チーム CLINE のブログ 『下町ロケット』で学ぶ経営戦略

「できない理由」を直視し、「できる理由」を活かす経営支援チーム

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 『下町ロケット』の第一章冒頭部では、主人公の佃航平が経営する「佃製作所」は主要取引先である大手企業「京浜マシナリー」から突然、取引の打ち切りを伝えられます。
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 下請的な事業を行っている中小製造業においては、極めて限定的な取引先に売上の多くを依存していることが多く、そうした企業との取引が途絶えることはその中小製造業にとっては死活問題にもなりかねません。
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 「佃製作所」は、「京浜マシナリー」の徳田部長から発注が継続されるどころか増加するだろうと伝えられていたそうです。その言葉を信じた佃航平は、大掛かりな設備投資を行い、増産体制を整えていたばかりでした。
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 この徳田部長の「増産するだろう」というコメントと、佃航平がそれを踏まえて増産体制を整えたことのやりとりは何らかの「契約」に当たるのでしょうか?
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 契約とは、相互に対立する当事者の意思表示の合致によって成立する法律行為のことです。対立する意思表示とは、例えば当事者Aが売りたいといい、当事者Bが買いたいということなどです。契約は、口頭のやりとりでも成立するといいます。しかし、上記の徳田部長の「増産するだろう」というコメントは、単に京浜マシナリーの事業の状況を伝えたものですので、意志表示とは言えません。従いまして上記のやりとりは契約とはいえないでしょう。
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 では、次の場合はどうでしょうか。
 ①徳田部長には京浜マシナリーを代理する権限があり、徳田部長は佃航平に、エンジン部品を近く佃製作所に発注する計画であると伝えている。②佃航平は佃製作所においてその発注に向けた準備をしていた。③しかしその後、京浜マシナリーの発注方針の変更で佃製作所に発注する計画が中止になった。④徳田部長は、佃製作所が準備に着手していることを知り得たのにそれを止めさせず放置したと、いう場合です。
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 この場合、京浜マシナリー側は、「信義則」に反するとして佃製作所に対する損害賠償責任が問われる可能性があります。それに近い判例があります。
 民法第1条では、「権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。」とされています。これが信義則です。これは信義誠実の原則とも呼ばれています。徳田部長の「代理」の権限についても民法の論点です。
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 このように、契約には民法が密接に関わっています。
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 この後、佃製作所は資金繰りのためにメインバンクの「白水銀行」と折衝します。しかしながら佃製作所の資金繰りはあの事件によって難航を極めることになるのです。
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 小説『下町ロケット』は、池井戸潤氏の直木賞受賞作です。知財紛争が題材とされており、知的財産が経営に及ぼすインパクトを疑似体験できます。中小企業のモノづくりに対する情熱が描かれた感動作ですので、多くの方にお読み頂きたい作品です。 
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 本ブログでは中小企業の経営戦略、知財戦略に関するトピックスを、この『下町ロケット』のシーンと絡めてお伝えして参ります。

 今回は、『下町ロケット』の冒頭部のお話です。
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 『下町ロケット』の第一章から第二章にかけて、主人公の「佃航平」が経営する「佃製作所」は、幾度も経営破綻の窮地に立たされます。 
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 「経営破綻の要因」を一言で片づけてしまえば、それは 「資金繰りの悪化」です。経営は、表面的には借入の返済資金がなくなると破綻します。
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 反対に、キャッシュを持っている限り会社は存続できます。
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 会社を存続させるためのキャッシュは、営業活動で稼ぎ出したものである必要はありません。誰かがお金を貸してくれたり、出資してくれれば会社にキャッシュが入ります。出所はともかく、返済資金があれば会社は存続できます。 
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 「佃製作所」は「佃航平」が先代より経営を引き継いで以来、売上高を3倍に伸ばしたということです。通常、売上を急拡大している企業の借入金は大きくなりがちです。売上を得るための諸活動にはキャッシュの流出が伴います。一方で、売上を計上しても通常はすぐにはキャッシュは入ってきません。実店舗で商品を現金販売をしている場合はすぐにキャッシュを得ることができるでしょう。しかし特にBtoB取引では、商品を納めてから資金を回収するまでに2ケ月程度はかかることが多く、売上が増えるほど、手元資金は不足していきます。 
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 「佃製作所」は、大手企業の下請事業を手がけています。そしてそう簡単には儲けさせもらえません。売上高は拡大したものの財務状況は厳しく、借入が多い状態です。そこへ来て、主要顧客との取引停止、そして大手企業からの特許権侵害訴訟といった苦難が次々と「佃製作所」に襲いかかることになるのです。 
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