成田好三のスポーツコラム・オフサイド

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 日本のTV局は反捕鯨団体の味方!?

 日本のTV局が欲しいのは、「視聴率を取れる映像」だけである。映像を分析、評価、論評する能力も意思も、まったく持ち合わせてはいない。

 南極海で日本の捕鯨船を執拗に追い掛け回す、欧米の環境保護団体の活動など、まったく無視していたのに、ある刺激的映像が配信されると、すべてのTV局がその映像に飛びつき、繰り返し流し続けている。

 シー・シェパードと名乗る環境保護団体の船に乗る2人の活動家が、小型ボートから日本の捕鯨船に飛び乗って、捕鯨船の乗組員に「縛り上げられる」映像である。

 筆者がこの映像を初めて見たのは、NHK・BSが毎朝放送するBBSニュースによってである。この映像は世界中を駆け回って、「反捕鯨」「反日本」のイメージを増幅させたうえで日本に「上陸」した。それまで南極海における日本の捕鯨船を追い回す欧米の環境保護団体の船の活動を無視していた、日本のTV局はこの映像に一斉に飛びついた。

 しかし、日本のTV局は、この「視聴率の取れる映像」を垂れ流すだけである。この映像の撮影・編集者は誰なのか、どんな風に編集されたのか、映像配信の目的は何なのか―。何ひとつとして、これら視聴者の素朴な疑問に答えようとはしない。

 BBCニュースによると、BBCはシー・シェパードではなく、別の環境保護団体「グリーン・ピース」の船に特派員を乗せていた。グリーン・ピースの船は日本の捕鯨船団のうち、この船ではなく最大の捕鯨船を追いかけまわしていた。だから、シー・シェパードの船からの映像は、BBCの制作ではないようである。この映像は、シー・シェパードの広報担当者によって撮影・編集された可能性が高いと言えよう。

 命知らずの戦場カメラマンにしても、波高く極度に水温の低い南極海で小型ボートに乗って、大型船に接触して、乗組員が捕鯨船に飛び乗る場面を撮影するリスクを犯すだろうか。こんな行為に命をかける価値はない。メディアの上司も、そんな無謀で価値のない命令も許可も与ええるはずもない。

 この映像をBBCのホームページで繰り返し見ていると、複数のシーンをつなぎ合わせたものであることが分かる。まず母船上のカメラマンが洋上を疾走する小型ボートを映す。次にボート上のカメラマンが撮影する。捕鯨船に接近、接触したボートから、赤いレインスーツの男が飛び移る。赤い服の男は画面右側に移動して黒い服の男の乗船を助けると、カメラに向けてガッツポーズをする。2人は素早くデッキの手すりに駆け寄る。これまでがカットなしの1シーンである。次のシーンでは、2人の乗船に気付いた捕鯨船の乗組員が2人を取り囲んで、ロープで縛り上げる。

 この映像のハイライトシーンは2つある。乗船に成功したシーンと乗組員に縛り上げられるシーンである。欧米でも日本でも、この2つの刺激的シーンに注目が集まったはずである。しかし、この映像を撮影・編集したとみられるシー・シェパードの広報担当者は、編集段階で致命的なミスを犯している。彼らにしてみれば、乗船した2人の男が手すりに駆け寄る場面でシーンをカットすればよかったのに、カットが0・数秒遅れたため、2人の男が腰に巻いたベルトとつながったロープの先端で手すりにフックをかける瞬間の映像が残されている。2人は捕鯨船の乗組員に縛り上げられる前に、自らの体を船の手すりに縛り付けていたのである。

 広報担当者は、この瞬間の映像はカットしたかったはずである。彼らの狙いは、乗船した2人の男が乗組員に縛り上げられる映像を映すことだったからである。しかし、男たちの動きが素早すぎたためか、それとも絶対的な「スクープ映像」の配信を急いだためか、彼らにとっては削除すべきはずの場面が残されることになった。

 メディアが配信する映像でも、すべてある種の意図が含まれている。ウラジミール・プーチン大統領の言動を連日伝えるロシア・RTRのニュースなど、誰が見てもあからさまな意図だらけである。さらに、メディアではなく活動の当事者が伝える映像には、もっとあからさまな意図が表出している。日本のTV局は、こうした映像を撮影・編集者の意図を分析、解説、論評することなく、無責任に垂れ流している。

 日本のTV局は、反捕鯨団体の意図に対してまったく無防備だった。時間的な都合でだろうか。この映像のキーポイントとなる、2人の男がデッキの手すりにフックをかけるシーンをカットして放送したTVニュースさえある。結果として、日本のTV局は反捕鯨団体の味方になったと言っても、言い過ぎではないだろう。(2008年1月21日記)

