成田好三のスポーツコラム・オフサイド

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 麻生政権と自民党の終焉を象徴する泥酔大臣

 酒飲みには、ある共通した性癖がある。酒が飲みたくなると、こらえ性がなくなる。時と場合を考えれば、こんな状況では絶対に酒を飲んではいけないと分かっていても、いや、分かっているからこそ酒に手を出してしまう。これは、他人を観察して言うのではない。筆者が酒飲みだからこそ、断言するのである。

 こうした度合いがより深まった場合は、その人を「アル中」「アルコール中毒」と呼ぶ。筆者もその一歩手前で踏みとどまっている(そう思っている)からこそ、そう断言するのである。

 麻生内閣の主要閣僚であり、首相の盟友でもある財務・金融担当相、中川昭一氏が、2月15日、イタリアで行われたG7後の記者会見で、前代未聞、空前絶後の醜態を演じた。世界を覆う未曾有の金融・経済危機への対応を協議する国際会議の場で、世界中の記者、世界中のTVカメラの前で、泥酔した状態で記者会見したのである。

 しどろもどろ。ろれつがまわらない。目が据わっている。まぶたが開けられない。顔に脂汗が吹き出す。いずれも、泥酔状態の典型的な症状である。本人の責任も重大だが、こんな状態の人物を、世界中が注目する記者会見に出した方も出した方である。「日本は、こんなアル中患者を財政、金融の最高責任者にしているのか」世界中があきれ果てたことだろう。

 帰国後、本人も官房長官も酒のせいではないと釈明しているが、まったく信用できない。中川氏をよく知る森喜朗元首相は2月16日朝の、みのもんたの「朝ズバ」に生出演して、中川氏の醜態映像を見せられた上で、「非常にお酒の好きな方ですから、お酒には気を付けなさいと言ったことがある」との趣旨の発言をしていた。

 森氏自身も、先に「どけ」「どかせろ」の映像がTVで流された。釈明のために出演したのだろう。番組では、孫が学校でいじめられるなどと言っていたが、番組出演の本当の理由は、選挙が危ういからである。そうでなければ、森氏がみのの番組などに出演する理由がない。

 「どけ」「どかせろ」の映像が繰り返し流されることになれば、森氏にとって致命傷にもなりかねない。その意味では、泥酔大臣の映像は、森氏にとっては、いわば『救世主』のようなものである。

 中川氏、この泥酔大臣は小泉、安倍、福田、麻生政権と4代にわたって、主要閣僚と党の要職を渡り歩いて来た。経済産業大臣、農林水産大臣、自民党政調会長等々である。

 中川氏と彼を任命した麻生首相は、中川氏の帰国も、留任、衆議院での予算・予算関連法案成立後の辞任、即刻辞任と迷走を続けた。

 自民党政権が、この泥酔大臣に重要な役職を務めさせてきたことだけをみても、自民党の腐敗、衰弱は明らかなことである、中川氏のG7における泥酔会見は、麻生政権と自民党の終焉を象徴しているように思えてならない。(2009年2月17日記)

 麻生さん、そろそろ負け方を考えてはどうですか

 一軍の将の役割とは何だろうか。言わずもがなの問いである。彼の役割とは、戦(いくさ)の前段においては、兵士の訓練から装備の充実、敵味方の情報の収集と分析を行い、あらゆる状況を想定して戦に備えることである。

 いざ戦の場となれば、それらすべての『駒』を最大限に活用して、そしてあらゆる手練手管も駆使して、自軍を勝利に導くことである。

 しかしである。戦の場において、あるいは、戦の準備段階において、自軍の勝利が絶望的な状況陥った場合はどうするか。まず、彼の役割は戦を回避する措置を取ることである。さらに、そうした措置が取れない場合はどうするのか。

 絶対的に不利な状況下で戦わなければならなくなった場合にはどうするのか。凡庸な将ならば、闇雲に正面突破を挑み、自軍の兵力を消耗させてしまうこともあるだろう。極端な場合は、旧日本軍が選択した『玉砕戦』である。

