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1990年のセリエA
ACミラン vs ナポリ

ACミランはトヨタカップを連覇したときのレジェンドチーム。それまでトヨタカップでは南米勢が優位と言われていたがイタリア代表の守備ユニットとオランダトリオの融合で南米連覇を達成した。ACミランの守備陣がそのままイタリア代表の守備陣で、ナポリのエースだったディエゴ・マラドーナに対してプレスディフェンスで潰しに掛かる。マラドーナが前を向いてドリブルを始めるとACミランの包囲陣が身体をぶつけて潰しにいく。


ナポリにはマラドーナ以外にカレカとアレモンのブラジル代表コンビがいた。こちらも南米最強の攻撃ユニットと言える。髪の毛が薄い金髪がアレモン。中盤から猛烈なスピードでオーバーラップしてマラドーナのパスを受ける。1990ワールドカップではアルゼンチンとブラジルが対戦して、マラドーナはアレモンに毒物(下剤?)を飲ませたことでも有名だ。試合後にブラジルのメディアが紛糾した。マラドーナの前方にいるフサフサの黒髪がカレカ。


当時と今では守備戦術が全く違うのでピッチ上にはスペースもある。その分、マラドーナの爆発的なスピードが脅威で、マラドーナにボールが渡ったときにはミランの守備陣がすぐに潰しにかかる。随所にセリエAの荒々しさが見られる。リーガにおけるメッシやイニエスタに対するプレスは微妙に緩い。シュートを打つ瞬間でさえコースを消していない。1990年代のセリエAと2000年代のリーガを比べると対人戦では前者の方が激しい。メッシを見て育った世代(2000年以降の生まれ)でもACミラン vs. マラドーナの戦いは十分に見応えがあると思う。


今見てもマラドーナは化け物。これでもスピードが数段落ちている。スピードだけならメッシやロナウド(ブラジル)も同格に見えるかもしれないが、視野の広さを加味すると断然マラドーナの方がレベルは高い。40m、50mのパスレンジと40mのシュートレンジを兼ね備えている。いわば、メッシに小野伸二のスーパー・パス・テクニックを足したのが神の子マラドーナだ。ドリブルはメッシ級、パスは小野伸二級である。この映像でもアウトサイドで30m級のパスを出してアレモンに通している。マラドーナはこういうパスもつかって相手の裏を取る。常に2人、3人掛かりで潰さないと潰しきれない。必然的にマラドーナの周囲にはプレスディフェンスが生じる。


セリエAの外国籍枠が3枠しかなく、EU枠フリーでもないので、ナポリの攻撃は南米トリオに集約されている。セリエA時代のマラドーナの動画がチラホラとYouTubeに落ちてるので見ておいた方がいい。メッシから学べることは少ないが、マラドーナから学べることは多い。


ACミランの10番はオランダの怪人ルート・フリット。オランダのマラドーナ、フライングダッチマン、プレデター、などと呼ばれていた。両足の長いストライドを活かしてボールをコントロールする。アフリカ系の選手で、ここまでテクニックを身に着けているのはオコチャとフリットしかいない。セネガルのマネがその後に追従するぐらいで、頭脳的にテクニックを多用するアフリカ人は本当に少ない。フリットは頭の良いアフリカ人という最強のスキルを持っているモンスター。ドレッドロックヘアの容姿と異質なプレースタイルでインパクトは絶大だった。フリットと来カールとのプレーからアフリカの時代が来ることを誰もが予感した。しかし、こなかった。彼等がほんの一握りの異質な存在であったことを思い知らされた。フリットとライカールトを輩出したスリナム共和国は未だに頭角を現さず、他のアフリカ諸国も期待を裏切っている。日本と対戦したセネガルが最もワールドカップ優勝に近いチームと言える。







FCポルトとPSV

ここ数日、噂になっていた堂安律のPSVへの移籍が正式に発表された。フローニンゲンが要求していた16億円の移籍金にPSVが懸念を示していたことから「撤退」と報じられたのが1週間前の出来事だった。PSVが国内の他のクラブから選手を獲得する場合の相場は8億円である。移籍が決定するのであれば、おそらく、その辺りの金額で合意しているだろう。


PSVといえば京都サンガから移籍した朴智星がアジアでは知られている。朴智星がPSV時代の3年間で残した記録はリーグ戦13Gとカップ戦2G。CLの2G。オランダ国内のリーグ戦とカップ戦のトータルだけ見ると既に堂安律の方が勝っている。当時のエールディビジのレベルを考えると今のエールディビジの方がレベルは上がっているので、堂安律のリーグ戦16Gとカップ戦1Gは及第点以上と言える。PSVに移籍することによって優勝争いが必至になり、その中でインパクトを残すことができたならオランダへの移籍は「成功した」と見なされる。


