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「とりあえずの平和」
ラウルたちの活躍により、聖騎軍連合を退けベンガーナ島の奴隷たちは歓声を挙げていた。カルヴィナは全員に怪我人の手当てと生存者の捜索に全力を尽くすように指示を出すと、アレンとモーガンも早速部隊を編制していく。
ラウルは空間魔法を使って、生存者がいるポイントを全部隊に伝えていくと負傷者の手当てをしているシアの手伝いをしていく。フォルカとスコール、フィオナの三人はプルオミシェイスやナルシェにいる教会の残党を捕まえるために動いていた。
「ラウル、まだ教会の連中が残ってるから適当に捕まえておくわよ」とフィオナ、
「宴会は俺らが帰るまで待っててくれよ」とスコール、
「そういうことなら俺も行くか?」とラウル、
「いや、必要ない。重傷者がいるかもしれないから、そちらを頼む」
フォルカがそう言うと通信を切ってしまう。ラウルはやれやれと言いながら手当ての続きをしようとしていると、海上から禍々しいほどの魔力を感じてゾクッとしてしまう。シアも同じ魔力を感じ取って急いでラウルの所に来ると、魔力はナルシェの方向からしたのをお互いに確認した。
「ラウルさん・・・この魔力って!?」とシア、
「教会のお偉いさんが来たんだろ?俺らも行くぞ」
ラウルは槍を持ってシアと一緒に行こうとすると、カルヴィナも魔力を感じ取っていたので馬を用意していた。
「ラウル、乗れ!!」
カルヴィナから馬を受け取ると、ラウルは背に乗ってそのまま馬を走らせていく。森の中を疾走していくが、魔獣たちも禍々しいほどの魔力のせいで姿を現せることはなかった。
フィオナが敵の残存部隊を確認すると、全員で2000人近い規模になるのを確認していた。これだけの数を野放しにするわけにはいかないとフォルカもスコールもわかっていたので、臨戦態勢に入る。三人はすぐさま部隊が集結している海岸線まで降りていくと、教会の兵士は聖騎軍の隊長を撃破した三人に驚きながらも言葉を失っていた。
「教会の部隊に告ぐ。勝敗は決した。武装解除したのち投降しろ」
フォルカは殺気と魔力を放ちながら威嚇をすると、教会の兵士たちは息を飲む。
「今なら捕虜って感じで命だけは助けてあげるからさ♪」とフィオナ、
「戦っても無駄ってことはわかってるはずだぜ?」
スコールがゲラゲラ笑いながら投降を迫ると、一部の兵士がそんなスコールの態度に我慢出来ずに弓兵が矢を放っていく。
「ちっ!!やるしかないか?」とフォルカ、
「あんたの説得のせいじゃない?」とフィオナ、
「いやいや、俺はあいつらの善戦を称えたつもりだったんだけど」
スコールは盾で攻撃を防ぎつつ、斧を装備していくとフォルカも魔力を全開まで解放していく。フィオナも風の爪を纏って向かっていこうとすると、三人と教会の兵士の目の前に水柱が出現し中からリシャールが出てくる。
「リシャール=クォーターの名において命ずる。双方とも剣を収めよ。これ以上の戦闘は許可しない」
リシャールは魔力を纏い始めると、フォルカたち三人は自分たちとまるでレベルが違うことに気付き急いで間合いを取る。フォルカだけはリシャールが水術士であることに気付いて、第1聖騎軍隊長であることに気付いた。
「貴様は、第1聖騎軍隊長水術士リシャール=クォーターか?」とフォルカ、
「うん。君は雷使いのフォルカ=アルバーク君だったね。君の活躍は聞いてるよ。ラウル=コーリング君を呼んでもらえるかな?」
リシャールはフォルカにラウルを呼ぶように言うと、馬に乗ったラウルとシアがそのままフォルカたちの前まで飛んでくる。戦闘態勢ではないことに驚きながらもラウルはリシャールの動きに集中していた。すると、海上から戦艦が7隻向かってくると副長のリカードがリシャールの隣にくる。
「初めましてだね、ラウル=コーリング君。僕はリシャール=クォーター。こっちは副官のリカード=ロアです。我々はこのまま撤退をしたいと考えているんだけど、お茶でも飲みながら話さないかい?」
リシャールがラウルに要求をすると、リカードがテーブルとイスを用意するとリシャールはくつろいだようにイスに座りリカードが淹れたアールグレイの紅茶を少しだけ飲んでいく。リシャールの態度に全員が呆気にとられていたが、最初に反応したのは教会の兵士だった。
「なにを言っているのです!!リシャール様が居ればこんなガキども!!」
