成田好三のスポーツコラム・オフサイド

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06年のコラム

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 北の湖理事長と日本相撲協会がおかしい

 まずは以下の文章を読んでいただきたい。「オフサイド:の読者である村上彰夫さんから7月28日に届いたメールの全文です。

 ■横綱・大関への昇進基準

 いつもオフサイドを興味深く読んでいます。有難うございます。

 相撲について言わずにいられないので、以下に申述べます。ご多忙のところ申訳ありませんが、暫時お付合い下さい。

 名古屋場所後の横綱・大関への昇進基準ほどファンを馬鹿にしたものは少なかろうと思います。是非オフサイドで取上げて頂きたいです。

 14日目で優勝が決まったのが物足りないというのは、唯独り2敗で追っていた白鵬に向かって言うことではなく、他の大関陣に向けられるべきです。

 特に上位と当たった11日目以降の惨状は目を覆うものでした。星取表は真っ黒です。

 まして優勝、準優勝は15日間の勝敗で争うもので、それによって一場所の興味を持たせています。途中経過を争うという言いがかりは、初めて耳にしました。

 雅山の大関昇進の見送りは更に深刻で、3場所の成績を並べた時に現在の大関(白鵬を除く)は30勝に達したことはおろか、勝ち越しも滅多にないのではと心配になります。つまり大関は超特権階級で一度昇進すれば34勝も勝っても上がれない地位を二場所に一回勝越せば地位を保てます。

 来場所雅山が運悪く怪我でもしたらなど考えると暗澹とした気持ちになります。念の為申し添えますが、私は大の相撲ファンですが、雅山ファンではありません。

        □


 筆者も村上さんと同じ考えです。大関・白鵬も関脇・雅山も、日本相撲協会が自ら定めた横綱・大関への昇進基準を十分に満たしています。

 7月場所千秋楽の終了直後、相撲協会は白鵬の横綱昇進、雅山の大関再昇進の見送りを即決しました。そのニュースを聞いて、筆者はこんなことを想像してしまいました。

 今回の横綱昇進候補がモンゴル出身の力士ではなく、日本人力士か欧州(ブルガリア)出身の琴欧州だったとしたらどうだったのか、ということです。

 日本人力士なら文句なしに横綱昇進は決定したでしょう。琴欧州ならば、若干の異論は出たとしても、やはり昇進は決まったと思います。

 今回の横綱昇進見送りは、大相撲の「大看板」である横綱が2人ともモンゴル出身力士になることに、北の湖理事長と日本相撲協会幹部が躊躇した結果ではないでしょうか。

 雅山の大関再昇進見送りに関しても、こんなことを想像してしまいました。前回、雅山が大関に昇進した時期は、武蔵川部屋の全盛期でした。

 横綱・武蔵丸、大関・武双山、雅山と前後して大関に昇進した出島が活躍していました。現在の大相撲は部屋物総当り制です。逆にいえば、同部屋力士は本割では対戦しません。雅山の前回の大関昇進は「大甘」だったといえます。

 いまは武蔵川部屋の全盛期をとうに過ぎています。雅山自身もけがを克服して復活しました。ですから、前回より今回の方が、雅山が残した「数字」の価値は大きかったといえます。

 しかし、北の湖理事長と日本相撲協会幹部はまったく逆の結論を出しました。これはどんな理由からなのでしょうか。

       □

 7月場所では、北の湖理事長と日本相撲協会がほかにもおかしな対応を取っています。大関・千代大海との取組の後、幕内・露鵬が新聞社のカメラマンに暴行した「事件」です。力士はプロの格闘家です。プロの格闘家が一般人に対して暴力をふるえば、それだけでかっこなしの事件になります。暴行を受けたカメラマンが警察に被害届を出せば、露鵬は書類送検にはなったはずです。

 この「事件」で日本相撲協会は、当日は不問にふすとしていましたが、翌日になって何故か対応を一変させ、3日間の出場停止処分を下しました。北の湖理事長はその後、場所中の記者懇談会でカメラマンににも非があったとする発言をしています。とんでもないお門違いです。こうした北の湖理事長と日本相撲協会のおかしな対応を、正面から批判できないメディアにも問題があります。そのへんの問題については、別の機会に書くことにします。(2006年8月3日記)

  【読者の声】中田英寿にメディアが敗北した日

 ■メディアに応え、しかし個性を失わず、信頼を集める選手こそ超一流 J . O


 今回のコラムのテーマについて言えば、私は全く逆の意見です。中田こそ敗北したと思っています。

 朝日の1面の見出しは 「個」貫き、時代切り開くとなっていました。(ちなみに筆者は、4年前に中田引退と打ってしまった中鉢さんです)

