成田好三のスポーツコラム・オフサイド

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 (27)縁の当たりという事

 「縁」とはきっかけのことである。近い間合いで敵の太刀が打ちかかってくるときは、我が太刀で張ることも受けることも当たることもある。受けることも張ることも当たることも、すべては敵を「打つ」きっかけをつかむための動作である。

 乗ることもはずすことも継ぐことも、すべては敵を「打つ」ためえに行っている動作である。わが身も心も太刀も、すべては敵を「打つ」ことに集中すべきである。このことは、よくよく考えてみるべきである。

 一連の動作が必要、野球にたとえれば

 【やぶにらみ解説】
張る、受ける、乗る、継ぐ。これらはいずれも剣術(剣道)用語です。太刀の打ち込み方や敵の太刀の受け止め方を細かく分類した用語です。ここでは細かく説明しません。その能力もありません。

 武蔵がここで言っているのは、太刀を受ける、張る、乗るといった個別の動作を「目的」にしてはいけないとういうことです。すべての動作は、敵を確実に倒すという、本来の目的のための「一連の動作」であることが必要だということです。
 野球のキャッチボールや守備に置き換えて考えてみましょう。野球の基本中の基本であるキャッチボールは、「捕球する」「相手に投げ返す」という2つの動作で構成されています。

 捕球する、投げ返す動作を個別に練習していれば、その動作自体はうまくなるでしょう。しかし、実践(実戦)では役に立ちません。野球では、捕球したボールはすぐ投げ返さなければならないからです。捕球する、投げ返すという動作は、一連の動作として練習する必要があります。

 内野ゴロに対応する内野手の動作は、「打球を想定して構える」「捕球する」「打者(走者)を刺すためにいずれかの塁に投げる」に分類できます。しかし、これもキャッチボールと同様に一連の動作であることが必要になります。これらの動作をばらばらに区切って、個別に練習していたのでは、打者(走者)をいずれかの塁で刺すという目的は達成できません。

 物事を分類(分析)することは、対象を理解するためには大切なことです。しかし、実践(実戦)においては、個別な動きとしてではなく、全体がひとかたまりになった一連の動作が必要になります。


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