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前回の全体レビューの続きで、今回は Dragon The Festival Tour 日本青年館のBlu-ray に収録されている各楽曲を順番にレビューしていく。



前もって言っておきたいことがある。

 Dragon The Festival Tour 日本青年館の楽曲の内、2曲目の『Dragon The Festival』から順番に3目『カリビアーナ・ハイ』と4曲目『Rainbow Rainbow』までの連続する3曲は、2008年に販売されたCDアルバム『THE SINGLES 1 初回限定版』のボーナスディスクに収録されている。このCDバージョンは演奏スピードを1.5%ほど速度アップしてあり、音も声も全体的にキーが若干上がっている。TMネットワークのCDに収録されている"ライブバージョン"は速度が調整されていたりするので基本的には別物として聴かなくてはならない。あくまでも"ライブバージョン"であってライブ音源ではない。同CDのエレプロライブの曲も再生速度が変更されている。ライブバージョンは色々と弄り倒しているので原盤を聴いていないと何を聴いているのか解らなくなる。再生速度が1.5%も変わると体感で解る。3%も変わると別の曲と化してしまう。


小室哲哉のスキルやセンスを読み解いて、あれはここをいじくっているだろ、とツッコんで小室哲哉をドキっとさせた人間は私ぐらいしかいない。ファン同士で会話しても音楽レベルの話になると噛み合わない。一般的なファンは製品版を正規版と考えがちで、正規版(演奏時の音楽)から改訂されていると思っていない。TMネットワークに限らず、J-POPは色々と加工してある。生の楽器の音を憶えるとJ-POPに加工は一発で見破れる。TMネットワークのCDに収録されている各種ライブバージョンのように演奏スピード(再生速度)が変えられていると、それ自体の音は本来の演奏時の音とは異質なものになっている。"あれは違う"と言ったところで、そう思っていない人にはまったく通じない。解散時にリリースされた Groove Gear だけがライブ演奏時に近いリミックスでリリースされている。Dragon The Festival Tour 日本青年館が正規の形でライブ音源をそのまま出してくれたので、CDのライブバージョンと比較してみると加工の痕跡が解ると思う。そういう意味ではとても貴重な音楽ソフトと言える。


耳を慣らしておくと、ドラムの音を聴いた瞬間に再生速度が変えられていることが解るようになる。BOOWYの音楽が本物とかほざいている連中はド素人。BOOWYのアルバムはTMネットワークよりも加工しまくっている。本当に、最近になって、ようやく本物の音楽ソフトを入手できるようになってきた。技術の進化に感謝しなければならない。『新世紀エヴァンゲリオン』のサントラの方がよっぽど本物の音楽といえる。新劇場版になってからは庵野も鷲巣も本物の音に拘らなくなってしまったのは残念。

音楽ソフトは、それが音楽としてリリースされているのか、歌としてリリースされているのか、純粋に音に拘ってリリースされているのか、大きく分けて3つの観点からアプローチされている。小室哲哉はコンサートでは音に拘っているのに、製品をリリースするときは歌に寄せてしまう。宮崎駿と似たところがあってマーケティングの影響を受けている。TMネットワークの圧倒的大多数のファンは女性であり、音ではなく歌を好んで聞いているので、セ品版のライブバージョンは「歌」になっている。音楽としても、歌としても、音としても、音楽ソフトを堪能するタイプの私としては、歌に特化させてしまったライブバージョンは味気なく感じる。だからこそ、本来の演奏時の音をそのままリリースした Dragon The Festival Tour 日本青年館のBlu-rayは大満足。音楽ファンの方にも超おススメの音楽ソフトとして太鼓判を押したくなる。




個人的な戯言はこれぐらいにして、ここからはTMネットワークのDragon The Festival Tourをレビューする。 


チャプター1:『OPENING  (Childhood's End)』
初期のTMネットワークのコンサートは小室哲哉による幻想的なインストゥルメンタルのオープニングテーマから始まる。TMネットワークは「2025年の宇宙から来た異星人が現代の地球で活動している」というコンセプトに基づいてコンサートの演出も企画されている。第二弾のオープニングである『Childhood's End』は古代遺跡に接触するというイメージで作られている。当初は4分の尺で流されていたものがコンサートツアーが進むにつれて 4分 → 2分 → 1分45秒 → 1分30秒 と短縮(カット)されていく。日本青年館バージョンは1分35秒流れる。同名のアルバムには35秒しか収録されておらず、『Childhood's End』の全貌はDragon The Festival Tourの序盤の公演に足を運んだ者しか知らないというレアな曲。製品リリースされてはいるものの未発表曲と言って差し支えない。


