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新聞寸評−「安倍ちゃん」と呼ばれる総理大臣
新聞記事を読む楽しみのひとつに、記事が伝えたい趣旨とはまったく違ったところに面白さを発見することがあります。以下の読売の記事は、その典型的な例だといえるでしょう。
□官邸主導「会議」似たもの多い…自民・中川氏が批判
自民党の中川政調会長は15日、首相官邸主導で政府が「再チャレンジ推進会議」や「成長力底上げ戦略構想チーム」など様々な会議を設置していることについて、「何が違うのか分からない」と批判した。
中川氏は14日、塩崎官房長官に対し「似たようなものをいっぱい作るな」と苦言を呈した。塩崎氏は「おかしいですか」と答えたという。国会内で記者団に答えた。
中川氏はまた、「安倍ちゃん(首相)をボールに例えて申し訳ないが、安倍さんがボールだとすれば、どうやってゴールに持っていくか。(安倍政権のメンバーは)自分がボールを持ったまま(放さず)、気が付いたら、みんなバラバラになっている」と指摘し、安倍政権内のチームワーク不足を皮肉った。(2007年2月15日、読売新聞)
■首相の「ちゃん」付けに違和感をもたない人たち
この記事の面白さは、自民党の中川昭一政調会長が発した「安倍ちゃん」の一言です。中川氏の発言は、公式な場ではないとしても、新聞記者が取材する、いわば公的な場での発言です。
中川氏は安倍首相と同世代で、議員歴も閣僚経験も安倍氏を上回っています。政治家同士での会話やメディアとの懇談などの席では、「安倍ちゃん」と呼んでいるのでしょう。
しかしです。安倍晋三総裁(首相)が任命した自民党三役のひとりが、こうした場で首相を「安倍ちゃん」と呼ぶ。そのことに対して、発言した本人はもちろん、この記事を書いた記者も、記事をチェックしたデスクも、首相が「ちゃん」付けで呼ばれることに、何の違和感ももっていないようです。
この記事が出た後でも、中川氏の「安倍ちゃん」発言は、メディアの話題にはのぼっていません。政治家も、新聞記者も、政治評論家も、自民党三役のひとりが、総理大臣を「ちゃん」付けで呼ぶことに、何の違和感ももっていないとしたら、彼らは一般国民の常識とは相当かけ離れた領域に生きる人たちなのでしょう。(2007年2月20日記)
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