成田好三のスポーツコラム・オフサイド

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ウオーク・ドント・ラン

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 空中での一瞬の「反転」―バーニー・ウイリアムス考(2)

 「お前はバーニーの悪口ばかり書いている」と、バーニー・ウイリアムスの熱烈なファンからお叱りを受けそうなので、今回はこの天才打者のすごさについて書くことにします。

 2003年の膝の故障以降は、打率3割、本塁打25本程度は黙っていても打ってしまうという、本来の打撃の輝きを失ってしまったB・ウイリアムスですが、いまでも時折、驚くべき打撃を披露することがあります。

 昨年のレギュラーシーズン。ある打席でのことでした。左投手が相手でした。B・ウイリアムスは外角への投球を予想し、踏み込んで打とうとしていました。しかし、投球は予想に反して内角にくい込んで入ってきました。腹部に当たるほど内角にえぐり込んできました。

 この形では、投球の軌道とバットの軌道は1点でしか合いませんから、空振りするかやっとファウルチップするか、あるいは空振りした後投球が体に当たるという、打者にとって最悪の結果が想定される場面でした。

 既にバットを振る体勢に入っていたB・ウイリアムスはその瞬間、信じられないような体のさばき方をしました。体を浮かすようにして、いや本当に体を浮かして、一瞬のうちに体の軸を三塁方向に変えたのです。そのまま振り切ったバットから放たれた打球は、三塁線を強烈なライナーで抜けていきました。

 その瞬間、既に打撃体勢に入っているのですから、体を捻ったり、左足の踏み出す方向を変えたりする時間的余裕はありません。

 空中での「反転」によって、B・ウイリアムスは体の向きを一瞬にして変えたのでした。(2006年11月14日記)

 「粘り膝」を失った天才打者―バーニー・ウイリアムス考(1)

 MLB・ヤンキース(ニューヨーク)の強打者、バーニー・ウイリアムスは「粘り膝」をもっていました。過去形で書いたのは、イチローも憧れたこの天才打者も、2003年の膝の故障以来、彼独特の膝の強靱さと柔軟さが失われてしまったからです。

 2002年まで8年連続で3割をマークしていたB・ウイリアムスですが、膝の故障以来、3割を打つことができません。かつてはヤンキースの不動の四番打者でしたが、今シーズンは八、九番など下位を打つことが多くなりました。

 膝の故障以前のB・ウイリアムスの空振りは圧巻でした。投球の圧力をバットで受けるファールの場合はともかく、空振りした場合は、どんな強打者、好打者でも体勢が崩れます。イチローでもそうなります。大きく前につんのめったり、前後に大きく体の軸がぶれたりします。

 しかし、故障以前のB・ウイリアムスに限っては、空振りしても体の軸がまったくぶれませんでした。スイッチヒッターのB・ウイリアムスは、左右両打席とも大きめのスタンスで膝を大きく曲げて打席に立ちます。下半身だけ見るとクラウチングスタイルのようですが、そうではありません。上体は腰(骨盤)の上にそっと乗せるように構えます。

 この構えから、空振りしても、スタンスも膝の曲がり具合も、そして上体も崩れることはありませんでした。

 膝の故障以来、空振りしても体の体勢が崩れない、独特の打撃スタイルは見られなくなりました。あの打撃スタイルに、故障後のB・ウイリアムスの膝が耐えられなくなってしまったのでしょう。

 膝の強靱さと柔軟さを併せもつことの重要性を、膝の故障後のB・ウイリアムスの打撃を見ていて、改めて認識しました。(2006年11月14日記)

 マタギの統領のモデルウオーク(3)

 金蔵さんはなぜ、雪の山でかんじきを履いて、一本の直線を想定して、その上に足を乗せるようにして歩くのでしょうか。私なりに考え、実際に金蔵さんの歩き方を真似てみました。

 そのことについて書く前に、歩くことの「原点」について触れることにします。人間は2本足で立ち、そのうち1本を浮かせて、重心を進行方向にわずかに傾けることによって、歩くことができます。つま先で蹴ったり、上体を捻ったりしなくても歩くことはできます。ですから、蹴ったり捻ったりする動作は、歩くことの基本動作ではありません。

 歩くこと――交互に1本の足を浮かせて重心移動を繰り返すこと――によって、人間の体には2系統の「揺れ」が生じます。

 1つめは「上下動」です。歩くことは重心を上下に動かし続けることでもあります。平地ではあまり気にしませんが、急な階段や山の坂道などでは上下動が大きくなり、そのことが体感できます。

