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政治家は本当にズルイですね―新聞寸評
□中間貯蔵施設、7都県でも=除染土などの保管で―環境次官―
環境省の南川秀樹事務次官は28日、東京電力福島第1原発事故に伴う放射性物質の除染で生じる土壌など、汚染廃棄物を一時保管する中間貯蔵施設について、福島県以外の7都県にもそれぞれ設置する方針を示した。岩手、宮城、茨城、栃木、群馬、千葉、東京各都県で、近く同省が説明する。
東日本各地では、ごみの焼却灰や汚泥から放射性セシウムなどの検出が相次いでいるほか、局所的に放射線量が高いホットスポットの除染に伴う残土も発生。南川氏は、福島県郡山市内で記者団に「(除染は)福島に限った問題ではない。各県ごとの対応が必要」と述べた。(時事通信、20011年9月28日) ■政治主導どころか究極の官僚丸投げ
原発事故で東日本に撒き散らされた膨大な量の放射性物質に汚染された廃棄物をどう除去するのか。今、最も重要な政治課題ひとつです。上記の記事で環境省の事務次官が話した内容は、至極まっとうな考えです。
菅直人前首相が首相辞任直前に福島県にやって来て、知事に対して原発事故で撒き散らされた放射性物質に汚染された廃棄物の中間貯蔵施設を福島県内に設置したいという政府方針を伝えました。まるで〝いたちの最後っ屁〟みたいな話です。
原発事故に関して、住民に伝えるべき情報を伝えなかったばかりか、悪質な隠蔽を繰り返してきた首相が、「俺はもう辞めるけど、誰も引き受け手がないものは地元で処理してね」と、無責任に言い残したようなものです。
中間貯蔵施設といっても、『中間』である保証はどこにもない。原発からの通常の放射性廃棄物の場合と同様に限りなく『最終』に近い貯蔵施設です。そんな究極の迷惑施設を福島県内にだけ設置すれば、東京首都圏から放射性物質に汚染された大量の下水道汚泥や土壌が福島県に持ち込まれることになります。
福島県が、そんな理不尽な話を受け入れるはずもない。逆に、福島県側から、福島の原発でつくった電気は東京首都圏で使うのだから、放射性物質に汚染された福島の瓦礫や汚泥、土壌は東京首都圏で引き取ってくれという話になります。これでは、究極の水掛け論になるばかりです。
筆者はこう考えます。事故を起こした原発周辺の高濃度汚染廃棄物は、原発の敷地内と国が民有地を買い上げたうえでその周辺で貯蔵するしかない。それ以外は、環境省の事務次官が言う通り、各都道府県で貯蔵すできです。その際、用地は国有地か東電用地で賄うべきで、それが出来ない場合にのみ、都道府県用地、市長村用地の順で充てるべきで、民有地の選択はどうにもならない場合の最後の手段とすべきです。
ところで、放射性物質に汚染された廃棄物を福島県だけでなく、周辺の7都道府県でも保管するという極めて重要な政府方針の変更を、なぜ政治家ではなく、官僚が表明したのでしょうか。福島県だけから、福島県のほか周辺の7都道府県にも中間貯蔵施設を設置するという重要な変更を、政治家はなぜ官僚に言わせたのでしょうか。
本来ならば、野田佳彦首相自らが表明すべきで、百歩譲っても原発事故担当の細野豪志環境相が発言すべき内容です。しかし、9月9日の産経新聞によれば、野田首相は福島県視察の際に、記者団に県外設置も検討しているのかと問われて、「それも含めて―」と言いかけて、同席していた細野環境相に止められています。細野氏はこの席で、福島県内設置を断言しました。細野環境相は毎日新聞のインタビュー(9月5日)でも「安定して貯蔵できる『中間貯蔵施設』を福島県内にお願いせざるを得ない」と答えています。
菅前首相、野田首相、細野環境相、このいずれの政治家の面子を保ちつつ、政府方針を変化させる。そのためには環境省の事務次官に言わせるのがベストである。野田首相を含めた民主党の政権中枢はそう考えたのでしょう。
しかし、これでは民主党が標榜してきた政治主導どころか、究極の官僚丸投げということになります。政治家、なかでも民主党政権の中枢にいた、あるいはいまでもいる政治家は本当にズルイですね。誰も責任を取らない。それが彼らの基本姿勢といえるでしょう。(2011年9月29日記)
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