日本のサッカーファンにとっては今夏の移籍市場は天変地異に見えるだろう。レアル・マドリード、FCバルセロナ、マンチェスター・シティ、FCポルト、そしてPSVといったビッグネームの名前を見ない日が無い。しかし、中田英寿がローマへ移籍した当時と違い、「やれるのか?」と不安視する声の方が多い。特にレアルやバルサのようなメガクラブに移籍した選手たちに対しては出場機会が得られるチームに移籍した方が堅実だと言われている。
クラブの創設時期は古いが新興勢力と見なされるマンチェスター・シティを除くと名門ばかり。試合に出場しても結果を残せなければ失敗と見なされてしまう。


中島翔哉が移籍したFCポルトはトヨタカップで2回優勝(1986年と2004年)している。目の肥えたサポーターが多く、そのチームで10番のユニフォームを要求した以上は相当なインパクトを残さないと失格の烙印を押されてしまう。日本ではポルトガルリーグの知名度が低いので、オランダのPSVの方がFCポルトよりも格上のように思われがちだが、国際タイトルホルダーとしてはFCポルトの方が格上である。空席と化した10番を要求することが自分を追い詰める行為だと中島翔哉が理解していたなら良いが、軽い気持ちで選んだのであれば本田圭佑のように、ありとあらゆる侮蔑の言葉を浴びることになる。


ビッグクラブや名門クラブでなくてもトラブルは起きている。ベルギーのシント・トロイデンというクラブが朝鮮企業に買収されて、有能な選手を放出すると共に平凡なアジア人を獲得したことで、現地のサポーターが紛糾している。そのシント・トロイデンに韓国代表10番イ・スンウがステップダウンしてきた。イ・スンウは久保建英と同じバルセロナのカンテラ出身者である。FCバルセロナの名前が必ず枕詞として付いて回るため、イ・スンウのプレーにはサポーターが注目する。そして、すぐに失望に変わる。久保建英も事あるごとにFCバルセロナの名前が用いられていた。それがレアル・マドリードに変わってメディアも枕詞の選択に難儀している。バルサのカンテラ出身でレアルに所属するというややこしい枕詞は次第に見なくなった。今ではその枕詞に見合う選手なのかどうか誰もが不安視する。「見合う選手になってくれ」と悲壮な願いに成りつつある。イ・スンウは箔をつけるために、わざわざ韓国代表10番が与えられて、2018年のロシアワールドカップに出場した。しかし、チームが負けて、個人としても振るわずに終わり、今ではシント・トロイデンに落ちてきている。朝鮮企業がスポンサーでなければシント・トロイデンも拾っていない。


東京五輪世代の主力選手が海外に移籍ラッシュしたことでチームに呼び戻せるのかという不安まである。すでに冨安健洋はボローニャの主力と化しているので、もしかすると東京五輪には出場できないかもしれない。A代表に招集することさえも難しい。クラブでの評価が上がると代表チームの試合に呼びづらくなる。弱小チームばかりと対戦することになったワールドカップ・アジア二次予選にどのような戦力で挑むかも解らない。出場機会に恵まれていない選手を呼ぶのか、バリバリの主力として活躍している選手を呼ぶのか、Jリーグで実績を残している選手を呼ぶのか、未だかつてない選択肢を迫られている。蓋を開けるまで誰にも予想が付かないことから8月30日の発表にはメディアも注目している。肩書だけ見れば凄い面子だ。その内、何人を招集できるのやら。


海外リーグの放映権をめぐる争いもし烈を極めている。ニーズが分散化したことで放映権を取得する方も決められないでいる。DAZNが4大リーグを独占するも、ポルトガルリーグ、ベルギーリーグ、オランダリーグの放映権の行方は不透明。NHK-BSはクラブ単位で放映権を取得するなど交渉が難航している。日本代表の試合の放映権料も急激に上がっている。こちらも世界中で放送されている。日本代表が強くなれば強くなるほど、放映権のニーズが高まる。その内に、日本国内で行なわれる親善試合を日本のテレビ局が放送できなくなるかもしれない。ここ1年の親善試合のラインナップでは日本対南米の試合が一番視聴されている。EUでネーションズリーグが開催されたことで強豪同士の戦いが減っている。その中で注目されるのが日本代表だ。南米対決はコパアメリカがあるので飽きられていて、南米のサポーターまで日本との対戦を望んでいる。