 優れた将は、そんな選択はしない。負け方を選択するのである。どう負けるのか。どの程度の戦力の消耗で戦を終えることが出来るのかを考え、実行する。自軍を壊滅させ、再起不能の状況に追い込むのか。後日の復活の余地を残すのか、ということである。

 負けると分かった戦はしないにこしたことはない。しかし、戦には相手がいる。どうしても負け戦が避けられない場合は、負け方を選ばなければならない。それが一軍の将たるものの考え方である。

 自民党は、幾多の失政によって、結党以来の窮地に追い込まれている。年金問題、高齢者の医療保険問題、高級官僚との癒着問題等々が一気に噴出した。しかも、そうした問題の根源からの対応をこの党は取ることができないことが明らかになってしまった。

 世界的な金融・経済危機への対応も、この党とこの党が結党以来依存してきた官僚機構では対応できないことも明らかになってきている。

 戦は避けられればいい。しかし、それももうできない。解散の先送りを繰り返してきた衆議院議員の任期満了は9月に迫っている。

 そうならばどうするのか。もはや自民党は負け戦の戦い方を選択肢に入れるべきである。『玉砕』して後日の復活の道を自ら断ち切るのか。それとも、『余力』を残して、あえて『上手な負け方』を選択するか、である。

 麻生太郎首相。あなたの手で解散するとしたら、あるいはあなたの任期中に任期満了になるとしたら、あなたはどんな戦の仕方をするのでしょうか。『敗軍の将』にも、相反する評価が待ち受けています。(2009年2月16日記)

 サッカー日本代表監督は「選手に勝たせてあげる」立場ではない

 高校野球の監督の多くは、選手を「子どもたち」と呼ぶ。そして、春夏の甲子園大会や地方大会でチームが敗れると、決まり文句のように、こう答える。「子どもたちに勝たせてあげたかった」

 彼らの精神性は「子どもたち」と「勝たせてあげたかった」の2つの言葉に凝縮されている。彼らは、彼らより劣る立場の「選手=子どもたち」を教え諭し、育てあげる役割を担っている、そう考える精神性である。

 高校野球を統括する日本高野連は、高校野球を教育の一環と位置付けているから、高校野球の監督が選手を「子どもたち」と呼び、チームが敗れるたびに「勝たせてあげたかった」と語るのには、一理はある。しかし、一理はあるが、こうした精神性が選手の自立やプレーの創造性を阻害させていることもまた、事実である。

 サッカーの日本代表監督は、高校野球の監督とはまったく違う立場にある。代表監督はアマチュア・サッカーの「指導者」ではない。日本サッカー協会と契約したプロフェッショナルである。

 現代表監督の岡田武史氏は、2010年ワールドカップ(W杯)南アフリカ大会へ日本代表チームを出場させることを最低のノルマとして、2002年の日韓共催W杯で残した決勝トーナメント・ベスト16を上回る結果を求められている立場にある。

 彼の役目は、代表選手を教え諭し育てあげることではない。日本選手から最良の「駒」を選び、彼らの能力を最大限に発揮させて、期待、あるいは想定された結果を残すことである。しかし、岡田氏は自らが置かれたそうした立場を十分に認識している人物だとは、どうしても思えない。

 日本代表チームは2月11日、ホームの横浜・日産スタジアムで、強敵・オーストラリア相手に、W杯アジア最終予選を戦った。日本代表はこの試合に備えて1か月もの準備期間を取った。当然、ベストメンバーをそろえた。対するオーストラリアは、選手の多くが欧州各国のリーグに所属しているため、試合直前に選手が合流するという、苦しい状況で戦った。ベストメンバーがそろった訳ではない。

 結果は誰もが知っている。0−0の引き分け。オーストラリアにとつては勝ちに等しい引き分け。日本は、ほとんど負けに近い結果となった。日本代表には、相手ゴールをこじ開けるための独創性のあるアイデアも、攻撃性、もっといえば、こうした試合には必要不可欠な凶暴性も感じられなかった。ただただ、監督の指示、戦術に従って戦っていた、そう思えてならなかった。

