全体表示

[ リスト ]

TM Network についてSNS上で書くことも無くなってくるだろうから、直近で発売されたDragon The Festival Tour のBlu-rayについて詳しくレビューを書くことにする。哀しいことにTMに詳しい層があまり情報を発信しなくなったのでコアな話が聞けなくなっている。ブログにレビューは無いかと探してみたけれど、本格的にレビューしている記事が何処にも見当たらない。度重なるトラブルもあって、すっかり冷めたファンも多い。


TMネットワークは1980年代当時、新聞や一般雑誌ではTMネットワーク表記が多かった。新聞のテレビ欄でもTMネットワーク表記が使われていた。なぜ、TM Network ではなくて TMネットワークだったのか詳しいことは解らないが、TMネットワークの方が文字列として目立つのでテレビ欄を見て番組を見つけやすかった。当時からTMネットワークの方が馴染みがあるので、ここでもTMネットワーク表記にしておく。



Dragon The Festival Tour はTMネットワークの3回目のコンサートツアーになる。1984年のデビューコンサート、1984-1985年のElectric Prophetに続く、1985年に行われたコンサートツアーがDragon The Festival Tour だった。前2つのコンサートツアーと違う点は、Dragon The Festival TourからMIDI音源を使うようになって シンセ周りの音質が格段に良くなっていること。1985年当時の日本国内のバンドでMIDI音源をフルに使ってライブしていたのはTMネットワークぐらいではないかと思われる。その意味では非常に貴重なでは音源で現代では再現できない。BOOWYやレベッカが使っている楽器は再現しやすいけれど、TMネットワークが使っていた楽器はシンセ周りの扱いが難しい。トラブルが起こりやすいので現代のミュージシャンは使いたがらない。Dragon The Festival Tourの最中にもシーケンサーが暴走するなどのトラブルは起きている。


1984年のデビューコンサートからしてシーケンサーの暴走が起きていて音源化されていない。コンサートの模様を収録したビデオが存在するものの、その映像に充てられている音源はレコード音源であり、実際のコンサートの音源はライブ会場で録音したものでしか聴くことができない。3回行ったデビューコンサートすべてでトラブルが発生しているのでファンは流出させたがらず音源の入手は難しい。1984-1985年のElectric Prophetはシーケンサーのトラブルを恐れたソニー側の指示で、事前に録音しておいたテープ音源を流している当て振りである。そのテープ音源をも途中で停止させてしまうというミスが起きるのだから信じがたい。ボーカル宇都宮隆の歌唱ミスも併発して小室哲哉は激怒した。Electric Prophetの模様を収録したビデオソフトが発売されたが、映像も音源も別撮りしたものをあてている。


諸々の事情があって、TMネットワークの1984-1994年の活動時期のコンサートを完全収録したビデオソフトは存在しない。他のバンドも似たようなことになっていて、コンサートを完全収録したビデオソフト自体が非常に少ない。近年になってようやくBOOWYがGIGSの完全収録版をリリースしてファンを狂喜させた。TMネットワークも完全収録したビデオソフトの発売が期待され、Blu-ray HDリマスター化に伴い解散コンサートのLast Groove 5.17と5.18が完全収録の形でBOXセットとしてリリースされることが発表された。Dragon The Festival はBOXセットのボーナスディスクとして発表された。


Last Groove 5.17/5.18に対するファンの反応はイマイチだった。思っていた以上に映像の質が悪く、HDリマスター化したことで返って映像の質の悪さが引き立っている。使用した一部の撮影機材が悪く、アングルが切り替わる度に画質の荒い映像が紛れ込んでくる。全国の映画館で限定上映された際にも視聴したファンから画質が悪いと指摘されていた。32インチの液晶画面で視聴しても画質が荒いのだからファンが怒るのも無理はない。宣伝のための映画館上映でBOXセットの予約を解除するファンが続出した。さらにはアップコンバートしただけの似非HDだらけの内容だったためにBOXセットの売れ行きに暗雲が立ち込めた。これまでついてきてくれたファンに止めを刺したと言っても過言ではない。これまでも酷い商売をしてきたためにファンが怒りを爆発させている。


