成田好三のスポーツコラム・オフサイド

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玉原高原のブナの枯れ木、上部は見事なまでに倒立している(撮影:2009年4月21日)

 ■倒木のソフトランディング

 「それにしても見事なまでにきれいに折れたもんだな」。この倒木を見ての第一印象である。そしてまた、この倒木はいろいろと想像力をかきたててくれる。

 この倒木はこの春、群馬・玉原高原のブナ林の中で見つけた。

 玉原高原のブナとしては中程度の大きさである。幹のほぼ中程できれいに折れている。そんな木はいくらでもあるが、この木が見事なのは、折れた木の上の部分がきれいに、まっさかさまに倒立していることである。

 こんな倒木は、そう簡単には見つけることはできない。それも、初めて出かけた玉原高原で出会えたのだから、幸運としかいいようがない。

 この倒木を見て、あれこれと想像力をかきたてられた。樹木の倒れ方にもいろいろある。雷の直撃を受けて縦にすっぱりと裂けたり、幹の中心部の腐れが遠因になって、大風や大雪が直接の原因になって、あるいはその両方が直接の原因になって倒れたりする。

 この倒木の場合はどうだろう。幹のほぼ中程で折れているから雷が原因ではないだろう。直立した方の幹には縦に長く腐れによるえぐれがあるから、腐れが遠因になっているには違いない。

 しかしなぜ、幹のほぼ中程でポキリと折れ、しかも幹の上の部分が倒立しているのだろう。

 筆者はこう考えた。幹の内部に腐れが広がり、しかもフジのツルに締め付けられた――倒立した幹には大きなフジのツルがからまっている――うえに、冬の豪雪を伴う大風でポキリと折れたに違いない。

 ではなぜ、折れた幹の上部が倒立しているのか。玉原高原は関東で一番ともいわれる豪雪地帯である。この写真を撮影した4月中旬でも、まだ歩くスキーが楽しめたくらいである。

 豪雪地帯の大量に積もった新雪は、折れたブナの木の上部を大きく広がる枝ごと、ソフトランディングさせたのではないだろうか。(2009年7月20日記)


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