「そうだ!!ベンガーナ島の奪還も容易に出来るはずです」
数々の抗議が出る中、リシャールはため息を漏らす。
「でも、戦闘になれば君たちは戦死する。全員なぜ聖騎軍に入ったのか思い出してほしい!!アイザック、レグナス、セロ、バロック、ジャイロ、ルーカス、セルビス。7人もの優秀な隊長が犠牲になった。君たちまでここで死んだら、誰が意思を継ぐんだ?大局を見てほしい。それが、僕からの願いでもある」
リシャールの言葉に教会の兵士はなにも言えなくなってしまい、リカードに促されながら戦艦の中へと入っていく。ラウルもフィオナも戦艦を狙撃出来る位置にいたが、目の前で紅茶を飲んでいるリシャールの殺気のせいでそれが出来なかった。
「っで、本音はどこにあんだ?水術士の大将」とラウル、
「バレてた?実は教会の中でもゴタゴタがあってね。彼らを引き入れなきゃ僕のシナリオは完成しないんだ。」
リシャールはクッキーをひとつ食べていくと、ラウルも紅茶を手に取って飲んでいく。戦場には似合わない洗練された紅茶の味に驚きを隠せずにいた。
「中間管理職の悲しい宿命ってやつだな。っでこのまま黙って帰るのか?シアは渡す気はないぜ」
ラウルはリシャールをにらむと、リシャールもクスッと笑う。
「うまいね、君は。ちゃんと楽団に増援を要請してから時間稼ぎをしている。先程も言ったけど、戦闘の意思はないよ。ただ、君たちにひとつだけお願いがあるんだ」
リシャールの言葉にシアも緊張しながらリシャールの言葉を待った。
「シア=フローレンスを守っていてほしい」
リシャールの言葉にラウルたちは全員困惑してしまった。シアもリシャールがなにを考えているのかがわからずに声をあげてしまう。
「ちょっと待ってください!!あなたは教会の人なんですよね?どうして私を守ってくれるんですか?」
シアの言葉にリシャールはクスクスと笑っていく。
「可愛いな、君は♪でも、残念。守ってるわけじゃないんだよ。今、君を捕まえても手柄はすべて評議会にいってしまうからね。ここで彼らにポイントを稼がせたくないんだよ。新しいホワイトナイツを決める信任投票までの半年間、必ず守ってほしい」
「ちょっとちょっとちょっと!!綺麗な顔して言ってることせこくない?女の子を付け回してたくせに今度は守れ!?いい加減にしなさいよ!!」
フィオナはリシャールの態度に思わず声を荒げてしまうが、リシャールはいつの間にかフィオナの後ろに回り込む。ラウルは槍を構えるが、リシャールはフィオナの顔にそっと触れながらクスッと微笑む。
「君も十分綺麗な顔しているよ。今日は挨拶だけだし、楽団と戦闘になるのも避けたい。ここでお暇させてもらうよ。シアを頼む」
リシャールはそう言って、リカードと一緒に戦艦に乗り込んでいきそのまま出航してしまった。ラウルもフォルカもリシャールと対峙しただけで汗をかいていた。教会も一筋縄ではいかないということが明らかになっていたが、スコールだけはゲラゲラと笑う。
「散々かっこつけてやがったが、こっちの方が数は多いからな!!恐れをなしやがったか♪」
スコールの意見にラウルたちは我に返ると、フッと笑ってしまう。
「っていうより、あたしの美貌にじゃない?」とフィオナ、
「それは一番ねえよ(笑)」とラウル、
「ちょっとどういう意味よ!!」とフィオナ、
「もうすこし色気があれば、篭絡出来たかもな」とフォルカ、
「フォルカまでひどーい!!こないだあたしのパンツ見たくせに」とフィオナ、
「いつの話だ?」とフォルカ、
「和んでないで、警戒態勢を取りつつ怪我人の救出を進めていくぞ」
カルヴィナの言葉に全員はそうだったと思い出してフィフスアークへと帰っていく。とりあえずはこの戦争に勝ったことを実感しながら。
リシャールは残存兵に第1聖騎軍への転属を勧めて、規模は聖騎軍最大の規模になっていた。数日後に行われる青の聖騎軍の信任投票に向けてサーガイア皇国へと針路をとっていた。
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和気あいあいですねー!
ですが、まだ戦いの火種は残っているのでしょうね・・・。
ポチ!
2013/7/7(日) 午後 10:39
争いの炎はまだくすぶっている感じで・・。
この後の展開のフラグ的な話でした♪
応援ぽちです!
2013/7/8(月) 午後 10:28 [ 夢渡 ]