夢への地図

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                  「イージスの盾発動」






 リシャールは2年振りにサーガイア皇国に帰還すると、副官のリカードに軍服の正装をさせルシスにはドレスを着て自分の屋敷に来るように伝えていた。リシャールの父アルダ=クォーターは銀鉱山の採掘に成功し、侯爵の身分を得た政治家である。 

 ポートフィリオにあったリシャールの屋敷の7倍の面積を持つクォーター家の屋敷には庭に噴水とバラ園、彫刻像などで溢れ返っていた。リシャールは二人を中に招き入れると、そこには50人を超すメイドが全員整列し正面に立っていた執事が深々と会釈をする。

 「お帰りなさいませ、リシャール様。旦那様がお待ちでございます」

 執事はリシャールたち三人を連れて応接室に通すと、そこには数々の名画が飾られていた。ルシスはリシャールの家のスケールに憧れを抱きつつもいつかは自分もこんな家に住めたらと決意を新たにしていた。リカードはネクタイが窮屈なので、ため息をついていると当主のアルダ=クォーターが中に入ってくる。

 「よく戻ったな、我が息子よ。話は元老院から聞いている。青の聖騎軍に立候補するらしいな?ようやく重い腰を上げたわけだが、勝算はあるのか?」

 アルダはリシャール、リカード、ルシスの三人と握手をしてからメイドに紅茶を淹れさせていく。

 「流れは僕に来てるからね。父上にはお願いがあってきたんだ」

 「お願いだと?」

 「枢密卿とコンタクトを取りたい」

 「一筋縄ではいかんぞ」

 「切り札くらいあるさ。可能ならばサーガイア皇国の皇帝にも謁見を賜りたい」

 「今回は本腰ということだな・・・ところでそちらの御嬢さんは?」

 アルダはルシスに目を移して話を変えると、ルシスは慌てて挨拶をする。

 「第7聖騎軍隊長のルシス=ジークルーネと申します」

 ルシスは笑顔で挨拶をするが、アルダを品定めをするようにルシスを下から上まで見て回した。

 「ほう、聖騎軍の方でしたか?失礼ですが、爵位はお持ちで?」

 「いえ・・・祖父が辺境伯だったのを最後にジークルーネ家は没落してしまってます」

 ルシスの答えにアルダはリシャールを見ると、リシャールはクスッと笑ってアルダの目を真っ直ぐに見てから誰も予想していなかった言葉を発する。

 「僕はルシスを妾にしようと思っている」

 「なっ!!?それは生涯の伴侶にするという意味か?」とアルダ、

 「そいつは初耳だな♪」とリカード、

 「なにを言ってるんですか?今は青の聖騎軍の信任投票の話に来たのではなかったの?」とルシス、

 「僕が青の聖騎士になろうと思ったのはルシスがいたからだ。それだけで、僕の妻になる資格はある。僕をここまで本気にさせたんだ、責任を取ってくれないか?」

 リシャールの言葉にアルダはゲラゲラと高らかに笑い始める。

 「そうか・・・いいだろう。お前たちの結婚を認めよう。しかし、青の聖騎軍に着任したらの話だ。失敗は許さん、この意味がわかるな?」

 アルダは最後に厳しい口調でリシャールに言うが、リシャールは不敵な笑みを浮かべて返していく。そして、三日後に枢密卿と会う手筈が整っていった。

−ベンガーナ島−ラウルたちは戦後処理を楽団のキースとラピスに任せながらも基地や街の復興作業を仕切っていると、遠くの海から楽団の紋章を付けた船が何十隻もナルシェの港へ向かってくるのでカルヴィナとアレンはキースに確認を取った。船には避難していたベンガーナ島の住人が乗っているとの解答をもらう。

 まだ戦闘区域だというのに?とラウルたちは思っていると、フィフスアークにゲートが出現しそこには団長のファレンス=D=フォードとラピス=フェルナトム、アクセル=ウォリアーの三人が出てきたのでラウルもフォルカも姿勢を正して敬礼をする。