このような状況に変わったのもロシア・ワールドカップでインパクトを残すことに成功したからだ。ベルギーと死闘を繰り広げた結果、ベルギーのクラブチームが日本の選手を獲得している。それまでにも移籍していた選手がいるので戦力と見なされるようになった。あくまでも助っ人として獲得されているのでステップアップなどと寝惚けたことばかり話している場合ではない。FCポルトの10番を背負う精神性に到達しているとは言い難い中島翔哉にはクラブの恥さらしに成らないよう忠告しておく。そろそろ、ミーハー気分から卒業しなければならない。世界では日本代表がブランドに成りつつある。それに応じて求められることも変わっている。







久保建英のレアルマドリードへの移籍で一気に注目度が上がったリーガ・エスパニョーラが開幕した。不安視されていたレアル・マドリードはセルタを相手に3-1でしっかり勝利した。前日まで久保建英のスタメン出場があるのではないかとスペインで報道されていたが、レアルは公式サイトを通じて開幕戦のアウェイゲームに帯同する選手を発表して、久保建英は下部組織(カスティージャ)に残ることが判明した。日本とスペインのメディアが取り上げるあまり、ジネディーヌ・ジダンもメディア対応がやり難いだろう。


議論が飛躍しているが日本国内の海外サッカーファンは冷静に見ている。レアルは世界屈指の名手が集うドリームチームなので、いきなり久保建英が主力となってチームを牽引することなど誰も期待していない。久保建英は18歳になったばかりで、日本代表に初招集されたのも3ヶ月前のことだった。史上2番目の若さで代表入りしたかと思いきや、それと前後してレアル・マドリードへの移籍も発表された。早くから注目されている逸材とはいえ、17歳や18歳の選手が代表チームと強豪クラブで圧倒的な存在感を発揮することは無い。



中田英寿 1997年代表初招集(19歳) 1998年海外移籍(20歳 セリエAのACペルージャ)
小野伸二 1998年代表初招集(18歳) 2002年海外移籍(22歳、エールディビジのフェイエノールト)
中村俊輔 2000年代表初招集(21歳) 2003年海外移籍(24歳、セリエAのレッジーナ)
小笠原満男 2002年代表初招集(22歳) 2006年海外移籍(25歳、セリエAのメッシーナ)
長谷部誠 2004年代表初招集(22歳) 2006年海外移籍(24歳、独ブンデスリーガのヴォルフスブルク)
香川真司 2008年代表初招集(19歳) 2010年海外移籍(21歳、独ブンデスリーガのボルシア・ドルトムント)


これまで日本代表を牽引してきた逸材と比較しても久保建英のケースは飛躍し過ぎている。「日本サッカー界を牽引する主役になれるのか?」を問う前に世界最高レベルのクラブチームに移籍した。これまで逸材として期待された選手は何人もいたが、10代にして名実ともに日本代表の顔となった選手は中田英寿しか存在しない。中田英が20歳でイタリア・セリエAのACペルージャに移籍した当時は確実に試合に出場できることを条件に無名の弱小クラブを選んでいる。中田英は開幕戦からスタメン出場を果たすとセリエAの戦いにフィットして弱小クラブを牽引する存在となった。ペルージャにおいて中田英とポジションを争うライバルは皆無だった。


1年目も2年目もチームの顔として君臨すると強豪ASローマへのステップアップを果たした。ASローマにはクラブ史上最高のスターとも言えるフランチェスコ・トッティが君臨していた。2000年当時のセリエAは世界最強のリーグと評価されていて世界中のタレントが集結していた。スクデットを狙うローマも野心に満ち溢れ、ワールドカップで活躍した各国の代表クラスを集めていた。その誰よりもトッティはクラブを象徴する選手だった。中田英がローマに移籍する際に交わしたとされる「全試合の75%に出場する」という契約条項を巡ってイタリアのメディアが大々的に取り上げたために、同じポジションでプレーするトッティがクラブ幹部に出場を直談判した。険悪なムードのまま、2000年のウインターブレイクが開けると中田英がスタメンに名を連ねていた。中田英は早速、見せ場を作って移籍金に見合う選手であることを現地のメディアに見せつけた。トッティの精神状態はさらに悪化して移籍をほのめかすまでになったため、クラブ幹部たちはトッティをスタメンで起用する方針に切り替えた。険悪なムードによってローマは勢いを失った。


