成田好三のスポーツコラム・オフサイド

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 北岡伸一氏―御用学者は生き延びる

 御用学者とは、実にしぶとい存在である。その典型的な例が、北岡伸一氏(東京大学教授)だろう。主要メディアは、彼を気鋭の政治学者などともてはやすが、はたしてそうだろうか。

 北岡氏はいまや「時の人」である。戦後の日米外交史の暗部と言える密約問題を調査した、外務省の有識者委員会の座長を務めたからである。

 しかし、北岡氏は有識者委員会の委員として、ましてや調査を取りまとめる座長として適格な人物なのだろうか。

 北岡氏の経歴を見れば、誰でも適格性に疑問をもつに違いない。北岡氏は4年前まで外務省の外交官だった。2004年から2年間、 国際連合日本政府代表部次席代表・特命全権大使を務めた人物である。

 2006年から2009年にかけて、日本と中国が共同で行った日中歴史共同研究の日本側の座長を務めた人物でもある。この研究は当然、外務省主導のもとで行われた。

 北岡氏はまた、小泉純一郎、安倍晋三、福田康夫政権など歴代の自民党政権と深くかかわってきた人物でもある。

 いわば、常に外務省と自民党政権の周辺で生きてきた、御用学者の典型的な人物である。北岡氏は、政権が交代しても、外務省と政権中枢の周辺で生き延びるつもりだろう。

 北岡氏の活躍があってのことだろう。有識者委員会は、論点を矮小化した。「広義の密約」「狭義の密約」という文言によって、問題を専門化した。つまり、一般人から遠ざけたのである。

 これも、北岡氏の活躍あってのことだろう。密約問題の解明には二つの課題があった。一つは密約の事実そのものの解明である。もう一つは、米ソの冷戦終結後も、密約に関して嘘を言い続けた外務官僚と自民党政権の対応に関する解明である。

 密約の事実に関しては、事実上、米国の属国の立場にあった当時の日本にとっては、やむをえない選択であったとも言える。しかし、冷戦終結後も続けた嘘の繰り返しには、正統性はまったくなかった。さらに、外務省関係の公文書が大量に破棄されたとみられる問題。これらも、北岡氏の活躍によってだろう。論点にすらならなかった。

 こうした経歴をもつ人物を、民主党政権、鳩山由紀夫首相や岡田克也外相はなぜ、有識者委員会の委員、ましてや委員会の座長に選んだのだろうか。(2010年3月13日記)

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