大満足だよ』
 
『良いヤツだな』
『私はね。もう高望みしない』
 
『これだけで十分』
『お釣りがくる』
 
『ホントか』
『ホントだよ』
 
『所で腹減らないか』
『お腹も空いたし喉も渇いた』
 
『この間の所行くか』
『隠れ家ね』
 
『良く判ったな』
『シンクロしてるもん』
 
そして女は
男の腕を両の手で挟むようにして摑まった。
男は何処と無くぎこちなかった。
 
その足取りでひたすら
横へ横へ裏へ裏へ
路地へ路地へと行った。
 
 
コーヒーショップまで倍の時間がかかった。
 
そこへ着くと
二人とも一定の距離を置いて歩いた。
 
何事も無かったように。
それは恐ろしくスムーズに。
 
 
以前と全く同じ端の席に座り。
 
カフェオレ二つ。
ハムトーストとピザトーストを注文した。
 
そして二人で半分ずつ食べた。
もう二人はすっかりシンクロしていた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

貪る

貪る
 
 
仕事が明けた。
私は機嫌よくカフェオレを飲んで
帰宅すると留守電が点滅していた。
ママから
『ご連絡を待っています』
 
即電話を入れる
『あ、ママどうした?』
『今ようやく明けたんだ』
 
『今から即こっちへ来てくれる』
『俺寝てないんだぜ』
 
『判ってる。後でゆっくり寝かしてあげるから。お願い』
と切った。
 
荷物だけおいて向かった。
 
歩いて20分ほどの閑静な住宅街にその店はあった。
 
 
『ママ、悪い、通話料』
『良いからこっち来て』。
 
奥には。女が畏まった顔をして座っていた。
 
『アレ!?何で』
『良いからこっちへ来て』
 
 
『アンタさ、この間、紐をバカにしたわよね』
『この子が紐になってくれても良いって言った時』
 
『ああ』
『ああじゃないわよ』
 
『女がね。紐になる覚悟って判っているの』
『他の男に抱かれて。その男に貢事よ』
 
『どんな気持ちで言ったか判っているの』
『それとね。紐って。そう簡単じゃないの』
 
『紐はね。男に体を許した女をその辛い想いを』
『忘れさせる事が出来る人がなるの』
 
『アンタなんか出来ないわ』
『このナルシスト』
 
『アンタはねえ、女を傷つけないたくないとか言っているけど』
『自分が傷つきたくないのよ』
 
『その証拠に化けの皮が剥がれるのを見られたくないって言ったわよね』
『男が女を愛するのはその自分の真の姿も見せなくちゃいけないの』
 
『判る。判んないでしょうね』
『アンタには女の気持ちなんか一生判りっこないわ』
 
 
『でもね。それを私が判らせてあげる』
『はい、ここに二人並んで』
 
思わず並んだ。
 
『これから式を挙げるの。私が立会人』
『ママそれは・・』
 
『ウルサイ。お黙り』
『健やかなる時も病める時も。ここが大切よ』
 
『あと忘れた』
『はい、ここで口付けして』
 
『ママ、それは・・』
『お黙り。神聖な式の最中よ』
 
二人はママに頭を抑えられて
口付けを無理やり交わした。
 
 
『さあてと』
『これから新婚旅行ね』
 
『と言っても暇があっても金が無いでしょ』
『ここは私の家。三階のベットルームを貸してあげる』
 
『旅行ったってやる事は同じ。いらっしゃい』
と外階段を上らされた。
 
 
綺麗な部屋であった。
 
『これから二時間ピッタリよ。愛し合ってね』
『但し時間厳守』
 
『鍵は閉めて置く。チェーンは掛けないでね』
と鍵を閉めて階段を下りていった。
 
 
 
