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久保建英のレアルマドリードへの移籍で一気に注目度が上がったリーガ・エスパニョーラが開幕した。不安視されていたレアル・マドリードはセルタを相手に3-1でしっかり勝利した。前日まで久保建英のスタメン出場があるのではないかとスペインで報道されていたが、レアルは公式サイトを通じて開幕戦のアウェイゲームに帯同する選手を発表して、久保建英は下部組織(カスティージャ)に残ることが判明した。日本とスペインのメディアが取り上げるあまり、ジネディーヌ・ジダンもメディア対応がやり難いだろう。


議論が飛躍しているが日本国内の海外サッカーファンは冷静に見ている。レアルは世界屈指の名手が集うドリームチームなので、いきなり久保建英が主力となってチームを牽引することなど誰も期待していない。久保建英は18歳になったばかりで、日本代表に初招集されたのも3ヶ月前のことだった。史上2番目の若さで代表入りしたかと思いきや、それと前後してレアル・マドリードへの移籍も発表された。早くから注目されている逸材とはいえ、17歳や18歳の選手が代表チームと強豪クラブで圧倒的な存在感を発揮することは無い。



中田英寿 1997年代表初招集(19歳) 1998年海外移籍(20歳 セリエAのACペルージャ)
小野伸二 1998年代表初招集(18歳) 2002年海外移籍(22歳、エールディビジのフェイエノールト)
中村俊輔 2000年代表初招集(21歳) 2003年海外移籍(24歳、セリエAのレッジーナ)
小笠原満男 2002年代表初招集(22歳) 2006年海外移籍(25歳、セリエAのメッシーナ)
長谷部誠 2004年代表初招集(22歳) 2006年海外移籍(24歳、独ブンデスリーガのヴォルフスブルク)
香川真司 2008年代表初招集(19歳) 2010年海外移籍(21歳、独ブンデスリーガのボルシア・ドルトムント)


これまで日本代表を牽引してきた逸材と比較しても久保建英のケースは飛躍し過ぎている。「日本サッカー界を牽引する主役になれるのか?」を問う前に世界最高レベルのクラブチームに移籍した。これまで逸材として期待された選手は何人もいたが、10代にして名実ともに日本代表の顔となった選手は中田英寿しか存在しない。中田英が20歳でイタリア・セリエAのACペルージャに移籍した当時は確実に試合に出場できることを条件に無名の弱小クラブを選んでいる。中田英は開幕戦からスタメン出場を果たすとセリエAの戦いにフィットして弱小クラブを牽引する存在となった。ペルージャにおいて中田英とポジションを争うライバルは皆無だった。


1年目も2年目もチームの顔として君臨すると強豪ASローマへのステップアップを果たした。ASローマにはクラブ史上最高のスターとも言えるフランチェスコ・トッティが君臨していた。2000年当時のセリエAは世界最強のリーグと評価されていて世界中のタレントが集結していた。スクデットを狙うローマも野心に満ち溢れ、ワールドカップで活躍した各国の代表クラスを集めていた。その誰よりもトッティはクラブを象徴する選手だった。中田英がローマに移籍する際に交わしたとされる「全試合の75%に出場する」という契約条項を巡ってイタリアのメディアが大々的に取り上げたために、同じポジションでプレーするトッティがクラブ幹部に出場を直談判した。険悪なムードのまま、2000年のウインターブレイクが開けると中田英がスタメンに名を連ねていた。中田英は早速、見せ場を作って移籍金に見合う選手であることを現地のメディアに見せつけた。トッティの精神状態はさらに悪化して移籍をほのめかすまでになったため、クラブ幹部たちはトッティをスタメンで起用する方針に切り替えた。険悪なムードによってローマは勢いを失った。


海外移籍するに当たって強豪クラブを選択する場合、最大の障壁になるのはトッティやメッシのようなクラブを象徴する存在とポジション争いすることだろう。メッシのように出場を確約されている選手からポジションを奪うことは不可能である。1999-2000シーズンのローマにおける当時23歳のトッティはまだ頭角を現したばかりで出場を確約されていなかった。中田英の移籍によってポジションを奪われそうになったことからトッティはクラブに方針を選択させることにした。クラブ幹部らはトッティをチームのエースにすると決断してトッティの移籍を食い止めた。2000-2001シーズンのローマは序盤から首位を独走するもユベントスを振り切せず、優勝の行方は直接対決に掛かっていた。