 「個」を貫き、チームとコミュニケーションを取れなかったのは明らかです。それではいくら優れたプレーヤーであっても、リーダーにはなれません。そこがベッカムやジダン、フィーゴとの違いです。彼らはチームのメンバーとコミュニケーションがはかれた。だから周囲から尊敬を集めるリーダーなのです。リーダーが「個」を貫いてどうす。

 引退会見をなぜ開かないのでしょうか? 文面には「俺」を連発し、ファンに語りかけています。しかし、試合を見て、応援したのは、W杯期間だけ応援したにわかファンを含め、子どももおじいちゃん、おばあちゃんもいるわけです。そういう意識があるのであれば、多少イヤなことを聞かれる、曲がったことを書かれるという不利益を覚悟して、記者会見に応じるべきです。それができずに私的なサイトでしか発言できなかった中田こそ、メディアを前に敗北したのではないでしょうか。

 その意味ではマスコミを大事にする松井の方がはるかに立派だと思います。彼はいつもきちんと答えています。きちんと答えるから、あまり変な話は出ませんよね。もう一つ、中田はW杯前に突然、「ニュースステーション」の番組などに出演し始め、おだやかな表情でインタビューに応じていました。メディア受けのいい自分を演出しようとし始めたと私は感じました。「辞めるつもりだな。辞めてからの食いぶち
を考え始めたな」と。メディアを選び、ほとんどは自分のサイトで語っていたのに、最後にはメディアに媚びを売ったと言えないですか? この面でも彼はメディアに敗北したと思います。
 
 ですので、私はメディアにとって「あまりにも屈辱的な日として記憶されることになるだろう」とは思いません。中田はリーダーになれなかった。チームから尊敬されることはなかった。メディアに対してきちんと向き合わなかった。しかし、最後はメディアに優しい顔を見せるようになった。引退を宣言したのは自分のサイトで、「俺」を連発して、固有のファンだけに向かって語りかけた。

 いくら選手としては優秀でも、その他の面では、私は評価しません。メディアに応え、しかし個性を失わず、信頼を集める選手こそ超一流なのではないでしょうか。

 ジダンのヘッドバット考―究極のストリートファイターだった!?

 あらゆる格闘技において、最も効果的な攻撃方法は先制攻撃である。「先手必勝」に勝る格言はない。受け手に回ると、相手にいいように振り回されることになる。やることなすこと、「後手」に回るからである。相手を見てから立つという、大横綱・双葉山の立ち合いは、相手力士との相当に大きな力量の差がなければできない芸当である。

 先制攻撃にも、大別すると2通りの方法がある。殺意、敵意、あるいは攻撃の意図をあからさまにむき出しにして、相手を攻撃する先制攻撃がその1つである。もう1つの先制攻撃はもっと高度である。相手に対して、殺意、敵意、あるいは攻撃の意図をまったく気取らされずに、いきなり攻撃する先制攻撃である。この場合には、相手の力量が上回っていたとしても、相手を倒せる可能性が高くなる。

 街の喧嘩屋、いわゆるストリートファイターには、相手に攻撃の意図を察知されることなく先制攻撃できる才能をもった人間が多い。殺意も敵意も表には出さずに、友好的な雰囲気をもって相手に近づき、いきなり不意打ちをくらわせるのである。

相手は防御体勢どころか、まともに受身さえ取れないことになる。例えば、街中で捨て犬か捨て猫を可愛がっていた男が、いきなり攻撃を仕掛けてきたとしたら、その攻撃を阻止できる男はどれだけいるだろうか。

 ドイツW杯サッカーの決勝戦。1−1で迎えた延長後半5分、フランスの主将、ジダンがイタリアのDF、マテラッツィの胸元に打ち込んだヘッドバットに関する話題が、いまも途切れることなく続いている。ジダンはこの行為をとがめられてレッドカードを受けて退場処分になった。試合は延長戦でも決着がつかず、PK戦の末にイタリアが優勝した。

 現在のサッカーで最も優れた選手だと評価されるジダンが、自らのサッカー人生で最後の試合となると宣言していた、最高のステージであるW杯の決勝戦で、不正行為を行ったとされて退場処分を受け、その結果として(としか思えない。延長戦でフランスは有利に試合を運んでいた)フランスが優勝を逃したのだから、ジダンの行為が大きく扱われないはずはない。

