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東京マラソン「賞金レース化」とメディアの嘘(1)−新聞寸評
新聞やTVといった主要メデイアは、いつも本当のことを伝えているとは限らない。それどころか、意図的な偽りの情報、つまり嘘を垂れ流すことがよくある。主要メディアのそうした悪しき体質は、自らが大きく関わるイベント報道に、特に顕著に表れる。
来年3月に行われる東京マラソンで、優勝者らに賞金が贈られることになったという趣旨の記事が、11月8日付の新聞各紙に一斉に掲載された。前日に大会事務局が発表した内容をもとにした記事である。
以下は、時事通信、産経の記事の冒頭部分である。この2つの記事は、記事の根幹部分が間違っている。
■東京マラソン、優勝800万円=賞金額決定、タイムボーナスも
初めて賞金レースとして行われる第3回東京マラソン(来年3月22日)の大会事務局は7日、具体的な賞金額を発表した。賞金は協賛各社の協力で贈られ、総額は1億840万円。順位による賞金は、男女とも優勝が800万円、2位400万円、3位200万円などで、10位(10万円)までを対象としている。
(時事通信)
■東京マラソン、最高賞金は4600万円
来年3月の大会から賞金制を導入する東京マラソンの男子優勝者に、最高4600万円の賞金が渡されることが7日、分かった。同日午後、大会を主催する東京都の石原慎太郎知事が会見で明らかにする。(産経新聞)
□主要マラソン大会はずっと前から賞金レースだった
時事通信の記事にある、「初めて賞金レースとして行われる第3回東京マラソン」は正しい表現ではない。産経の「来年3月の大会から賞金制を導入する東京マラソン」の表現も事実とは異なっている。
日本の主要な男女のマラソン大会−日本陸連と全国紙、民放キー局が主催者に名を連ね、各紙が大々的に報道し、民放キー局が全国ネットで生中継し、世界陸上や五輪の選考会を兼ねたりする大会−は、ずっと前から賞金レースだった。
賞金レースでなかったのならば、プロアスリートである五輪や世界陸上、ボストンやベルリンなど世界の主要大会のメダリストが、極東(これは差別用語である)のマラソン大会に出場するだろうか。
2006年の福岡国際には、翌年にマラソンの世界記録保持を出したハイレ・ゲブレシラシエ(エチオピア)が出場し、日本選手との圧倒的な力の差を見せつけて圧勝した。彼が日本の大会に、出場料も賞金も、記録更新の際に支払われるボーナスもなしに出場するなどと信じている人がいるとすれば、その人はよほどの世間知らずということになる。
日本の主要マラソン大会にも、以前から賞金はあった。しかし、大会を主催する日本陸連と新聞、TVがそのことを公表してこなかっただけである。(2008年11月12日記)
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