チャプター2:『Dragon The Festival』
オープニングテーマにつづいて古代遺跡の謎を追う冒険活劇を歌っている。初期のコンセプトに基づくハリウッド映画をイメージした曲である。イントロの開始と同時にステージ上のライティングシステムが浮上する。未知との遭遇の母船をイメージしたライティングシステムを持ち上げるために、日本国内に3台しかない油圧ジャッキの内の2台を借りてきている。その油圧ジャッキの安全管理を担当する人物が国内に1人しかおらず、油圧ジャッキ担当者のスケジュールに合わせてツアー・スケジュールも決められた。ステージパフォーマンスだけでなく、ライティングシステムに拘るのもTMネットワークのコンサートスタイルだった。映像がHDリマスター化されたことで天井に吊るされているライティングシステムの存在感も格段に増している。1985年のライブながら古さを感じさせないのはライティングシステムの功績かもしれない。贅沢を言えば映像は 4K ウルトラHDにして欲しかった。


チャプター3:『カリビアーナ・ハイ』 ※ウツ若干間違えそうになる
このライブのカリビアーナ・ハイのアウトロでフェードアウトしていくときのシンセサイザーの音の響きが個人的にツボになっている。ギュゥウオォォォーーーンみたいな感じの音。さすがハイレゾ。音という音のすべてがフィルム版やCD版とは比べ物にならないぐらいメリハリがある。ウツの声にも張りがあってかっこいい。全てにおいてカッコいいカリビアーナ・ハイだ。解散コンサートでの哀しいまでに枯れた声と違って、宇都宮隆のボーカルに若さとエネルギーが満ち溢れている。この当時を知らないファンには衝撃的だろう。マイナーな曲でありながらファンのハートを鷲掴みにできるパワーを備えている。なぜ、これを出さないんだ、と再三再四リクエストしてようやくソニーが動いてくれた。BOXセットに合わせた映画館での上映で、ドラフェスを上映していたならファンの興奮は断然違っていた。


チャプター4:『Rainbow Rainbow』 
『Get Wild』 に匹敵するほどコンサートで重宝されていたのがこの曲。シンセサイザーの進化と共にコンサートでは毎回異なるリミックスバージョンで演奏されている。CDに収録されている原曲は解散コンサートで1回演奏されたのみというのも面白い。ウツのダンスパフォーマンスがあまり激しくなく、ディスコスタイルに留めていることもあって歌唱力が安定している。この次のコンサートツアーである Dyna-Mix 以降でウツのダンスパフォーマンスが激しさを増すと、本来の魅力である声質が次第に発揮されなくなっていく。ヴォーカリストとしての宇都宮隆は指折り数えて屈指の声を持っていて、後に誰がカバーしてもこの当時のウツの声には遠く及ばない。『Get Wild』や『Rainbow Rainbow』は宇都宮隆が歌うからカッコよく聴こえるのであって、他の誰かに歌わせても全然カッコよく聴こえない。
 

MC:宇都宮隆
会場ごとで少しアレンジを加えながら、金色の夜を一緒に過ごそう、と呼び掛ける。


チャプター5:『8月の長い夜』 ※ウツ2回間違える
当時のファンの間で有名な話があって、『8月の長い夜』の歌詞の「愛し続けてるさ、君を」を歌うときにウツが会場の女性を指さす。ツアー中に「ウツが指さすのは赤い服を着た女の子だ!」と気づいた女子たちがいて、ツアー後半の会場には赤い服を着てくる女の子が増えた。ツアー終盤の日本青年館のオーディエンスの中にも赤い服を着た女の子がチラホラ見えるのはそのため。日本武道館の『Self  Control』の映像に赤い服を着た女の子が映っているのも同じ理由。Fanks Cry-Max でも『8月の長い夜』が歌われると予想して赤い服を着てきた女の子が大勢いた。ドラフェスから広まったFANKSあるあるだった。大半の曲に言えることで、初期の曲は初期のコンサートのパフォーマンスが一番優れている。『8月の長い夜』もTM史上これが一番素晴らしい。


チャプター6:『永遠のパスポート』 ※ウツ間違える
全曲のアウトロからそのままイントロが始まる。初期のTMネットワークの屈指の名曲であり、同ライブのパフォーマンスはTMネットワーク屈指のパフォーマンスと言える。意外と当時は女性に人気が無く、『8月の長い夜』と違って後のコンサートからはセットリストから外されてしまう。個人的には、TMネットワークの都会的なお洒落なイメージを形作った名曲と思っている。ドラフェスの『永遠のパスポート』を今回初めて見るという人は脳汁がブシャーっと溢れているだろう。ここでもウツの声が素晴らしい。前曲と合わせて立て続けに歌詞を間違え、小室哲哉がウンザリした表情を浮かべている。ウツが歌詞を間違えてショックを受けるのは小室哲哉だけではない。フィルムがお蔵入りするのでファンにとっても強烈なダメージになる。歌詞を間違えていても全然かまわないから、そのまま出してくれと言い続けなくてはならない。ウツは初期のコンサートほど歌詞間違いが多いので余計に性質が悪い。映像ソフトでは「出せる物だけを出す」という形になってしまって、TMネットワークの本来の姿が一般的な音楽ファンには伝わらなかった。