 この試合の直後、岡田氏はインタビューに答えている。民法TV、NHK・BSとも生中継していたから、このインタビューを聞いた人は多かったに違いない。しかし、ほとんどすべての新聞、TVは、このインタビューでの、岡田氏の「重要発言」を無視している。

 試合直後に、岡田氏はこう話している。

 「われわれのやろうとしているサッカーをやってチャンスも作ったので、勝たせてあげたかった。(引き分けは)残念だが、選手はよくやってくれたと思う。 (やろうとしていたのは)シンプルにボールをつないで攻めていくサッカー。前半30分まではぺースが取れなかったが、それ以降はやろうとしているサッカー、プレスが機能した。点が取れずに残念だが貴重な勝ち点1だと思う。われわれはこのサッカーの精度を上げていくだけ。(W杯予選、ホームで2試合連続の引き分けだが)予選8試合を通してどうなるかだと思う。勝つために毎試合ベストを尽くしています 」(スポーツナビの記事から引用)

 岡田氏は最初のフレーズで、「(選手に)勝たせてあげたかった」と話している。

 サッカー日本代表監督は、高校野球の監督ではない。「選手にかたせてあげる」立場ではまったくない。高校野球の監督と同様の精神性をもった人物を代表監督に就かせたままで、日本代表は最終予選を勝ち上がれるのだろうか。たとえ、幸運にも採取予選を突破できたとしても、W杯本番で世界の強豪国と戦えるのだろうか。

 この試合の後、日産スタジアムに集まった多くのサポーター・ファンから、岡田氏の解任を求める声が大きく広がった。そうした声を挙げたサポーター・ファンの中には、筆者と同様の「危惧」を感じたサポーター・ファンもいたのではないだろうか。(2009年2月14日記)

東京マラソン「賞金レース化」とメディアの嘘(2)−新聞寸評

 東京マラソン「賞金レース化」について、もう一度書くことにする。時事通信と産経の記事を批判するだけでは片手落ちと感じるからである。以下は、毎日、読売、朝日の記事である。この3紙の記事は、前回紹介した時事通信、産経に比べて巧妙である。しかし、巧妙であるがゆえに、より姑息な記事になっている。

 ■東京マラソン:優勝者に1000万円相当…09年開催から

 東京都と東京マラソン事務局は7日、09年3月22日に開催する第3回大会から、男女の優勝者に1000万円相当の賞金を贈ると発表した。男子は世界記録を更新すれば4800万円まで増額される。(毎日)

 ■東京マラソン、優勝800万円…世界新で最高4600万円

 来年3月22日に開かれる「東京マラソン2009」(読売新聞社など共催)の事務局は7日、優勝賞金を男女それぞれ800万円にすると発表した。優勝タイムによってはボーナスも加算され、世界記録が出た場合、男子は最高計4600万円、女子は同4300万円となる。国内マラソンでは、東京を含む6大会の賞金化が決まっているが、賞金額が発表されたのは初めて。(読売新聞)

東京マラソン、優勝者に計1千万円 賞金制度導入へ

 来年3月22日に開催される東京マラソン(東京都、日本陸上競技連盟主催)の組織委員会は7日、優勝者に賞金800万円と200万円相当の副賞を渡すことを決めた。10位まで賞金を出す。都によると、国内レースで賞金額が明らかになるのは初めて。(朝日)

 □ペースメーカー「公表」と同じ対応

 毎日の記事は、「東京都と東京マラソン事務局」を主語にして、記事のすべての責任を主催者に「おっかぶせ」ている。あれは、主催者が発表したことで、我々は主催者の発表内容を報道しただけであり、発表の内容など我々の関知することではない、とでも言いたげである。

 しかし、毎日も主要マラソン大会の主催者に名を連ねている新聞社である。現場の記者やスポーツ担当デスクが、賞金レース化している主要マラソン大会の実態を知らないはずはない。