 「って、隊長じゃねえか(大汗)」とラウル、

 「なぜここに!?」とフォルカ、

 「あれって楽団の炎術師でしょ?確か、アクセルさんだっけ?」とフィオナ、

 「あの威張りつくしている野郎だな(笑)」とスコール、

 「確かに少し怖いですよね(汗)」とシア、

 「上官に向かってその口の聞き方はなんだ!!」とカルヴィナ、

 「ってか、お前らに言っておくぞ・・・あの人には冗談は一切通じねえからな」

 ラウルが深刻な顔をして言うが、フィオナとスコールは大袈裟だなと思いながら笑っていると三人はラウルたちの前まで歩いてくる。

 「今回の戦果は本当に見事でしたね、ラウルくん」とファレンス、

 「まあ、相手が雑魚だったんで」とラウル、

 「シアも活躍したみたいね」とラピス、

 「ラピスさんとの修行のおかげです」とシア、

 「だが、被害を受けすぎたみたいだな・・・もう少し早くに到着は出来なかったのか?」

 アクセルが言葉を発すると、ラウルとフォルカに緊張が走る。

 「まあ、大将♪島は無事だったんで大目にみてくれや♪」

 怖いもの知らずのスコールはアクセルと肩を組んでふざけた口を聞くと、アクセルはスコールの胸ぐらを掴んで宙に浮かしてしまう。

 「ずいぶんとふざけた奴だ、これがな。ラウル、貴様は部下に口の聞き方も教えていないのか?」

 アクセルはギロッと殺気を込めた視線をラウルに向けると、ラウルは汗を流しながらもうまくかわしてしまう。

 「スコールとは3ヶ月振りに会ったんで、そいつの処分は煮るなり焼くなりお好きにしてください」

 「自分もラウルと同意見です」

 フォルカもラウルと一緒にスコールを売ってしまうと、

 「ちょっと待てーっ!!俺、仲間っすよ(大汗)」

 スコールがラウルたちにつっこみを入れるが、アクセルは炎を纏い始めてしまうのでファレンスが手で制す。

 「アクセル、スコールくんは敵の聖騎士を倒した優秀な戦士です。彼の戦果に免じて抑えていただけますか?」

 ファレンスが冷たい笑みを浮かべてアクセルに言うと、アクセルは舌打ちをしながらスコールを離す。スコールはすぐさまフィオナの後ろまで逃げていくと、ラウルとフォルカにバカか!!ろ一括された。

 「本日は基地の復興の件で団長自らがご足労を!?」とカルヴィナ、

 「いいえ、ラウルくんたちの戦果を考慮して報酬と階級を渡しに参りました。あと、ラピスがイージスシステムを完成させたので」

 ファレンスがそう言うと、ラウルとフィオナは報酬の言葉にニヤリとしてしまう。しかし、すぐにイージスシステムとは?と疑問が生まれラウルはラピスに詳細を確かめる。

 「イージスシステムとは、私が研究していた空間魔法力学における一つの答えと申しあげて過言ではないと思います。ある魔力の文献で・・・」

 ラピスの話がながくなりそうだったので、アクセルが途中で話を断ち切る。

 「この島を魔導石により強力な結界を常に張ることになる」

 アクセルの言葉にラウルもフォルカも驚いていると、カルヴィナとフィオナはそんなこと出来るんですか?とラピスに再度聞いてしまう。

 「すでにレガリアで成功させてますので、ご安心ください。ファレンスとアクセルが設置してくれれば間違いないですよ」

 ラピスがファレンスとアクセルの腕を組んで得意気に言うと、アクセルは作戦開始時間をカルヴィナに伝えてゲートから設置に必要な巨大な魔導石を箱から出していく。ラウルもここまで大きい魔導石は見たことがなかったので息を飲んでみていた。

 「なになに、あれって高いの?」とフィオナ、

 「ざっと数億Gって所だ・・・」とラウル、

 「ウソーッ!!!!」

 フィオナが大きい声を出すと、アクセルはふんと言いながらも魔導石を持ちながら北の街のバルミド、南の街のナルシェへと運んでいく。ファレンスは東の街のバーフォンハイムと西の街のレティシアに運びさらに巨大な魔導石をフィフスアークに設置した。

 「ラピス、準備完了だ」とアクセル、

 「ありがとう、では始めますね」

 ラピスは魔法陣を描き呪文を唱え始めると、島を覆う巨大な結界が出現する。光に包まれていくと、島の周りには強力な結界が張られていた。

 「これで、敵が極大魔法を放たない限りこの結界がこわれることはありません」

 ファレンスとラピスが極秘裏にこんな作戦を用意していたとは思っていなかったので、ラウルとフィオナもどこまで規格外の組織なんだ?と唖然としていた。


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