木根尚登ギター・ソロ・パフォーマンス
TMのビデオを見るたびに木根尚登や小室哲哉が気の毒になる。諸事情で木根のギターと小室のシンセの音がトラックことごっそりカットされている。そのため、市販の映像ソフトを見た人からエアー・ギターやエアー・キーボードと揶揄されてしまう。コンサート会場で録音されたテープで聴くと両名ともにガンガンパフォーマンスしている。ギターの音に神経を集中させて聴いてると割と木根尚登のギターも聴こえてくる。そういう聴き方をしない人にはたぶん何も聴こえてこない。しかし、ドラフェスに限れば・・・・・うーーん・・・・黒子がいるのかな?と思える部分がある。じっくりと指の動きと音の動きを確かめ見ると良いだろう。


チャプター7:『Fantastic Vision』
再びアップテンポの曲でステージを盛り上げる。1984年に九州の西日本放送の早朝5:30分のテレビ放送開始時のオープニングテーマに採用されたことで知られる曲。九州に馴染みの深い曲ということでEXPOアリーナツアーでは九州地方のコンサート会場だけフォークパビリオンで演奏されている。コンサートツアーの各地で演奏している曲やアレンジが若干違うというのもTMネットワークのらしさだった。ドラフェスツアーでは間奏で木根尚登のパントマイムが披露される。小室哲哉の思い付きに振り回されてしまい、このツアーでは本職であるキーボードを演奏させてもらえない。アウトロでは白田朗のシンセブースや小泉洋のシンセブースが大きく映る。コンピューター・マニピュレーターやコンピュータープログラマーとしてクレジットされる小泉洋も何やら演奏しているような仕草をしている。福岡公演でシーケンサーが暴走したことから、シーケンサーの比率を下げてトリプルキーボードでカバーしたのでは?と思わせる。コンサートツアーの最中にも、TMは楽器編成が変わったり、演奏する曲を変えたりしていることがあって、当時の筋金入りのTMマニアはコンサートツアーの全公演の音源をコレクションしていた。改めて鮮明な音源で聴くと、間奏明けからのキーボードの1音1音の歯切れがよくて心地良い。TMぐらい音を重ねているとハイレゾ音源で聴かないと音の鮮明さを欠いてしまう。『Fantastic Vision』のアウトロはリニアPCM 96KHz 24bit でも物足りないと思わせる。


チャプター8:『Faire La Vise』
前曲に続いてアップテンポな曲で会場のボルテージを最高潮に高める。イントロからして胸が高鳴る曲の1つ。Fanks Dyna Mix 以降のアレンジよりも原曲に近いアップテンポのドラフェス版の方が好き。各パートで小刻みに連打するドラムの音が気持ちいい。力強い演奏、力強いボーカル、コーラスワークで会場の興奮を一気に高める。途中で映る会場のデジタル時計の7:27の表示が印象に残る。フィルム版からあのアングルの映像が使われている。コンサート全編を通じてキレを感じさせるウツだが、この曲では特に。CAROL以降のウツからは感じられないキレを感じさせる。これといって目立ったミスも無いというのにフィルムコンサート以外では公開しなかったのが不思議。この曲の映像を初めて見る人はウツの印象がまた変わるんじゃないかな。タイトルがTMにしては珍しいフランス語。その意味は調べてみましょう。慣用句なので直訳すると意味がおかしくなる。1986年に出版したパーソナルブックに解説が載っている。



後編につづく

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カシミヤ様、こんばんは。

毎日、楽しみに拝見しております。
既にご存じかも知れませんが、アイヌ新法についてのパブリックコメントが募集されております。8月13日までです。

https://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=060190731&Mode=0

こちらでも、記事に取り上げて下さったので、興味があり、まだ投稿されてない方はコメントをされてはいかがでしょうか?

参考までに上念 司さんの意見がまとまっていてヒントにしやすいかもしれないと思いますので張り付けます。


https://www.facebook.com/jonen.tsukasa/posts/2363578163703890
失礼いたしました。毎日暑いので皆様 お体御自愛下さいませ。

2019/8/12(月) 午後 10:40 [ moka ]


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