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特定秘密保護法案の衆議院採決に抗議し、同法案の廃案を強く求める法律家団体の共同声明

私たちは、福島での公聴会における反対意見をはじめとする国民各層の反対並びに慎重な審議を求める声を無視し、同法案を強行採決した衆議院の暴挙に対して、強く抗議の意思を表明するとともに、同法案の廃案を断固として求めるものである。

1.法案の危険な狙い
 法案の狙いは、「戦争する国」のための軍事立法であり、かつ、政府にとって不都合な国民の言論を、警察権力を背景に封じることを目的とする治安立法にあり、以下に述べるとおり、憲法の基本原則である平和主義、基本的人権の尊重、国民主権の原理をことごとく否定するものである。

2.法案は、「戦争する国」のための軍事立法であり、憲法の平和主義の原則に反すること
 自民党は、2012年4月27日付け「日本国憲法改正草案」で国防軍の設置を謳い、国防軍の組織、統制及び機密の保持に関する事項は法律で定めるとし、また、本年6月4日付け文書「新『防衛計画の大綱』策定に関る提言」の中では、集団的自衛権を含む自衛権行使の範囲を確定し、国家安全保障の基本方針を規定した「国家安全保障基本法」の制定、外交と安全保障に関する官邸の司令塔機能強化のための「国家安全保障会議(日本版NSC)」の設置、F本版NSC設置にともなう体制を確立し、政府としての情報機能の強化のための「秘密保護法」の制定等を掲げ、明文改憲手続きによらない、いわゆる立法改憲・解釈改憲による国防軍の設置、集団的自衛権の行使及び「戦争する国」づくりの全体像と青写真を明らかにしている。
今臨時国会にセットで提出された日本版NSC設置法案と本法案の本質は、この行程に示されたとおり、まさに集団的自衛権の行使すなわち軍隊による武力行使、戦争遂行のための軍事立法であり、国家安全保障基本法の制定と合わせて、憲法9条の立法改憲・解釈改憲を狙うものにほかならず、この先の明文改憲の道を開くもので、憲法の平和主義の原則と相容れないものである。

3.法案は、国民の知る権利、表現の自由をはじめとする基本的人権を侵害すること
 法案は、防衛、外交、特定有害活動の防止、テロリズムの防止の4分野の情報のうち特に秘匿が必要なものを行政機関の長が「特定秘密」として指定するとする。「特定秘密」の範囲は、広範且つ無限定で、警察庁長官を含む行政機関の長の裁量でいかようにも「特定秘密」の指定が可能となる。しかも指定された秘密の提供は、国会、裁判所を含めて大きく制約されるため、国民が「特定秘密」を知ることは不可能である。
 秘密の漏洩行為には厳罰が科される。処罰の対象は漏洩行為のみならず、特定秘密保有者の「管理を害する行為」などにより秘密を取得する行為や、漏洩や取得についての共謀・教唆・扇動行為にも及び、過失や未遂も処罰するとしている。処罰される行為の内容は曖昧であり、処罰の範囲も、一般国民にまで及びうる広範なものとなっている。
 この法律が制定されれば、取材、報道の自由、国民の知る権利、表現の自由、政治活動の自由、学問の自由は、侵害されることになる。のみならず、特定秘密を取り扱う者に対する適性評価制度導入により、個人の思想・信条の自由、信教の自由などの内心の自由や、ありとあらゆる個人のプライバシーはことごとく侵害されることなる。
 とりわけ、法案が、警察庁長官が指定した特定秘密により、各都道府県警察が、同法律違反の摘発・適性評価の必要性を理由に、公然・非公然の監視活動及び捜査活動を行うことを合法化する仕組みとなっていることは極めて大きな脅威である。
 曖昧かつ広範な刑事処罰規定により、罪刑法定主義、適正手続きの保障のないままに、国民の生命、身体若しくは自由が、警察権力の自由裁量により簡単に奪われる仕組みを作る同法案の危険性はいくら強調しても強調しすぎることはない。法案は、戦前の治安警察法、行政執行法(1900年制定)、治安維持法(1925年制定)とその本質を同じくすることを決して看過してはならない。

4.法案は、民主主義の根幹である国民の知る権利を奪い、国会の権能を弱体化させるも
のであり、国民主権の原理に反すること
 上記のとおり、法律が制定されたならば、取材、報道の自由、国民の知る権利その他一切の表現の自由は、警察による取り締まりと処罰を恐れて大きく制約される。国民の知る権利、表現の自由が保障されない国家は民主主義国家とはいえない。国民自らが国政のあり方を決定するという国民主権の原理を支える基盤は完全に切り崩されることとなる。
 また、法案は、国会議員の調査活動や議院の国政調査権をも大きく制約するもので、国権の最高機関である国会の権能を著しく弱体化させて、国民主権の原理を形骸化するものである。

5.まとめ
 以上のとおり、法案の狙いは、軍事・治安立法にあり、その内容は、憲法の基本原理である平和主義、基本的人権の尊重、国民主権原理に反し、憲法の改正手続きによらずに憲法を解釈・立法により改変することを指向するものであって、立憲主義の原理に反するものである。
 私たちは、法律家団体として、この法案に断固反対し廃案を求める。今こそ、参議院が、衆議院の暴走を止め、立憲主義を守る砦としての役割を果たすことを強く求めるものである。

2013年11月27日
          社会文化法律センター 代表理事 中 野 新、宮 里 邦 雄
          自 由 法 曹 団   団長 篠 原 義 仁
          青年法律家協会弁護士学者合同部会  議長 原  和 良
          日本国際法律家協会  会長 大 熊 政 一
          日本反核法律家協会  会長 佐 々 木 猛 也
          日本民主法律家協会  理事長 渡 辺  治
  日本労働弁護団    会長 鵜 飼 良 昭

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