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岸本斉史の新連載と銘打っていた『サムライ8』が沈黙している。人気ランキングにまったく浮上して来ないところを見ると面白くないのだろう。新連載開始前の告知を見たときは『NARUTO』をヒットさせた御褒美に書きたい漫画を書かせてもらうのだろうという若干の嫌な予感はあった。


ジャンプ連載作家にありがちなのが、大ヒット作を生んだ作家には次回作で好きな漫画を書かせることである。これが尽く失敗に終わっている。ゆでたまごの2人が『キン肉マン』の連載を終えたあと、あまり間を開けずに次回作『ゆうれい小僧がやってきた』の連載を開始した。内容は『キン肉マン』の改訂版だった。超人募集に乗じた妖怪募集をするなど、『キン肉マン』で培われたノウハウが踏襲されている。あの手この手の企画を投入するも人気は出なかった。『ゆうれい小僧・・・』が打ち切りになると間髪入れず『スクラップ三太夫』を連載した。さらに人気低迷して短期間で打ち切られた。同時期に高橋陽一も『キャプテン翼』の連載を終えており、テニスを題材にした『翔の伝説』を新連載した。これも『キャプテン翼』をテニスに置き換えただけで鳴かず飛ばず。無残に打ち切られた。


私は1989年で『週刊少年ジャンプ』から『ビッグコミックスピリッツ』に移行しているのだが、ゆでたまごと高橋陽一の新連載があっという間に打ち切られたあたりまでは憶えている。高橋陽一の『翔の伝説』は1話読んだ時点で打ち切られると思った。何もかも『キャプテン翼』で、なおかつ必殺技を早い話数から出している。テニスの試合における駆け引きやテニス界の人間ドラマを語ることもせずに禁断の果実にいきなり飛びついてしまった。必殺技は『キャプテン翼』を盛り上げると共に崩壊させた諸刃の刀である。その性質を考えると第二部以降のテコ入れに使用するべきだった。ヒット作のノウハウではあったが禁断の果実であることは認識しなければならない。今まさにそれが岸本斉史の新連載『サムライ8』で起きている。『サムライ8』には『NARUTO』のノウハウを注ぎ込んだとされているが悪い部分を踏襲してしまっている。設定がややこしく、物語が頭に入ってこない。設定を説明している内容が余計にわかりづらい。『NARUTO』の序盤で起きていた問題と同じ。キャラクターや世界観の設定を解説している文章が造語だらけで、再度、造語について説明しなければならないという悪循環になっている。PS用ソフト『FF13』も設定がややこしく、設定を解説している文章が造語だらけで、造語を読むための説明を読まないと内容を理解できない。「説明が説明になっていない」ところが岸本斉史とスクウェアの弱点。


『サムライ8』は岸本斉史の新連載と銘打ってはいるものの、漫画自体は大久保彰が描き、岸本斉史は原作を担当している。『NARUTO』では岸本斉史をコントロールする編集担当者が優秀で、ルールや世界観の説明を極力なくさせてストーリーテリングに力を入れさせていた。岸本斉史による世界観の説明を読むと『NARUTO』を読む気が失せてしまう。岸本斉史直筆の説明文はややこしい世界観を余計にややこしく説明するので読めない。誰かが岸本斉史をハンドリングしないといけない。岸本斉史がハンドリングする側になってしまうと「説明が説明になっていない」という問題が起きてしまう。集英社の編集者にも甘いところがあって、大ヒット作を生んだ作家には割と自由を与えてしまう。相手の社会的立場が上がって言いづらくなるからなのか、大ヒット作を生んだ作家ほど次回作で自由を手にしている。そして鳴かず飛ばずで打ち切りになる。編集者によってテコ入れされた漫画の方がヒットしている。大ヒット漫画はすべて編集者がテコ入れした作品である。編集者がテコ入れすべき、と解っていながら大御所には甘くなってしまう。


個人的に、ゆでたまごの『スクラップ三太夫』と高橋陽一の『翔の伝説』を読んだ時に、「ジャンプ終わったな」と感じた。それからすぐにスピリッツに移行した。『よろしくメカドック』の次原隆二も新連載がすぐに打ち切られる印象だった。いずれも一世を風靡した売れっ子漫画家たちで、1年も持たずに打ち切られる様は子供心にも哀しかった。あまり使いたくない言葉だが落ちぶれていく様子が読者にも伝わってくる。『スクラップ三太夫』を連載中のゆでたまごはもがき苦しんでいる様子が伝わってきた。『翔の伝説』は息継ぎする間もなく打ち切られた印象だった。編集サイドから見てもテコ入れのしようもなかったのだろう。岸本斉史についても彼らと同じものを感じている。



『キン肉マン』→『ゆうれい小僧』:すでに飽きられてしまったノウハウを注ぎ込み失敗。
『キャプテン翼』→『翔の伝説』:上記に同じく。
『NARUTO』→『サムライ8』:排除したはずの悪い部分を踏襲して失敗。

次原隆二のメカドック以降の新連載は記憶にも残っていない。




漫画家がどこまで自己主張したいかは人それぞれだろう。漫画を生活の糧にしたいという心情もあるのなら編集担当者にチェックしてもらう方が良い。複数のヒット作に通じて言えることで、キャラクターの設定から台詞からテコ入れされた後の方が良化している。漫画家本人による設定や台詞には読みづらいものが多い。特に設定はわざわざページを割いてまで説明しているのに、読みづらいので内容が頭に入ってこない。一番やってはならないのが造語を用いた世界観の説明。その造語が解らないのだから説明にならない。『キン肉マン』は後付けで「正義超人」「残虐超人」「悪魔超人」「完璧超人」を足していった。ストーリーを進め新キャラクターを出すだけで属性は頭に入ってくる。これを初回から「正義超人はこんな感じで」「残虐超人はこんな感じで」と説明されても頭に入らない。属性のようなものは説明しない方が良いと思う。後々になって人気が出た時に解説書や設定資料という形でまとめた物を出せばいい。漫画の場合は絵で説明している部分もあるので、ストーリーをどんどん進めて行くことで説明を兼ねたものになる。


『サムライ8』はルールの解説を読んだだけで読みたくなくなった。説明の仕方にもよるんだろうけど、岸本斉史の説明は返って読者の頭を混乱させてしまう。




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