不あがり

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小説。一夜を切り売りする女。

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力を貰う

力を貰う
 
 
一日目の仕事が終わり家に戻って来ると。
家の中の様子が違う。
 
小ざっぱりしたというか。
不思議な感じがした。
 
驚いたのは男が掃除した
バストイレ洗面所が
とんでも無く綺麗になっている。
 
これが俺の家かと思うほど。
 
そしてテーブルに
『お帰りなさい。朝の食事は何食べた。
聞かせて。今日も頑張って』と
メモが置かれていた。
 
『有難う。これから仮眠を取るので
ハムトーストとカフェオレ。
それ以上食べると寝られなくなる。
そちらこそ気をつけて下さい』と
書いて寝た。
 
翌日。
『食パン。それとハムは冷蔵庫。
コーヒーと牛乳があるのでカフェオレになるでしょ。
食べて』と
書かれていた。
 
も入っていなかった冷蔵庫に
他にもなにやら入っている。
 
『有難う。明日から直接こちらに戻って食べる』と
書いた。
 
翌日。
『昨日は有難う。食べてね。
仕事が明けたら一緒に食事行こうね』
 
『判った。楽しみにしている』と
書いて寝た。
 
帰って来る度に
どこかが綺麗になっている。
そしてメモがある。
 
 
仕事が明けた。
 
先ずは牛丼の大盛りを食べて。
いつもならコーヒーショップに
カフェオレを飲みに行く所だが。
 
そのまま帰って。
カフェオレを飲んだ。
美味い。
 
昼過ぎてから寝た。
 
 
ドアの鍵を開ける音がする。
 
 
『悪い寝てしまった』
『良いのよ。寝てて』と
素早く服を脱ぎ
 
『そのままでいて』と
ピタリと体をくっ付けた。
 
『どうした?』
『ゴメン少しこのままでいて』と
暫くの間。
微動だにしなかった。
 
それが終わると。
 
『有難う』
『食事まだよね?』
 
『何食べに行く』
『食べたい物あるか』
 
『俺は肉なら何でも良い』
『お弁当買って来てここで食べない』
 
『ああ、それも良い』
『近くにある』
 
『チョット待ってシャワー浴びてくる』
『ああ』
 
外へ出る
『ここを抜けると・・』と
ビルの間から二人が出た左に
その店はあった。
 
『何食べる』
『俺は、から揚げ弁当』
 
『私も同じが良い』
 
家に戻ると冷蔵庫を開けている。
 
『これでサラダを作ろう』と
野菜を取り出した。
 
『悪い。俺要らない』
『ダメ、食べないと』
 
『判りました』
『食べます』
 
 
『俺、こうやって家族で食べるのが夢だった』
『あ、ホント!私も』
 
あっという間に食事が終わった。
 
 
『あのさ』
『何』
 
『さっき帰って来た時さ・・』
『ああ、あれ、アナタから力貰っているの』
 
『俺から』
『うん、アナタがこれまで生きて来た力』
 
『俺にそんな力ないぜ』
『いやある。独りで生きて来た力』
 
『ホントか』
『ホント』
 
『面白い事いうな』
『ホントよ』
 
『判った有難う』と
笑った。
 
『いや俺が可愛がったニャン子に似てる』
『猫飼ってたの』
 
『ああ、内緒で』
『そいつがさ』
 
『俺にピタリと体をくっつけるんだ』
『それが終わると外へ出て行く』
 
