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<決戦の朝>

外は暗い。時計は午前3時半。寝付けぬ夜だった。

目の前に幻覚のように、黒いトランクスと黒いグローブの王者・内藤選手がリング上でパンチを受けてダウン寸前の姿が現れて来る。さらに、リング上で大の字になって動かない内藤選手、タイでポンサクレックに1RでKO負けしたような光景までが出て来る。

<有明コロシアムへ出発>

『楽しみですねえ!』
『テレビ観ていますから、思いっきり、応援してくださいね!』
『テレビで探しますよ!』
出発の時、友人たちが明るく声を掛けてくれたが、とてもそのような気分にはなれない。亀田大毅が突進して来て頭突きをして、内藤選手の古傷の右目蓋がパックリと開いて流血が止まらない悪夢が目の前に浮かんでくる。次には、大毅がリング上でハンドマイクを持って歌を熱唱している幻影までもが現れてくる。

ピニック気分ではない。
映画、演劇、美術、コンサートに出かける時の感情とは全く違う。自分がリングに上がるわけでもないのに、ボクシングをするわけでもないのに、金縛りにあったかのように緊張している。得体の知れない恐怖を覚えている。
息が詰まるようで、息苦しい。

沈鬱な重い気分のまま、モノレールの“ゆりかもめ”に揺られて、夕焼けに照らされた巨大な白いドーム、有明コロシアムに到着。

<有明コロシアム前> PM16:00

関係者専用で入り口は、スタッフや警備員が壁を作っている。おそらく選手団やVIPを出迎えているのであろう。

当日券売り場の前には、既に長蛇の列が出来ている。夏に観戦した坂田vsバスケス戦とは雰囲気が違う。派手な洋服とメイクで花束を持った若い女性たち、黒いスーツに身を包み両ポケットに手を入れながら歩く男性たちが目に付く。少々恐ろしい夜の繁華街にやって来たかのようである。
カメラと集音マイクを持った放送局のスタッフが、若い女性にインタビューしている。

<元世界Jウエルター級王者・藤猛さんと対面> PM16:20

会場入り口の木陰で、何処かで見たことのある男性に遭遇する。若い男性と何か喋っている。元世界Jウエルター級王者・藤猛さんに間違いない。早速、話しかけてみた。
『藤猛さんでいらっしゃいますか?』
『(少し間が空いて)、うん』
『私の父親が藤さんの大ファンで、藤さんの豪快なKOをいつも話していました。でも、防衛戦で、ジャブの得意な選手に負けたのを、とても悔しがっていたんです』
『ああ。あれ、しょうがない』
『それから、あのポンサクレックと内藤戦の解説、素晴らしかったですよ!』
『本当?言葉、わかった?』
『もちろんですよ! 言葉なんか問題ではありません。パッションが十分伝わってきて、十分わかりましたよ!』
『言葉、上手くなった』
『ところで、今日の試合、どうなりますか?』
『(指を3本立てて)3ラウンドまでね。3ラウンドまで。彼(亀田)にKOのチャンスある』
『えっ、、、、そうですか、3ラウンドまでですね』
『それ、過ぎたら、最後までいく』
『内藤の判定勝ちですね。』
『彼(内藤)、経験が違う。わかる?経験が違う。2度、負けている』
お礼を言って、記念写真を撮らせてもらい、サインをもらって別れた。

<会場開始> PM16:30

入り口で手荷物のチェックはなしであった。これには驚いた。あのディズニーランドでさえ、テロや不測の事態に備えて、入場口で厳重な手荷物検査があるのに、なぜフリー・パスなのか?前日、大毅の「切腹宣言」があったばかりである。刀やナイフを持ち込む人間がいるかもしれない。乱闘になれば、血が流れる危険性もあるのだ。

<宮田ジム販売所>

入場すると、まず、ここを訪れた。宮田ジムからチケットを直接購入したので、特典引換券で内藤大助選手の青い応援タオルをもらった。
『DAISUKE ★MG★ 内大助』という文字が入っている。買うならば、1200円とのこと。
そして内藤大助選手のパンフレットを開いてみると、宮田ジムからチケットを購入した方々の名前がぎっしりと掲載されている。

<内藤応援シート>

宮田ジムからチケットを直接購入した方々が一同に集まって座るシートである。内藤選手を応援する特別席で、1500席完売している。赤コーナーの背後が、どうやら、内藤応援シートのようである。
客層はといえば、普通の電車に乗った時に出合う方々に近い。白いTシャツを着た団体がいる。北海道から駆けつけてきた内藤選手の後援会の方々なのであろう。
試合が近付くにつれて、放送局のスタッフが度々内藤応援シートを訪れて、照明を付けてカメラで撮影するようになる。