海外移籍するに当たって強豪クラブを選択する場合、最大の障壁になるのはトッティやメッシのようなクラブを象徴する存在とポジション争いすることだろう。メッシのように出場を確約されている選手からポジションを奪うことは不可能である。1999-2000シーズンのローマにおける当時23歳のトッティはまだ頭角を現したばかりで出場を確約されていなかった。中田英の移籍によってポジションを奪われそうになったことからトッティはクラブに方針を選択させることにした。クラブ幹部らはトッティをチームのエースにすると決断してトッティの移籍を食い止めた。2000-2001シーズンのローマは序盤から首位を独走するもユベントスを振り切せず、優勝の行方は直接対決に掛かっていた。


デッレアルピでの決戦の1ヶ月前に、出場できない状況に置かれた中田英に向かって、「あのメンバーではユベントスには勝てないから必ずチャンスが来る。その試合で最高のコンディションでプレーできるようにしておけ。」と告げておいた。そしてファビオ・カペッロとクラブ幹部にも「優勝した蹴れば中田英を使え」と念を御押しておいた。セリエAの試合はフジテレビが定期的に放送していたのでローマが息切れしつつあることも把握できていた。ユベントスはただ強いだけでなく、複数のクラブを子分にしており、勝ち点を操作している。ローマは残る試合を全勝するぐらいで行かないと追い付かれてしまう。セリエAでは複数のクラブが徒党を組んで八百長が仕組まれていることも当時の試合放送から読み取れた。実に複雑な状況の中で、ローマとユベントスの直接対決が始まった。試合に負けると勝ち点で並ばれてしまう。並ばれた瞬間にローマの優勝の芽が潰える。


最悪なことに、ローマのスタメンに中田英の名前は見られなかった。チームは序盤からユベントスに押し込まれて2失点を喫した。このまま試合が進むと3点目もユベントスが取る。後半にトッティを下げて中田英がピッチに入ると、強烈なミドルシュートを放って劇的な展開が始まった。中田英のキャリアの中でも伝説の一戦としてファンの間で語り草になっている。2点目も中田英のミドルシュートがファンデルサールを直撃して、こぼれたボールを途中出場のモンテッラが押し込んだ。土壇場で2点差を追いつき、勝ち点3差をキープしたことでローマはユベントスの追跡を振り切ることができた。セリエAでは大規模な八百長が行われていると指摘したために、その後、捜査が行われてユベントスやACミランが罰則を受けている。八百長の発覚によって選手はセリエAへの移籍を回避するようになり、世界最強リーグの座から陥落した。


中田英のセリエAの挑戦は、サッカーのレベルがどうこうという話に留まらず、様々な問題点を浮き彫りにする海外移籍だった。シンボリックな選手のいるチームに移籍することは良くも悪くもある。トッティを中心とするローマはその後にスクデットを獲得することはなかった。セリエAの八百長裁判でユベントスが降格させられたシーズンもローマは優勝できなかった。フランチェスコ・トッティはローマでの長いキャリアにおいて2000-2001シーズンの1度しか優勝を経験できなかった。ローマはトッティと心中する中で浮き沈みを繰り返していた。一方で中田英もサッカーに対する純粋な思いを失っていった。もう少し、やりやすい環境があれば、中田英のキャリアも違っていた。ちなみに、トッティの獲得に動いていたクラブにはレアルも含まれている。


中田英とトッティの確執が在ったことから、小野伸二がオランダのフェイエノールトに移籍した際には、トップ下のポジションでプレーするヨンダ―ル・トマソンがライバルになると報道された。小野は移籍した当初からフェイエノールトの首脳陣を唸らせてスタメンが確約されるどころか、チームの顔とまで言われるほどの扱いを受けていた。2年目にはフェイエノールトは小野のチームになっていた。アヤックスもPSVも小野を徹底的にマークしていた。ライバルチームのスナイデルやファンデルファールトにテクニックを真似させるぐらい小野の影響力は絶大だった。ファンペルシーがキャリアの中で出会った最高のテクニシャンとして小野の名前を挙げるのはおべんちゃらではない。小野がスムーズに移籍できなかったのは、フェイエノールト首脳陣の評価があまりに高く、それに見合う移籍金を提示してこないクラブへの売却を渋ったからである。小野自身はステップアップを早い段階から考えていたがもどかしい状況が長引いた。ひょいひょいっと移籍できる選手は、それはそれでクラブ内での評価が低い。小野の様に他の選手が真似するレベルになるとクラブも手放したくなくなる。そこまで影響力を見せつけた選手は小野だけである。3年目以降の小野はフェイエノールトのリーダーとして振る舞っていた。怪我をしていなければオランダのサッカー関係者を驚愕させていただろう。