 朝日は、「都によると、国内レースで賞金額が明らかになるのは初めて」と書く。朝日も、責任を東京都に「おっかぶせ」ているだけである。「国内レースで賞金額が明らかになるのは初めて」と書くならば、それ以前はどうだったのかを書かなければ、辻褄が合わない。

 読売はこう書いている。「国内マラソンでは、東京を含む6大会の賞金化が決まっているが、賞金額が発表されたのは初めて」。「発表されたのは初めて」は、朝日と同様の言い回しだが、「東京を含む6大会の賞金化が決まっている」はどういうことか。読売は、主要マラソン大会の賞金レース化決定を、いつ、どんな形で記事にしたのだろうか。

 国内主要マラソン大会の賞金レース化の公表は、ペースメーカーの公表とまったく同じ経過をたどっていくだろう。マラソン大会におけるペースメーカーは、日本陸連や新聞、TVが公表するずっと前から存在していた。ただ、彼らが彼らの利害から公表しなかっただけでる。

 しかし、彼らはペースメーカーの公表に際して、何ともみっともない嘘をついてきた。ペースメーカーの「公表」を「導入」と言い換えたりしていた。

 メディアの役割は事実を事実として伝えることから始まる。事実を事実として伝えないメディアが、事実を基にして論評しようとしても、やがては誰も彼らが伝える事実と論評を信用しなくなるであろう。(2008年11月13日記)

 東京マラソン「賞金レース化」とメディアの嘘(1)−新聞寸評

 新聞やTVといった主要メデイアは、いつも本当のことを伝えているとは限らない。それどころか、意図的な偽りの情報、つまり嘘を垂れ流すことがよくある。主要メディアのそうした悪しき体質は、自らが大きく関わるイベント報道に、特に顕著に表れる。

 来年3月に行われる東京マラソンで、優勝者らに賞金が贈られることになったという趣旨の記事が、11月8日付の新聞各紙に一斉に掲載された。前日に大会事務局が発表した内容をもとにした記事である。

 以下は、時事通信、産経の記事の冒頭部分である。この2つの記事は、記事の根幹部分が間違っている。

 ■東京マラソン、優勝800万円=賞金額決定、タイムボーナスも

 初めて賞金レースとして行われる第3回東京マラソン(来年3月22日)の大会事務局は7日、具体的な賞金額を発表した。賞金は協賛各社の協力で贈られ、総額は1億840万円。順位による賞金は、男女とも優勝が800万円、2位400万円、3位200万円などで、10位(10万円)までを対象としている。
(時事通信)

 ■東京マラソン、最高賞金は4600万円

 来年3月の大会から賞金制を導入する東京マラソンの男子優勝者に、最高4600万円の賞金が渡されることが7日、分かった。同日午後、大会を主催する東京都の石原慎太郎知事が会見で明らかにする。(産経新聞)

  □主要マラソン大会はずっと前から賞金レースだった

 時事通信の記事にある、「初めて賞金レースとして行われる第3回東京マラソン」は正しい表現ではない。産経の「来年3月の大会から賞金制を導入する東京マラソン」の表現も事実とは異なっている。

 日本の主要な男女のマラソン大会−日本陸連と全国紙、民放キー局が主催者に名を連ね、各紙が大々的に報道し、民放キー局が全国ネットで生中継し、世界陸上や五輪の選考会を兼ねたりする大会−は、ずっと前から賞金レースだった。

 賞金レースでなかったのならば、プロアスリートである五輪や世界陸上、ボストンやベルリンなど世界の主要大会のメダリストが、極東(これは差別用語である)のマラソン大会に出場するだろうか。

 2006年の福岡国際には、翌年にマラソンの世界記録保持を出したハイレ・ゲブレシラシエ(エチオピア)が出場し、日本選手との圧倒的な力の差を見せつけて圧勝した。彼が日本の大会に、出場料も賞金も、記録更新の際に支払われるボーナスもなしに出場するなどと信じている人がいるとすれば、その人はよほどの世間知らずということになる。

 日本の主要マラソン大会にも、以前から賞金はあった。しかし、大会を主催する日本陸連と新聞、TVがそのことを公表してこなかっただけである。(2008年11月12日記)


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