デッレアルピでの決戦の1ヶ月前に、出場できない状況に置かれた中田英に向かって、「あのメンバーではユベントスには勝てないから必ずチャンスが来る。その試合で最高のコンディションでプレーできるようにしておけ。」と告げておいた。そしてファビオ・カペッロとクラブ幹部にも「優勝した蹴れば中田英を使え」と念を御押しておいた。セリエAの試合はフジテレビが定期的に放送していたのでローマが息切れしつつあることも把握できていた。ユベントスはただ強いだけでなく、複数のクラブを子分にしており、勝ち点を操作している。ローマは残る試合を全勝するぐらいで行かないと追い付かれてしまう。セリエAでは複数のクラブが徒党を組んで八百長が仕組まれていることも当時の試合放送から読み取れた。実に複雑な状況の中で、ローマとユベントスの直接対決が始まった。試合に負けると勝ち点で並ばれてしまう。並ばれた瞬間にローマの優勝の芽が潰える。


最悪なことに、ローマのスタメンに中田英の名前は見られなかった。チームは序盤からユベントスに押し込まれて2失点を喫した。このまま試合が進むと3点目もユベントスが取る。後半にトッティを下げて中田英がピッチに入ると、強烈なミドルシュートを放って劇的な展開が始まった。中田英のキャリアの中でも伝説の一戦としてファンの間で語り草になっている。2点目も中田英のミドルシュートがファンデルサールを直撃して、こぼれたボールを途中出場のモンテッラが押し込んだ。土壇場で2点差を追いつき、勝ち点3差をキープしたことでローマはユベントスの追跡を振り切ることができた。セリエAでは大規模な八百長が行われていると指摘したために、その後、捜査が行われてユベントスやACミランが罰則を受けている。八百長の発覚によって選手はセリエAへの移籍を回避するようになり、世界最強リーグの座から陥落した。


中田英のセリエAの挑戦は、サッカーのレベルがどうこうという話に留まらず、様々な問題点を浮き彫りにする海外移籍だった。シンボリックな選手のいるチームに移籍することは良くも悪くもある。トッティを中心とするローマはその後にスクデットを獲得することはなかった。セリエAの八百長裁判でユベントスが降格させられたシーズンもローマは優勝できなかった。フランチェスコ・トッティはローマでの長いキャリアにおいて2000-2001シーズンの1度しか優勝を経験できなかった。ローマはトッティと心中する中で浮き沈みを繰り返していた。一方で中田英もサッカーに対する純粋な思いを失っていった。もう少し、やりやすい環境があれば、中田英のキャリアも違っていた。ちなみに、トッティの獲得に動いていたクラブにはレアルも含まれている。


中田英とトッティの確執が在ったことから、小野伸二がオランダのフェイエノールトに移籍した際には、トップ下のポジションでプレーするヨンダ―ル・トマソンがライバルになると報道された。小野は移籍した当初からフェイエノールトの首脳陣を唸らせてスタメンが確約されるどころか、チームの顔とまで言われるほどの扱いを受けていた。2年目にはフェイエノールトは小野のチームになっていた。アヤックスもPSVも小野を徹底的にマークしていた。ライバルチームのスナイデルやファンデルファールトにテクニックを真似させるぐらい小野の影響力は絶大だった。ファンペルシーがキャリアの中で出会った最高のテクニシャンとして小野の名前を挙げるのはおべんちゃらではない。小野がスムーズに移籍できなかったのは、フェイエノールト首脳陣の評価があまりに高く、それに見合う移籍金を提示してこないクラブへの売却を渋ったからである。小野自身はステップアップを早い段階から考えていたがもどかしい状況が長引いた。ひょいひょいっと移籍できる選手は、それはそれでクラブ内での評価が低い。小野の様に他の選手が真似するレベルになるとクラブも手放したくなくなる。そこまで影響力を見せつけた選手は小野だけである。3年目以降の小野はフェイエノールトのリーダーとして振る舞っていた。怪我をしていなければオランダのサッカー関係者を驚愕させていただろう。



多くの選手が海外移籍するようになってからは、どういう状況でプレーしているか把握しづらくなっている。おそらく、ザルツブルクにいる南野拓実はフェイエノールトの小野伸二に近い状況になっていると思われる。クラブでの評価が高くなるにつれて移籍金と釣り合わなくなる。南野拓実を獲得するために20億や30億を出すクラブはない。韓国代表の中国系選手の場合、スポンサーがつくことから移籍金も跳ね上がる。今の日本でスポンサーがついていく選手はほとんどいない。レアルに移籍した久保や、マンチェスターシティに移籍した食野に、国際的なスポンサーはついていない。戦力に成る可能性があると見なされて日本人選手を獲得するクラブが増えている点は日本サッカー界の評価が高くなっている証拠である。移籍先が移籍先だけに何とも言いようがない。レアルもシティも毎年のように補強している。フェイエノールトのようにメンバーがある程度固まっていれば誰とポジション争いするといった話もできるだろう。