多くの選手が海外移籍するようになってからは、どういう状況でプレーしているか把握しづらくなっている。おそらく、ザルツブルクにいる南野拓実はフェイエノールトの小野伸二に近い状況になっていると思われる。クラブでの評価が高くなるにつれて移籍金と釣り合わなくなる。南野拓実を獲得するために20億や30億を出すクラブはない。韓国代表の中国系選手の場合、スポンサーがつくことから移籍金も跳ね上がる。今の日本でスポンサーがついていく選手はほとんどいない。レアルに移籍した久保や、マンチェスターシティに移籍した食野に、国際的なスポンサーはついていない。戦力に成る可能性があると見なされて日本人選手を獲得するクラブが増えている点は日本サッカー界の評価が高くなっている証拠である。移籍先が移籍先だけに何とも言いようがない。レアルもシティも毎年のように補強している。フェイエノールトのようにメンバーがある程度固まっていれば誰とポジション争いするといった話もできるだろう。


レアルでは誰かとポジション争いするとかではなく、勝てないと判断すると大型移籍が敢行される。今はルカ・モドリッチやハメス・ロドリゲスやエデン・アザールやガレス・ベイルといった顔ぶれが久保建英のライバルになる。新しいスターが出現するとレアルが強奪するのでポジションの確約は無い。レアルは特にワールドクラスを獲得するので、常に最新のワールドクラスと競うことになるのを覚悟しなければならない。トッティどころではない。全員駄目と判断された場合には叩き売りもある。各国代表のエースクラスが何人も叩き売りされている。2000年初頭のローマのように、ある程度メンバーが固定されていると先も読みやすいのだが、レアルだけは先が読めない。来年のEUROでワールドクラスが出現すると、高い確率でレアルは獲得に乗り出す。それによって久保建英の立場も微妙になる。あのアリエン・ロッベンでもスタメンに定着できなかったクラブだということがどういうことなのかを理解しておく必要がある。


昨シーズンのレアルが不調に終わったために、サポーターもメディアも容赦なくバッシングした。だからといって、レアルを相手にするチームはレアルを舐めてはいけない。チームが駄目でもワールドクラスが力を発揮してくると容易には対応できない。レアルに戦術的に統制してこられると手に負えないことはクラブワールドカップで立証されている。ブラジルの最強レベルでもシュートが打てなくなる。そんなチームの中で、久保建英の合格ラインはモドリッチやメッシのような次元に到達することだ。そのレベルでようやく成功したと言われる。ペルージャやレッジーナとは比較にならない。フェイエノールトやドルトムントとも比較できない。


海外移籍した若い選手たちの成否を問う前に、Jリーグの関係者は己がクラブの無様な醜態を改善することだけ考えろ。J1の下位に沈んでいるクラブは混乱し過ぎている。国内で質の高いクラブが増えると、何もわざわざヨーロッパのCクラスに移籍しようという気にはならないだろう。統制のとれた組織に身を置くことで学べることもある。
精神面を鍛えておかないと何処に行こうと何も成功させられない。他の国では手を付けていない人間性の面での強化が急務だ。次々とビッグニュースが飛び込んでくるので状況の分析が追い付かなくなっている。移籍した先では問題も起きている。ベルギーのシントトロイデンでは、DMMがクラブを買収してから現地サポーターをウンザリさせている。買収され、乗っ取られたクラブでは何処でも恨み節を聴く。国内で安く買い叩かれた鹿島にしても次第に問題が増える。組織管理が殆ど出来ていない企業だらけになっていてスポーツクラブにしても上手く物事が進んでいない。





世界で求められること

今夏の移籍シーズンで11人のJリーガーがヨーロッパのクラブに移籍している。8月4日時点で総勢29人の選手がヨーロッパのクラブに所属する。新たに移籍している選手の多くが20歳前後と若い選手に偏っていることは10年前との大きな違いである。各年代の日本代表に注目が集まっていることから、代表での活躍がヨーロッパへの移籍の道を開く大きなチャンスになっている。移籍した選手以上にクラブ間での問い合わせは数多く来ていたはず。Jリーグが海外移籍の売り手市場になっていることは間違いない。