『やっぱりね』
『アナタは何か力がある』
 
『それは無いよ』
『あったら大金持ちになっている』
 
『いやそういう事じゃなくて』
『ね、こうやって居てくれるだけで良い』
 
『俺凄く良い事している感じだな』
『ね、お願い一緒にいて』
 
『だから一緒に今いるじゃん』
『いやだから今だけでなくずっと』
 
『判った。有難うな』
『俺だって君から力を貰っているぜ』
 
『ホント?』
『ホントさ』
 
『有難う』と
唇を合わせた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 

突入

突入
 
 
『じゃあさ、今から部屋見せてくれる』
『いや、それは困る』
 
『何で?』
『片付けてない』
 
『そんな事どうでも良い』
『早いとこ綺麗にしたほうが良いでしょ』
 
『確かに』
 
 
家に着く。
 
『驚くなよ』
『大丈夫よ』と
ドアを開けると。
 
『うっ!』と息を止めて
『中入るよ』と先に上がった。
 
『ドア開けといて』と
声がする。
 
一気に窓を開けた。
 
そして
『ゴメン』と玄関に戻り
『これ借りるよ』と
スニーカーを持って戻り。
ベランダに出て万年床の布団を干し始めた。
 
『悪い。そんな事までさせて』
『ゴメン』
 
『これじゃあ。体に良くないよ』
『朝起きたら空気入れ替えて』
 
それだけで違うよ』
『ああ、判った。ゴメン』
 
『でもさ』
『この暮らしとも』
『さよならよ』
『私が来たからには』と
笑った。
 
『掃除機ある』
『あ、あった!』と
掃除機をかけた。
 
一通り済むと。
 
『これで応急処置は終わり』
『あとは時間をかけて』
 
『二人が住めるようにしようね』
 
ああ、ゴメン』
『そんなに謝る事ないよ』
 
『私はここにお世話になるの・・』
『いや、こちらこそ来て頂く・・』
 
 
『所でさ。何か飲まない』
 
『ああ、俺買って来る』
『何飲む』
 
『ホットのコーヒー』
『判った』と
缶コーヒーを買って来る。
 
 
『有難う』
『タバコは吸わなかったけ』
 
『あれ、格好だけ』
『ああ、そうか』
 
『だから、吸い込まなかったんだね』
『良く覚えているね』
 
『ああ』
 
 
『さあてと』
『バストイレは・・』
 
『あ!それ俺がやる』
『良いわよ。私がやる』
 
『いや俺がやる』
 
 
 
『アナタ捨てられたく無い物ある』
『俺は服。これは捨てられない』
 
『命より大切』
『命より!』
 
『あ、ゴメン』
『今は君の方が大切』
 
『ホント?有難う』
『あと必要な物は』
 
『無い』
『あ、そう』
 
『じゃ、私の好きなようにして良い』
『ああ、任せる』
 
『それの方が綺麗になると思う』
『それはどうかな』
 
 
 
『アナタ明日から仕事よね』
『ああ、4日勤務で1日16時間』
 
『帰って来てもここで仮眠するくらい』
『判った。私も明日から仕事だし』
 
『その間ここへ入って良い』
『ああ』
 
『貴重品あったら閉まっておいて』
 
『じゃあ鍵渡しておく』
 
『有難う。凄く嬉しい』
 
『お預かりします』
 
 
 
『あとは実行あるのみね』
『ああ』
 
 
『宜しく頼むね』
『こちらこそ宜しくお願いします』と
三つ指をついて挨拶した。
 
 
 
 
 
 
 
 