レアルでは誰かとポジション争いするとかではなく、勝てないと判断すると大型移籍が敢行される。今はルカ・モドリッチやハメス・ロドリゲスやエデン・アザールやガレス・ベイルといった顔ぶれが久保建英のライバルになる。新しいスターが出現するとレアルが強奪するのでポジションの確約は無い。レアルは特にワールドクラスを獲得するので、常に最新のワールドクラスと競うことになるのを覚悟しなければならない。トッティどころではない。全員駄目と判断された場合には叩き売りもある。各国代表のエースクラスが何人も叩き売りされている。2000年初頭のローマのように、ある程度メンバーが固定されていると先も読みやすいのだが、レアルだけは先が読めない。来年のEUROでワールドクラスが出現すると、高い確率でレアルは獲得に乗り出す。それによって久保建英の立場も微妙になる。あのアリエン・ロッベンでもスタメンに定着できなかったクラブだということがどういうことなのかを理解しておく必要がある。


昨シーズンのレアルが不調に終わったために、サポーターもメディアも容赦なくバッシングした。だからといって、レアルを相手にするチームはレアルを舐めてはいけない。チームが駄目でもワールドクラスが力を発揮してくると容易には対応できない。レアルに戦術的に統制してこられると手に負えないことはクラブワールドカップで立証されている。ブラジルの最強レベルでもシュートが打てなくなる。そんなチームの中で、久保建英の合格ラインはモドリッチやメッシのような次元に到達することだ。そのレベルでようやく成功したと言われる。ペルージャやレッジーナとは比較にならない。フェイエノールトやドルトムントとも比較できない。


海外移籍した若い選手たちの成否を問う前に、Jリーグの関係者は己がクラブの無様な醜態を改善することだけ考えろ。J1の下位に沈んでいるクラブは混乱し過ぎている。国内で質の高いクラブが増えると、何もわざわざヨーロッパのCクラスに移籍しようという気にはならないだろう。統制のとれた組織に身を置くことで学べることもある。
精神面を鍛えておかないと何処に行こうと何も成功させられない。他の国では手を付けていない人間性の面での強化が急務だ。次々とビッグニュースが飛び込んでくるので状況の分析が追い付かなくなっている。移籍した先では問題も起きている。ベルギーのシントトロイデンでは、DMMがクラブを買収してから現地サポーターをウンザリさせている。買収され、乗っ取られたクラブでは何処でも恨み節を聴く。国内で安く買い叩かれた鹿島にしても次第に問題が増える。組織管理が殆ど出来ていない企業だらけになっていてスポーツクラブにしても上手く物事が進んでいない。





閉じる コメント(3)

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>カシミヤさん

結局私はトッティの適正ポジションが最後まで解りませんでした
スパレッティ時代のゼロトップシステムの最前線が一番合うのでしょうか?
中田をトップ下に置いてトッティ、モンテッラの2トップが一番良いのになと当時思っていたことを思い出します

南野に関してはカシミヤさんの評価は高いのでしょうか?
個人的には彼は足のサイズが一般人より小さいのではないか(27cm程欲しいですよね)と思うほど
接触プレイに脆くてすぐに倒れてしまう印象です
RBグループのモダンなプレッシングサッカーを習得して賢いオフ・ザ・ボールが出来るのでしょうが
ドリブルで相手のDFの枚数をしっかり剥がす作業が下手なままに思えて大丈夫かなと心配しております

後は最近のニュースでは例の煽り運転男女どもが
絶対に逃げないので生野警察署へ出頭させてくれと叫んでおりました
はいはい、在日も創価も多い地域ですね、生野は。
生野警察署の内部には「お仲間」がいらっしゃるのですね、はぁ・・・。

2019/8/19(月) 午前 6:56 [ ロレーヌの真珠 ]

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> ロレーヌの真珠さん
トッティはFWもシャドーもできるので中田と併用できたはずなんですよ。なぜそうしなかったのかは理解不能。

南野は買ってますよ。私が監督ならば2022年ワールドカップに連れて行きます。堂安や中島とは違うモノを持っている。南野にはザルツブルクで精進して欲しいですね。ビッグクラブへステップアップ、という路線に拘らずに。それだけがサッカー人生ではないので。

食野も飛び道具でアリかなと。二列目はタレントが多過ぎて誰が最後まで残るか解りません。U-21にもまだ試してほしい選手がいるので。言い出すとキリがない。個人的に中島と南野だけが確定で他は状況を見ながら最高の状態にある選手を連れていく。

森保が最後にどういう判断をするか楽しみ。創価枠を使うなら斎藤光毅にしてくれ。

2019/8/20(火) 午後 6:21 [ カシミヤ15% ]

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> ロレーヌの真珠さん
煽り運転の宮崎文夫容疑者の名前からして生粋の大阪人ではありません。宮崎は九州地方の名前です。大阪は完全に冤罪ですから。朝鮮人/中国人が密入国してからというもの大阪のイメージが悪化するばかり。

2019/8/20(火) 午後 6:57 [ カシミヤ15% ]


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