海外移籍の1つの目標として、ヨーロッパでも有数のビッグクラブに入って活躍することがある。レアル・マドリードやFCバルセロナに移籍した選手もいるが、そこで活躍して尚且つリーグ優勝やCL優勝を成し遂げてこそ、成功したと見なされる。言ってしまえば「勝つこと」が何よりも求められている。レアルに限らず、どのクラブにとってもリーグ優勝することが目標であり、チームを勝たせてくれる選手が英雄に成れる。勝つために何をしなければならないか、それを常に考える必要がある。


1年前、オランダのフローニンゲンで活躍していた堂安律は、世界で注目される次世代ヒーロー20人の1人としてピックアップされていた。堂安律はフローニンゲンに移籍した1シーズン目に、リーグ戦9ゴールとカップ戦1ゴールの合計10ゴールを決めている。ウルグアイのルイス・スアレスがフローニンゲンに移籍して1シーズン目に決めたリーグ戦10ゴールとカップ戦2ゴールの合計12ゴールに匹敵する活躍である。2シーズン目を迎えるに当たってルイス・スアレスはアヤックスへ移籍した。堂安律もアヤックスが調査に乗り出していたが獲得には至らなかった。両者の運命を分けたポイントは「柔軟性」である。


スアレスは万能型ストライカーで前線であればポジションを問わずプレーできる。アシストを量産する能力も高く、2列目でプレーさせても機能する。堂安律はサイドからのカットインが目立つように得意の形に頼りがちである。そのカットインが分析されてしまい2シーズン目には得点能力が半減している。メッシやロッベンが堂安と同じ形を得意としているが彼らほどのアクセルの変化が無い。同案はポジショニングを切り替えて変化をつける意識は持っているものの、マーカーを抜き切ってやろうとする闘争心が裏目に出ている。集中しているDFと勝負してもメッシやロッベンでも簡単には勝てない。


スアレスはアヤックスでシーズンを重ねるたびにゴール数が増えている。2シーズン目、3シーズン目、4シーズン目とゴール数が右肩上がりに上昇している。この傾向はその後に移籍したプレミアリーグやリーガ・エスパニョーラでも同じである。長くプレーする中でゴール数とアシスト数が増えていくということは、そのリーグの性質を分析できているということの証明である。相手は分析しても、分析しても、誰もスアレスを捕えることができない。高齢化による能力の低下は已む得ないとして、20歳から30歳に至るまでの期間でスアレスは成長し続けている。誰かの指導を受けたのではない。自分で調整して試合の中で常に変化を付けている。



つまりは「柔軟性」とは「頭の良さ」の裏返しである。ハードワークするチームや選手が増える中でゴールを決めるには柔軟に対応することが必須になっている。ロシアワールドカップに中島翔哉を連れて行けと連呼したのも柔軟性に関係しているからだ。中島翔哉には独特のリズムが合って、予期せぬタイミングでミドルシュートを放って来る。チームの中にその要素を組み込んでおくことで変化が生まれる。香川真司(相手の裏を取るのが上手い)や原口元気(ボールキープが上手い)などともタイプが違う。特徴の異なる選手を揃えることでチームとして変化に富んだサッカーが可能になる。そこがサッカーの面白いところで個人能力で全てが決まる訳ではない。リオネル・メッシがいるから勝てるというものではない。組織力を使ってスアレスを消すこともできる。スアレスを使って強いチームを作られてしまうと手に負えない。頭の良い選手が居る・居ないでは居た方が良い。「強いものが勝つ」という話は概ね「頭の良い奴が勝つ」という図式になっている。




頭の良い奴が強い理由は、状況の変化をいち早くとらえて対応しているからである。そして、それは結果となって如実に表れて来る。何においても頭の良さは利いてくる。頭の良さに加えて、精神力や知識も備えていると無敵る。私は無敵に近い人間の1人なのでアメリカでも日本でも経済基盤の設計に携わっている。他の国は単純にアメリカや日本を見ているかもしれないが、こちらは他の国の戦力分析を既に終えている。時代が移り変わって世の中が変化しても対応できる。私は結果を残し続けたことで世界から絶大な評価を受けることになった。結果を残していなければ誰も評価してくれない。どのような規模のプロジェクトであろうと結果を手繰り寄せることが大事になる。結果を残し続けると周囲は必ず認めてくれる。「努力しました」だけでは評価できない。


