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福田さん、「最後の一手」会見はなぜ午後4時なのですか
福田康夫さん。あなたとあなたの内閣は、もはや死に体寸前ですね。
安倍晋三前内閣から引き継いだ年金問題などで内閣支持率は下げ止まらず、世界的な金融危機の中で日銀総裁ですら決められない。民主党など野党が参院の多数を占める国会では、民主党からガソリン税の暫定税率維持を拒否され、あなたの内閣は立ち往生に近い状態に陥っています。
どうして、あなたとあなたの内閣は、ここまで追い込まれてしまったのでしょうか。いろいろな理由がありますが、その答えの一つは、福田さん、あなたに、「国民目線」とうものが欠如していたからだということができます。
首相就任以来半年。あなたの発言、つまり国会答弁や記者会見、毎日の「ぶらさがり会見」を聞きかじってきました。そんな中で、ある疑問をもちました。それは、福田さん、あなたは誰に向かって語っているのか、という疑問でした。
平日の毎日夕方、官邸で行われる「ぶらさがり会見」であなたは、会見が「義務」であるような受け答えと仕草、表情をしていました。この機会に、国民に直接、自分の思いと政策を伝えたい。そんな意思はまったくといっていいほど、TV画面からは、伝わってきませんでした。
ほとんど、なげやりと表現してもいいほどの態度でした。そんなあなたですが、3月27日午後、国民に向かって何かを伝えたいという、あなたの意思を感じさせる記者会見を、あなたは初めて行いました。
ガソリン税の暫定税率を維持する租税特別措置法改正案など税制関連法案の年度内成立を図り、道路特定財源の2009年度からの一般財源化などを柱とする新提案を、この会見で発表しました。
この会見の中で、あなたは国民へのメメッセージを二度も繰り返しました。
「この提案に当たりましては、私は見直すべきは大胆に見直すという決意をいたしました。本日は、そうした観点から道路特定財源の改革案について、野党の皆さん、そして何よりも国民の皆さんに対して御説明をさせていただきたいと考えておる次第でございます」
「政治を動かすのは国民の皆さんです。私も最後まで懸命に努力していく覚悟でありますので、国民の皆さんの御理解、力強い御支援を心よりお願いいたします」(引用はともに首相官邸ホームページから)
国民目線をもたない、あるいはそれが極めて欠如するあなたでも、ことここに至っては、普通の国民の共感、支持を得られなければ、自らに降りかかる難局を乗り越えられない。そう思いを決したのでしょうか。
国民の目線に立つ。あるいはそうしたい。そう思いを決したのであれはいいのですが、この会見には疑問があります。福田さん、あなたは何故、会見開始時間を「午後4時」に設定したのですか。
会見の中であなたは、国民に直接、思いを伝えたいという趣旨の発言をいていますが、平日のこの時間帯の視聴者は極めて少ない。しかも、この日は、唯一、首相会見を生中してくれるNHKは、地上波最大のコンテンツである「高校野球」中継の真っ最中でした。
あなたが官房長官として仕えた小泉純一郎元首相は、TV会見の達人でもありました。国民に直接語りかけるという手法と、TV画面を通して、見る人に、「この人は本気なんだな」と思わせる能力を、異常なほどに持ち合わせていました。
その端的な例が、郵政解散を決した当日夕の会見でした。まるで詰め腹を切ったかのような表情で会見場に表れた小泉氏は、この会見で国民の心情をわしづかみにしたと言っていいでしょう。結果は誰もが知っていることです。
あなたに小泉氏のような能力がないことは、分かっています。それならば、やはり、なぜ「午後4時」なのでしょうか。小泉氏は会見に「午後6時」という時間帯をよく使っていました。民放は、首相の緊急会見といえども、即生中継してくれるという期待がもてるような、生半可なTV局ではありません。
生中継してくれるのは、政府と国会に首根っこを押さえられたNHKだけです。そんなNHKが最も生中継しやすく、より多くの国民がTVの前におり、かつNHKにチャンネルを合わせやすい時間帯が、全国ニュースからローカルニュースへと続く「午後6時」の時間帯なのです。
首相会見を、どれだけの数の国民に直接見聞きしてもらえるか。編集されたニュースや解説で聞いてもらうのと、リアルタイムで直接語りかけるのとでは、国民に伝わるメッセージはまったく違ったものになります。あなたや、あなたの優秀な側近たちは、そんな単純な理屈さえ考えなかったのでしょうか。
ところで、あなたの27日の記者会見には、もうひとつの疑問があります。なぜ、会見に官房長官、政務、事務の官房副長官が同席しなかったのでしょうか。あなたがそう決めたのか。あるいは別の理由があったのか。どちらにしても、「最後の一手」(28日付読売の見出し)に臨んだあなたが、たったひとりだったことは、これからの福田さん、あなたと自民党を象徴しているように思えてなりません。(2008年3月30日記)
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