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みっともない安倍総理会見とだらしないメディア
「安倍さん、それはないよ。総理が記者会見場から記者の質問を受け付けないで逃げ出すなんて。情けないほどひどすぎるよ。メディアもだらしないったらない。何故、『総理、質問させてください』とあの場所で叫ばないんだ。何故、抗議を表明しないんだ。あの記者会見をTVで見ていた人は、総理官邸と記者クラブの『デキレース』と思ってしまうよ」
臨時国会閉幕後に行われた、19日夕の安倍晋三総理の記者会見(正確に言うと記者会見風の総理演説)をTVで見た(聞いた)直後の、筆者の感想です。NHKが地上波とBSで生中継したあの記者会見を見て、筆者と同様の感想をもった読者も多かったのではないでしょうか。
総理大臣の記者会見は、これまで何度も見たり聞いたりしてきましたが(もちろんTVやラジオを通じてです)、安倍総理の今回の記者会見ほど、情けなくなるほどみっともない記者会見は、見たことも聞いたこともありません。
「情けなくなるほどみっともない」理由は簡単です。総理が記者会見から逃げ出したからです。記者会見で会見する側が行う冒頭発言は、落語や芝居で言えば、いわば「前ふり」や「前座」のようなものです。質問の最初にある幹事社による「代表質問」も本題ではありません。事前に通告して行う質問だからです。
記者会見の本題は、記者との「一問一答」にあります。総理官邸といえども、完全には質問への準備ができません。ですから、一問一答にこそ会見する側の力量(質問する側もそうです)が試されることになります。TVやラジオで生中継される記者会見は、事後の編集ができませんから、答える側、質問する側、双方にとって、視聴者(国民)を前にした真剣勝負の場になるわけです。
今回の記者会見で、安倍総理は真剣勝負の場から逃げてしまいました。翌20日付の朝日新聞の記事によれば、安倍総理は20分を予定していた記者会見時間の19分余りを冒頭発言に費やしました。残りわずかな時間に安倍総理は2つの代表質問に手短に答え、会見を終了しました。
安倍総理は、「国民への説明責任を果たす」と日ごろから語っていましたが、記者との一問一答を拒んだ安倍総理は、説明責任を果たしたといえるのでしょうか。安倍総理、あなたは国民がリアルタイムで見ている、TVで生中継された記者会見の場から、記者の一問一答に答えずに逃げ出したのですよ。一国の総理として、これほどみっともないことはありません。
郵政民営化に反対した議員の復党問題、やらせ発言と過剰経費がやり玉にあがったタウンミーティング問題、道路族議員となれあった結果となった道路特定財源問題、政府税調会長の公務員官舎入居問題等々――。内閣支持率が急低下する中で、TVの前で質問されたくない、答弁したくないこれらの問題を避けたいというのが、一問一答を拒否した理由だとしたら、あなたに総理大臣の資格はありません。
会見に出席した記者、記者クラブの対応も情けないほどひどいものでした。内閣広報官による会見終了の「宣言」にあっさりと引き下がっていました。総理官邸に『飼いならされた』記者、記者クラブですから、「総理、逃げるのか」とまで言えとは言いませんが、「総理、待ってください」「総理、質問させてください」と、何故、その場で言えないのでしょうか。さらに言えば、一問一答を拒否した安倍総理に対して、各メディアとして、記者クラブとして、「抗議声明」くらいは出せないのでしょうか。
あなたたちの質問は、単にあなたやあなたが所属するメディアが聞きたいためではなく、直接には総理に聞けない一般国民に代わってあなたやあなたの所属するメディアが聞いている、ということを分かっていないようですね。
前述した朝日の記事によると、安倍総理は会見の後、官房正副長官らと夕飯をとったそうです。一問一答に答えられないほど空腹だったのでしょうか。会見に出席した記者たちはどうしたのでしょうか。準備していた質問ができなかったと上司に報告しただけでしょうか。その上司は、TV中継を見ていたはずですが、その報告に「しょうがない」と答えただけでしょうか。
記者会見、なかでも最も重要な総理大臣の記者会見について、当事者である総理大臣、記者会見に出席できるメディアはどう考えているのでしょうか。総理大臣は相変わらずの「上意下達」の考えのままなのでしょうか。メディアはいまも「特権階級」であると、そう考えているのでしょうか。(2006年12月20日記)
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