ヨーロッパのクラブでプレーしているサッカー選手(国籍問わず)を見ていると、しっかりと結果を残していく選手は着実にステップアップしている。日本からヨーロッパへ移籍している選手は香川と長谷部を除いて物足りない。小野伸二がフェイエノールトでリーグ優勝していたなら評価は一段と違っていた。彼等が活躍していた頃よりも各国のリーグのレベルが上がっているので、その状況下でJリーガーが大量にヨーロッパへ移籍していることは評価できる。2020年代の水準をとりあえず満たしている。後は結果を手繰り寄せるだけ。U-20ワールドカップやトゥーロン国際で優勝できるレベルにまで来ているので、そこをしっかりと勝ち切って実力を証明しなければならない。チームや組織にタイトルをもたらすことはとても重要で、組織の人材の成長に繋がる。



海外に移籍した若い選手については結果に注目している。彼等は助っ人でもあるので結果を出すことが求められている。SCマリティモにローンされた前田大然はU-21日本代表の注目株。スキルは同学年でトップクラス。ポルトガルでどこまで通用するか。2桁ゴールがボーダーラインになる。FCポルトの10番を背負うことになった中島翔哉はリーグ優勝することがボーダーライン。海外だけでなく、Jリーグにも注目していて、ガンバ大阪の食野亮太郎、FC東京の田川亨介(故障中)、湘南の斎藤美月の3人は日本代表の即戦力級の能力を持っている。Jリーグでチームの順位を1つでも上に押し上げられる戦力にならないと、ヨーロッパのクラブに移籍しても結果を残せない。チームの状態も影響してくることなので、神戸や鳥栖のような変なチーム(カルト宗教チーム)には長期間留まらないことだ。実力を発揮できず、世の中から評価されることなく、キャリアを無駄にする。


色々なクラブに選手が移籍してくれると色々見えるものがあって楽しめる。ユベントス、アヤックス、バイエルン、レアルマドリ―などの王者に移籍してリーグ優勝に貢献できる選手が出てきてこそ本物と評価される。私は日本経済を立て直して結果を残したことで、アメリカにステップアップした。アメリカを強化したことで全世界から神とあがめられるまでになった。日本に留まっているとそこまで評価されることは無い。ロシアや中国に移籍すると変なヤツと思われてしまうので、大金を貰えるからといって安易に決断しない方が良い。ロシアリーグに移籍するぐらいならアメリカのMSLに移籍した方が良い。MSLもレベルが上がっているので良い経験をつめる。


チームに馴染めるかどうかは言語の問題ではない。コミュニケーションの問題だということは厳しく言っておく。Jリーグのクラブからして人間関係がギスギスしていて、海外に移籍したところでコミュニケーションができるはずがないだろ。私がアメリカ人と意思疎通できるのもコミュニケーション能力があるからだ。米語や英語をまったく使わない訳でもないが、意思を正確に伝えるときは日本語オンリーにしている。誤訳が生じないよう言葉使いに気を付けている。必要であれば英語も使う。意思疎通しようという意思があれば意思疎通できる。





全国高校野球選手権の岩手県大会の決勝戦で大船渡高校の佐々木朗希投手が出場しなかったことが物議を醸している。160キロオーバーの剛速球を投げる同投手の活躍に全国の高校野球ファンが注目していたこともあって、佐々木朗希投手の出場回避によって大船渡高校が惨敗したために大船渡高校にはクレームの電話が殺到した。高校野球の過密日程の中で連投させられて肩や肘を壊したのでは元も子もない。決勝戦前日に本人が肘の違和感を訴えていたのだから出場回避は賢明な判断である。


チームに問題があるとするならば、岩手県大会の決勝戦までのスケジュールに合わせて戦力を温存しながら戦わなかったことだろう。決勝戦で佐々木朗希投手を使いたいのであれば、それに合わせてローテーションを組まなければならない。準決勝と決勝を連投させるのであれば準々決勝を休ませる。他のスポーツにしてもローテーションせずにレギュラーを固定して戦い続けるチームが多い。昔は高校サッカーでも同じ選手が出ずっぱりになっていた。高校サッカーで酷使されてプロになると故障に泣かされた選手はいくらでもいる。野球以上にサッカーは消耗が激しいスポーツなので、チームを率いる監督には選手の疲労回復の重要性を説いて聴かせている。選手交代させるタイミングが遅かったり、チームを組み替えるのが苦手な監督が目立つ。


野球の場合は投手の消耗が激しいのだから、どのチームであっても最低でもダブルエースを育てていなければならない。1人の投手に依存し過ぎると大船渡高校のような問題に直面する。昔ながらの指導者たちは「根性をみせろ」と強行出場させたがる。高校野球の県大会で肘を壊してしまうと優勝したとしても後々に後悔する。何処を目指しているのか、選手本人の人生でもあるので本人の意思で出場できないというのなら、それを汲み取るしかない。甲子園で連戦した松坂大輔のときにも選手管理の在り方が問われた。甲子園で優勝することと、プロに入って成功することを天秤にかけると、どちらが良いのかという話はいつも議論になる。県大会で選手が無茶をしなければならないのは完全に監督のミス。