 もう1つの「揺れ」は「左右動」――一般用語ではありませんが、上下動と対比させるためこの言葉を使います――です。人間の左右の足の間には、ある間隔があります。左右の足を交互に前に出して歩くわけですから、1歩ごとに体は、ほんのわずかですが、左右に揺れる(傾く)ことになります。これが左右動です。

 上下動と左右動の大きい歩き方は、エネルギー効率の悪い、疲れやすい歩き方といえます。逆に、上下動と左右動の少ない歩き方は、エネルギー効率の高い、疲れにくい歩き方になります。

 さて、雪の上ではどうなるでしょうか。新雪が深い場合、「つぼ足」(靴だけで雪の上を歩くこと)では、極端な場合、体が腰まで雪に埋まってしまいます。これではとても歩けませんが、一歩進むたびに体は左右に大きく揺れることになります。

 かんじきを履いても、新雪なら膝あたりまで体は沈み込むこともあります。春の残雪ならそれほどは沈みませんが、一歩進むたびに、体は左右に揺れることになります。かんじきを履いて、雪の上で通常の歩き方をすれば、重心は左右に大きく傾き続けることになります。それだけ、エネルギー効率が悪くなるわけです。

 金蔵さんは、左右の揺れ(重心の傾き)をより少なくするために、一本の線の上を歩く歩き方を身につけたのでしょう。あるいは、そうした歩き方が、マタギの世界で受け継がれてきたのでしょう。

 金蔵さんは左右動だけでなく、上下動も少ない歩き方をしていましたが、そのことについては、別の項目で触れることにします。

 私も金蔵さんの歩き方を真似てみました。私のいま行ける範囲では、かんじき(スノーシュー)を履いて歩ける山はありませんので、雪のない山で試してみました。山道を一本の直線を想定して歩いてみますと、通常の歩き方よりも効率的な歩き方だということが体感できました。

 しかし、金蔵さんのように歩くためには、ある条件が必要だということも分かりました。その1つは体、とくに上半身のバランスがよいことです。1本の線の上を歩くのですから、バランスが悪いとよろけてしまい、転倒する危険があります。もう1つは下半身の関節の柔らかさです。股関節、膝の関節、足首の関節の柔らかさ、関節の可動域の広さが必要になります。

 体育学の専門家、ウオーキングの指導者たちはこれまで、欧米流の体の使い方、歩き方ばかりを真似をしてきたのではないでしょうか。

 日本にも、金蔵さんのような歩き方、体の効率的な使い方をする人たちがいました。番組で金蔵さんは、雪の急斜面をかんじきを履いて、手にある「道具」を持って、文字通り「四つ足」で進む歩き方も披露していました。熊や鹿の歩き方から学んだ技術なのでしょう。

 金蔵さんのような素晴らしい歩き方、体の使い方が現代の日本人には受け継がれず、消えてしまうとしたら、それは貴重な日本文化のひとつが消えてしまうことになります。(2005年06月14日記)

 マタギの統領のモデルウオーク(2)

 秋田県の奥深い山里に、マタギの統領を長く続けてきた松橋金蔵さんという老人がいました。当時81歳の金蔵さんは、雪の上でかんじき(和かん、今風に言えば日本の在来型スノーシューです)を履いて、何とも不思議な歩き方を披露していました。

 私は、生身の金蔵さんを知りません。それどころか18年も前に放送された、あるTV番組を見見ただけです。

 この番組は、1987年6月に放送された、NHK特集「奥羽山系 マタギの世界」というタイトルのドキュメンタリーです。今年4月10日深夜、「NHKアーカイブス」として再放送されました。

 以下は「NHKアーカイブス」

http://www.nhk.or.jp/archives/program/back050410.htm

にある番組紹介文です。

 「秋田県阿仁地方で古来からの伝統と独特の信仰を守りながら狩猟を生計としてきた狩猟集団『マタギ』。そのマタギのシカリ(統領)を長く務めてきた松橋金蔵さん(当時81歳)は、今春のクマ狩りを最後に引退を決意しています。最後の狩りを前に松橋さんは、若い弟子たちに狩りの手法を教え、マタギの伝統を次の世代に引き継ごうとします。(以下略)」

