成田好三のスポーツコラム・オフサイド

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05年のコラム

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 土日と年末年始にニュースはいらない?!―毎年2週間の長期休暇を取る「報道ステーション」―

 日本の民放TV局は、土日と年末年始はニュースはいらない、あるいは、土日と年末年始は、視聴者はニュースにまったく興味がないと考えているようです。

 民放の看板報道番組である、TBSの「ニュース23」やテレビ朝日の「報道ステーション」は、土日の放送はありません。他の民放の看板報道番組もすべて同じです。土日の夜、民放のニュース枠は、番組と番組の間に流れる1分程度のスポットニュースしかありません。

 年末年始になると、民放の看板報道番組はすべて長期休暇に入ります。なかでも、最も長い休暇を取るのが、テレビ朝日の「報道ステーション」です。

 曜日の関係で1日程度前後することはありますが、毎年12月20日を最後に年内の放送を終わらせ、年明けに番組を再開させるのは1月4日の仕事始めの日になります。番組休止期間は14日、2週間にも及びます。

 毎日何がしかの事件や事故、話題が起きているからニュースなのです。しかし、テレビ朝日は、年末年始の2週間の間は、ニュースは起こらない、あるいはこの間は、視聴者はニュースに興味をもたないと、考えていることになります。

 ライブドアがフジテレビに対して買収を仕掛けたとき、フジテレビが買収を拒否する理由として真っ先に挙げたのは、TVメディアの「公共性」でした。

 フジテレビの言い分は、少し品のない言い方をすればこういうことでした。金銭亡者のIT成金である「ホリエモン」などに乗っ取られたのでは、TVメディアの「公共性」が担保できない。だから、何がなんでもライブドアの買収は阻止しなければならない。

 楽天がTBSに対して経営統合を持ちかけた―これも買収提案ですが―ときのTBSの拒絶理由も同様でした。買収を提案する側、それに対抗する側とも、言い方がややソフトになっただけで、買収拒否の理由は同じです。

 しかし、TV局側の言い分である、TVメディアの「公共性」は、いまのTV局において、十分に担保されているのでしょうか。

 民放は、1日の放送時間帯の大半をワイドショーとバラエティー番組に充てています。一概にワイドショーやバラエティー番組が悪いとは言いません。室の高いワイドショーやバラエティー番組もあります。

 最近の社会的関心事である、ホテルやマンションの耐震強度偽装事件は、ワイドショーが先行し、それをTVのニュース・報道番組が追いかけ、それから新聞が後追いするというパターンになっています。

 事件情報が新聞よりもTVに、なかでも視聴率の高いワイドショーに集まり、事件を追及する民主党などの国会議員もワイドショー人気を利用するーという循環が起きています。

 しかしです。ワイドショーがいくら先行したとしても、事件をきちんとフォローする役目は、ニュース・報道番組が担っているはずです。

しかしながら、民放はニュース・報道番組を月―金だけに限定しています。これは報道する姿勢としては明らかに間違っています。ニュースは土日にも年末年始にも当然発生します。

 民放の報道番組担当者や担当幹部、そして経営者もをのことは分かっているはずです。そして、視聴者は土日も年末年始もニュースを求めていることを理解しているはずです。しかし、彼らは相変わらず土日と年末年始はニュース・報道番組を扱いません。

 その理由は、視聴率競争が激しいといっても、民放は所詮「井の中の蛙」的な存在だからです。放送法によって政府から電波を割り当てられた許認可事業であり、政府の規制によって新規参入がほとんど不可能な最後の「護送船団」業界だからです。

 政府の規制に庇護された、年間兆円単位の広告費を、これも寡占状態の電通を筆頭とする広告代理店を通して、東京キー局5社が分け合っている業界だからです。

 彼らにとって大切なのは、建前でいっている「視聴者の声」ではありません。本音ではそんなことは考えてはいません。彼らの本音は自らの権益、既得権を死守するという一点があるばかりです。

 今年はライブドアと楽天がこうしたTV局の厚い壁をこじ開けようとしました。来年は政治が動き出します。

 宮内義彦オリックス会長が議長を務める、政府の規制改革・民間解放推進会議は12月21日、NHKの受信料制度見直しなど公共放送の在り方などについて、2006年度早期に結論を出すことなどを明記した答申を小泉純一郎首相に提出しました。

 見直しがNHKだけにとどまるはずはありません。NHK改革は、これまでNHKと「共存」してきた民放にも及びます。

 また、竹中平蔵総務相は放送と通信の融合に向けた私的懇談会「通信と放送の在り方に関する懇談会」を立ち上げることを明らかにしました。これも、小泉首相に在任中の2006年度前半に結論を出すことにしています。

 これらは個別の動きであるはずがありません。政府の竹中氏と財界の宮内氏が旗振り役になって、最後の規制産業ともいえる放送業界の「改革」に動き出したわけです。竹中氏は、NHKを含めた放送業界、つまりTV局の「大手術」のために総務大臣に就任したようなものです。

 土日と年末年始にはニュースはいらない。そんな手前勝手な姿勢でいるTV局は、IT産業と政治の圧力によって吹き飛ばされてしまうでしょう。(2005年12月28日記)


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