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微笑みと鉄の歯を持った男。ゴルバチョフ。そして民主主義的社会主義。あくまで私の記憶の中で(笑)。
この『微笑と鉄の歯を持った男』と言ったのは。
ミスター・ニエットと言われ。
外務大臣を務めたグロムイコが
ゴルバチョフを書記長に推薦した時の言葉である。
この微笑と鉄の歯を持った男。
この喩えは本当に素晴らしい言葉である。
これだけでグロムイコは後生に残るとさえ思った。
私はその前に確かイギリスを
このゴルバチョフが訪れている姿を見て惹かれたものだ。
この男は違う。
今までの鉄のカーテンといわれた国の男たちとは明らかに違う。
しかしこの男を党が認めるのかと感じたものである。
それを当時の重鎮となりつつある男が認めたのである。
これで新しいソビエトが出来る。
もしかしたら雪解けはあるのではと感じさせた。
この男の情報が欲しい。しかし入って来るのは
ホント僅かな情報しか流れてこない。
外務省筋から入ってくる情報は先ずあてにならない。
それはKGBがその情報をコントロールしているからだ。
また学者と呼ばれる男の話もあてにならない。
モスクワあたりに行って仕入れていたと思われるが。
この情報も全てKGBがコントロールした情報でしかなかった。
それ程当時のKGBは優秀であった。
そしてその対抗馬であるGRUである。
当時のソビエトの情報網は完璧だった。
そして日本で発行された
ソビエトの情報はお粗末この上ないものであった。
高校生のレポート以下であった。
それが教授や学長などを務めているのだから・・。
ただ一人筑波大学で助教授をされていた、名前が思い出せない。
この方は後にソビエトで何者かに殺害されている。
この方は当時の危険極まりないソビエトに単身入っていた方だった。
この方の情報だけが頼りでもあった。惜しい方を亡くしたものだ。
ただただご冥福を祈るのみである。
ゴルバチョフは
その鉄のカーテンに完璧に守られながら政権を築いていった。
ナンバー2にリガチョフ。
リガチョフ
フルシチョフの時代に政治局員候補まで上がりながら、
フルシチョフ失脚によりシベリア送りになり
20年の苦役を舐めた男である。
そして外務大臣は元KGBのグルジア出身の
シュワルナゼ(後にグルジアの大統領となる)で脇を固めた。
シュワルナゼ
リガチョフはイデオロギー担当で。
時にゴルバチョフの行き過ぎた発言に度々釘をさしていた。
その釘を刺された言葉が、『民主主義的社会主義』であった。
この言葉は当時のソビエトにとっては非常に危険な言葉であった。
先ずKGB、GRUが黙っていない。
それを押さえ込んだのはリガチョフであり
シュワルナゼであったと私は思っている。
そんなゴルバチョフの下をシュワルナゼが去り
リガチョフがイデオロギー担当を外された途端
クーデターは起きた。
シュワルナゼの突然の辞任の発言と
この党内の危険を説いたにもかかわらず、
ゴルバチョフは気づく事は無かった。
そしてソビエトが崩壊する。
それからしばらくして
ゴルバチョフが来日した、
『私が想い描いていた民主主義的社会主義とは
この日本の国、そのものだ!理想的である。
官僚の徹底した管理の下に国が運営されている』。
これを聞いた時、私は頭を後ろからハンマーで殴られた思いがした。
事もあろうにこの日本が官僚に管理された
社会主義国家であるとは想いもよらなかった。
この感覚は外から見た男だから判ったのであろう。
民主主義的社会主義。この言葉を初めて聞いた時、
『ゴルバチョフも青いな』と感じたものである。
そんな理想郷のようなものはこの世に存在しない。
そう思った。
おそらくこの日本にいた人間の殆どがそう感じ。
ソビエトではその考えは、ある意味犯罪行為と思われたのでは。
だからリガチョフがことある事に訂正していた。
それが日本であるとは。
確かにゴルバチョフの視点は正しかった。
この官僚王国日本では官僚がいなくては機能しない。
政治家は無能すぎる。その事を官僚はもちろん承知の上で
この日本を運営しているのだ。
今改めてこのゴルバチョフの先見性に驚くばかりである。
しかしその想いは本国では実る事は無かった事も事実である。
当時、私はゴルバチョフに夢中になり。
この男の名の付く本は全て買って読んだ。
それを知った親父が、
私が共産主義に傾倒したのではと心配した(笑)。
私が『この男がソビエトの社会主義を壊す男になる』と言うと
『ソビエトが崩壊するわけが無い』と返された。
それ程堅牢堅固に思えた。
アメリカのCIA、DIAとは比べ物にならないくらい
情報網が完璧であったからだ。
おそらく当時この情報網を越える国はなかった筈である。
それが崩壊する。
一寸先は闇であるというのは
まさにこの事である。
注 当時、社会主義国家と言う言葉にこれ程驚いたのは
私より世代の上のインテリ偽左翼のお兄ちゃんたちが公然と
『世界中どこを探しても社会主義国家は存在しないんだよ』
と強く言ったものだった。
まさか自国とは誰も気がつかない(大笑)。
誰も見えていなかった。
それとこれはあくまで私の独り言であります。突っ込まれても
答えられません。その点をご理解下さい。
あくまで私の記憶の中での 話です。
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