 欧州のメディアは連日この問題を追いかけ、先日にはジダンがフランスの有料TVに生出演して自らの行為について釈明した。その中でジダンは、マテラッツィがジダンの家族に関して人種差別を含んだ侮蔑の言葉を繰り返したことで、忍耐できなくなったとヘッドバットに至ったという理由を語っていた。

W杯を統括するFIFAもこの問題を無視できなくなり、ジダンとマテラッツィを事情聴取したうえで何らかの処分を下すことになった。日本のメディアも、欧州のメディアの報道をなぞるような形でこの問題を伝えている。

 しかしである。何ごとにも「へそ曲がり」にものを見る性癖のある筆者は、ジダンのヘッドバットをメディアとはまったく違う角度から考えてみた。あの場面でのジダンとマテラッツィの行動が何とも不思議に思えるからである。何度もTVで放映されたあの場面を筆者の記憶から再現してみる。

 ボールとは関係ないところで2人は並んで歩いている。何らかの会話があるようだ。進行方向の右側にいたマテラッツィが左手でジダンの上着の左腰あたりをさわる。マテラッツィはまだ何か言っているようだ。それを無視するかのようにジダンが早足になって前に出る。

ジダンが突然向きを変えてマテラッツィに歩み寄る。画面はジダンの背後からのものだからジダンの表情は見えない。マテラッツィの表情はとらえているが、その瞬間まで表情の変化はない。

 ジダンが強烈なヘッドバットをマテラッツィの胸元にたたき込む。まったく予想していなかっか(かのように)マテラッツィは後方に倒れこむ。倒れこんだマテラッツィの足がジダンの足に絡んで、ジダンが後方に少しよろける。

 その瞬間のジダンはどんな表情をしていたのだろうか。ジダンのTVでの言葉どおりならば、3度目の侮辱の言葉に反応してヘッドバッドをしたことになる。しかし、ジダンの表情(顔だけでなく体の表情も含めて)が怒りにあふれていたのならば、マテラッツィはジダンの行為を予測できたはずである。

 W杯で優勝するほどのチームに所属する選手は、いわば「超人」である。五感全部を使って相手と味方の対応を読み、次の展開を予測する。最高の舞台である。相手を貶めようとしたのならば、マテラッツィの神経は研ぎ澄まされていたはずである。

しかし、TV映像で見る限り、マテラッツィはジダンの表情をまったく読み取っておらず、その後の行為に対する予測もまったくしていなかった(ように思える)。

 ジダンはまったくの無表情で、まるで選りすぐりのストリートファイターのように不意打ちをくらわせたのだろうか。あるいは、マテラッツィの方がより上手の技能者で、ジダンを貶めるためにあえてまったくの無防備の体勢を取ったのだろうか。(2006年7月19日記)

 中田英寿にメディアが敗北した日

 2006年7月3日は、日本のメディアにとつてはあまりにも屈辱的な日として記憶されることになるだろう。

 その夜、どのメディアにとっても無視しようながいほどの重要情報が流れた。情報源は唯ひとつ、本人が発信したホームページだった。

 メディアは、情報の本人確認ばかりではなく、周辺情報の取材さえできなかった。メディアは、通常ではニュースにしない段階でその無視しようもない重要情報を紙面化、TV映像化しなければならなくなった。

 7月3日夜に流れた重要情報とは、ドイツW杯日本代表、中田英寿が本人の公式ホームページ「NAKATA.NET」に掲載した現役引退表明だった。

 中田は、W杯日本代表の中心選手であり、サッカー選手の海外進出のさきがけでもあり、最も人気と関心が高い選手である。

 そんな有名選手が、日本代表が1次リーグで敗退した直後の、W杯決勝トーナメント開催期間中に、突如として現役引退を表明した。どのメディアも無視できるはずもない。しかし、情報は中田本人の公式ホームページに掲載された長文の現役引退表明文だけである。

 翌4日の新聞は、例外なく中田の引退表明を大々的に取り上げた。読売と朝日は1面、スポーツ面、社会面で大きく紙面を割いた。ともに、スポーツ面に中田の引退声明文の全文を掲載した。経済専門紙である日経もその要旨を載せた。

 翌4日朝、TVのワイドショーもこの話題一色に染まった。フジのワイドショー「特ダネ」は中田のホームページの画面を映像化し、長文の声明文の全文を朗読した。

 中田の引退表明にあたって、メディアの対応で筆者が注目したのは声明文の全文掲載と全文の朗読である。

 メディアにとっては、本来、本人の引退声明文などは素材のひとつにすぎないものである。重要な素材ではあるが、それをもとに本人や本人の周辺への取材を重ねた上で紙面やTV番組を構成することが、当たり前のことだった。