1つ気になることとしては、高校サッカーではJリーグのジュニアユースの選手らが全国の高校サッカー強豪校に進学している。強豪校の中には監督自らがジュニアユースの選手をスカウトしているところもある。そのような場合、スカウトを受けた選手がレギュラー出場を保証してもらっている。それによって選択肢に制限が生じている。強豪校には地域の中学生だけでなく、他県の中学生も進学するので選手過多のマンモスクラブになりやすい。十分に出場機会が得られず、真価を発揮することもなく高校サッカー生活を終えている選手も多い。学校側にはマネジメント能力が無いので来る者拒まずだ。ほとんどと言って良いほど、スポーツ系のクラブ活動は統制が取れていない。指導者が選手の成長の邪魔になっていることもある。


欧州のトップクラブであるFCバルセロナも何十人と選手を獲得しては使い捨てている。リオネル・メッシのように成功するのは1000人に1人の確率と言っておく。世界中から集めた選りすぐりの才能1000人の中の1人がメッシである。ほとんどはFCバルセロナで使い捨てになっている。今夏に鹿島の安部裕葵がFCバルセロナに移籍したが、「ローンに出される」という見方が大勢を占めている。FCバルセロナが育てた名手はリオネル・メッシぐらいだけで、シャビは自前の才能で自力で成長しており、他は海外のビッグクラブから獲得した選手である。シャビがFCバルセロナを作り変えたのであって、FCバルセロナがシャビを成長させたのではない。このことも正しく理解されていない。FCバルセロナに選手を育てるメソッドがあるかといえば無いと断言する。FCバルセロナから帰国した久保建英にしてもJリーグで成長している。世界的なプロチームでもそんなことになっているのだから、アマチュアの高校野球や高校サッカーに対して、選手の育成を期待するのは無理である。ただし、チームを管理することをもう少し考えた方が良い。あやふやな指導者の下、「根性」という言葉で潰された選手は五万といることを忘れてはならない。




張本勲の時代錯誤な解説は面白い。プロ野球選手からあそこまで信用されていない解説者は珍しくない。野球がどれほど進化しているか知らないが、張本勲の解説が1970年代レベルにあることは解る。昔の指導者はスポーツを理解していない。良い指導者の下で学ばないとキャリアを潰されてしまう。良い指導者と悪い指導者の決定的な違いは、選手を使っているだけなのか、チームをコントロールしているかで決まる。良い選手をスカウトしてきてお任せ状態になっている指導者は選手を指導教育できない。指導教育できる指導者はどんなレベルの選手であろうと一定のところまでは育成する。


朝鮮人がやたらとFCバルセロナを持ち上げるので、FCバルセロナが優れた育成クラブのように誤解されている。本当に優れた育成クラブはオランダのアヤックスである。15歳頃にアヤックスから認められてスカウトを受けたとなると成功する確率はかなり高い。頭の良い指導者は選手の才能や将来性を見抜く目を持っている。そこからしてアヤックスとFCバルセロナでは違う。アヤックスは名選手を数多く育成している。お金を払ってアヤックスへ留学するのではなく、アヤックスのスカウトの目に留まって移籍する選手が出て来る方が楽しみである。レアルやバルサには育成のメソッドが無いので久保も安倍も使い捨てで終わるかもしれない。他のスポーツでも詳しく見ていくと似たようなことになっているのだろう。




①チームがメソッドを持っているのか。
②監督がメソッドを持っているのか。
③選手がメソッドを持っているのか。

一番良いのは①だ。組織としてメソッドを持っていると選手の育成ができる。②と③だと監督・選手がずっといてくれるならいいが、移籍された瞬間に弱くなる。大船渡高校は③に該当する。決勝戦で惨敗しているのを見るとエースに依存してきたように見える。チームとしては弱い。

日本のサッカー界は根底のところから作り変えている途中にある。2年後はさらにレベルが上がっている。4年後にはそれ以上にレベルが上がっている。日本のサッカー界としてメソッドを確立している。メソッドが出来上がってそこからアレンジがはじまる。確実に言えることとして「選手にお任せ」状態は減っていく。選手の才能に依存することと、選手の才能を活用することは違うんだぞ。



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