とんでもないことに

とんでもないことに
 
 
チェックアウトすると一駅戻って。
西口のマックで朝マックを食べていた。
 
二人揃って2階からカウンター席に座って
ボンヤリとバスターミナルを見ていた。
 
『ねえ、今何考えている』
『うん、昨日の事』
 
『私は今こうやっている事』
『チョット違ったね』
 
『昨日の晩には』
『夢にも思わなかったよ』
 
『こんな朝を迎えるなんて』
『確かに。それはそうね』
 
『私は今二人でこうやって』
『朝食事を取っている事に驚いている』
 
『いつも独りでこうやって眺めていた』
『あれ、ここ初めてじゃないの』
 
『うん、仕事が休みの時良く来てた』
『あれ、俺たち何で会わなかったのかな』
 
『俺も仕事明けにはここへ来ていた』
『不思議だな』
 
ところでこれからどうする』
『俺か。いつもならこれで帰って寝る』
 
『疲れた?』
『いやそういう訳じゃないけど』
 
『いつもの癖というか』
『あ、そう』
 
『ねえ、これから散歩しない』
『ああ、良いよ』と
外へ出た。
 
『こうやってさ』
『皆が働いている時、外歩いていると』
 
『開放された気分にならない』
『そんなもんか』
 
『俺は考えた事が無い』
『ただただ休みだなという感じ』
 
あのさ、昨日夢見た』
『え!そういえば見ていない』
 
『良かった』
『昨日結構ハードだったからね(笑)』
 
『確かに』
『でもさ、グッスリ眠れるって良い事だよ』
 
『確かに』
『まだ嫌な夢見る』
 
『ああ』
『あのさ』
 
『その夢、私と半分こしない』
『!?』
 
『私がアナタの夢をさ』
『一緒に見るの』
 
『夢って言ったって』
『ちっとも面白くない夢だぜ』
 
『だからさ。二人で見ればさ』
『アナタの苦しみがさ』
 
『少し減るでしょ』
『そんな事考えてくれたんだ』
 
『有難うな』
『うん、だからさ』
 
『一緒にならない』
『!!』
 
『それってプロポーズか』
『うん、逆プロポーズ』
 
『!!!』
『驚いた?
 
『ああ』
『本気か』
 
『本気』
『ねえどう』
 
『それは有難いけどさ』
『俺で良いのか』
 
『何回もいうが』
『俺は何も無い男だぜ』
 
『稼ぎは悪い』
『暗い』
 
『良い所無しだぜ』
『ただ借金だけは無い』
 
『そんな男だぜ』
『そんな事をハッキリ言える人だから良いの』
 
『変わってない?』
『俺がいうのも変だけど』
 
『私もハッキリいうけど』
『いろんな男を見てきた』
 
『でもね。同じ匂いがするの』
『アナタは』
 
『同じ匂い?』
『うん』
 
なんかさ。上手く言えないけど』
『同じ匂いね』
 
『昨日寝てて寝辛かった?』
いや一緒に寝てグッスリと寝られた』
 
『そこなのよ』
『一緒に寝られるって』
 
『大事だと思わない』
『ああ、そうか』
 
『でしょう』
 
『だからさ』
『私たち上手く行きそうな気がするの』
 
『6畳一間に。4畳半のダイニングだけだぜ』
『私はアナタの隣に寝る場所があれば十分』
 
『ホントか』
『ホント』
 
『判った』
『一緒に住もう』
 
お互い顔を見て笑った。
 
朝起きた時と全く変わらなかった。
 
 
 
 
 
 
これでアナタの色に染まれる。続きです。特別編(笑)
 
 
 
『ねえ、アナタ仕事どうなっている』
『ああ、俺は明日が本休だけど』
 
『あ、そう。それじゃ時間があるわね』
と手を挙げた。
 
国道である。
タクシーが即止まった。
 
『さあ、乗って』
『運転手さん。〜ホテルまで』
 
『あ、その前にマックのドライブスルーお願いします』
『ドライブスルーは存知上げませんが。マックなら・・』
 
『あ、それで結構です。お願いします』
 
 
マックの前に止まると
『アナタ何食べる』
『俺はハンバーガーで良い』
 
『幾つ』
『三個で良い』
 
『それだけ。ポテトは』
『ああ、頼む』
 
『飲み物は』
『ホットのコーヒー』
 
『判った。じゃあチョット待ってて』
 
 
あっという間に大きな袋を抱えて戻って来た。
 
『凄い量だな』
『私だって食べるんだから』
 
『運転手さん。これコーヒーとハンバーガー』
『あとで食べてね』
 
『有難うございます』
 
 
 