 しかし、本人からも周辺からも取材できず、唯一の情報をもとに紙面化、番組化しなければならなくなった。ならば、唯一の情報である声明文を全文掲載(朗読)するしかしか、手段がなかったといえる。

 中田のメディアの関係は、長くぎくしゃくとしたものだった。メディアにとっては、日本のスポーツ選手で最も成功し、最も注目と関心を集める選手である中田は、継続的に取材しなければならない、重要な取材対象者だった。しかし、中田は、メディアの素材であること、勝手に加工される取材対象者であることを拒否してきた。

 中田は、彼の最重要決断である現役引退表明にあたって、メディアに対して完ぺきなまでに情報をコントロールしたといえる。 「俺のことを書きたいなら、俺の書いた声明文を読め。そこにすべてが書いてある。声明文がすべてだ」。それが、中田が発したメディアへのメッセージだったろう。

 メディアはホームページを読める一般人と同じ情報をもとに、紙面を、TV画面を構成するしかなくなった。中田の引退表明に関しては、メディアはその特権的立場を失ったことになる。

 2006年7月3日は、日本のメディアが中田英寿に敗北した日として記憶されることになるだろう。(2006年7月5日記)

 ドイツW杯寸評(5)審判に「無理難題」を要求するスポーツ

 前回のコラム「サッカーは不思議なスポーツ」は前ふりだけで終わってしまいました。今回が本題です。サッカーと他のボールゲームとでは、決定的な違いがあります。それは審判の役割です。

 他のボールゲームでの審判の役割は明確です。ルールブック通りに正確に(迅速に)プレーを判定することです。野球ならば、ストライク・ボール、セーフ・アウトのコールを正確に(迅速に)することです。

 しかしです。サッカーでは、審判の役割は他のボールゲームとは違ってきます。少なくとも、W杯のような高レベルのゲームでは、ルールブック通りに正確にジャッジすると、審判がゲームを壊してしまいます。極端な場合は、ゲームが成り立たなくなってしまいます。

 ドイツW杯を見ていると、何とも不思議な「事実」に気付きます。不思議なのですが、少しだけ考えると、これがサッカーなんだと納得がいく事実です。

 その事実というのは、サッカーのゲームというものは、おびただしいほどの「誤審」の積み重ねによって成立するゲームだということです。

 サッカーにおけるファウル(反則行為)のほとんどは、体コンタクト、接触プレーによって起きます。あるプレーの後、主審が笛を鳴らしてゲームを止めます。そのプレーは、双方のうち一方の選手が犯したファウルだと認定します。場合によってはその選手にイエローカードがでます。ゲーム中に2枚目のイエローカードをもらえば退場処分になります。審判が特別に悪質だと判断したプレーに対しては、一発でレッドカード、退場処分になることもあります。

 ところがです。TVの国際映像で、別角度の映像やスロー映像を見ると、審判の判定と実際のプレーが違うことが多いことに気付きます。W杯レベルのゲームになれば、接触プレーを厳密に判定すると、ほとんどの場合は、一方か双方がファウルを犯しています。

 さらに、審判がファウルを犯したと認定した選手ではなく、ファウルを受けたとされた選手が、実はファウルを犯していたケースも確認できます。イエローカードの出たプレーでも、実際にファウルを犯したのイエローカードをもらった選手ではなかったケースさえあります。

 W杯の決勝トーナメント1回戦、屈指の好カードとなったオランダ―ポルトガル戦は、大荒れのゲームになりました。双方に出たイエローカードは16枚。退場者は双方合わせて4人にのぼりました。

 この試合の後、FIFAのプラッター会長は、審判がゲームをぶち壊した、審判にもレッドカードを出せと怒っていました。しかし、この試合の審判は、プラッター会長が認めるルールブック通りに判定しただけです。しかし、この試合のレベルでは、審判の判定は正しくはなかったのです。

 オランダ―ポルトガル。双方の国民だけでなく、世界中のサッカーファンが注目する大会屈屈指のコーカード。超高レベルのゲームに審判の能力がついていけなかったのです。

 サッカーの審判は、ルールブック通りにジャッジしていているだけではだめなのです。双方のレベル、試合のレベル、試合の流れを見極めた上で、どの程度までのファウルは「流す」のか、どの程度を超えたプレーにはファウルは宣告するのか。状況に応じてジャッジする能力が必要になります。

 審判に対して、これほどまでの「無理難題」を要求するスポーツも、サッカー以外にはないでしょう。それにしても、サッカーは、何とも不思議なスポーツです。(2006年7月1日記)
 


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