それを救済したのがボーナスディスクとして付いていた Dragon The Festival Tour だった。1985年の収録にも関わらず、こちらは画質も音質も格段に良い。ハイレゾ音源の見本とも言える仕様になっている。マイナーな曲ばかりなので一般層には見向きもされないが、画質と音質の事を考えると現行の音楽ソフトとしてはハイクオリティーと言える。何と言っても貴重なのはシンセサイザーの音。1985年当時のハイスペック・シンセサウンドは現代のシンセサイザーとは音質が違っている。その意味において音楽ファンにもお薦めしたくなる音楽ソフトだ。ただし、BOXセットの中の1枚なので単品では購入できない。



これまでの粗筋はここまでにして、 Dragon The Festival Tour のレビューを綴っていく。

1985年10月31日に日本青年館で行なわれたコンサートの模様を完全収録してある。曲と曲の合間を若干省いた以外、演奏部分に関しては完全収録されている。マニアックな話をすると、消されていた音が復活している。このコンサートの映像と音源の一部は過去にもリリースされている。まず、フィルムコンサートとして上映されたものがあり、その中から4曲はテレビで放送されている。また、解散時にリリースしたCDにも1曲収録されている。これまでに製品として18曲中の7曲がリリースされた。その7曲全てに共通していることがあって、キーボードで演奏されていたはずの音が一部消されている。「音」に成り過ぎていて「歌」になっていない部分が消されている。TMネットワークの従来の製品にはこれが毎回ある。コンサートの原版を聴いたことのある人でないと知らないレベルの話だが、実はコンサートのときとCDでは鳴っている音が違うのだ。今回、コンサートでの演奏時の全ての音が収録されたことで印象が様変わりしている。同コンサートは小室哲哉と白田朗のツインキーボードで演奏されていて、ある曲では小室哲哉が演奏した音が完全に消されている。『Accident』の編集マジックを知ればファンもビックリする。テレビ放送時の『Accident』は明確に鳴っていたはずの音が完全に消えている。Blu-ray版では小室哲哉の演奏部分の音が全て復活している。ライトなファンは「ビデオ未収録の曲をリリースしてくれよ」と要求する。コアなファンは「消した音を復活させてくれよ。コンサートではもっと小室てっちゃん弾いてただろ。」と要求する。
全ての音が収録された Dragon The Festival を視聴した後で初めて知った人もいるだろう。Fanks Dyna Mix も、 Fanks Cry-Max も、音が部分的に消されている。曲が収録されていないだけでなく、収録されている曲についても音が消されている。コンサート会場で当日に演奏を聴いた人だけがそのことを知っている。


コンサートの音源を製品リリースした際は歌の邪魔になっている音を消す。トラッキングの調整を行ってベースやドラムのボリュームを下げる。ボーカルはマイクからのライン録音のため迫力や臨場感を欠くので電子エコーを全体に掛ける。電子エコーを掛けるので宇都宮隆の声のキーが若干高くなっている。そうして出てきた『Accident』を聴くと、伴奏は潰れているわ、メイン・キーボードの音は鳴っていないわ、宇都宮隆の声は活舌が悪くなっているわ、悪い事ずくめ。ビデオテープの経年劣化によっても音や声のキーが上がってしまう。レストアとHDリマスターを経て、伴奏の楽器は個別に聴こえるわ、メイン・キーボードの音は復活するわ、宇都宮隆の声にエコーが掛かっていないわ、で全体の印象が様変わりしている。Blu-rayの『Accident』を聴くだけでも本来のTMネットワークの音の凄さが解るだろう。テレビで放送されたコンサートの映像は全て頭から消して欲しい。かなり加工されている。テレビやラジオで放送されたFanks Cry-Max の『Get Wild』 からして加工済み。本来の音とは印象が違う。TMネットワークのコンサートの音を聴く方法は会場に行くしかない。コンサート会場でファンが録音したテープだと伴奏が完全につぶれているのでこれも話にならない。自分でコンサート会場に足を運ばないとTMネットワークの本来の音を聴くことはできない。Dragon The Festival Tour が本来の形でリリースされたことによってファンが受けるTMネットワークの印象も変ってくるだろう。TMネットワークの本来の音を知り、Last Groove よりも Dragon The Festival Tour の方が良いという感想はチラホラ見受けられる。 