二人は下りた音を確認すると。
貪るように抱き合った。
 
 
とはならなかった。
 
 
先ずお互い。とにかく詫びた。
そしてママの事にも感謝の言葉を口にした。
 
気がつくと貪るようにベットの上で話をしていた。
 
これ不思議な光景である。
 
しかし二人には抱き合うより。
とにかく話をしていたかった。
 
今まで空白であった長い時間をひたすら
埋めるように話した。
 
考えてみるとこれほど向き合って話す事は
一度も無かった。
 
お互い愛している。
しかしその相手の想いだけの幻想である事に
気づきつつあった。
 
 
話せば話すほど愛おしくなる。
気がつくと後10分を切った事に気づく。
 
 
『ヤバイぞこれは』
『おい。抱き合ったふうにしないと拙い』
 
男は頭を自分で洗うように擦った。
女もそれを見て髪の毛を乱した。
 
『これ乗らないとダメだ』
 
二人で座っていたベットの上に乗り。
立ち上がってジャンプの真似事をした。
 
その時体勢を崩した女を思わず抱きとめ転がった。
 
『大丈夫か』その時である。
 
女は男に口付けをした。
男はそれに応じた。
濃厚な口付けとなった。
 
ドアの開く音にも気づかなかった。
 
 
『はい。はい。時間だよ。いつまでイチャイチャしているの』
『もう終わり』
『これで楽しい新婚旅行も終わり』
『楽しんだかな』と笑った。
 
『お陰様で』
と恐縮した顔で言うと
『有難うございます』
と同じく恐縮した顔で女が言った。
 
『アンタこのお礼は体で返しておくれ』
『アンタは私の助手としてお手伝い』
 
『!?』
『!?』
 
『冗談よ』と笑い。
 
『さあ帰った。帰った』
『ベットメークをしないと私の彼が怒るからね』
『ほらポケッとしないで。サッサと出てお行き』
と追い出された。
 
『ちょっと。ちょっと。忘れ物だよ』
とサングラスを渡された。
 
 
 
 
 
 
 
 

良い目が見えない

良い目が見えない
 
 
『あ、もしもし、私、誰だか判る?』
『ママだろう』
 
『お久しぶり(笑)』
 
『良く判ったわね』
『留守電かと思ったけど』
 
『あ、悪い。かけ直そうか。料金がかかる』
『良いのよ。私聞きたい事があったの』
 
『何?』
『アンタさあ。サングラス。女の子にあげなかった?』
 
『何で?』
『あのメガネ特徴があるからさ』
 
『参ったなあ。ママには。あげたよ』
『やっぱりねえ』
 
『うちのお客さんなのよ』
『世間は狭いな』
 
『でもこれ個人情報だろ(笑)』
『難い事いわないの』
 
『アンタだから話しているの』
『判っているよ』
 
『あんなに大切にしていたものをあげて良いの』
『あの女は特別さ』
 
『すんごく喜んでいたわよ』
『そう。それが救いだな』
 
『それでさあ。アンタの気持ちはどうなのさ』
『気持ち?大事な女という事さ』
 
『そうじゃなくて。幸せにしてあげられないの』
『何を今更』
 
『ママ!俺の状況を知っているだろう』
『そうだけどさあ』
 
『あの子。本気よ』
『本気も何も。今の俺は素寒貧だぜ』
 
『墓穴も、もうそこにある』
『何言っているの』
 
『ホントだぜ』
『俺が惚れに惚れている女だ』
 
『だけど。どうしようも無い事がある』
『どう采の目を振っても良い目が見えない』
 
『いつもこんなさ』
『女が傷つくのが目に見えている』
 
『化けの皮が剥がれたのを見られたくない』
 
『アンタ考えすぎよ』
『熟慮黙考しております(笑)』
 
『アンタのためなら紐になってくれて良いって』
『そんな事言ったのか』
 
『ママ、注意してやってよ。頼むよ』
 
『俺はいつもどこかずれている』
『それが残念だよ』
 
 
『悪い。ママ、これから仕事だ』
『この通話料つけといて』
 
『今度行った時、必ず払う』
 
『じゃあ御免』と
電話を切った。
 
 
ため息をついた。
 
 
  