ホテルに着いた。
ラブホテルではない。
 
呆気に取られて
マックの包みを持って男は女の後を追う。
 
チェックインも
あっという間に済ませて部屋に入る。
 
 
豪華な部屋であった。
その動きに連れられて椅子に座る。
 
 
『さあ食べましょう』と
その包みから食べ物を出した。
 
バーガー三つでは無かった。
他のわけの判らないバーガーもあった。
それは全部注文したようだった。
サラダもあればチキンもあり。
コーンもあった。
 
飲み物もコーヒーだけでは無かった。
尚且つ。デザートと思われるパイまであった。
 
 
『そんなビックリした顔しないの』
『食べよう』
 
『ああ、悪いな』
 
『今日はね。私とアナタの誕生日祝い』
『それと二人の出会いの祝い』
 
『ね、楽しもう』
『ああ』
 
『何か不満?』
『いや驚いてさ』
 
『どうして』
『夢のようだ』
 
『今日だけよ』
『遠慮しないで』
 
『なんか気が引けるよ』
『何で』
 
『俺、さっきから』
『タクシー代も』
 
『このマックの金も』
『ホテル代も払っていない』
 
『呆気に取られて』
『ごめん』
 
『何言っているの』
『私が誘ったのよ』
 
『そうは言っても』
 
『今日はね。二人にとって大切な日』
 
『有難いけど』
『俺はそんな金も稼ぎも無い』
 
『あのね。私の前の仕事知っているでしょ』
『人の懐具合を見て生きて来たの』
 
『アナタのそんな所が好きなの』
『いつも正直に生きている』
 
『そこが好きなの』
と言って隣に座り。
 
『食べないと怒るぞ』と
頬に口付けをした。
 
『お願い』と
笑って唇を合わせた。
 
『判ったよ』
『ごめん』
 
『頂きます』と
バーガーを口に入れた。
 
『美味い』
『美味しいでしょ』
 
『良かった』
『サラダも食べなくちゃダメよ』
 
『いや俺は苦手だ』
『ダメ。食べなくちゃ』
 
『アーン』と言われ
思わず口を開ける。
 
『食べられたじゃん』
『いやそれは』
 
『はい、アーン』
『判った食べる。有難う』
 
 
そして
『今一気に食べる事無いのよ』
『これは一晩分』と言い。
 
また唇を合わせた。
今度は濃厚であった。
 
 
数年ぶりのハードなひと時が過ぎ。
二人はベットに横たわっていた。
 
 
『こんな広いベットに寝るのは初めてだ』
『私も』
 
『あの頃は小さなベットしかなかったものね』
『狭い部屋だった』
 
『でも中身が濃かったよね』
『この数年間の分を取り返そう』と
言ってまた唇を重ねた。
 
 
 
二人に取って夢のような時間が過ぎた。
 
そして子供のように寝た。
気がつくと朝である。
 
 
二人の祭りは終わったのである。
何となく不機嫌そうに起き上がり。
 
 
お互いの顔を見て笑う。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
『一夜を切り売りする女』のあとがきを少し。
 
 
私はこの物語を何で書こうとしたのか。
未だに判らない。
 
おそらく前作で主人公が
『ソープランド・ヤッホー』と
いう情けない別れの言葉が
頭にあったのかも知れない。
 
毎回寝起きで朦朧としている時に
頭に浮かんだ事を一発勝負
下書き無しで書いておりますので。
どう話が展開するか私自身判っていない。
 
そして一話を書き終えると。
話がこれで繋がるのかと思ったほどであった。
 
寂しい女に寂しい男だけである。
しかしその翌日になると。
 
主人公が動き出してくれた。
この女は気立ての優しい女である事が判る。
 
そしてそこに来る男を心からもてなす。
書いている内にこれは良い女だなと感じ始める。
 
この男もこの女がいる事で何とか
その暗い人生を生きる事が出来ている。
 
女はこの男を愛するようになる。
 
実はこの商売で客に情が移るのはご法度である。
 
『名刺』で別れ話をした女は
本当に国に帰ったのかと私は疑った。
 
それは仕事を続けるために。
この男との情を断ち切ったのでは。
 
そして名前を変えて仕事を
続ける道を選んだのではと実は考えた。
 
これ妥当な選択である。
 
ですから
これであとはお読みになる方の
想像でと終わらせる予定だった。
 
しかし書き終わると。
後味が非常に悪い。
 
 
男と女の出会いと
結びつきはどんな事で起こるか判らない。
 
無理を承知で『色を抜く』を書いた。
 
 
こんな話は万に一つもない。
いやその一桁上かも知れない。
いやそのまた一桁上かも知れない。
 
しかし男女の結び付きは
その数字より上かも知れない。
 
人は奇跡的に出会いそして結ばれる。
 
それを考えるとこんな話もあって良いのでは。
そんな事を考えた。
 
この二人がこれからどうなるのかは判らない。
 
しかし私の心の中では
二人の仲の良い姿で生きている。
 
 
 
お読み頂き感謝しております。
有難うございます。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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