<大毅応援シート>

青コーナーの背後が大毅応援シートらしく、ふらっと行ってみたが、客層が全く違う。この席で『内藤コール』をすることは、不可能である。

<両陣営の応援合戦>

セミファイナルが終わると、両陣営の応援合戦が始まった。誰かが、『内藤!、内藤!、内藤!』と始めると、内藤応援シートは、『内藤コール』が波紋のように広がっていき、有明コロシアムに響き渡る。音頭をとるのは、主に白いTシャツを着た後援会の方々である。
『Go, Go、内藤!! いけいけ、内藤!!』
それが静まると、大毅応援シートから、大太鼓とともに、『大毅コール』が始まる。

<試合前のセレモニー> PM19:40

会場が真っ暗になり、リングに青の光が照らされる。亀田トレインが見えて来ると、内藤応援シートからは、ブーイングが起こる。大毅がリングに上がり両手を挙げると、内藤応援シートのブーイングは頂点に達する。亀田陣営にとっては、経験したことのない“アウェイ”戦である。
続いて、リングは赤の光が照らされる。『ロマンチックが止まらない』が流れて、内藤選手の登場。
内藤応援シートは、総立ちになって、絶叫で『内藤コール』を繰り返す。
『内藤!、内藤!、内藤!』
内藤応援シートは、とにかく熱い。『国民の期待』と『国民の怒り』が煮えたぎっている。

<運命のゴング> PM19:55

1R:大毅は、背中を曲げて八の字のガードで、ゆっくり前へ進む。伝統の亀田スタイルである。アウトボクシングはしない。内藤選手は、足を使い、大毅の周りをグルグル回る。様子見であるが、手数、積極性で、10−9で内藤選手のラウンド。
2R:大毅の左フックがヒットするが、手数、有効打数で10−9。
3R:内藤選手のボディー攻撃とコンビネーションで、10−9かと思った。しかし、このラウンド終了後、『内藤選手が右目蓋を負傷しました。これは有効打によるものです』という場内アナウンスが流れる。内藤応援シートからは、
『ジャッジ、しっかり見ろ!』
『バッティングだ!!』という絶叫が上がる。9−10。
4R:手数、有効打数で10−9。
この後、公式採点の途中経過がアナウンスされ、3−0で内藤優勢の公式な採点が発表される。内藤応援シートは、どっと沸き返る。

5−8R:手数、有効打数で、すべて10−9で内藤選手。この間、内藤選手の傷口がとても気になる。場内の巨大スクリーンで見る限り、傷は浅そうだ。
後ろの男性に聞いてみた。
『万が一、流血でレフリー・ストップになっても、ポイントでリードしているので、内藤選手の判定勝ちですよね』
『いや違います。負傷が有効打によるものならば、内藤のTKO負けになります』とのこと。
内藤選手の有効打が圧倒的に多いのだが、大毅は、打たれても、打たれても頭から突進して来る。バッティングが恐ろしい。不吉な予感がする。
8R終了後、公式採点は、大差の3−0で内藤優勢と発表される。内藤応援シートは、沸き返る。

9−11R:ポイントで内藤選手が圧倒的に有利と判明すると、この前後から、大毅の反則技が加速度的に目立ち始める。タックル、頭付き。9Rは9−10で、10・11Rは10−9で内藤選手。
大毅の反則技がある度に、内藤応援シートからは、大ブーイングが起こる。それは、次第に野次と抗議へと変化していく。
12R:反則技で減点を取られた大毅は、なんと内藤選手を抱きかかえると、内藤選手を投げ飛ばした。内藤応援シートからは、ブーイングが止まらない。ブーイングの地鳴り。抗議の絶叫である。
レフリーは、2本の指を出してカウントしているように見えた。
『えっ!内藤がダウンを取られたのか!おかしいじゃないか!なぜだ!』と後ろの男性に大声で言うと、
『大毅が反則で減点を取られたんです!』
最終ラウンドは、10−6で内藤選手。最終的に、118−105。

公式判定の結果発表。
大差の3−0で内藤選手の勝利。これが告げられると、内藤応援シートは、全員総立ちで、狂喜乱舞となる。『内藤コール』が止まらない。
内藤選手の勝利者インダビューが終わると、爆音がして場内に銀色の紙が宙を舞った。

総じて、大毅は、内藤選手に翻弄されて、パンチを全くと言っていいほど出せなかったが、思った以上にスタミナがあり、打たれ強かった。しかし、ルールを無視した反則技は蛮行である。特に12Rのプロレス技は、マイク・タイソンの相手選手の『耳への噛み付き事件』に匹敵する。
内藤選手は、ポンサクレック戦と比べると、スピードとキレがなかったかのようにみえた。これは、古傷の治療による調整の遅れ、巨大なプレッシャー、ポンサクレック戦の疲労の残存が原因であろうか。
少なくとも大毅からダウンはとって欲しかった。しかし、大差の判定で、文句のない完勝である。これ以上のことを内藤選手に望むのは、酷かもしれない。
とにかく、よく勝ってくれた!!!