 
 
 
 
 
 
 
 
 

大切な。大切な宝物。

大切な。大切な宝物。
 
 
『ママ、お久しぶり』
『ああ、どうも・・って。そのサングラス良いわね』
『判る!私の宝物』と
笑った。
 
 
『とっても似合っている』
『そう?あの人もそう言った』
 
『あの人って。まさか会えたのかい』
 
『うん、色々あったけど』と
話し出した。
 
 
 
 
『気がついたらあの人の胸の中で泣いていて』
『私、何を言っているのか判らなくなって』
 
『でも優しく受け止めてくれて』
『私の事を優しく扱ってくれた』
 
『それでね。あの人とどうしても繋がりたくて』
『これが欲しいって頼んだの』
 
『そしたら。そのサングラスを外してくれたの』
『眩しそうにして』
 
『これにはあの人のこれまで歩んできた道が入っている』
『これをかけているとね』
 
『それが判る』
『何といってもあの人と繋がっていられる』
 
『大切な。大切な宝物』
 
 
『普段はどうしているの』
『朝から晩までかけている事は出来ないだろうよ
 
『だからこれに入れている』と
メガネケースを出した。
 
洒落た淡いグレーで。
そのメガネの縁の銀色とツルがセルで巻かれた
グレーとまさにピッタリだった。
 
『その大きさだとポシェットではきついんじゃない』
『うん、だから化粧品捨てた』
 
『アンタねえ。化粧品は女の命よ』
 
『もう良いの』
『どうすんのよ。女捨てたの?』
 
『そうじゃなくて』
『私の愛している人だけに好かれれば良いの』
 
『アンタ。すんごい!』
 
『それで抱いてもらったのかい』
『ううん。これだけ貰って別れた』
 
『え!それだけでアンタ満足なんかい』
『だってさあ。あの人の心を貰ったんだもの』
 
『それ以上何があるの』
『そりゃあ、抱いて欲しいと思っているわよ。女だから』
 
『でもね。抱かれても心が無い事が多いじゃない』
『その時だけ愛しているとか言って』
 
『これはあの人の心が入っている』
『良い事も悪い事も』
 
『アンタ。ホントすんごい!』
『なんかさ。宗教講話を聞いているみたい』
 
 
 
『アンタ、心は綺麗なんだね』
『ちょっとママ。心だけ』
 
『いやそんな事ないよ』
『そのサングラスで顔が見えないじゃない』
 
すると女は
丁寧にそのサングラスを外し
丁寧に畳んでママにその顔を見せた。
 
 
『アンタ!スッピンの方が良い!』
『私、綺麗な女嫌いなんだよ。女だからね』
 
『アンタそれを超えているよ。嫉妬がぶっ飛んだよ』
 
『スッピンでこれほど綺麗な女を見るのは』
『他の男が黙っちゃいないよ。』
 
『もう男は沢山』
『でもようやくホントの男に逢えた』
 
『二度目だけどね』
『私は最初に過ちを犯した』
 
『そのためにその男を失った』
『だけどね。とうとう見つけたの』
 
『もうこれで十分』
 
 
『一緒に暮らす気は無いのかい』
『あの人とならいつでも一緒に暮らしたい』
 
『それは望みが多すぎる』
『私ね。あの人なら紐になってくれても良い』
 
『男の一人ぐらい面倒見る事だって出来る』
『だけどね。あの人にそんな事言ったら』
 
『また姿を消されちゃう』
『今は何処に住んでいるかも判らない』
 
『でもね。これで心が繋がっている』
サングラスを優しく握った。
 
 
そして
『ママ、有難うね。感謝している』と
また笑った。
 
 
 
 
 
 
お詫び。
最後の三行は本日の昼頃、これは書かなければと
書き足しました。お許し下さい。
 
 
 
 
 
 
 

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