 純粋に狩猟だけで生計を立てるマタギは、いまでは存在しないでしょう。金蔵さんは、最後のシカリ(統領)だったのかもしれません。

 番組は、完成度、映像資料としての価値とも高い、一級品のドキュメンタリーに仕上がっていました。相次ぐ不祥事と幹部のお粗末な対応から受信料不払いの動きが止まらず、海老沢勝二前前会長の引責辞任に至ったNHKですが、当時はこうした良質な番組を制作していました。

 番組の中で金蔵さん(ナレーターはそう呼んでいました)は、若い弟子(たぶん20歳代でしょう)に狩りの方法を教えています。金蔵さんの教え方は手取り足取りではありません。

 雪のまだ多く残る奥羽山系の急峻な山の中を歩き回ることでした。81歳の老人が若い弟子を連れて10日間も山の中を歩き回ったと、番組は伝えています。それ自体が、現代の都市生活者にとっては驚異的な能力です。金蔵さんは大柄で筋骨隆々としたタイプではありません。逆です。小柄で余計な筋肉などつけない体型でした。

 弟子への教育のひとつとして、金蔵さんは、かんじきをつけて雪の中を進む歩き方を教えていました。その歩き方が、いわゆるモデルウオークと同じものでした。雪の上に一本の直線を想定して、両足を交互にその直線の上に乗せていくのです。
 

私も若いころ、かんじきやアイゼンを履いて雪の上を歩いたことがあります。かんじきは木を曲げて楕円形に加工したものですから、靴につけると当然ながら両足の間隔が広くなります。歩く際も、左右の足の間隔は靴だけを履くよりも広くなります。

 アイゼンをつけた場合も、鉄製の爪で靴や足を傷つけないため、もっと大事なことですが、爪で靴を引っかけて転倒しないために、両足の間隔は通常より広く取って歩きます。
 

 金蔵さんはそうした常識的な歩き方とは逆の歩き方をしていました。その理由は何でしょうか。どんなメリットがあるのでしょうか。また、そうした歩き方をするためには、どんな体の使い方をしなければならないのでしょうか。(2005年06月13日記)

 マタギの統領のモデルウオーク(1)

 昨年のいまごろは、デューク更家氏のエキソサイズ・ウオーキングが大ブレイクしていました。上体と両腕を足とは反対方向に大きく捻る、あのウオーキング方法です。

 健康と美容、とくにダイエット効果に優れたエキソサイズというふれ込みでした。当時はNHKや民放TV局の各番組にひっぱりだこの、超がつく人気者でしたが、いまではTVで更家氏をみかけることは、ほとんどなくなりました。

 更家氏はいまどうしているのでしょうか。相変わらず多くの「信奉者」に囲まれているのでしょうか。それとも、大ブレイクの後、人気は急速にしぼんだのでしょうか。

 更家氏エキソサイズがそうだと言うつもりはありませんが、最近では健康法、エキソサイズの「賞味期限」がだいぶ短くなってきたようです。大量生産―大量消費―大量廃棄のシステムが、この業界にも組み込まれてきたのでしょうか。

 更家氏は元モデルで、ファッションショーのプロデュースをしていた経歴の持ち主ですから、あのエキソサイズ・ウオーキングの原点はモデルウオークにあるのでしょう。

 モデルウオークにも様々なバリエーションはあるのでしょうが、基本は地面(床面)の上に1本の直線を想定して、両足裏をその直線の上に乗せていく歩き方でしょう。日本人の日常生活にはない歩き方ですので、モデルを志す若い人達は、その歩き方の収得に相当な苦労をすると聞いています。

 マタギという存在をご存じでしょうか。東北地方の山里で、熊や猪など野生動物を捕獲して生計を立ててきた、独自の生活・狩猟文化をもった人たちのことです。
 いまでは、奥深い山里にも現代の機械文明が押し寄せ、純粋に狩猟によって生計を立てるマタギはいなくなってしまったようです。

 ところで、マタギの統領がモデルウオークと同じ歩き方をしていた聞いて、皆さんは信じられるでしょうか。最も西洋的な歩き方と、その対局にあるマタギの統領が、ある一定の条件のもとでは同じ歩き方をしていました。

 秋田マタギの統領、松橋金蔵さん(当時81歳)の雪の上での歩き方です。金蔵さんの歩き方の詳細については、次回に書くことにします。 (2005年06月13日記)

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