<藤猛さんと再会>

有明コロシアムを出ると、藤猛さんを再度お見かけしたため、
『藤さん!藤さんの予想どおりになりました!流石です!』
『(しばらく間をおいて、私を思い出したらしく)ああ、そお、そお』
『藤さんが言われたように、3ラウンドまで、3ラウンドまで、と祈っていましたよ!』
『彼(内藤選手)、経験、違う。(大毅よりも)3倍も試合やっている。経験、違う』と言い、技術論を話しながら、こちらに向かって、ダッキングやスウイを実演してくれた。その動きは、素人では到底真似は出来るものではなかった。
『藤さん!亀田は、頭突きをグローブ代わりに使って、言語道断ですよ!そう思いませんか!!』と言うと、
『(大きく、うなずいて)あなた、ボクシングファンね!!』
2ショットの記念写真をとってもらい、握手をして別れた。

午後9時を過ぎた有明コロシアムの周りでは、内藤選手の青いタオルを身に着けた人々が、いろいろな所で『内藤コール』を上げていた。

閉じる コメント(6)

楽しいレポート記事、じっくりと読まさせてもらいました(^^) 藤猛さんと会話出来て良かったですね♪ しかも色々専門家に質問したり貴重な体験でしたね。 ボクは世界チャンピオンの方々達には毎回、緊張してほとんど何も話せません。 ジムの大先輩、井岡さんには昔も現在も可愛がってもらってますが今だに緊張で固まってしまいます。
唯一、緊張せずにバンバン喋れるのは犹蓋圭司瓮ンです。昨日も電話であれこれ喋って質問しましたよ〜♪

2007/10/13(土) 午前 9:08 茶人 返信する

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茶人さん、長い記事を読んで頂き、どうもありがとうございます。先程録画していたテレビ録画を観ましたが、生現場とは大分違いますね。有明コロシアムは、本当に『内藤コール』一色でした。
藤猛さんと2回もお話出来たのは、とてもラッキーでした。人見知りをあまりしませんので、誰とでも喋れます。それと眼の前をWBA王者の坂田選手が通りかかったので、『坂田さん!11月の試合、頑張って下さい!』と言って握手を求めたら、ニッコリと笑って握手をしてもらいましたよ。

2007/10/13(土) 午後 9:35 [ 8 1/2 ] 返信する

藤猛さんなんて!!!よく声掛けられますね。
会場に行くと、ボクシング著名人とばったり会う事はよくありますが、
恐れ多くて、なかなか声掛けられませんよぉ〜・・・情けなや(T−T)
内容は残念でしたが、結果は万事OK!!だったと思います。
亀田一家にも、今後はまっとうに大活躍してもらいたいです!!(^−^)
僕の記事、TBさせて下さい!!

2007/10/13(土) 午後 10:41 ハマちゃん 返信する

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とるてぃんサン、TBまで、どうもありがとうございます。
藤猛さんと話したのは、私の性格の問題です。(^-^) 今度は、ファイティング原田さん、具志堅陽高さん、ガッツ石松さん、、、と出会えれば喋ります。
10/11の試合内容は、少しもの足りませんでしたが、結果は120点ですね!

2007/10/14(日) 午前 7:02 [ 8 1/2 ] 返信する

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当日の様子が良くわかりました。
興味深く読ませていただきました。
ホント、内藤が勝ってよかったですね。
大毅が勝ってでかい顔されたら、国民は皆白けますよね。
それにしても、またまた大騒動でした。

2007/10/14(日) 午後 0:05 シュガーレイ 返信する

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surgarray8828さん、長文の記事を読んで頂き、どうもありがとうございます。
内藤選手が勝ってくれて、本当にほっとしています。内藤選手の記事が多くなってきたので、専用の書庫を増設しようかとも思っているくらいです。
15日、JBCから亀田陣営に、厳しい処分が下されそうです。

2007/10/14(日) 午後 7:48 [ 8 1/2 ] 返信する

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