個人的にTMネットワークの全盛期は1984年と思っている。宇都宮隆のボーカルがずば抜けて良い。コンサートを重ねる内に声帯が緩んでしまって解散コンサートの1994年には完全に声が変わっている。歌手の声帯が緩んでしまうのは避けられない運命なのでやむを得ない。例外なく、どのアーティストにしてもデビュー当時が一番、声の状態が良い。Dragon The Festival Tour は1985年のコンサートなので1987年以降に比べて断然良い。断然良いので、どの曲も聴き込んでしまう。プロ・アマ問わず、『Get Wild』は誰がカバーしても宇都宮隆の歌唱力に勝てないように、宇都宮隆は声も良く、歌唱力も良い。1985年は『Get Wild』がヒットした1987年よりも声が安定しているので、どの曲を聴いてもかっこいい。音が良く、声はかっこいいので、Dragon The Festival Tour をプレイヤーで再生すると2時間以上聴き込んでしまう。楽器の1つ1つの音まで個別に聴きながら、CD版とは全然違う本来の音を堪能している。BOOWYにしてもライブCDを聴いた瞬間に加工してあるのが解る。音の細部のエッジがなまっていることまで解る。楽器の音のエッジがなまっているということは、ボーカルの声のエッジもなまっている。そこまで聴き分け出来ている。


例えば『Rainbow Rainbow 』のアウトロで小室哲哉が高速でキーボードを演奏すると、Blu-rayの音源では1つ1つの音が区切られているのに、CD版ではスラーのように1つ1つの音がくっついてしまっている。電子エコーの影響やサンプリングレートの影響で音がなまり、潰れると同時に他の音と一体化している。サンプリングレートをハイレゾ化することで全ての音が個別になって聴き分けできる。メイン・キーボード単独の演奏部分だけでも音がくっついてしまっているのに、ツイン・キーボードで演奏している部分になると2台のキーボードの音が溶けて合っている。白田朗の音がどれで、小室哲哉の音はどれなんだ、といった聴き分けがCDレベルの音ではできない。ハイレゾ化されたことでようやく聴き分けできた部分がある。木根尚登のギターの音にしても演奏していないのではない。コンサートでは普通に演奏している。CDに収録するときに消してある。電子エコーで音がくっつくことを想定して、あまり存在感の無い音を間引いていたのだろう。CDでは木根尚登のギターの音は全然聴こえてこない。『Accident』のテレビ放送版(フィルムコンサート版)では小室哲哉が演奏するメイン・キーボードの音を完全に消してあるのだから、ビデオやCDはあちこちで音を弄りまわしているであろうことを想定しながら聴き込まないといけない。ハイレゾ音源だからこそ、同時に幾つもの音を鳴らしても音がくっつかないので、各人が演奏した音を復活収録してある。音楽を製品化する際の加工の仕組みが解ってくるとハイレゾ化しなければならない意味も見えて来る。



Dragon The Festival Tour 全体のレビューとしては音質の良さに尽きる。ファンならば絶対に押さえておきたいマスト・アイテムだ。買って損はしない。BOXセットのため25,000円もするが、Dragon The Festival Tour に25,000円払ったと思えるぐらい聴き込んでいる。願わくば、Fanks Dyna Mix Tour も同じようにレストアとハイレゾ化してBOXセットに加えて欲しかった。この時代のTMネットワークの音はとにかく貴重で、同じような音を演奏しているバンドが今現在では存在しないので、シンセサイザーの尖った音を聴くには当時のバンドを漁るしかない。しかし、シンセを使いこなしているバンドが少なく、TMネットワーク頼みになる。冨田勲の音楽を再現できないように、TMネットワークの音楽も次第に再現できなくなっている。従って、ソニーや北海道文化放送が保有している映像が貴重になっている。北海道文化放送はElectric Prophet や Dragon The Festival Tour のコンサート会場にロケ班を出していた。他にも全国のテレビ局がロケ班を出していて、大阪の読売テレビは協賛していた Kiss Japan Dancing Dyna Mix Tour にロケ班を出している。当時、コンサートツアー中に『歌のトップテン』で放送された映像は読売テレビの映像である。ソニーが駄目ならテレビ局にお願いするしかない。NHKの『STAR CAMP』がもう1枚のボーナスディスクとしてついていたが東京ドームのコンサートは音が聴こえない。




今回は全体の印象ということで、次回はコンサートの中身についてレビューする。





よしもとブログランキング

もっと見る

プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事