成田好三のスポーツコラム・オフサイド

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07年のコラム

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 アレン・アイバーソンに再会した日

 彼の足さばきを見ているだけで、ため息が出てくる。人間は、これだけ変幻自在のステップを踏んだり、自ら前進する強烈な加速度を瞬時に静止状態に持ち込んだり、あるいは空足を踏むようにして相手をすり抜けたりすることができるものだろうか。

 彼が「のった」状態でプレーするときは、誰一人として彼を止められない。ファウルしようとしても、彼はその時すでに、相手をすり抜けている。そんな時の彼と戦うということは、「空気」を相手に戦うようなものである。

 彼は、アレン・アイバーソン。バスケットボールのファンなら、誰でも知っている、NBAのスーパースターである。エイズにおかされたマジック・ジョンソン、「エアー」と賞賛されたマイケル・ジョーダンが引退した時代に、コービー・ブライアントとともに現れたNBAの新星だった。

 その当時(いまもそうなのだが)、2メートルを超える大男たちが派手なダンクシュートを決める。そんなシーンがNBAの売りものだった。そんな時代に、170センチ程度しかないアイバーソンが、大男たちの間をすり抜けてレイアップシュートを連発する。彼の登場は、NBAにおけるひとつの「革命」でもあった。

 先ごろ、実に久しぶりに、アイバーソンのプレーを見る機会があった。NHK・BSの録画中継だった。長く在籍していたフィラデルフィア・セブンティーシクサーズからデンバー・ナゲッツに移籍したアイバーソンの対戦相手はダラス・マーベリックスだった。ゲームは敵地のダラスで開催された。

 そのゲームは、アイバーソンの一人舞台になった。シュートは思うように決まる。ノールックのパスは当たり前。崩れ落ちる寸前の体勢から、いや崩れ落ちる寸前と思わせる体勢からシュートとパスを繰り出す。

 相手選手は彼に触ることさえ出来ない。NBAの終盤では、圧倒的に強烈な相手選手は意図的なファウルでとめる事が常套手段だが、このゲームでは、相手選手はアイバーソンに意図的ファウルさえできなのである。相手選手だけではない。彼の僚友であるNBAのスター、カーメロ・アンソニーも、このゲームでは「脇役」「引き立て役」を担わされていた。

 首筋にある漢字の「忠」の刺青は若いころと同じである。しかし、彼の表情は、革命的な登場をした時代とは大きく変わっていた。相手を刺し殺すような表情ではなく、穏やか表情をいている。

 精悍な顔立ちは変わらないが、少しだけ顔に肉がついている。肉付きのよさは顔だけではない。上半身の筋肉は大きくなっていた。しかし、変わらないものがある。下半身である。しなやかで柔らかでしかも強靭な下半身は昔のままである。

 NBAでアイバーソンを見る機会があれば、彼の上半身の華麗な変化ではなく、それを支える彼の下半身の動きを注意深く見るべきである。アイバーソンの足さばきこそ必見である。(2007年12月12日記)

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アレン最高

2009/2/1(日) 午後 7:40 [ rin ]


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