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プロ野球の利敵行為、再び

 MLBと日本のプロ野球は、明らかにライバル関係にある。

 プロ野球からすれば、MLBはイチローや松井秀喜らスター選手を超高額年俸で次々と引き抜くばかりか、シーズン中ほぼ連日中継するNHK・BSをはじめとするメディアへの大きな露出によって、プロ野球人気を奪い取る存在である。MLBにしてみれば、優秀な選手を輩出するうえ、世界第2位の経済大国で、1億2千万人の人口をもつ日本は、極めて魅力的なマーケットである。

 ある社会的集団に所属する構成員が、彼の属する集団と敵対関係、あるいはライバル関係にある他の集団を利する行為、利敵行為を行った場合、彼は彼の属する集団からどんな処置を受けるだろうか。大概の場合は、その集団を律する規定によって彼の行為は非難され、彼は処罰される。彼の犯した行為が極めて悪質であると認定されれば、その集団からの「永久追放」処分さえ下されるだろう。

 これが一般社会の常識である。しかし、プロ野球にはこの常識はまったく通用しない。

 プロ野球の盟主と自認する球団の実質的な親会社が、プロ野球の開幕に合わせて、MLBの前年度優勝球団とその対戦相手の球団を日本に招待して、MLBの開幕戦を主催する。公式戦開幕時にMLB開幕戦をぶつけられるプロ野球の球団が、興行的に大きな損失を被ることは明らである。これが利敵行為ではないとしたら、利敵行為など他にありようもない。しかも、この利敵行為には、プロ野球を統括する団体が主催者に名を連ねている。

 MLBの日本開幕戦は、以下の日程、カードで、いずれも東京ドームで開催される。

 前年度にワールドシリーズを制した、松坂大輔と岡島秀樹の日本人選手を擁するレッドソックス(ボストン)とアスレチックス(オークランド)とのアメリカン・リーグ開幕2連戦は、3月25、26日に開催される。これに先立つ22、23日には、セ・リーグの巨人、阪神の2球団とレッドソックス、アスレチックスとのオープン戦4試合がやはり東京ドームで組まれている。

 MLB開幕2連戦と巨人、阪神とのオープン戦4試合を主催するのは以下の4団体である。

 MLB,MLB選手会、(社)日本野球機構、読売新聞社である。日本野球機構はプロ野球を統括する団体である。プロ野球の利益を守るべき最大の当事者である。読売新聞社は、組織的にはグループ本社の下に並列にぶらさがる形態にはなっているが、実質的には巨人軍の親会社である。

 巨人軍や阪神が所属するセ・リーグの開幕は3月28日である。

 だから、セ・リーグの開幕戦はMLBの日本開幕戦によっては、興行的には直接の影響は受けない。しかし、日本野球機構が統括するもうひとつの組織であるパ・リーグは3月20日に開幕している。巨人、阪神がMLBの2球団とオープン戦を行う22、23日も、MLB開幕戦を行う25、26日も、パ・リーグは公式戦を開催する。

 MLB開幕2連戦、その前のオープン戦もTVで全国生中継されることは間違いない。それに対して、パ・リーグの公式戦は全国中継の機会を奪われることになる。「MLB 日本上陸」とメディアが大々的に報じるなかで、パ・リーグの6球団は注目度が極端に低下したなかで、「地方興行」を強いられることになる。

 巨人と実質的な親会社である読売新聞社は、こうしたあからさまな利敵行為をどう釈明するのだろうか。その片棒を担いだ阪神はどう説明するのだろうか。我々が所属するリーグはセ・リーグだから、パ・リーグの損害など関係ないとでも言うのだろうか。

 日本野球機構はどう弁解するのだろうか。自らが統括する組織に対する利敵行為、もっと言えば営業妨害的行為に自らが加担するという批判に、どう答えるつもりなのか。しかし、彼らはそんな弁解を強いられることはない。プロ野球界やそれをチェック、批判すべき立場にあるメディア界からは、批判的な発言、行動、記事、論評とも伝わってこない。

 MLBの日本開幕戦は今回が始めてではない。

 2004年にも、やはり同じ主催者によってヤンキース(ニューヨーク)とデビルレイズ(現レイズ、タンパベイ)との開幕2連戦が、今回の同様に日程、会場で開催されている。この年は球界再編騒動が起きた年である。巨人がプロ野球界で圧倒的な存在感と地位を占めていた時期である。だから、前回はプロ野球界も主要メディアも利敵行為に「沈黙」を強いられたことは、それなりには理解できる。

 今回は再編騒動の後のことである。プロ野球人気のかげりがあからさまに表れ、TVの全国中継が大幅に削減されるシーズンである。しかし、プロ野球界からも、TVや新聞など主要メディア界からも、MLB日本開幕戦に対する批判がまったく伝わってこない。

 プロ野球界とメディア界の対応は前回とまったく同じである。ただ、「口を閉ざしている」だけである。社会常識からいって、極めてまっとうな意見や批判さえ口に出来ない社会は衰退する道しか残されてはいない。(2008年1月20日記)

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